大乱闘スマッシュブラザーズ Histoire Artificielle   作:蘭沙

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先週予約投稿忘れたのでこの時間です。
というか最近ほんと忙しいので次週から遅れる程度じゃ済まないかもしれません……



28話 砂塵舞う地で

 

 

トドメの昇竜拳が人型ボディの顎を砕き、K.O.を決める。あたりには人とは言えない骸のみが散乱し、一切の声が消えて静まりかえった。

 

 

「はあ〜、なんだったの〜?」

 

「わからない。あの時、キーラもダーズも倒してスピリットも解放されたと思ったが……」

 

「まさか誰か捕まってるの!?」

 

「いや、中身がいるようには感じなかった。スピリットは宿っていない……と思うが」

 

 

リュウの予想が正しければ、器だけのボディを操って襲い掛からせていることになる。一体誰がこんなことを。

 

 

「だが、こんな状況で1人でないのは幸運だった。怪我はないか、ポポ」

 

「うん、大丈夫。ボクもリュウがいてよかった。ところでここ洞窟? 塔の中? なのかな」

 

「戦っている間に先の場所から離れたからな。」

 

 

ポポが参戦してもなお、人数で負けていた2人はやむなく塔内部に逃げ込んだ。そこが一本道であったことが幸いし、追ってきたボディの先頭のみを相手取ることに成功したのだ。

ボディ達に思考というものが存在しないからなのか、策略を練る、裏をかくといったことをしないから成功した即席の作戦だった。

 

 

「ねえ、こんな所あったっけ? ボク達結構いろんな場所に出かけてるけど見たことないんだよね」

 

「ああ、俺もだ。マスターハンドが新たに創った場所か?」

 

 

ひとまずの予想。

確かに大乱闘の世界の支配者はマスターハンドだ。彼が望めば場所の一つや二つぐらい創ることができるだろうが。

しかし、何故か納得できない。この異変に関係があるように思えてならないからだ。

 

 

「そういえば…… ナナはいないのか? はぐれたのか?」

 

 

ポポの表情が凍る。そうだ、先程自分の声を聞いても一瞬誰だかわからなかったのは、いつも追随するナナの声がなかったからなのだ。

知らない。いくら片割れでも、あの異常事態に素早い対応を邪魔する片割れなんか知らない。

収めた怒りが湧き上がり、でもリュウに当たるのは八つ当たりでしかなくて。驚くほど簡単に、口からするりと嘘が出た。それが少しだけ胸に痛かった。

 

 

「ナナは…… 外で休ませてる」

 

「そうか、なら合流だな。案内できるか?」

 

「えっ、あー…… えっとー…… 崖、登らないと上がれないんじゃないかな」

 

 

なんとなく嫌だから。

心が合流できない理由ばかり探している。

 

 

「大丈夫だ。そのぐらいなんともない。引き返してナナと合流しよう」

 

「あ、うん……」

 

 

どうにかならないのだろうか。

どうにかして合流を遅らせる手段は。

 

 

 

─その願いが届いたのか、単純にスマッシュブラザーズの不幸を祈ったからなのか、二人にはわからない。それでも起こったのは変化だった。

 

 

ドシンッ!!

「うわわわ!?」

「なんだ!?」

 

 

引き返そうと日が差し込む場所へ戻ろうとした時だった。

 

二人の行く道を塞ぐかのように天上から何かが降ってきた。それは、謎の存在としか言えないものだった。透明な液体のようにも見えるそれは、粘着性を持った水滴だ。

 

 

「……なんなんだ、これは?」

 

 

思わずそう呟くのも無理はなかった。

それは、見たままに水滴のようだった。

それは、見たままに自然現象のようだった。

 

 

「待って! なんか…… なんかおかしい!?」

 

 

金色に輝くキューブのような物体を見つけた。それは支えもないのに宙に浮いている。

それは動力もないのに回っている。

それは、謎の水滴の中心に存在していた。

 

 

ここにいる誰も思わなかったのだ。

まさかこの液体が、

 

 

「うわっ…… 嘘でしょ……?」

 

「これは……!?」

 

 

執着という名の感情を携えた、現存している生命体だということに。

 

 

「うわああああああああああああ!?」

 

「逃げるぞ!!」

 

 

リュウの警告を聞くまでもなく、ポポは絶叫し駆け出した。その跡を彼も追う。

格闘家の本能が言っているのだ。あれは叩けない。叩いてはいけない。

待機しているはずのナナから離れていると気づいていても、それを考えている余裕はない。自身らの身の安全しか考えられなかった。

 

前方へ走りながら、あの生命の方を見るとキューブがあの液体を纏ってスライムのような形を得ているのに気づいた。そして徐々にこちらへ迫っていることも。さほど速くはないのが救いだった。止まらず走り続ければ、いずれは撒けるはず。だが……

 

 

「うわ! 前、前!!」

 

「……!? ボディか!!」

 

 

しかし、前方に立ち塞がるボディが甘い考えを許さなかった。挟み撃ちにされてしまった。

 

 

「どうしよ!?」

 

「突っ切る!! 対処できるとわかっているボディの方がマシだ!」

 

 

ボディは勝てるのだ。キーラとダーズの支配から離れた彼らは大き過ぎるダメージを与えれば、耐えきれなくなり崩れる。フィギュア化せずに物理的に崩れるのが気がかりだが、スピリットが宿っていないからではないかと結論づける。つまり、倒せるのだ。

物理的な攻撃が効かなそうな奴を相手取るのは現実的ではない。ならば、行く手を塞ぐ相手を薙ぎ払うのが最善策だ。

 

 

「じゃま!」

 

 

オリマーのボディを木槌で弾き飛ばす。当然まともに相手をするつもりはない。

道を開けるのを目的に武器と拳を振るう。

どこかから放たれた刃が鉢巻の端を掠め、薄皮が捲れた。多少の傷は許容せねばならないだろう。旋風脚で敵を薙ぎ払い、ようやく進むべき道を視認できた。

 

 

「いくぞ!」

 

 

短くそれだけを伝えて駆け出した。

行く先は細い穴だ。もしかしたら、あの謎の生き物はつっかえて進めないかもしれないと淡い期待をするほどに。

 

 

「逃げきれた!」

 

 

穴を潜ってようやく這い出た。陽の光が見えたから外かとは思ったが、やはり未だ洞窟の中だ。天上に亀裂があり、そこから日光が入り込んでいるらしい。

 

 

「う、うわあぁ……!」

 

 

周囲の喧騒も忘れ、ポポの目はそれに釘付けになる。亀裂から入った日光は命を咲かせていた。

僅かな光を掴むためにちょうど光の刺す場所に花咲き、周囲で草を芽吹いている。あたりには蝶が羽ばたき、僅かな恵みを取り込んでいた。

登山家のポポは見たことのない、幻想的な光景に目が離せなかった。

 

 

「ポポ!! まだボディが!!」

 

「あ! ゴメン! 急がないと…… ってえええ!?」

 

「何……!?」

 

 

見惚れている暇はない。

リュウの叱責でようやく我に返った。自分達は逃げていたのだと。振り返ってどのような状況かと背後を見たポポは驚きを隠せなかった。

 

あの謎の生物は自分達を追っている過程で、液体にボディを取り込んでいた。そのボディ達はまるで人がするようにもがき、出ようとするが流動的な存在から抜け出せない。

そして、唐突に内部のキューブに何かを取り込むと、一気に金色へと変色──否、元の色を取り戻した。

しかし、それも束の間何が不満なのか、再び透明になり追ってくる。取り込まれていたボディの姿が見えないことにゾッとした。

 

その不可思議な光景に二人は動揺を隠せない。

しかし間違いない。

ボディとあの生命体は同陣営ではない。

そして──ボディなどよりあの生命体の方が脅威だ。

 

 

「もっと離れなければ……!」

 

「うん!」

 

 

花畑を蹴散らし、曲がった坂道に差し掛かろうとしたところ、リュウの背中を追っていたポポはあの生命体の様子を確認しようとし…… 気づいた。

 

寄ってきたあの生命体に対して、蝶は怯えたり逃げたりする様子が見られない。生命体に触れた途端に、あの蝶は金色の液体のように溶けて消えたのだ。

 

 

「(ボディと同じ!? でも、微妙に違うような)」

 

 

確かにその様子はボディを彷彿とさせたが、蝶だったものはもう少し粘度があった。それにあの生命体に吸い取られていったような。

 

 

「(あの蝶々、アレと同じ存在!? それとも一部だったの!?)」

 

 

まさか、と考えた論。肯定する情報はないが、否定する根拠もない。曖昧だった考えは後ろ向きへと移ろっていく。

だったら、ここはアイツの拠点なのかもしれない。どんどん中に入っていっているがよいのだろうか?

 

 

「! これは……」

 

 

ポポが考えていると背中にぶつかる。

リュウが立ち止まったからだ。

 

そこにいるのは、赤と白の斑点のついた生き物。自然に紛れない色合いはまるで自生している生命ではないことを如実に表している。

 

しかし、そこは問題ではない。

あの世界では見ない生物。

大乱闘のステージにしかいない生物。

それはつまり、ここがよく知る大乱闘の世界ではないことの証明だった。

 





○タイトル
ファイアーエムブレム覚醒のロラン外伝タイトル。今話に砂塵要素は毛ほどもない。
動きにくい砂漠の戦場に訪問したら消える幻の村とちょっとややこしい外伝。ちなみに覚醒子世代で最年長はルキナのはずだが、ロランはルキナが来た時代より過去の時代に到着したため、歳を越している。
後ウードとかのキャラが濃すぎてロラン自体の影が薄い。


○ 「ナナは…… 外で休ませてる」
あながち嘘ではない。


○謎の生命体
ピクミン3のストーリーモードラスボス、アメニュウドウ。
前作でのみんなのトラウマ、アメボウズとの関係性が伺え、同じように集団幻覚説も。ルーイによると「危険な味と香りがして飲むのを断念。」らしい。口に入れるまではしたんかお前。
前作ラスボスも使ってきた全属性攻撃や空中に飛んだりとすべてのピクミンを活用させて戦うのが公式の戦略…… だが、岩ピクミン100匹が一番楽なのは秘密。
オリマーに並々ならぬ執着を見せる他、不死身っぽい描写もある。


○哀しき獣の塔の原生生物
なぜか倒すと金色の液体になって溶け、運ぶことができない。
おそらくアメニュウドウが作り出したものだろう。ちょっとボディに似ている。だが、アメニュウドウ自身はどうでもいいと思っているのか通り道でぶっ殺してる。


○一ヶ月の間にあったかもしれない小話
「メタナイト、ディスカバリークリアしたよ。まだ表までだけどね」
「とりあえずエフィリンには謝った」
「マルスにアイクもプレイしてたのか。謝罪については…… まあユーザーの8割程度はしてるだろうか。」
「ラスボスのビジュアル怖かったな…… 今までのカービィシリーズにはないタイプだったし……」
「ラスボスも恐怖だったが一番恐怖というか異質だったのは……」
「「……こそ〜」」
「見つけた!! 2人とも、あの高○みなみを捕まえるぞ!」
「「了解!!」」
「「風評被害だよ!?(だぞ!?)」」
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