大乱闘スマッシュブラザーズ Histoire Artificielle 作:蘭沙
17話 扉を開こう
タンスの中に都合よくお金や装備があったり。
ちょうどあったからそれを持っていく。
中にはそれを咎めたり誰かに止められたり。
何かに対する風刺すらもこの一言に直結するのさ。ご都合主義ってね。
ちょっと強すぎるから、相性の悪い相手と対戦させよう。
ここは実力を無視して接戦を演じてほしいから負けられない理由をつくろう。
一方的になった後に逆転して欲しいから人質をとられていたことにしよう。
偶然破片がお目々に当たって視界が潰れて負けてしまった!
偶然審判が他所向いてたから反則行為をされて不利になった!
偶然耐えれるはずだった攻撃が急所に当たって死んでしまった!
先に二を置きたいから一に一を足すような感じだね。
同じ条件を揃えれば何度繰り返したところで同じ結果になる。
爆発した激しい感情すらも何かの伏線に過ぎない…
それなら全ての過程を分析すれば結果だって読める筈。
まさか、1+1の答えを2以外と読む人はいないだろう?
「ん?」
シュルクは武器を整備をしていた手を止め、窓の外を見る。薄暗いと思っていたら、空に分厚い雲ができていた。ひと雨、降るのかもしれない。灰色の空だった。机の上に置いてある卓上ライトの光をつける。
「雨が降るかも。今日は泊まっていく? カー…」
ここまで言いかけて、ため息をつく。そうだ、カービィは自分の世界に戻っているのだ。ここ最近、いるのが当たり前になっていた。
「大丈夫… だよね」
何が起こる訳でもないはず。ただ行って戻ってくるだけなのだ。なのにどうしてだろう。この曇り空のような不安が拭えない。
気持ちを気の所為だということにして、机に向かう。巨神と機神の戦いは終わった。人は自分の力で歩いていかないといけない。魔物がいるなら、他でもない自分達が倒さなければ。だから武具の研究は変なことじゃない。おかしなことではない。たとえ根拠のない不安を無視してでも…
「はあ…」
卓上ライトをオフにして立ち上がり、大乱闘で使うモナドを背負う。ハイエンターのあれこれに使用した新たな武器は持ってはいるが、この世界では使用していない。ちょっと見てくるだけだ。これだけで充分。扉に向かうと、自動ドアが先に開いた。そんなに近くに寄ってはない。
「誰かいるかー!!」
「うわっ!? ソニック!?」
ドアが開いてソニックが飛び込んでくる。勢いのままに机に乗ってめちゃくちゃになった。帰ったらお掃除の刑だ。
「シュルク! あちこち走り回って3秒、ようやく誰か見つけたぜ!」
「(時間経ってないように見えるけど、ソニックが走り回ってるんだよね。人、いるんだかいないんだかわかんない!?)」
「聞いてくれよ! 崖の近くでさ、おかしなgateがあってさ、そこ覗いてみたら大雨だったんだぜ!!」
つまり、崖近くにどこかに繋がるゲートがあり、その向こう側だけでは大雨が降っていたと。
「そのゲート、どこに繋がってるの?」
「I don't know! だけど、洪水起きてるぐらい酷かったぜ。」
この世界のどこかに繋がっているのだろうか。だとしたらどこかで大雨が降っていることになる。ならば、この場所でも降るかもしれない。非常用品の確認をするべきかとぼんやりと考えていると。
「そういえばメタナイトの仮面みたいな戦艦が飛んでたぜ? すっげーダサかったぞ!」
「えっ!?」
背筋が、凍る。
抱えていた根拠のない不安は一気に爆発した。
「それって… ハルバードじゃないの? ってことは… ゲートの先って…」
「ん? あー、そういえばそう見えたな」
ステージの舞台にもなっている、メタナイトの保有する戦艦。それがこの世界以外であるとするならば… そこはプププランド。カービィの故郷だ。答える間もなく走り出した。
「っておい!? そこがプププランドって決まった訳じゃ… くそっ!」
ソニックも遅れて走り出す。
「オイオイオイ! そこがプププランドだとして、どうしようっていうんだ!?」
「ゲートに、飛び込んで、みる! カービィ達が、きけん、かも、しれない…!! だめ、なことは、わかってるけど…!!!」
遅れたといっても、相手がシュルクならば簡単に追いつける。息を切らしながら全力で走るシュルクに余裕で並走するソニック。友達のためなのだ。
確かにこの世界を通じて、別の世界に行くのは禁じられている。それは世界の文化や秩序を乱しかねないことだから。基本的に規則のような自由を縛ることを嫌うソニックだが、理由は理解できるので守っていた。禁忌だ。でも、友達や仲間が危険だというならば、律儀に守ってやる道理はない!
「OK! ついてきなシュルク! お前にも追えるように、とびきり遅く走ってやるぜ!」
「あり、がとう!」
捉え方を間違えれば嫌味にも聞こえる言葉をシュルクはありがたく受け取る。事実ではあったし、カービィ達のことが心配だったから。
「着いたぜ! これがGateだ!」
「これが…」
あの崖、キーラとダーズを倒し、みんなで命の灯火を見たあの場所。確かに何もない場所に、窓ガラスに銃弾を撃ち込んだかのような穴がある。シュルクでも簡単に入れそうな大きさの穴だった。
「いこう!」
二人はゲートを同時に潜り抜ける。しかし、潜ったはずのそこに穴は消えた。地上も消えた。
「「え?」」
間抜けな声を出して、雨の降る速度が遅くなる。それは当然だ。二人は雨と同じように落ちているのだ。踏みしめるはずの地上はなかった。空中にいたのだから。
「「うわああああぁぁ!!」」
ざっぶーん、と大きな水柱が立つ。地面に激突、というパターンは洪水になっていたおかげで助かった。助かったけど。
「あぶぶぶぶぶ…!」
「(ソニック!!)」
ソニックは泳げない。自分より早く沈んでいくような感覚に陥って、シュルクは慌ててソニックの腕を掴んで水をかいた。
「(洪水、なんてわかってたのに、苦手な水がいっぱいだなんて知っていたのに! それでも付き合わせてしまった!! どうにかしなきゃ!)」
少し不恰好になっても、浮力に合わせるように泳ぎ続ける。シュルクだって、特別泳ぎが上手いわけではない。肺に残った残り僅かな空気を使って這い上がろうと、もがくもがく。手を伸ばして、何でもいい。救ってくれる希望の光。
掴み取った。
大きく揺れる小舟に打ち上げられる。実際は這い上がったのだ。何か綺麗に加工された木の棒が差し伸ばされ、それを掴み取った。誰かが引き上げてくれたのだ。
「ゲホッ……! ゴホッ! ガハッ……!」
気管に入ったのか、口から水を吐き出す。苦しくて、無意識のうちに涙目になっていた。
「はあ、はあ、ソニック! 無事!?」
「死ぬかと思った…」
舟の上で大の字で横たわる。もはやしっかり言葉を返す元気もないようだ。
「大丈夫?」
「うん、ありがとう。助かったよ…」
こちらを心配そうに覗き込む救世主。彼に引っ張り上げてもらったのだ。カービィサイズのぬいぐるみのような子。一頭身で、丸くてぱっと見口がないように見えるが、普通に話せる。
「どこかで見覚えがあるような…」
「んー、確かにどっかで見た気がする顔だなー」
シュルクの既視感にソニックが力なく同意する。どこかで見たことがある。だがどうして出てこないのだろう。
「もしかして… 大王さまやカービィの友達?」
「あっ! そうか、大王様に仕えてる子!」
「はい! でも、これつけてきたことなかったかな。ぼく、バンダナワドルディ! よろしくね!」
二人が思い出せなかったのは、記憶の中ではこの青いバンダナをつけていなかったからだ。
先程差し伸ばされたのは、隅に置いてある槍だろう。ザーザーと降る雨の中、この出会いこそが、プププランドに晴天をもたらす最初の光だった。
○章タイトル
星のカービィ初代の海外名。
Incidentは出来事、事件の意味。
○タイトル
キングダムハーツ シリーズで頻繁に登場する。キーブレードが武器だからか、扉というものが結構な頻度で登場する。
Bbsでは
○ソニックの水嫌い
マリオオリンピックの水泳競技ではライフセーバーの着用が義務づけられている。作品によって沈むだけだったりダメージ受けたり苦手の度合いも様々。
○バンダナワドルディ
青いバンダナをつけたワドルディ。
スーパーデラックスのミニゲームから実績を重ね、新作ディスカバリーでも2Pキャラとして登場が決定されており、カービィの相棒ポジを獲得している。グーイ涙目。本作ではスピアとパラソルを両方使います。
で、なんでスマブラ参戦させなかったの?
○カムイからのお願い
「FEHと検索して公式サイトにとんでね! 英雄総選挙でカムイ(男)に入れるんだ! いいね!? ニンテンドーアカウントがあればヒーローズやってなくても投票できるから!!」
「でも中間結果じゃルフレもクロムも自分もなんなら女バージョンも上位に入ってたが一人だけ」
「ベレト、シッ」