大乱闘スマッシュブラザーズ Histoire Artificielle 作:蘭沙
前週、投稿が遅れたので本日は早めの投稿になります。
今作に入ってからは遅刻がはじめてなので語っておきますが、週一投稿は土曜日の午後9時と決めており、1分でも遅れると罰則として次週の投稿が早まります。まあ、作者側の話なので頭に入れる必要もありませんが、そういうことですので。
「うーっ!!! メタナイトはどうなったのだ!! 何も見えんぞ!!」
双眼鏡片手にデデデは焦りを覚えながら行く末を見守る。あの津波は城まで来なかった。力が足りなかったのか、眼中になかったのか。そのどちらかかはわからずとも、ワドルディ達を怯えさせるには十分で、陰で頭を抱えて震えている子もいる。
ハルバードがリヴァイアサン本体に突っ込んで、墜落して、尻尾で真っ二つにされて、水に沈んで。
遠い場所からではそのあたりまでしかわからなかった。再び双眼鏡を覗き込む。ウルフェンは健在だ。メタナイトもいた。あのマッハトルネードは離脱して使ったものなのか。リヴァイアサンの姿は双眼鏡を使うまでもない。他に何かないかと右往左往している時に見つけたのは……
「大変ですよー! 王さまさーん、大変ですー!」
「なんだ!」
無意識に出ていた怒りの声。自身に呼びかけたのは見覚えのないピンク髪の少女だった。確か、メタナイトに託された避難民の中にいたような気がする。探偵服を可愛く着こなすその少女が続けた言葉にデデデはひっくり返ったのだった。
しっかり見届けた。ハルバードが沈んでいく様を。船員達はしっかり逃げ出しただろうか。まさかギリギリまで残っていたりしないだろうか。メタナイトの思考をウルフェンの風切り音で正気に戻す。
『ノロノロしてんじゃねえ。お前が決めたことだろうが!』
すれ違った一瞬で、メタナイトはウルフの意思を受け取った。本当はそんなこと考えていないのかもしれないが、少なくともメタナイトは叱咤されているように感じた。
「(勝たなければ……! 彼らの行いは愚行にしかならないではないか!)」
報いるための戦いだ。
意図がすり替わった。身を挺することを求めたのは他でもない自分だというのに。
覚悟を乗せた刃はリヴァイアサンの、ほんの先であるが…… 確かに尾の先を刈り取っていった。動きに変化はないが、攻撃が通ったのだ。
「続くぞ!」
僅かな時間ではあるが、加速するメタクイック。レーザーを避けて直接頭部へ接近する。素早いメタナイトの動きを捉えきれず、口の前まで来させてしまった。
「十字に斬り刻んでやろ……うッ!?」
そのよく裂く口をさらに裂いてやろうと、頭上から振り下ろそうとした剣と思考は、皮膚で感じる、異様に下がった気温で止まってしまった。
わかった。自分の周り一帯を凍らすつもりなのだろう。文字通りの目と鼻の先。これは避けられない。
しかし、ドカンという大きな音が。
相手が爆破されたのだと、メタナイトは他人事のように感じた。ウルフェンのスマートボムだった。雨が原因で多少威力は落ちているが、攻撃を中断させるには十分だった。
「チッ…… 悩んだツラで戦場に入ってこられるのも迷惑なんだよ。目障りだな……」
ウルフの独り言は、機外のメタナイトに通じない。助けたつもりはない。結果的に助けたことになっただけだ。
「……! はあああ!!」
「グウウウウゥゥ……!」
我に返り、反射的に斬り捨てた。
盾になれと命じたのは誰だ。自分だろう。
見捨てたのは誰だ。自分だろう。
彼らを心配する権利など……!
「メタナイトー!!」
「ッ! シュルク達か!」
ワールドツリーの調査を依頼していたシュルク達だ。何故か金髪頭が一人増えているが、迷い込んだ人だろう。あの小舟でここまでくるなんて苦労しただろうに。
墜落したハルバードの機体に乗っている。おそらく先程の津波のせいだ。そしてその側にいるのは──
小舟は金属の塊の上に乗り上がった。
先程、発生した津波のせいだ。舟が打ちつけられても、深刻な損傷がなかったのは奇跡と言えよう。
「みんな、無事か!?」
「なんとか……」
「たぶん動ける……」
「頭がぐるぐる……」
「流石に死にかけた……」
一番最初に起き上がったアイクが周りを見渡す。シュルク、バンダナワドルディ、ティーダ、ソニック。全員、いる。
ハルバードとウルフェンが、ルネが呼び出したと思われる召喚獣、リヴァイアサンと戦っていたのは驚いたが、その驚きを口にする前に津波に巻き込まれた。
「これ、お城までたどり着けるかな?」
「ついでに巻き込まれるだろうね。
「泳いでいっても同じだろうな〜、どうすんだよこれ〜……」
「無茶でしかねえよ……」
自分達ではあの巨体と戦う術も持たない。何もできない。いっそのこと遠回りで向かうしかないのだろうか。運良くここに辿り着くことができたが、距離を取ることだってリスクが伴う。
「うぅ……」
「……! 何か、聞こえないか?」
一番最初に気付いたのはアイクだった。雨音に隠れて、か細いうめき声が聞こえる。その声に従い、近くにあった扉を剥がした。
「助かった〜……」
「うわああ!? バンダナが増えた!?」
「あ、船員ワドルディだ。ここはハルバードだったんだね」
「Really!? この鉄屑が!?」
大部分が水に沈んでいるから、この場所がハルバードであることはわからなかった。ワドルディというのは種族であることを知らないティーダは思わず驚き、身構えてしまう。先程まで味方そっくりな相手と戦っていたからだ。後のやりとりで敵でないのは理解した。
「い、生きてる……」
「助かっただスよ……」
後から、アックスナイト、メイスナイトといった船員達も降りてくる。
「大丈夫かい? 怪我は?」
「平気だス。こういう時の対策はバッチリだスから」
ハルバードの船員であるメタナイツは、フラフラと調子はよくなさそうだが、深刻な怪我はなかった。
「知らせよう! すぅ…… メタナイトー!!」
「ッ! シュルク達か!」
こちらに気づいた。共に並んで戦った
「君たちは……!」
「メタナイトさまー!! オラ達無事だすー!」
しっかりと頷くと再び戦場へ戻っていく。その背中を見送った。悔しいが自分達の実力では足手纏いになるだけだ。せめて、この戦いの場から離脱することが最善の択だろう。
「ん〜…… 助けたはいいけど、結局ここから抜け出せないのは変わってないよね?」
「乗員が増えたから舟も遅くなるしねー」
「メタナイト達が戦場から離してくくればいいのだが……」
さっき思いついて伝えればよかったのに。完全にミスだった。黙り込んだ沈黙の間に雨と風の音だけが鳴り響く。一番最初に思いついたのは、ソニックだった。
「つまりだ、誘き寄せるべきだったメタナイトとウルフの代わりに囮をやればいいんだろ?」
水が苦手で本領を活かせない中、ようやく見せた、意地の悪そうな笑顔だった。
シュルク達が無事だった。部下達を助けてくれていた。もう十分だ。戦いを邪魔する雑念はもうない。冷えたメタナイトの頭は冷静に情報を吸収していく。
先程からデデデ城からの砲撃がない。あちらで何かあったのだろうか。しかし、他所のことを気にする余裕はない。そちらに向かうであろうシュルク達にまかせよう。
自分がやることはリヴァイアサンの気をこちらに向け、どこか別の場所に誘導することだ。奴がここで暴れ回る限り、部下達の安全は保証できない。
尾によるはたきをウルフェンはローリングでかわす。ウルフと連携できればいいが、性格上期待はできないだろう。自分がなんとかするしかない。局所的な波を右へ左へかわし、敵の目の部分を斬りつけた。すぐさま離脱したメタナイトの方向へ顔を向けるようとする。
「(よし、こっちを見ろ)」
こちらへ動かす頭がやたらと遅く感じる。それを見ながら、その場で羽ばたいて翼の調子を確認する。こちらへ気が向いたらすぐにここを離れられるように。
「うらああああ!!」
「「……!?」」
誘導するつもりだった。だから驚いた。
ウルフも、もちろんメタナイトも驚いた。
叫び声で意思が瞬間途切れた。
リヴァイアサンの頭に叩きつけられたのはソニックだった。丸いスピン状態のまま、青い光を足に纏って。
ただ一つ、失念していたことは。
彼らの諦め度合いを見誤っていたことだろうか。
○タイトル
星のカービィ 64のラスボス戦でポーズを開くと、通常 つづける でなおす と表記されるところを、つづける がんばる と表記されており、ステージを出ることができずどっちを選んでもラスボスが続くことになる。
余談ですが、この章が星のカービィ関係だからといって、タイトルがカービィ関係に偏ってる。作者の怠慢です。
○ピンク髪の探偵服少女
いったい何ーラ・ベルなんだ……?
○ハルバード墜落
最初から墜落させることは決まってました。(無慈悲)
ただ落ち方をどうするべきかはそこそこ悩んだ箇所です。
落としたいからという理由で参戦させておいて、ロボボプラネットみたいな出オチはあんまりなのでカッコよく墜落したという裏話があります。
○ソニック
環境が環境なこともあり、あまり活躍できてなくて鬱憤が溜まっていた模様。
○一ヶ月の間にあったかもしれない小話
「さあ、やってまいりました、第28回女神の気まぐれ杯! 実況は押しつけられた俺ブロウ、解説はソニックでお送りします!」
「……」
「足の速さ故に出禁くらって不貞腐れていますこの解説!! 俺だってやりたくてやってんじゃねえそもそも実況に参加選手の情報すら来てない時点でまともじゃねえぞこの大会! 今回は二人三脚! ルールは省略! はい位置についてよいドン!」
「……」
「さあ、いきなり飛び出たのは主催者の贔屓枠天使組! ボクに合わせろオレに合わせろ言うてますが、速えんだよこの組! 喧嘩しながら結局どっちに合わせてんだこの組! 続いてはプププの食いしん坊コンビ! よく見たらカービィ飛んでんぞゴラァ! これじゃ風船持って走ってるだけじゃねえか如何ですか解説のソニックさん!」
<『へえ〜』
「不貞腐れてるからって音出るボタンでサボってんじゃねえ!? 次に出たのはソードとガンナって知らなかったの俺だけか!? というか二人三脚じゃない、寝てるソードをガンナが足で引き摺ってるだけだぁー!! 目ぇ覚ませや、なんでそれで寝れるんだよ!! そして、お前ら、大変そうだな保護者みたいな目で俺を憐れむなぁ! 続いてはセフィロスシュルクの半裸コンビ! 服装合わせんな見苦しい! 片翼が飛び出してシュルクの顔にべちべちしてる! なんで左右逆にしなかったァァァ!」
<『へえ〜』
「おっと待て! それら全員を圧倒的な速度で抜き去るのはクラウドソラのスクウェア組! トップの天使組を難なく抜き去り… っておまえらグライドでズルすんじゃねえ浮いて二人三脚するんじゃねえ勝てるかんなもんー!! 誰も真面目に走る奴はいなかったパルテナの選抜基準だからか女神爆笑散らかしとるやんけェェェ!! 優勝はスクウェア組! 何故こうなったどうしてこうなった、これで第28回女神の気まぐれ杯を終わりますマリオに胃薬貰ってくる!!」
<『へえ〜』