大乱闘スマッシュブラザーズ Histoire Artificielle   作:蘭沙

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3話 ときめきメモリアル

 

「うーん… キノコとポンプと… 他に何がいるかな?」

 

「お菓子、作っていきましょう?」

 

「食べれるのかな?」

 

「食べられなければ私たちで食べてしまいましょう」

 

 

マリオ、ピーチは準備をしていた。

しかし、それは旅行の準備であって帰省の準備ではなかった。

 

 

「どせいさんの村… この世界にあったなんてね」

 

「この世界にも、が正しいと思うわ。リュカにもネスにも話したけどあちらにもあるらしいのよ」

 

 

2人の旅行先はどせいさんの村だった。

キーラとの戦いの最中、中ボスとして戦ったギガクッパ。そこでピーチが引っこ抜いたどせいさんにまた会うためにその場所を割り出した。

この世界で普段は散らばって生活しているスマッシュブラザーズ。彼らから話を聞けば、見つけるのはそう難しいことではなかった。(インクリングにはデートデートとキャーキャー言われた。今更である。)

 

マリオの知り合いの多くはスマッシュブラザーズそのものであるし、他のみんなも割とこの世界に来ているので、どうしても帰りたいと感じることはそうそうないのだ。

 

 

「他のみんなはなにか予定を入れているのかしら?」

 

「うーん… ジュニアは友達とここで遊ぶって言ったし、クッパはその付き添い。ロゼッタは… 聞いてなかった。確かルイージは─

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ルイージの元を訪れたデイジーはあんぐりと口を開いた。どうして、どうして背中に背負ったオバキュームの調子を確認しているの? どうして懐中電灯を揃えているの?

 

 

「は、」

 

 

どうしてルイージがこっちを見て、あっやべっという顔をしているの?

 

 

「はあああ!? どういうことよこれえぇ〜!!」

 

「わっ… ごめん、伝えようと思ってたんだけど」

 

 

天まで届くほどの声がルイージの鼓膜を必要以上に振るわせる。咄嗟に耳を塞ぎ、謝罪の言葉を口にした。

ピーチ達にならって、この世界を2人で歩き回ろうと予定を立てていたのだ。ルイージは兎も角、デイジーはこの世界のことにそれほど詳しくない。だから2人で歩き回ろうとしていたのに。要するにデートに行こうとしてたのに。

ルイージの格好はどう見てもオバケ退治に行こうとしている。

 

 

「どういうことなのよ、これ!」

 

「えっと… 話せば長くなるんだけど…」

 

 

ある日ルイージの元にオヤ・マーから一報来たのだ。以前、マリオやピーチ達と共にいったホテルラストリゾート。オバケ達に嵌められながらもなんとかキングテレサもパウダネス・コナーも倒した。その後は立派なホテルとして再建されたはずなのだが…

 

 

「突然何かが襲ってきて追い出されちゃったんだって。それで助けに来て欲しいって… オバキュームを貸してもらってるし断れなくて…」

 

「はあ…」

 

「ワン!」

 

 

遊びに来ていたデイジーに気づいたのかオバ犬が駆け寄ってくる。呑気な顔だが犬に罪はない。頭を撫でてやる。

 

 

「仕方ないわ… なら私も一緒にオバケ退治に行こうじゃない! オバケだかバスケだか知らないけどそんなのに予定を狂わされちゃあたまらないわ!」

 

「えっ、デイジーでも、」

 

「でもも、何もないわ! 私が行くと言ったら行くの!」

 

「1人、助っ人を呼んでるんだけど…」

 

「………はあ?」

 

 

天地を揺るがすほどの大声は2度起きる。

オバ犬は呑気に転がっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

エンジェランド。

荒れ果てていた天空界もようやく復旧の目処が立ってきた。3年間ほとんど気にされてなかった繁栄であるが、徐々に光を取り戻しつつある。これならば、あの世界にあるレプリカのような姿を取り戻すことも、遠い将来の話ではないだろう。

 

 

「よっと、服はしっかりしてるし、月桂樹もつけてるし…」

 

 

パルテナ軍親衛隊長ピット。

主君のパルテナと共に元の世界に戻っていた。

彼らはまだ戦争の最中である。自然軍に属するブラックピットもスマッシュブラザーズに参加しているため、開催期間は大戦を休止している。だが、約束を反故にしないとは限らないし、冥府の残党の様子も見なければならない。だから帰れる時は帰って見張っているのだ。

 

 

「ピット、大事なものを忘れてます」

 

「えっ? なんですか、しっかり確認したのに…」

 

「ユーモアです♪ これがなければあなたはただの鶏みたいなものですから」

 

「いや、あの、パルテナ様?」

 

 

いつものことながらこの、遊び心が常日頃の主のノリには、たまについていけなくなる。

その女神は自分より後にあの世界に戻るようだ。

 

 

「冗談はさておき、神器、忘れてますよ」

 

「え? 本当だ、弓しか持ってない!」

 

 

そして気づいた。

パルテナの神弓しか持っていない。大乱闘に使う他2つの神器がなかった。

 

 

「持ってきてあげましたよ、ピット」

 

「本当ですか? ありがとうございます! って多くないですか?」

 

「キノセイデスヨー」

 

「嘘だッ!?」

 

 

大乱闘に使う豪腕ダッシュアッパーと衛星ガーディアンズ。それがあるのは正常だ。だがそれだけではなくパルテナの腕には、最初の撃剣、爆筒EZランチャー、射爪ブラウンタイガーが抱えられている。

 

 

「ああ、原作の仕様だと戦闘中の持ち替えはできませんからね」

 

「そこじゃないです!」

 

「それともアレですか? タブーの時みたいに神々しく渡した方が良かったですか?」

 

「そこでもないです!」

 

 

あの時の超越感はどこへ行ったのだろうか。

これではただの漫才師だ。神と天使の漫才なんて聞いたことがない。

 

 

「どうして持っていけって、言うんですか? そんなに持ち込んでも使えないですよ」

 

「ピット… あなたは悔しくないんですか…?」

 

「何を…ですか…?」

 

 

突然暗くなり、神妙な面持ちで語り始めたパルテナに、ピットも居住まいを正す。ごくんと唾を飲み込み、重要な話に耳を傾ける…

 

 

「コンパチとか言われてて!!」

 

「…はい?」

 

 

そんな耳は必要なかった。

 

 

「だって、そうでしょう? こんなに神器があるのに使ってる神器が1つ被ってるなんて! 衛星を爆筒にするだけでもだいぶ印象違いますよ!」

 

「そんなこと知りませんよ!」

 

 

押しに押された結果、結局全部持たされることになる。どうして。

理由はともかく、主人の好意を拒否することはピットにはできなかったのだ。どうして。

しかし、その判断が正しいと思わせる出来事が起こることを、ピットもパルテナも知らなかったのだ。

 




○ときめきメモリアル
1994年にコナミから発売された恋愛シュミレーションゲーム。男女二人組しか出なかったからこのタイトルにしたけど、絶対もっとあった。ちなみに最後の組に至っては恋愛的な意味ではない。


○どせいさんの村
前作のギガクッパ戦でピーチは会いにいくと約束したです。ぽえ〜ん。


○ラストリゾート
ルイージマンション3の舞台となったホテル。後半明らかに海とか砂漠とかあったけどホテル。エンディングでオバケ達によって再建され、オヤ・マーも気に入って住まうことに。


○神器
スマブラで使っている神器以外はオーソドックスな性能をした神器を選出。というかパルテナの神弓がトップクラスに上級者向け性能。


○設定上の小話
ピットとブラックピットがインクリング、もとい3号の正体がわからないのはプリキュアとかでよくあるルールです。いかに声や顔が同じでもヒーローとして姿を隠している事実がある以上、メタフィクションに造詣が深い彼らでは逆にわかりません。


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