大乱闘スマッシュブラザーズ Histoire Artificielle 作:蘭沙
森の中では見ないような青い毛皮を持つモンスター。四つ足で動きながらも、前足には鋭い爪を持ち、後ろ足で立つことができている。
おそらくこの付近に天敵はいないのだろう。森の中に潜むのに向いていない体色をしてる……と言いたいところだが、いかにも捕食者でない丸々と太ったガチョウのような鳥を見ている。
あの鳥も一部青い羽毛が生えていた。自然に溶け込むといったことは、この世界では行われていないのかもしれない。
「だが好都合だ! コソコソ隠れられるのはオレ好みじゃねえ!」
「グワオオォォ!!
まずは様子見、ということで胴体の真ん中に矢を撃つ。2本突き刺さったアオアシラだが、怯まず引っ掻き攻撃を繰り出した。
「この程度……ッ!?」
神器を前に防御の体勢に移るも、それを上回る勢いで深めの傷痕と共にぶっ飛ばされた。
「くそっ、盾でもねえガードは余裕で貫通してきやがる」
防御に特化した盾のようなものを構えていれば違ったのだろうが、武器を構えただけでの防御姿勢では容易く突破されてしまう。
図体の大きさがそのままパワーにつながっているのか、それともこの世界の生物は攻撃特化の押せ押せタイプなのかもしれない。自然に溶け込む気がないのだろうか。ともかく敵の攻撃に関しては回避で対処したほうが良さそうだ。
「ちょっと! いつまでも食べてないでアンタも戦うのよ!」
「わかってるよ、あとちょっと……」
「あいつらは頼りにならねえな……」
カズーイの訴えも虚しく、バンジョーの手は止まらない。完全に食い気が勝っている。
一応行動を共にしているのだから、と頭数には入れていたのだが…… 省いた。というか、いてもいなくても変わらない気がする。
「ガアアァ!」
「このやろッ!?」
更に繰り返す引っ掻き攻撃に、くるりと回り込み、攻撃の終わった前足に豪腕デンショッカーで殴りかかる。が、思った以上に固く弾かれてしまった。胴体を射った時とは感触が違う。
「クソっ!」
尻餅をついたブラックピットは、できる限りダメージを減らそうと衛星ガーディアンズで盾を張る。そして、両手が空いたのでできるだけ素早く立ち上がる。これでなんとかという苦肉の策だったはずなのに。
「グキャオオオオ!」
「は? どこ行くつも」
しかし、今まで戦っていたブラックピットをまるで無視して、他所へ駆け出した。四足歩行に移行してまで。
突然の凶行に面食らったブラックピットはあまりにも呆けた声を出してしまった。
「ちょっと!? バンジョー!!」
「ん?」
「グキャオオオオ!!」
「わっ」
そう、アオアシラがブラックピットそっちのけで突進を仕掛けたのはバンジョーだったのだ。
「あばばばばばばば」
「しっかりなさい!」
両手で、軽々掴まれ、振り回されて。
カズーイがタマゴミサイルをぶつけるも、何かにとりつかれるように気にされてない。
そして、必要なくなったとばかりにバンジョーを投げ捨てた。
そして、代わるように倒木のハチミツを貪り食う。
「キュルアアア!」
「ってコイツ、バンジョーと同じく
「しかもあたい完全に無視してるし!」
戦っていたはずのブラックピットも、色々ぶつけてきたカズーイもスルーして、ハチミツだけを食う。欲望の傾向はバンジョーにそっくりだ。暇つぶしには十分な敵かと思ったが、前言撤回。こんな奴に負けたくねえ。
「お前たち、なにをしている?」
「はあ? この残念なデカブツをどう、ぶっ飛ばしてやるか考えて…… っておまえか」
「おまえかとはなんだ。あちこち歩いてようやく人を見つけたんだぞ」
木々をかき分け、こちらに来たのはクロムだ。
ちなみにそれでもなおアオアシラはハチミツを食べている。
彼は異変について何か知っているだろうか。いや、訓練で壁に穴を開けるような残念な奴だ。期待をかけ過ぎると裏切られると、ついさっき知ってしまった。
「っていうか、アンタ随分とボロボロじゃない。そんなに歩いてたの?」
「ああ、違うんだ」
カズーイが気づいたが、クロムはあちこち怪我をしていた。あちこち歩いてというから、草で切ったとか、汚れてしまったのかとも考えたが、よく見れば草で切った傷にしては深過ぎる。
「城で政務をしていたんだがな、廊下で下手人に襲われたんだ。気絶している間にここに連れ込まれた」
「なんだと?」
誰かに襲われた、と語るクロム。お前らもなんだろうと目を向けられるが、ブラックピットにもカズーイにも心当たりは全くない。
いつものように大乱闘の世界に行こうとしたのに、なぜかここにたどり着いていたのだ。そこに第三者が関わる余地はなかった。
「オイ、それは」
「とりあえず、奴を倒せばいいんだな」
そう言って剣を抜きかけていく。なにか色々と勘違いしているが、後でいいだろう。
いつ食事をやめて襲ってくるかわからない中で長々話ができるほど図太くない。
「はあ!」
呑気に座り込んでペロペロと平らげているアオアシラの背中に斜めの一撃を叩き込む。
敵は攻撃されてようやく食事をやめた。こちらへ向き直り、戦闘体勢だ。先程より怒っているように見えるのは食事を邪魔されたせいではないはず。多分、おそらく、きっと。
「やっと戻ってこれたー! あれ、クロムがいる?」
「バンジョー、やっと戻ってきたわね! アイツ、
「ええ!? 独り占めは許さないぞ!」
バンジョーも復帰し、三のファイターが集結する。背中のリュックにカズーイが入り込み、全員が戦闘体勢となった。
「そいつ、引っ掻いてくるし突進してくるし掴んでくる! 接近には気をつけろ!」
「わかった! 必要以上に近づけなければいいんだな!」
二足で立ち上がったアオアシラの後ろ足に傷をつけるがあまり効いている様子はない。クロムはそのまますれ違うように背中側に移動し、生やすように
「えっ!? あれ槍!?」
「アンタそんなの使えたの!?」
「ああ、大乱闘では使ったことがなかったな!」
「別にいいだろ、ここはあの世界じゃねえ!」
そう言い放ったブラックピットはガツンと巨塔百鬼の棍で頭部を殴りつけた。重量ゆえの鈍い動きから放たれた攻撃は、的確に脳髄を揺らしアオアシラをスタンさせた。
「そうだ! ボク達は変身できるよ!」
「それあのガイコツの力じゃない! 新しいものだの流行だのばかりじゃなくて、古いものにこそ魅力があるのよ、自分の力で戦いなさい!」
どんどん発破をかける。確かに見せたことのないような技は2匹にはない。でもそんな技ばかりが強いわけではないのだ。
「それもそうだね、とりゃあ!」
マーベラスコンビネーションの剣技と巨塔が振り回される中へ、カズーイの翼が頭部を守る形で突進するワンダーウィング。スタンしている状況ならばと、なにも考えずに大技を放ったのだが、
「うおおお!?」
「あの巨体、ふっとびやがった!?」
そのタックルひとつで地に伏せていたアオアシラがぶっ飛んだのだ。位置が悪く、クロムを巻き込んでしまう形で。
「ぐううっ……!!」
「あ、穴あけ父、潰されてペラペラになってないわよね?」
「だいじょーぶ?」
「助けてやれよ……」
クロムはアオアシラの下敷きに…… というほど深刻な状況ではない。ちょっと足だけ上に乗られてる程度だ。
とはいえ、2匹の対応はドライというか、深刻な状況も深刻と捉えない節がある。今だって心配していないわけではないが、ちょっと転んで怪我した程度に捉えているのではないか。
「ギャウアアア!」
アオアシラが立ち上がった途端に、クロムは素早く距離を取る。カバーするために、ブラックピットとバンジョーがそばに移動した。
アオアシラの目は血走っており、その口からは唾液が流れ出ている。ワンダーウィングと巨塔百鬼の棍の一撃が相当効いたようだ。
しかし、油断はできない。
どんな生物だろうと、窮地に追い込まれた時が一番生存本能の強い時なのだから。
○タイトル
バンジョーとカズーイの大冒険のチュートリアルステージ。
スマブラでも2匹のホームステージとなっている。
アオアシラはモンハンにおけるチュートリアルモンスター…… と作者は勝手に思っています。
○食欲第一
アオアシラってこんなん。正直アオアシラ出したかったからバンカズをここに置いた。これがやりたかっただけ。
○原作能力
ブラピとピットは原作にある九つの神器ジャンルの中で、スマブラで使っている神弓、衛星、豪腕を除いた神器を分け合ってます。ピットはスタンダードな性能の神器ですが、ブラピは6章で使っている神器を使用しています。具体的には、ブラピの狙杖、巨塔百鬼の棍、破掌バイオレット+スマブラで使用した神器を持っています。
クロムはマスターロードのクラスということで、ファルシオンの他に鉄の槍を携帯しています。ちなみにルキナも同様。
バンカズは据え置きです。悲しいね。
○
さすがはカズーイ、相棒の使い方をご存知でいらっしゃる。
○一ヶ月の間にあったかもしれない小話
「ついに発売したファイアーエムブレム無双風花雪月、ゼノブレイド ダイレクトがあったりしたけど、やっぱり新作は燃えるよね」
「それはいいが、どうして俺とロイなんだ。綺麗に無双未経験者なんだが」
「しかし、ベレト強いね、遺産どころか天帝の剣もないのに」
「忘れられがちだが、俺もベレトも傭兵主人公だ。普通はレベル1から始まってないはずだからな」
「大人の事情って奴か……」