大乱闘スマッシュブラザーズ Histoire Artificielle   作:蘭沙

156 / 157
136話 ULTIMATE SPECIAL

 

振り下ろそうとしたキーブレードが、唐突に消える。

いや、唐突ではなかったのかもしれない。ソラの顔に焦った様子はなかったからだ。

 

頭の上に上がっていた両手が、右手だけを下ろしていく。振り下ろすために僅かに曲げていた左腕がまっすぐに。

 

魔獣にのしかかりながら、ランドマスターの機内でファルコは見た。

 

 

金色と、黒や水色で輝く2本の剣が1本に合体する。その片方を操るソラの隣に、黒い服の青年が幻のように半透明の姿で存在していたのだ。

 

 

「誰だありゃあ……?」

 

 

知らない、見たことのない者。そもそも半透明である上に、今ここにはスマッシュブラザーズ以外には敵しかいないはず。

 

 

「『はあああっ!!」』

 

 

何も持っていない手に付随するように、ダイナミックに体ごと動き、周囲もまとめて切り刻んでいく。タブーのような羽根をガラスを割るようにバラバラに刻んでいく。

 

そして最後に頭上から真下へ一振り。

 

 

ダブルを通り過ぎてソラが着地すると、剣も幻も見えなくなって消えていく。即座に血相を変えて振り向いた。そこには何もない。誰もいない。

 

 

「リク……!?」

 

 

戦闘での喧噪が、刹那静寂となっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「オラアアアッ!!」

 

 

周囲一帯を焼き尽くし、焦土と化すほどの炎をばらまく。時には勢いのある炎弾をまき散らし、ダブルを吹き飛ばす。狡猾の死神は周囲の被害も辞さない。

 

 

『OFF波動が……!』

 

「これで決める……!」

 

 

周囲一帯が炎に包まれる中、リドリーの炎を受けた封印の剣が必殺の一撃を繰り出す。

 

味方すら軽く巻き込む地獄のような焔の中、大胆にも中心のダブルに対し、飛び込んで一撃を食らわせたのだ。

 

 

「へえ~? なっかなか度胸あんな~?」

 

「それほどでも。まだ終わりじゃないよ」

 

 

近い距離のリドリー。鋭い爪がちょっと大きく動かすと首を斬るレベルの位置に手があるが、肝の据わったロイに一切の恐れはない。

このタイミングで寝返るようなことはしないという確信か、それでも対処は可能という自信のあらわれか。

 

 

「もう同じ範囲で波動を放つことはできないだろう。だが、」

 

『戦闘で効果的程度の攻撃範囲は保っている!』

 

 

タブーの時も同じ。一度ソニックによって背の羽根を壊した後でも、戦闘に使えるほどの威力は保っていた。同じように機を見極めて使用するつもりであろう。

 

 

『すべてが斃れるまで、何度でも……!』

 

「そんなチャンスを何度でも許すと思うのかしら!!」

 

「この世界は君のものじゃないんだよ!!」

 

 

ダブルの周囲をカラフルなジンジョーが飛び交い、地上では多数のガンマンに囲まれている。

 

 

「イッシッシッシッシ」

 

「ウホッ! 撃たせない!」

 

『言ってろ、獣ども!!』

 

 

ドンキーコングの最後のきりふだのファーストストライク、そのジャイアントスイングをかわし、まるでなにかのジェット機のような速度でジンジョーを振り切り、ガンマン地帯を抜け出した。が、

 

 

「ウッキー!」

 

『追ってくるか!』

 

 

スマッシュボールの力を受けたバレルジェットで追いかけてくるディディーコング。ピーナッツ・ポップガンを撃ちながら急速に追い上げる彼にクイックボムを辺りにまき散らす。それを避け、背のバレルジェットを切り離す。

 

 

『ガフッ!?』

 

「ガァッハッハッハー!! ここでトドメだ!」

 

 

地面からブラストマティック砲が生えてきて、ダブルの胴体から中心に、全身を焼き尽くした。

 

すべてを焼いたはずのダブルだが、それでも首より上だけで存在していた。

 

 

「ウッソだろ、まだ生きてんのか!?」

 

『生きる……それが、我々だけの……!』

 

 

黒い霧のようなもの、もといマスターコアが周囲にまとっていたスウォームがダブルの頭部へ集まっていく。見えなくなるほど集まると姿形がそのままに巨大な姿となった。

 

 

『グル……グウオ……!』

 

「でっかいものには……でっかいもので対抗だな!!」

 

「んぷぅー!!」

 

 

キャプテン・ファルコンが搭乗席ではなく、ブルーファルコンの上に立っている。

 

まだそれはいいのだが、そのブルーファルコンの上半分にピンク色のなにかが被さっている。なにかと思ったが、尾翼の方に機体と比較して小さな赤い足がくっついているのに気づいた。

 

 

「え……カービィ?」

 

ふうく(しゅるく)ー!」

 

 

なんとカービィがブルーファルコンをほおばる形で覆い被さっていた。

 

ダブルに突撃して、爆散していく。カービィが降り立った周囲、他の場所にも先ほどのサイズでのダブルの分身が現われた。

 

 

「幻……今更だな」

 

「こいつ、ぶつけてやろうぜ!!」

 

 

その意思なき幻が近くの誰かに襲いかかる。

 

しかし、それは一部。大半の幻は小さいながらもタブーの羽根と同じものを宿していた。

 

 

「って、戸惑ってちゃいけねえタイプだな!! Over heat!Here's the big one!Buster Wolf!さあ、ぶっ飛べ!」

 

トリプルウルフで近くの幻を別の幻にぶつける。双方ともに消滅していく。

幸いにも、耐久はそこまでのようだ。

 

 

「なら、みんなまとめてぶっ潰してやるネ!」

 

 

両方の腕をメガボルトにすると、防御を無視して暴れて回る。

 

 

「力、貸してくれ!」

 

「ああ!」

 

「疾風迅雷脚!!」「真!昇竜拳!」

 

 

殴り、蹴り飛ばした偶像をダブルにぶつける。その側で、デビル化したカズヤが味方も巻き込むファイナルブラスターを撃つ。

 

 

「フンッ」

 

「もっと素直に手を貸したらいいのにネ」

 

 

ため息をついたミェンミェンの側を二人の剣士が駆けていく。

 

 

「メタナイト!」

 

「頼む!」

 

「ダブル」

 

『オ、オオォ……?』

 

「見るがいい……見られるものならばな」

 

『……!』

 

 

メタナイト始動のナイトメアダークネスが、ダブルの視界を奪っていく。

 

一面闇のなか、突きの一撃と、縦の二撃がくらう。走り込んできたマルスとアイクだ。

 

 

『フキトバ……!』

 

「せるか?」

 

 

重い斜めの一撃。魔獣ガノンとなったガノンドロフは巨大化したダブルとも余裕で張り合える。

 

 

「つかまえたー!」

 

『!』

 

 

Mr.ゲーム&ウォッチがオクトパスの姿でダブルの動きを封じ、巨大な棺桶の中に閉じ込める。

 

 

「「グランドクロス!!」」

 

 

その棺桶へ浴びせる十字架の光。

 

 

「こっちか!!」

 

『ガッ!?』

 

 

光の戦車に乗り込んだブラックピットがダブルの胸部中央に穴を開ける。グランドクロスを目印にして光速で貫いた。そこへ追撃のようにヘリコプターからの爆撃が降り注ぐ。

 

 

「ジョーカー!」

 

「わかっている……! サタナエルッ!」

 

 

仮面を剥がしたその姿は大衆の叛逆の意思をあらわした姿。神をも下す悪魔の王。

敵のすべてを滅ぼす呪怨の術。スマッシュブラザーズの、意思。

 

 

「僕達は、僕達だけの未来を生きる。僕達が決めた未来を……!」

 

「つないでいく。私達と、私達がえらんだ誰かが、新たなる未来を……!」

 

「だから!! あんたの出番はない!」

 

 

光と焔の一撃が交差し、モナドが突き刺さる。3種の光がその闇を払っていく。

 

 

『生キテ……我々ハ……我々ノ未来ハ……』

 

「マリオさん! 乗って!」

 

「うん!」

 

『マリオ、これを──!』

 

 

スーパードラゴンとなり、翼の生えたヨッシーに乗ったマリオにマスターハンドの声が届く。

 

彼に届いたのは簡素ながらも、近未来の銃。スピリットを切り離すための光線銃。

 

 

「自分が欲しいって気持ちがあるなら、誰かから奪わなくてもいいんじゃないのかな」

 

 

ダブルの顔と同じ高さになる高度まで飛び上がったマリオは思ったことだけを込めて口を開いた。

 

 

「きっと()はここにはいないよ。ボクはずっとボクだしね。これからもずっと」

 

 

「だから、君は、君のいた場所で君だけの物語を探すんだ」

 

『我々ハ……誰ナンダ……』

 

 

静かに、構えたスピリッツガンを撃った。

 

 

 

 

 

 

まったく。

うらやましい限りだよ。

マリオ直々の激励だなんてさ。

 

スピリッツガンでの最後か。

ボディを離れて元の世界に戻れと。そうして自分を生きろと。

 

それが、この、僕が造った「人工の物語(Histoire Artificielle)」の、幕引きか。

……そんなに、悪くはなかったな。

 





◯タイトル
コレこそ説明いる?
日本版と海外版タイトルで悩みましたが、もうどっちもにしました。


◯最後のきりふだラッシュ
ソラ:ミラージュスプリット。KH3Dにおける最終ワールドのリアリティシフト。リクと一緒に合体キーブレードを振り回す、3でも使ったアレ。ソラ主導とリク主導で名前が違うのだが、こっちはリク主導の方。
名前的にはこっちの方が合ってるかなって。
ちなみにこのリクなに?って思うかもしれませんが、本人ではないです。原理的にはMoMでカイリを助けたソラと同じ。ソラの中のリクです。
ロイとリドリー:人と竜なのでこっち。まあリドリーと仲良くしたいかと言われたら嫌だけど。
ダックハント:インクリングがまだ出番があったらZAP繋がりでなにかできたかもしれない。
カービィ:ブルーファルコンほおばり。いわゆるほおばりヘンケイ。
リュウケン:それこそ覚醒組みたいにPXZから取れればよかったんですけど、完全に知識が足りてなかった。なんなら本編でも探せば良さそうな合体技ありそうだし。ホラゲーの次に苦手だから……1番悔いが残ります。
プラピ:光の戦車。ピットからのお下がり……というか本編後は自然軍に取られてるし、なんなら本編からしてピットより使ってるので違和感なかった。
ジョーカー:今回はサタナエル。いわゆるラスボス戦のペルソナ。へ?三学期?聞こえない聞こえない。
ゼノブレイド:Xの字の攻撃。なんだけど3人だったのでシュルクは突き攻撃になりました。チェインアタックでもよかったけど、小説でやったら掛け声だけやって連続攻撃してるようになる未来視見えたので。

マリオ:実質トドメ役となった。実はトドメですが、最後までかなり悩んでました。パワーでぶちのめすのもいいし、Xのフィギュアプレートで永遠にフィギュアに……みたいなことも考えましたが、明確な救いを与えるほど悲劇じゃないが、救いなしであるほど生粋ではない。
という微妙な立ち位置だったので、救いを得られるかどうかは本人次第、という終焉となりました。


◯作者の気まぐれコメント
ドーモ、メビウスのアールです。
(テンタクルズ推しなので現在派です)
(本家のメビウスアールって誰だっけ)
(君はなぜその選択をしたんだ!)
(おくれよ)
(はじまりなんだよおぉ!)
(あとはあなた達が歩いてくれる)
(僕が往くのはこの道だ)
(人の命を弄ぶなぁあ!)

上のやつ、ナニコレ。
知らん。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。