大乱闘スマッシュブラザーズ Histoire Artificielle   作:蘭沙

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135話 命の灯火

 

『ガッ……!! グゲェ……!』

 

 

グラップリングビームで縛られたままのダブル。

今までの戦いでの消耗だけではない。

圧倒的だとすら思った戦況が、すべてにいいように弄ばれている。

数で勝ろうと、雁字搦めの策を講じようと、圧倒的な規模の攻撃をしようと。

 

 

必ずスマッシュブラザーズはそれを上回ってくる。

 

 

認められなかった。

結局は何にもなれない、と、知らしめるように。

 

世界が、舞台が、物語が、

 

ひたすら自分だけを弾いてくる。

 

誰にも、認められない自己を。

 

 

『……ッ!?』

 

 

眼前に迫る、自分自身の、幕引きの。

 

カウントダウンが始まったのだ。

 

 

 

 

 

すべてを諦めぬ朽葉の心よ──

 

すべてを見通す紫苑の圧よ──

 

すべてを引きつける石竹の魅惑よ──

 

すべてを焼きつくす紅蓮の猛火よ──

 

すべてを押し流す縹の激流よ──

 

すべてを覆い尽くす常磐の新緑よ──

 

すべてをたぎらす山吹の避雷針よ──

 

 

「今、撃つ。一斉に……!!」

 

 

スマッシュブラザーズ、全てのポケモンか並び立つ。

原点にして頂点。

先頭に立つレッドの指示が、向ける先は──!

 

 

「はどうだん、サイコキネシス、マジカルシャイン! ブラストバーン、ハイドロカノン、ハードプラント、ボルテッカー!」

 

 

夢と冒険とポケットモンスターの世界へ!

 

透明よりも綺麗なあの輝きを確かめるために────

 

 

 

『(夢だと……!?)そンナもノを望む余地ハ、我々ニは……!』

 

「望めたはずだよ、自分自身を見つめ直せれば……できることがもっとあったんだよ!!」

 

 

3号のゲソが輝き、震える。彼女が担いだのは緑色のバズーカ。

 

 

「”スーパー”を超えた”ウルトラ”……これが混沌にある世界! ウルトラショットだ!」

 

 

3つの弾の集合弾をぶっ放す。黄色のインクを被ったダブルの背後に忍び寄るベヨネッタ。

 

背中から踵落としをくらい、グラップリングビームが離れていく。そして、召喚した魔人ゴモラがダブルに牙を向け、腕部を食い砕く。

 

 

「ふふ、ごちそうさま」

 

『うグっ……! めちゃくチャだ! バラバラで、醜い蛆ドもが……!!』

 

「それが、僕らだ! クロム、ルキナ!」

 

「おう!」「はい!」

 

 

七色の叫びが、木霊していく。

 

ルキナがダブルに接近して裏剣を振るい、背後からルフレの雷の魔道の援護がかかる。

残った腕を乱暴に振り回してルキナとの距離を離すも、代わりにクロムが横から割って入る。

 

天空で切り上げたダブルの足止めに、炎の魔道が降りかかり、クロムが上から、ルキナが下から体ごとの刺突。ダブルを切り裂き交差する。

 

 

「まだまだこれからなのよ!」

 

「ふふっ、お休みなさい」

 

 

空中でのデイジーとピーチのエスコートダンスでガクリと体勢が崩れる。急激に眠気が襲い、動きが鈍くなる。そしてそこへ右手をかざしながら駆ける2人のハイラルの姫。

 

2つの知恵のトライフォースが重ね合い、邪悪なるものを滅せんと封印の力を強めていく。

 

 

『離れなケレば……!! ッ!?』

 

「「おちろー!!」」

 

 

空中へ逃げたダブルの真上に氷山の頂点が振ってくる。手をつないだアイスクライマーの2人、登るどころか刺し落としてきた。

 

 

「はああ!」

 

 

見えなくなるまで押しつぶされた後、クラウドが氷山ごと縦一閃に両断する。

 

距離を離さず、一振り二振りと振るわれる剣をかわし、目の前で爆弾を取り出し、相手に起爆させる。しかし、その爆風からセフィロスが急速に飛行してくる。防ごうとするが、腕ごと斬られる予感を感じて咄嗟に回避へ動く。すっとローブの裾をだけを犠牲にした。

 

 

『訳がわからン……!!』

 

「だろうな、理解がおよばないことは互いに往々にしてあるものだ」

 

 

縦半分にも斬り捨て、流れるように空中を動き、距離を取りながらも数瞬の内に元の姿となる。

そこへ落ちてくる巨大な隕石の黒魔法。互いに背中を向ける2人の背後で周囲ごとまとめて炎上する。

 

 

「オラァ! 行ってこい、ミドリィ!」

 

「酷い!?」

 

 

デデデのハンマーによってダブルの認識範囲からぶっ飛ばされたルイージ。反射的に不平を漏らしつつも、デバフをもたらす特殊な領域を周囲に展開する。

 

頭上に花を咲かせながらも、ゆっくり顔を上げたダブルの正面にルイージが踊る姿。

 

 

『ネガティブゾーン……!』

 

 

腕を振り下ろして破晄撃を振りかざそうとするダブルの周囲に更に隕石、否流星が降り注ぐ。

 

 

「PKスターストーム! 大王さま!」

 

「わかっておるわい! ギャラクティックホームラン!!」

 

『体が上手ク動かなっ……!!』

 

 

体の動きを鈍くする領域の外から、打った流星が直撃していく。

 

 

「更に大サービスだ!! おまえら、行けー!!」

 

 

その上で呼び出したワドルディ、ワドルドゥ、ゴルドーの軍団がダブルへ襲いかかる。巻き込まれそうなルイージが慌てて飛び退く中、数で押されっぱなしになるほどに疲弊していく。

 

 

「……いきます」

 

「おうっ!!」

 

「よっしゃっ!」

 

 

ロゼッタとチコの呼び寄せた2つのグランドスター。

クッパが、クッパJr.のクラウンがグランドスターを取り込み、巨大な姿へと変化していく。

 

パンチとのしかかり、2つの攻撃を残った腕だけで直撃だけは回避する。が、大きく大きくぶっ飛ばされた先に。

 

 

「「うらああああ!!」」

 

「……!!」

 

 

ギガ・マックのラッシュラッシュアッパーカット。打ち上げたダブルを、ソニックとパックマンの高速のアタック。心なしかソニックのようにパックマンも金色に輝いている。

 

 

『一片の慈悲もない……悪魔ももう少し有情だぞ!!』

 

「なんと呼ばれたっていい! 仲間がいるから戦える!」

 

「過去を捨てることはない。それが時のよすがに導かれた結果ならば……」

 

 

地上から、ギガブレイク。彼の頭の真上からは覇天。

 

因果律予測で回避したのに、時を巻き戻されて当てられた。ダブル自身にも把握できたから余計に腹立たしい。それぞれが邪魔をしないで各攻撃として成立している。

 

 

「悪魔じゃないボク達は無情ということで……遠慮なく、やらせてもらうから!」

 

 

取り囲む砲塔、三機のランドマスター。そしてその上空にはピットの搭乗する真・三種の神器(完全フォーム)。

 

 

「自分で参加しておいてなんだこりゃ……」

 

『バッカじゃねえの!?』

 

「おっと、なんでもありの大乱闘に付き合ってもらうぜ!!」

 

「この状況から一刻も早く抜け出してェ……さっさと潰れろ!」

 

 

紋章の力によって正気を失った魔獣や、影蟲を生みだしてデュオンやガレオムを量産した挙げ句に、本来の火力のセイクリッドアローが降り注いで、もういよいよ規模が等身大のそれとはかけ離れていく。

4機は主に、それらの足止めに向かっていった。

 

 

「さて、3人のアームキャノンにかけたのはチャージの奇跡です。効力は……説明しなくてもわかりますよね?」

 

「わっかりやすいよ、人間ミサイル、とかよりはな」

 

「ありがとうございます♪ では……」

 

「撃つぞ、」

 

 

短く言い切ったサムスの合図で、ゼロレーザー、フェイゾンレーザーがフルスロットルでぶっ放される。

あたりのモンスターや機体を殲滅していく中、ダブルの周囲が海のように青の水で満たされていく。砂浜が足下に広がり、四角の幹の木々や家などの建造物ができていく。

 

 

「あつまれー!! 一夜城ならぬ一夜リゾート!!」

 

「おおー!」

 

 

カムイが竜脈で、海と島の全体を呼び出し、高速でむらびととしずえが建造物を、スティーブが木や花を造ったのだ。そして理解が追いつかないダブルごと爆発四散する。

 

 

「ええー!?」

 

「…………」

 

「スティーブ! せっかくつくったのに爆発……」

 

「…………」

 

「言って、なにか!!」

 

『とことん馬鹿にしやがって!!』

 

 

シールドで守り切ったファイター達とは裏腹に、爆発をモロにくらったダブル。白いボディに目立つすす汚れ。

 

 

『この世界をしっかりと見ていなかったのカ?』

 

「上辺だけで知った気になっているから、今こうなっているんだ!」

 

 

誘導ロボビームと単独のロックマンスペシャルが合わさり、ダブルの足先を焼き切った。

 

挟み込むように横に回るMiiブロウにWii Fit トレーナー。ブロウを肘を入れ、Wii Fit トレーナーが腕で脚を払いジャンプで位置を交代し、拳の脚の乱打乱打。

 

 

「爆ぜ爆ぜろォ!」

 

 

最後の一発で吹き飛ばし、背後からソードも合流し、トレーニングのシルエットとソードの生みだした衝撃波がカラフルに襲いかかる。

 

 

「からふるデ綺麗ダナ、鮮ヤカナノハおまえラモオンナジダガナ」

 

「フン?」

 

「借リルゾ、ぴくみん」

 

「彼らがいいならもちろん構わないが」

 

 

植木鉢にそれぞれの色のピクミンを乗せると、根元の双葉で飛んでいき、いつぞやのボスパックンに姿を変えた。ダブルの体に振り下ろした檻の中から、明らかに乗せた以上のピクミンがわらわらと叩いていく。

 

 

『花ぁ……!』

 

「苦痛ニ歪ム表情ガ見エナイノハ残念ダナァ? ホラ、出テコイ!」

 

「オーン」「オーン」「オーン」

「オーン」「オーン」

「オーン」「オーン」

「オーン」「オーン」

 

「なぜ檻で増え……というか見たことがないピクミンがいるんだが!?」

 

 

赤、黄、青、紫、白、岩、羽、氷、ヒカリ。

 

個性がいろいろなピクミン達がわらわらとダブルを叩き、なぜか氷漬けに。あからさまな隙に、オリマーは周囲のピクミンを集合させ、バクダン岩を投げさせる。動揺しつつも動き、指示をだすことはできた。

 

爆散して破片のようにダブルが集まってなんとか元の形を取り戻す。が、ヒビは入ったままで、ダメージは酷く動きは鈍い。

 

 

「ガッハッハー! いいところは俺様がいただいてくぜ!!」

 

『……!!』

 

 

が、ワリオバイクがダブルを轢き、再びバラバラに。

離れたところで元の姿に戻っていく。失っていた片腕も元に戻った。少なくとも表面状は。

 

ニンニクを喰らい、ワリオマンに変身したワリオと怒濤の格闘戦。高く、更に高くの空中での演舞。しかし、彼の後ろにリュカがテレポートをしたことで中断される。

 

 

「ちょっとすみません」

 

「おまえ、何を……!!」

 

『何……!?』

 

 

ワリオを無理矢理ちゃぶ台にのせ、走り去る。追おうとしたダブルを止めたのはこちらへ飛びかかる、巨大な鉄くず。ランドマスターのために呼び寄せたガレオムだった。

 

 

『……ガレオム……? ……!! 亜空間爆弾が起動しているだと!?』

 

 

奴を追い詰めて、頭の上の爆弾起動させたうえで、こちらにPKサンダーで力任せに動かしたのだ。

 

起動し、周囲をブラックホールのような空間、亜空間へと変えていく。

 

 

「やった!?」

 

「お前……えげつねえぞ……」

 

 

思わずドン引きのワリオ。そういう彼もフィギュア化中だが、亜空間に飲み込まれた経験ありである。

 

様子をうかがっていると、まるで時を巻き戻したかのように亜空間が収束していく。

 

 

『好き放題しやがって……! そんなに死にたいなら……!』

 

「本気だすのが遅すぎんだろがいッ!!」

 

 

古代兵装の弓矢の鋭い一矢。更に、マスターソードの一突き。体にそれを残したまま、リンクだけが落下していった。彼の肩を踏み台にこどもリンクとトゥーンリンクが一刺し。更に再びリンクが跳躍し、刺されたままのマスターソードを更に深くへ突き刺していく。勇者の魂に反応しているのか、マスターソードが水色の光で輝いている。

 

 

「戻らないんだよ、時間は、絶対に」

 

「だから未来に夢を見る!」

 

『しつこい!!』

 

 

ぶおんと白い羽のような物体が集まって槌のような物体を形作っていく。

大半のファイターにはわかった。あれはキーラの攻撃だ。

 

 

「どーん!!」

 

『平面人間!?』

 

 

オクトパスの姿となったMr.ゲーム&ウォッチがダブルを掴んで引っ張っていく。ハンマーは空振った。

 

 

『……まあ、いいよ』

 

 

遠くへ離れていくダブルの背中には、実体のない濁った金色の翼が現出された。まるで蝶のような。

 

 

「あの羽根は……! タブー!?」

 

「ってことは、やべえ!!」

 

 

あの時の。

強制的にフィギュアへと追いやるあの衝撃波。

 

わからぬ者達も、ソニックが顔色を変えて駆け出す様子に焦りが伝搬した。

 

 

「オレがなんとかする!」

 

「ソラ!」

 

 

ジャンプで跳び上がったソラ。

 

勝算はない。でも、動かずにはいられなかった。やけくそだったことも認める。自暴自棄だったことは否定しない。

 

キーブレードを振り下ろそうとした時、心の中に、懐かしい暖かさを感じた。

 

 

──『どうした? もう終わりか?』

 

 

「えっ……!?」

 





◯タイトル
説明不要のオープニングテーマ。
アニカビのOPと同じ方が歌ってるなんて噂もありましたが、全然そんなことはなかった。
Xのオープニングと同じく、スマブラらしい歌で大好き。
灯火の星初報の鳥肌は今でも忘れられません。


◯本作限定最後の切り札
別名:集団いじめ。
あまりのなんでもありっぷりにダブルさん、途中から正気になってます。
ちなみにピットとリュカは自分でもひでぇと思いました。サーセン。

簡潔に説明↓(本家と対して違いがなければ省きます)
ポケモン陣営:漫画ポケスペ、エメラルドの章であのカイオーガを倒したとどめ。漫画では御三家+ピカピカピチューだけ。
3号:そのまま。3のスペシャルウルトラショット。違法改造ガチホコの案もあった。
覚醒陣営:PXZ2の必殺技イメージ。ただ花嫁も槍もなければ、ルフレが追加されているので大胆にアレンジが入っています。
ピーチデイジー:切り札の同時発動。エスコートダンスとしていますが、どちらが男性役かはご想像におまかせ。
ゼルダシーク:上に同じく。うちのシークはトワプリゼルダなので勿論知恵のトライフォースをお持ちです。
FF7:氷山を叩き斬るのはDFFNTの戦闘ムービーにこんなんあったなとやってます。互いに背中を向けてる背景でメテオはリメイクで印象に残ったシーンを再現。
デデデ:亜空の使者で繋がりあった2人との協力技。ギャラクティックホームランはスタアラのミニゲームから。メタナイトとの合体技は前作でやってしまったのだ……
マリギャラ:ギャラクシーのステージボスの大半は、グランドスターを使ってクッパが巨大化するか、ジュニアがロボットで応戦するか。
パックマン:「パックマンも何故か負けじとスピードアップ!」by.Mr.S
悪魔コンビ:悪魔の子と灰色の悪魔。
ピット:ラスボス固定神器、天界漫才でも反則とすら言われていた。
パルテナ:チャージの奇跡。最後の一撃を援助した奇跡。
カムイ:竜脈での地形変化。海を干上がらせたりはしない。
ぶつ森+マイクラ:あつまれの舞台を作ってもらった。名付けて夢のアイランド。マイクラユーザーの中には島作ってる人も確実にいるでしょう。
WiiMiiコンビ:特に元ネタはないが、強いて言えば、ブロウとフィットレのコンビ攻撃は、テイルズアライズのロウとティアハリムのブーストアタックをイメージ。
植物コンビ:ここで新種ピクミン。なぜ檻から増えたのかって? ノリと勢いを養分にしたのでしょう。


◯作者の気まぐれコメント
前回、次話でトドメと言ったな?
アレは嘘だ。

ファイター全員分のトドメを一話とか無理に決まってんだろ、ビックランできてないんだぞ!!
なにほざいてんだ先週の私はァ!!
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