大乱闘スマッシュブラザーズ Histoire Artificielle 作:蘭沙
「うおおおぉぉ!!」
ガノンドロフが、生命体の脇腹を殴る。
正面では攻撃がくる故に、背後や横に回って戦っているのだ。
リドリーは背後から頭部を狙い、鋭い凶刃を思わせる爪で切り刻んでいる。が、爪痕が残るのは一瞬で効果は薄い。
キングクルールは足元を狙っている。腕力に頼るよりは鉄球を撃ち込んで遠距離での戦いに重きを置いているようだ。
─なら、身軽な自分達の戦い方は。
「「正面!」」
それしかない。
1番攻撃が向かう場所ではあるが、そこで2人も動き回っていたら無視はできないだろう。
それに、他のメンバーが本体を叩きにくるのも遠い話ではないはず。
大乱闘とは違うこの世界。
氷塊を飛ばすような絡み手は使えず、ハンマー等の装備しか役立つものはない。
だが、2人には絆という武器にも防具にもなり得る最高のものがあるではないか!
「うららっ!!」
あの突き刺し攻撃も、冷静に見れば数を連発しているわけでもない。二手にわかれれば、その分攻撃はわかれるし、回数が少なければ攻撃を捌くことも十分可能だ。
「せえい!!」
攻撃後の隙を突いて、ナナがハンマーを振り回した。狙いは生命体ではなく、生命体によって空を切ったキングクルールの鉄球だ。
「ナイスホームラン!」
「やったぁ!って……ぷぷぷっ!」
打ち返された鉄球はそのまま敵の肉体にめり込む。
「「あはは……ははは!」」
ちょうど腹部にヘソのように叩き込まれ、2人の笑いを誘った。
笑いながら、ポポが自分の体につながっていた紐を引っ張ってナナを回収する。
「ちょっと遅れた……ってなんだあれは」
「ヘソになって……ハハハハハ!」
ここで属性攻撃の対処をしていた全員が合流する。
リンク、キャプテン・ファルコン、リュウ、ルカリオ、シモン、ジャンヌ。
キャプテン・ファルコンだけがその有り様に爆笑する。他はどうしてこうなったというインパクトの方が強そうだ。
「ブアッハッハッハッハ! すっげー様だ!!」
「クククッ、まあまあ面白かったぜ〜?」
「下品な奴らめ……」
これがヴィランズの反応だ。ガノンドロフだけは呆れている。
あの生命体もその空気を察していたのか、動かなかったが、ごとりと鉄球が落ちてからスイッチが入ったように飛び上がる。
「……! また飛ぶぞ!」
「同じことを繰り返しても!」
「無駄だよ……ッ!?」
リュウの言葉にいち早く反応する。
再び空中へ浮く敵に対して、アイスクライマーの2人は同じように連携ジャンプで上に乗ろうとする。
だが、それは届かなかった。敵はより高くに飛んでいたからだ。何も掴めなかったポポとナナはこの順番で落下する。
「んもー!!」
「変に学習しちゃって!!」
地面に転がったまま憤慨する2人。
あのまともな思考もなさそうな奴に対応されたのが悔しい。
「波動拳では届かない、ルカリオはどうだ?」
『できなくはないが』
アイスクライマーの連携ジャンプでも届かない場所まで届く攻撃はあまり多くない。
ここにいるメンバーならば、ジャンヌの銃撃、ルカリオのはどうだん、キングクルールの砲弾、リンクの弓矢とブーメラン程度か。
どことなく決定打に欠けている。
「ううん」
「届かないなら届かせる」
「「リンク! 力貸して!!」」
「わかった、どうすればって……!?」
上空からの連続突き刺し。
固まっていたらそこを一網打尽に狙われる。それは共通認識だった。
固まらず、攻撃されたところから散り散りになるように回避する。
「くっ、作戦どころじゃ「ごめーん!!」どおっ!?」
避けて仕返しにと弓を引き絞ったところ、背後からポポが飛び乗ってきた。両肩を踏み台にさらに高く。
「シモンもごめんね!「ぬうッ!?」」
ナナも同じように、2人の近くにいたシモンを踏み台にジャンプした。
「ポポ!!」
「うん!!」
2人は更に上を目指し、その片割れが高く跳ぶ。
ロープで繋がれた2人の頂点は、空を飛ぶ生命体を既に飛び越していた。
「せいっ!」
ポポは空中で体を動かし、繋がれたロープを敵に向かってグルリと回す。
勢いのままに敵の腹回りを一周して、ロープを掴む。ロープで輪っかをつくって、あの生命体を縛ったのだ。
「捕まえた!」
「リンク!」
「……! そういうことか!」
2人がやろうとしたことの全容をようやく把握したリンク。自分はただの踏み台ではない。
捕まえたといっても、今はぶらりと2人が浮いたままになっている状況。
クローショットをナナが持っているあたりのロープに狙いをつける。自分自身もその高みへ行くのだ。
しかし、上手くいってばかりではない。
チェーンが巻き上げられ、空中で、あの生命体の、パーツのない顔がこちらを向いて、両手部分からあの刺突が、
「行け!」
ジャンヌが撃ち続けた弾丸が、鋭い棘を砕いた。随分と脆くなってる。きっとあと少しだ。
ナナの元にたどり着いたリンクは目配せをして、アイアンブーツを装着する。
このブーツ、磁力を帯びており更に言えば非常に重い。履いてしまえば、巨大なゴロン族にも負けない重量が手に入る。
その重さに耐えられなくなったのか、生命体は落下していく。
「だあああああ!?」
態勢を持ち直すこともできず、まずはリンクから落ちていった。次にナナ、ポポ、そしてあの生命体。
「わっ!? 大丈夫!?」
「大丈夫、だ…… ここがチャンスだ!」
ポポ側のロープを退魔の剣が切る。
その後、杖代わりに立ち上がろうとしても高い場所からの着地の衝撃で足にダメージが残っているようだ。
アイアンブーツは直前に外していたが、それでもかなりのダメージが残っている。
「いや、よくやったぜ、 後は任せろ!」
「ブッ潰れろッ!!」
「わあ! 容赦なし!?」
キャプテン・ファルコンのファルコンパンチ、
リュウの真・昇龍拳、
ルカリオのはっけい。
ガノンドロフの魔神拳、
キングクルールのアッパーカット、
リドリーのデススタップ。
秩序に与する3人と混沌を振り撒く3人の技が、奇しくも同じタイミングで叩き込まれた。
「見つけた……!」
そうして一瞬崩れた体に残るあの立方体をシモンは見逃さなかった。
まっすぐ飛んでいった、ヴァンパイアキラーの先が、立方体内部にあった溶けかけのボディを貫いていった。
あの生命体は元の形にも戻れず、水滴のように崩れ去った。ナメクジが歩くように這って去っていったが。
「オッシャー!! 完・全・勝・利!」
「な〜んか、あの液体のままどっかいったのが気になるがよ、今のうちに戻っちまえば問題ねえ」
キャプテン・ファルコンが今までの様子とはかけ離れた出来事から、勝利を確信する。
リドリーはあくまでも冷静に確認したが、自分には関係ないと割り切った。もう用はないと、ゲートを阻む天然の壁を越えようとする。
「はやいなあ」
「もっと勝ちをよろこんだりしないの?」
「あ? 知らねーよ、どうでもいい」
大喧嘩の末に肝が据わったアイスクライマー2人が果敢にリドリーにかかってくる。そんなことより片割れに本気で嫌われる方が怖い。
『まったく…… 単独で行くのは危険だと言うのが……!?』
「これは……!?」
ルカリオが諌めようとするが、先に気づいた。ボディが、また迫ってきている。リュウもそんなルカリオの様子を不思議に思い、次に気がついた。
「クッソ! しつけーんだよ!!」
「まだボディが残ってたのか、おそらく外に……」
溢れんばかりのボディがここにきている。
怒りのツボを押されたキングクルール。
ジャンヌには出どころがわかった。おそらく即座に増援に来れないような場所にいたのだ。
意図せず、ボディ達を挟み撃ちにしたと思っていたが、また更に挟み撃ちにされていたらしい。
「……もう少しだけ、力を貸せ」
「言ったはずだ、貴様が力を貸せと」
宿敵同士の微妙な距離感。
光と影の世界の勇者と魔王は再び戦闘態勢に。
「負ける気は」
「しないよね!!」
「「ボク/わたしたち、アイスクライマーが相手だ!!!」」
もう離れたりしない。
2人で1人。
この戦いは終わるが、まだ戦う。
ずっと、一緒に。
さいしょから、さいごまで。
○タイトル
ポケットモンスターオメガルビーのパッケージポケモン、ゲンシグラードンの特性。ひでりと同じ効果に加え、天気替えの特性技はもちろん、みずタイプの攻撃技を無効にする。
グラードンに効果抜群の水攻撃を無効にする噛み合った特性。炎タイプの強力な物理技も覚えたので多分グラードンの全盛期はここ。
ちなみにゲンシカイキを奪われた現在の相方との差はランクマッチを見ればわかる。
○今章の裏話
打ち切りエンドみたいな引き方でしたが、別にまだ今作は続きますのでご安心を。ただ前2章の引き方が同じようなものだったので、新しさを取り入れてみただけです。
今章の舞台は本来大乱闘の世界そのものになる予定でしたが、全体的な偏りの問題でピクミン3のラスダンになりました。面子にヴィランが多いのはその影響です。
原作ラスボスと今章のボスを兼任するアメニュウドウでしたが、なぜか復活してるので、基本原作後の時系列を想定している今作にはありがたいです。
ちなみに次章こそDLCキャラが出るので石投げないでお願い
○アイアンブーツ
ゼルダの伝説 トワイライトプリンセスで登場するアイテム。
簡単に言えば重くて磁力に引っ張られる靴。
ゴロン族のころがるをどうにかするためのアイテムだが、相撲でせこい使い方したり、磁力に沿って重力に逆らって壁や天井を歩いたり、海や池の底を歩いたり割と多芸である。
この話ではクローショットでぶら下がったまま手も使わずに履いたり脱いだりしているが、原作でも同じことしてる。
そんなことより、アイテムとして持ち歩いている時は何故か重くならない方が気になる。
○一ヶ月の間にあったかもしれない小話
「(無言の腹パン)」
「待って待って待って、シェズの声の人は四作目の主人公だし、そのネタは五作目だし、そもそもゲーム原作じゃないネタは極力使わないようにしてるのにー!!」
「というわけで、風花雪月無双のラストトレーラーと体験版の感想を語る無双体験者のリンクと!」
「ヒーローズは実質無双、イレブンです。ちなみに上は世界一有名なTCG(自己判断)のネタだね。」
「つーわけで感想! これ体験版のボリュームじゃないよ!?」
「序章だけっていってもメインストーリーで4回ぐらい戦えたし、それが3ルートあるからね…… とんでもないよ」
「ベレトはペラペラ喋るし…… てか声低っ怖っ」
「これを読んでる人は灰色の悪魔を男性にしろって、某教師が言ってた」
「それ脅迫じゃね? やっぱシェズはアガルタ側の出自だったんだな」
「デザイン的に隠す気なかったけどね。ペトラが使いやすかったって言ってたよ」
「そして灰狼の学級も参戦決定!! 今度はメインストーリーに関われますように!」
「ふと思ったんだけどさ、これ灰色の悪魔がシェズとは違う陣営に雇われて何回も戦うなんてことないよね?」
「否定できないなぁ…… トレーラーじゃ3ルート分の映像使われてるだろうからストーリーの予想難しいよな」
「想像以上に学生時代短くてビックリ」
「ちなみに一番エモかったのは、本編だと『必然の出会い』なのに、無双だと『偶然の出会い』になってるところ」
「序盤も序盤だ!?」
「えーとほかに言うこと…… あ、そうそう、リュウ新作乳首」
「酷い格差だ……」