大乱闘スマッシュブラザーズ Histoire Artificielle   作:蘭沙

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Monster Hunter “Anecdote”
38話 狩猟解禁


 

こうやって見てるとさ。

彼らが持つ情報に差があるよね。

 

ロイ達がいた世界じゃ、最後の方にやっと謎の敵の正体が掴めたっていうのにさ、他の世界じゃそんなものはすぐにわかる情報なんだよね。

 

 

あの世界にナカツナがいたから?

違う違う、前の話を思い出してよ。

ご都合主義、だよ。前作で解明した謎が次回作で簡単に出てくる… 酷いネタバレだね。

あの世界の謎は、始めに君達の元へいくから謎足り得るのさ。だから謎になった。

 

 

すぐ近くにいる家族友人恋人師弟エトセトラの全ての人脈が偶然の産物でなかったとしたら?

 

これからの人生で、運が良かっただけだ、なんて言える? 人生何回やり直したら八十億分の一の確率をポンポン乗り越えられるんだよ。

 

それなら何事も伏線足り得るよね。

伏線であるなら、偶然こうなった訳でもないよね。

 

あー、僕たち自身非常に滑稽に思えてきたよ。

必死こいて未来を変えたところで、未来を変える運命だったってことだもん。あの三人のアレとか最早口癖じゃん。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

──ユクモ村。

林業と温泉が有名な和の温泉街。

 

伐採された上質な木材は武器に、

そして狩りの前の景気付けに温泉に入浴するといった、ハンター達にとって必要なものが揃っている。

 

以前、村周辺に雷狼龍が出没したことをきっかけに村専属のハンターが増え、現在では他の村々との交流も盛んになっている。

 

災い転じて福となすというが、福の規模がいささか大きすぎやしないだろうか。

 

 

 

そのユクモ村にある公衆浴場。

山岳地帯の、村では一番標高の高い場所の名湯。

 

ハンター達の視線はたわわな胸部に向けられていた。タオルつきとはいえ、本日ほど混浴であることを歓喜したことはないだろう。

 

この近辺では見ない変わった服装。浮世離れした風格と恵まれた体格は何も知らない者達が見ればそれはそれは目を引く。

 

露天風呂に浸かる女性。壁にもたれていかにもリラックスをしてるといった姿勢の女性を囲むように男性ハンター達は位置をとっている。

 

 

「それで、確かに見たんですね? 謎の二つの影」

 

「は、はいっ! オレたちより小さい何かの影です!! 大型モンスターじゃないんですが気になって……!」

 

「ありがとうございます! 少しでも変わったことを見かければ教えてほしいんです!」

 

 

ニコッと笑う顔。一気に男性ハンター達が赤面したのは温泉でのぼせたからではないはず。

通りがかった女性ハンターは敵意と呆れを込めた目線で見ていた。

 

 

「ところで貴女はどちらから来たんですか……!?」

 

 

故郷を訪ねる問い。その答えに女性は緑色の長髪をいじりながら答えた。

 

 

「ひみつ、です♪」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……………………」

 

「……………………」

 

「モグモグ」

 

「……………………」

 

「……………………」

 

「モグモグ」

 

「…………なんか喋りなさいよ」

 

「……そっちこそ」

 

「モグモグ」

 

 

清流の流れる岩場で2人…… いや、1人と2匹は待っていた。

 

 

「あの女神様、意気揚々と『情報を集めてきます!』なんていうからまかせちゃったけど、本当に大丈夫かしら?」

 

「……あの方は真面目にやる時は真面目にやる。それにオレたちが村の中入っても人に紛れられねえよ」

 

 

リュックサックから顔を出す赤い鳥は、肝心の実行人に不安を覚えるも、おそらく大丈夫だとしか返ってこなかった。それに、それしか方法がなかったことも。

 

 

気づいたら渓流と呼ばれるエリアにいた、ブラックピット、バンジョーとカズーイ、そしてパルテナ。

不可解な事件を解決するために、パルテナは近くにあったユクモという村で聞き込みを行なっているのだ。

人選に不安はあるが、ここは人が生きる世界。

 

黒い翼があるブラックピットや喋る動物であるバンジョー、カズーイと比べて、後光を隠せば人の見た目となるパルテナしか、一般人の前に顔を出せなかったのだ。

無用のトラブルを防ぐために待機しているしかない。

 

 

「……………………」

 

「……………………」

 

「モグモグ」

 

「…………でも暇よ」

 

「……今回の尺、このまま黙ってるだけで終わらせる気か?」

 

「モグモグ」

 

「尺ってなによ」

 

「長さ」

 

「モグモグ……あっ」

 

「アンタは何してんのよ」

 

「何食ってたんだおまえは」

 

「持ってきてたハチミツ。もうなくなっちゃったけど」

 

「早すぎよ」

 

「まったく……」

 

「探しに行こうかな」

 

 

そう言ってバンジョーが立ち上がる。

こんな空気が綺麗な林があるのだから、好物のハチミツぐらい、どこかにあるはず。

 

 

「ちょっと、どこ行く気なの!? 待ちなさいよもう!」

 

「何やってんだアイツら」

 

 

大きく息を吐いた。

バンジョーを追って、カズーイもどこかに行ってしまうが、ブラックピットは我関せずである。放っておく。かまってやる義理はない。

 

そもそもなぜ留まる必要があるのだ。

ここは大乱闘の世界ではない、そう言ったのはパルテナだ。

そして女神の奇跡を使えば、大乱闘の世界に戻ることは簡単なのだ。即座に戻ろう、そうしよう。その考えに肝心のパルテナが頷かなかったのだ。

 

 

『すぐに戻ることは簡単です。大乱闘の外ですから私の力は制限されていませんから。』

 

『ですが、仮にここにいる私たち以外にもスマッシュブラザーズがやってきていた場合、置いてけぼりにしてしまいます。』

 

『それと、スマッシュブラザーズの誰とも関わりのないこの世界には何かある。この事件につながる何かが…… まずはそれを探さなければ』

 

 

とのことである。

パルテナはもしかしたら、先に大乱闘の世界に向かったピットを探しているのかもしれない。

案外何事もなく大乱闘の世界にたどり着けているかもしれない…… それは楽観的過ぎるだろうか。

 

 

「(そんなこと言われてもな……)」

 

 

仲間意識のないブラックピットには、ここに留まるのに乗り気ではなかった──流石にリドリーよりはあるとは思っているが。

誰かがこの状況を引き起こしたのならば、ここに留まっているのはその誰かの思う壺ではないだろうか。

 

とはいえ、パルテナの言葉にも一理はあるのだ。決して心の奥底に根づいた忠誠心ではない。はず。

 

 

「おい、あんま遠く行くな」

 

 

しばらく経っても戻ってくる様子のないアニマルコンビに、ブラックピットはほどほどの声で注意を促す。大声上げてまでの忠告はどこか癪だった。

 

これで体裁は整っただろう。

あとはあのコンビに何があろうが、自分の知ったことではない。

しかし、自分たちを残して自ら情報収集に向かっているパルテナが来たら?

 

 

『ええー、ブラピは彼らのお守りもできないのですか? 大乱闘ではあなたの方が先輩ですよ? ゲームとしても先輩ですし…… ああ、ごめんなさい、3歳とちょっとのブラピには難しかったですね。それにブラピの初登場は3DSですから私はともかくあなたは後輩でしたね、ごめんなさい。バンジョーとカズーイにあなたを任せるべきでした。お兄ちゃんお姉ちゃんの言うことを聞いていい子に留守番してるんだよって!』

 

 

こんなことの倍はあれこれ言われるに違いない。自分で想像しておいて、血管が浮き出るほどに怒りが込み上げてきた。

 

 

「……仕方ねえ」

 

 

本当に仕方なく、後を追うことに決めた。

小言を言われないため。それ以上の他意はない。

 

 

「遠く行ってねえといいんだが」

 

 

結論から言うと、水場からかなり遠い場所で見つかった。広さと高さを併せ持った場所で、そこの倒木からハチミツをいただいていたのだ。

 

 

「どこまで行ってんだおまえら」

 

「あたいに言わないでよ、バンジョーに言って」

 

「ふたりも食べる?」

 

「いらねえ」

 

 

しかし、ここはどういう世界なのだろう。

自然は多い。見たことのない動物はいるが、その程度の特徴ではわからない。

 

しかし、それはすぐにわかることになる。

 

 

ズシャアア!

 

「キャッ!」

 

「……なんだッ!?」

 

 

バンジョーの方を向いていたふたりはなにか巨大なものがこちらにくる音を聞いた。

振り向くとそこには巨大な熊のような生物。

青熊獣と呼ばれし大型モンスター。

なるほど、こういう生物がいるのか。通りで一般人をあまり見ないわけだ。

 

 

「ハッ、いいぜ、こちとら退屈していたところだ!」

 

 

血気盛んに神弓シルバーリップを構える。

敵は青熊獣 アオアシラ。

 

 

────狩猟、解禁。

 





○章タイトル
Anecdoteは逸話という意味。
個人的には外伝みたいな意味の単語をつけたかったのですが、一単語で統一したかったのでこうなりました。


○タイトル
モンスターハンターシリーズで新作発売という意味で使われるワード。
ちなみに狩猟解禁だけで検索してもモンハン関係の記事はすぐに出てこない。かなしい。


○ユクモ村
モンスターハンター ポータブル 3の拠点で、後のシリーズにもそこそこ登場。和を彷彿とさせる街並み。東の山岳地帯にあり、林業と温泉が有名。なぜここを登場させたかというと、作者がそこそこ知っているモンハンの拠点がここしかなかったからである。


○ブラピの想像
想像の中でのパルテナすらブラピ呼びしてるあたり、よくわかっている。


○バンジョーとカズーイ
バンジョーはとことんマイペース。カズーイは姉御肌で強気だけどそこそこ面倒見がいい性格。本作ではこのような設定で参ります。
しかし、カズーイ、叩きつけられたりしてるが、いいのだろうか。


○アオアシラ
大喰いの暴れ熊の異名を持つモンスター。戦い気より食い気で蜂蜜が好物。通常の種は序盤で戦うモンスターであり、作者はモンハンをP3とXXを少しだけ程度しか遊んでないが、それでも倒せるくらいには序盤のモンスターである。


○一ヶ月の間にあったかもしれない小話
「クラウド、セフィロス。シリーズならまだしもどうしてFF7は関連作品だけでダイレクト一本できるんだ」
「知らん」
「クックックッ…… イメチェンしたぞ…… クラウド……」
「風花無双直前にぶっ込んできたな……」
「ところでレッドはなぜここに?」
「そうそう、歴代映画の人気投票やってるんだ、なに投票するか迷ってるみんなは、ジラーチ、デオキシス、ディアパルのどれかに是非投票してくれ!」
「曲目当てだな」
「だって神曲ばっかだもん!」
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