大乱闘スマッシュブラザーズ Histoire Artificielle   作:蘭沙

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14話 ヒーローモード

 

何も言わない。何も語らない。

でも、ポケモンの言葉がわからないカムイとリリーナでもわかった。

 

手を貸してくれるのだ。

 

 

「エンテイとスイクンはあの透明な敵を倒してくれないか!?」

 

「えっ!! でも大乱闘のことは言いふらしちゃダメって…!」

 

「責任は僕が取る!! 一人でも多くの命を助けなきゃ!!」

 

 

カムイは選んだ。

禁忌を犯してでも人を救う道を。

その覚悟と決意を込めた目を見れば、リリーナも否とは言えなかった。

 

 

「そうね…! 私からもお願い!」

 

「………」

 

「………」

 

 

やはり何も語らない。でもそのまま、エンテイとスイクンは血の匂いが充満する場所へ走り去っていった。

 

 

「黄色の君はどこから来たのか案内してくれるか? 僕たち、インクリングに協力してくれている誰か、そして君たち。みんな同じところあたりから来たなら、その辺りに世界を移動できる門のようなものがあるかもしれない!!」

 

「ピチュッ…!」

 

 

ピチューはハッとする。そうだ。移動を介していないロイを除けば、ファイターの3人は同じような場所にいた。そこの辺りで団体が隠れられそうな場所はそうそうない。インクリングもそれに気づいたのだ。

 

 

「………」

 

「…乗れってこと? お願い! ロイのところに連れて行って!!」

 

「行こう! 一緒に!」

 

 

ライコウの背にカムイ、リリーナが乗り、ピチューは頭の上に乗る。その速さはまるでしんそくのようだった。森の中を通っているのに木の枝や木の葉に当たらない。

 

 

「ピチュー…」

 

 

同じポケモンとして、格の差をピリピリと感じているものがいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

トコトコと太い足音が聞こえる。

コロシアムの破壊された箇所から二人のヒーローが来場する。

真正面の壁の上、座っていたナカツナを睨みつける。中央にはロイ達が捕まっていた。ロイだけではないのは驚いたが、それを表には出さなかった。

 

 

「来たよ、ナカツナ」

 

『………』

 

 

表情の変化は見えない。でもいかにも不機嫌そうな感情の変化を読み取った。まるでどよんとした空そのものだ。

 

 

「私やアルスがこの世界にやってきた場所は近かった。だから付近で拠点できそうな場所片っ端から探してきた。そして君がここにいた。この状況が君の望んだ通りならば、ここに世界を渡るための何かがあるんだろう?」

 

『……語る意義はないな』

 

「なんとなくわかるよ、わざわざそう言うってことは本当に言いたくないことなんでしょ」

 

『黙れ』

 

 

その一言で周りの兵士達が殺気だつ。

銃を突きつけられているような幻覚を思わせるも、それは妄想だ。そんな気がするでしかない。

 

 

「インクリング! 相手は見えなくてもそこにいる!! 攻撃を続ければ倒せる!」

 

 

ロイの言葉にコクリと頷いた。

前衛らしき敵から襲いかかってきた。シークやスネークも心配そうに見つめている。

 

 

『やれ、愚者を叩き伏せろ!』

 

「愚者じゃない! ボク達を助けにきてくれた彼女達は勇者だ!」

 

 

戦う力など、ほとんどない彼女がそれでも来てくれたのだ。愚かなわけがない。ただ、ナカツナとは価値観が違ったのだ。

 

 

『弱者は弱者なりに生き方があるだろう、それもできず、わざわざ死ににきたこいつのどこが勇者だ? 命よりも大切なものなどないと言うのに』

 

「あるよ。君が持ってないだけ」

 

「あの動き…!」

 

 

回し蹴りで兵士二人を蹴り飛ばし、顔らしき箇所にインクをぶつけて、シューターで強打する。囲んで襲いかかる相手にはヒーローホクサイの柄の部分を回してぶつけた。

 

その動きにスネークは驚く。

短時間でここまで格闘技に長けるはずがない。気の持ち方だけでここまで動きにハリがでるのか。

 

 

「ギラ! はああ!!」

 

 

もう一人、彼らが知らない者、アルスも相当な強者であった。灼熱の魔法で足元を焼き、動きを止めると数人まとめて斬り伏せた。戦闘の腕ならば、スマッシュブラザーズにもそうそう負けないだろう。それほどの実力者だ。

 

 

「…来なよ」

 

 

未だ敵の背後にいる兵士達に挑発を仕掛ける。

群れ成して襲いかかってくる有象無象。突き攻撃を腰を捻ってかわす。とんでくる火の玉を低い姿勢でやり過ごし、ジャンプで高く跳び上がった。

 

 

「この…ッ!」

 

 

体を捻らせ、回転させながら、ヒーローブラスターとヒーローシューターの二丁拳銃で敵をひたすら撃ち続ける。

インクではダメージはない。だが、足止めはできる。勢いで吹き飛ばすことはできる。ブキの打撃は直接効く。

 

 

「アルス!」

 

「ギガ、ディン!!」

 

 

敵に対して広範囲高威力の電撃が降り注ぐ。

アルスが使える最大火力の魔法だった。空中の3号には当たらず、ロイ達には届かず、ただ敵だけに襲いかかった。

 

 

『…………』

 

「ッ! 2人とも!!」

 

 

その派手な魔法に気を取られて、ナカツナが飛び出してきたのに気づいたのはロイだけだ。

その声に反応するが、空中に向けて透明な敵を認識するのは至難の業だった。

 

 

狗馬之心(くばのこころ)!』

 

「うぐぅう…!!」

 

「この動き… 味方まで巻き込んで…!」

 

 

コロシアム全体が雷の嵐に襲われる。敵も味方もなく、ただ雑に電撃を振らせる技。捕虜であるはずの3人にまで降りかかるほどの無作為さ。

あの透明な敵は見当たらない。巻き込まれて全てが消滅したようだ。

 

 

『兵士の被害は… 全滅か、情けない』

 

「なるほどな、姿は透明でも攻撃までは透明じゃないと」

 

『…! 逃げ延びていたのか』

 

「デタラメな攻撃なら当たった手応えもないだろう」

 

 

ピンピンしていたアルスにナカツナは内心動揺する。確かにデタラメな攻撃なのだから逃げられないと決まった攻撃ではない。だが、規則性がないのだから避けるのは至難の業だ。盾と足だけで回避しただと。

 

 

『チッ、だがもう1人は既に』

 

「既に、なんて?」

 

 

背後からの声で咄嗟に振り返った。

ヒーローローラーを構えた3号が後ろに。

 

 

『(いつから…! そもそもこいつまで先の攻撃を… そうか、インクか!!)』

 

 

さっきの兵士達との戦いで撒き散らしたインクの中に隠れていたのだ。攻撃をやり過ごしたのも同じ方法だろう。

 

 

「クリアリングが甘い!」

 

『ぐうう…!』

 

 

振り回したヒーローローラーでナカツナは大きく押し込まれる。土を抉った足跡は見えなくともそこにいることを如実に現していた。

 

 

『くっ… ならば…!』

 

「あの技は…!」

 

 

ロイとの戦いを決定づけた技。夕霞乃舞(ゆうがすみのまい)

途端にナカツナの姿を捉えづらくなる。ゆったりと動く刀の残像が残り、ブレた姿が視覚に残る。

 

 

「イオラ!」

 

『無駄だ! 白雪鏡(はくせつかがみ)!!』

 

 

援護しようと放った爆発の魔法はその威力を発揮する前に刀の力で消えていった。爆発もしていない。

 

 

「魔法が消えた…!?」

 

「あの武器の力か…!!」

 

 

シークは気づいた。

あの武器を戦に使っていたなら、血に汚れていてもいいはずだ。だが、唯一見えるあの武器は見惚れるほど美しい白い刀身には穢れの類は一切ない。

 

 

「あの武器には魔法の攻撃を無効にする力があるのか…!?」

 

 

もし合っていたなら、この戦いはさらに厳しいものになる。そもそも、あの刀は腰らしき場所に浮いていた。鞘のようなものに入れているというのに、鞘は見えずにこの武器だけが貫通して見られるようになっているのだ。見えないカラクリはナカツナが起こしたものでも、おそらくあの武器は違う。あの武器が持つ特殊性は固有のものだろう。

 

 

『魔法の類はこのヴォーパルの前には効かん。これで終わりだ!』

 

「…ッ!!」

 

 

3号の全身に切り傷が生まれる。ひとつひとつは浅い傷だ。だが、狙いはそこではないだろう。

 

 

「アルスゥ!!」

 

『…ッ!! お前…!』

 

「させるか!」

 

 

檻の前に立ち塞がったアルスが、ヴォーパルの一撃を、勇者の剣で押し留める。そのまま鍔迫り合いにもつれ込んだ。

 

 

「(チャンス!!)」

 

『…くっ…!!』

 

 

背後から近づいてくる3号を確認すると、ナカツナは諦めて、背後へ跳び上がる。高い跳躍力は容易に3号を超えた。

 

 

『苦戦させて… ぐぅ…!!』

 

 

宙にいたナカツナを電撃が貫く。

そのまま、落下しギリギリ着地に成功した。

 

援軍。その顔を見て、3号は自然と顔が綻んだ。

 

 

「みんな…!」

 

「お待たせ!」

 

「ピチュ、ピチュ!!」

 

「遅くなってごめんなさい!」

 

「コォォォォォ!!」

 

 

スマッシュブラザーズと頼れる助っ人がやってきた。曇り空に光明が刺すような。

 





○タイトル
スプラトゥーンシリーズの、俗に言うストーリーモード。
タコが来よるから、New! カラストンビ部隊に(無理やり)入り、タコと戦う。ラストステージは歌をバックに戦う。


○あれ? ナカツナってもしかして……
沸点がクソ低い。


○ヴァーパル
ナカツナが使用する刀。
見惚れるほどに美しい白刃だが、柄から上は洋風のデザイン。シンプルな金の柄に赤く丸い宝石がついている。
刀そのものに特別な力があるようで、詳細は不明だが、非実体的な攻撃を消し去る力がある。刀そのものも特別で、幾らものを斬っても汚れず、刃こぼれすることも、ましてや朽ちることもない。
相手側の存在はやはり見えないが、この武器のみは例外で、鞘に収めているだろうこの武器が貫通して見える。


○これからいつもの週一投稿に戻ります
言葉の通り。


○一ヶ月の間にあったかもしれない小話
「最近うちのディミトリ(黄ピクミン)がハサミを持ってきたんだ」
「!?」
「デコピクミンだな。一番乗りはヴェントゥス(黄ピクミン)だった。ただ、そろそろインクリング(黄ピクミン)も拾ってくる筈だ」
「「!?!?」」

「見なさい、ピット。これが作者の代弁をさせられてるせいでわけわからないことになってる図ですよ」
「僕たちもああいう風に言われる時が来るのかな…(白ピクミン)」
「うるせー…(岩ピクミン)」
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