大乱闘スマッシュブラザーズ Histoire Artificielle   作:蘭沙

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130話 戦いに終止符を

 

『本当に……どいつもこいつも……右から左まで1から10まで……全てが鬱陶しいにもほどがある……』

 

 

表情があれば、苦虫を噛み潰したような表情をしていただろう。

スマッシュブラザーズ全員が直接ダブルと相対するなど誰も考えてはいなかったのだ。

 

マスターハンドの目の届く場所で、彼の最高傑作(スマッシュブラザーズ)をいたぶることで全てを破滅させるミュージカルの開幕を飾ろうとしていたのだ。

 

 

だが、まずマスターハンドが完全復活した。

ファイター達の手では、重量も体躯もどうにもならなかった器を保護する手段があった。

ずっと沈黙を保っていたクレイジーハンドの介入によって、復活できる土台が完成してしまった。根本の話からすれば、あの得体の知れないルネによるものである。

 

器があれば、ジョーカーの内に潜んでいたマスターハンドが移ればすぐにでも復活できる。

 

 

そして、次に復活したマスターハンドが大乱闘の世界に繋がる数多の世界の戦士に呼びかけ、協力を求めた。

そしてファイターの力を分け与える、もっと言えばボディ達と共に大乱闘の土俵に入ることで、ボディ達への殲滅力を上げた。

 

単純に数だけではなく、質を上げることでせっかく数を増やしたボディ達が急速に減っていく。

その結果、大半のスマッシュブラザーズの足止めができなかった。

 

 

そして、それを助言したのもルネだ。

つまり全て奴が悪い。

 

 

『……八つ裂きにしてやる。大好きなファイター達の力で奴を苦しめてやる……だが、その前に……!』

 

 

眼下に見下ろすはスマッシュブラザーズ。

 

今この瞬間に誰かの隣にいた英雄が、宿敵が。

色とりどりに紡ぐ炎の螺旋が、

遥かから受け継ぐ光を宿し、

 

 

「「はあああああ!」」

 

 

今、敢然と立ち向かう。

 

炎の剣と光の剣、同タイミングで振るわれた双剣を受け止めたのは、赤い両刃の大剣だ。()()()()()()()()()()()のが逆に変に見えなくもない。

指で掴まず、まるで見えない糸と腕部で操るようにして攻撃を遮った。

 

 

「挟んで!」

 

「はい!」

 

『どこから来ても!』

 

「なら下から!」

 

『ッ!』

 

 

正面から受け止められたヒカリとホムラはサイドから挟んで攻撃をする。それもデュアルソードで受け止められるが、シュルクが下からのエアスラッシュで弾かれる。

遥か上空へ浮き上がったダブルは、空から青色の風船のようなデコイを乱雑に落とす。

 

 

「これは…………いわゆる爆発です!」

 

「爆弾ですか!?」

 

「あ、攻撃すれば壊せますよ」

 

「そっちを先に言ってください!?」

 

「レッド! リザードン貸して!」

 

「わかった!」

 

「グルウウ!」

 

 

後方からのパルテナの分析。

ヒーロースーツを纏う3号がレッドのリザードンに飛び乗り、後を追う。

進行方向を予測して、巨大な鉄の拳を振り下ろす。3号の真上で影をつくったそれを彼女が見逃すはずもなく。

 

 

「できるだけ低空飛行でお願い!」

 

「グウァ!」

 

 

ヒーローシューターで撃って撃って撃って。

銃口ギリギリスレスレのタイミングでそれはダブルの元へ跳ね返っていく。

 

 

「甘い!」

 

 

跳ね返った鉄塊の上にクラウドは乗っていた。

合体剣と鍔迫り合いを続けるその赤い紋様の入った大剣が、ティーダの父のものであることをクラウドは知っていた。人の力や武器を操る敵であると先に聞いていたため、今更驚きはしない。先の武器や足場にした拳もそうなのだろう。

 

 

『……数が……! 群がることしかできないのか!』

 

「友達いないからって嫉妬するな!」

 

 

飛翔の奇跡を纏い、同じ上空へ飛び上がるピット。パルテナの神弓による射撃、それを妨げたのは敬愛する主と同じ力。反射板の奇跡。

しかし、それはピットに届かない。反射したはずの矢に対して向かい風になるように、強風が吹いたのだ。

 

 

「こんな使い方できるなんて思ってなかったよ……!」

 

「まあ、いつもの大乱闘以上のなんでもありだし。ぼくもこの剣に見合った活躍をしないと()()()()()に顔向けできないし。ちょっとだけ、本気だすか……!」

 

 

タクトを繰り、風を操る勇者。

パラセールでダブルの背後に回ったリンクが矢を射った。ピットに連れられて上昇していたのだ。

 

2つの射線に挟まれたダブル。

そしてその真下には凄まじい跳躍を見せるこどもリンクの姿があった。体に合わない長さのはずのマスターソードをなんの違和感もなく操る姿。僅かに残っていた元のボディの面影、ローブの裾を斬る。

 

 

『空中は逆に悪手か……!』

 

 

ブラピの狙杖による射撃を右に左にとかわしながら、自らの選択が誤りであったことを実感する。

 

空中へ対応できる者はそう多くはいないと踏んだための選択だが、真下も含めて警戒しなければならない手だったのだ。

 

 

ならば、と地上付近まで下降し、全員を相手にするしかない。右から回り込もうとしてくるソニック。そうはたまるかと前方を警戒したままにスライドして後ろへ動く。

速度は互角。ソニックの力も使えるのだからそれは当然のこと。しかし、接近せねば攻撃できない本人ではないのだ。

 

 

「うおっ……!?」

 

「うぐっ!?」

「あぶねっ!?」

 

『サイコキネシスか……!』

 

 

ポケモン由来の念動力。

ソニックを浮かせてネスにぶつけ、それをケンが受け止めた。

全てのポケモンの遺伝子を持つとされるミュウを、存在の祖とするミュウツーには簡単にわかった。

 

 

『……!』

 

「ぐっうっ……!!」

 

 

腕部の上下を回転させ、球状の先を拳に見立てて、カズヤと力比べ。単純な正拳突きのぶつかり合いだったが、デビル因子を用いてもなおシンプルな腕力の差。

人というか、生命が出す範囲を超えているほどのパワーに、流石のカズヤも苦悶の声が漏れ出た。

 

 

「はああ!」

 

『……ッ!』

 

「消えっ……! イレブン!」

 

「……うッ!」

 

 

そこをロイが叩こうとするも、ダブルの姿が消える。辺りを探したベレトが、先程の場所とは全く別の場所にいたイレブンの背後に見た。

何も()い空()から()時的に現れた()き。

 

盾で防ぎはしたものの、踏ん張れていなかったので大きく体勢を崩した。

 

 

『……オルフェウスよ』

 

「ペルソナ!?」

 

 

竪琴を奏でる、愛を失いし幽玄の奏者。

そして、とある客人の、ワイルドカードのひとつの側面。

ペルソナの力も加えた突撃を体全体で受けて倒れる。庇うように間に入ったジョーカーのアルセーヌと相対する際には、別のペルソナに変わっていた。

 

 

『イザナギよ!』

 

「アルセーヌッ!!」

 

 

電撃の術が降り注ぎ、一瞬だけ完全に視界が潰れる。視界が回復すると目の前にダブルはいず、離れた場所で自身の防御力を上げていた。

 

 

「もーう! マスターハンドもルネって子も散々言ってる割に強いじゃんかー!」

 

 

マリオがぼやく。

確かに2人は過剰にこちらを信頼しているようだが、現実はそれほど圧倒的に戦えていない。

 

仕方がない。

 

今のダブルは、

最速のハリネズミのスピードを持ち、

大陸引き神話の巨人のパワーと、

鉄巨神の装甲すら切断する鋭さと、

奇跡を自在に扱うテクニックと、

オクタリアンの将軍と同じ技術力を操り、

造られしもののような異質な力も使え、

ワイルド達がそうであるように、あまりにも多くの力を使いこなしていた。

 

「最初の連携はそこそこ上手くいったが、なんというか決めれねえな。おいルフレ! 指示統一しろ!」

 

「もう、人の考えも知らずに……って」

 

 

それでもまだ、ああでもないこうでもないと奴を倒す策を考えていたルフレだが、ダブルが自身の体から金色の液体を出して形作っているものに気づく。

 

 

「って、またボディ……!」

 

「そろそろあきろー!!」

 

 

むらびとのブーイング。

しかし、当然ボディは止まらず、近くのスマッシュブラザーズから戦闘を開始する。

 

 

「ルフレ、何か考えはあるか?」

 

「……ごめん、もう少しだけ時間を……」

 

 

策を練る暇は、実行する猶予は、そもそも方法は。

 

思慮を巡らせるルフレの頭だけに、直接声は響いた。

 

 

──『さて、本当に倒す手段があるというなら、僕は是非ともそっちを実行してもらいたいね。何も考えないなら……それらしく隙でもつくったら?』

 

 

それは、マスターハンドと直接手を結んでいた、謎の少年の声である。

 





◯タイトル
新光神話パルテナの鏡のラスト25章の章タイトル。
この章、真三種の神器装備固定である。
三界を股にかけた戦いがついに終わる……


◯ダブル
前周ではセルフ縛りをしてましたが、今回はそれをする余裕もなし。
完全に明言されている中でも、ティーダの父の剣を振り回してたりと色んな力を使いたい放題。
「あ、これこのキャラでしょー!」みたいな楽しみ方も面白いかと思われます。


◯作者の気まぐれコメント
スロッシャー愛好家として、
鬼忙しくても、最強スロッシャー決定戦はスルーできませんでした。
ねむい。あとがきでてをぬくすたいる。
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