大乱闘スマッシュブラザーズ Histoire Artificielle   作:蘭沙

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40話 WELCOME TO THE NEW WORLD!

 

荒れ狂う青熊竜が次にターゲットにしたのは、背に槍を突き刺したクロムだった。

 

 

「グギュアアア!」

 

「ぐうっ……!!」

 

 

手負いとは思えない速度で迫られたクロムは回避のタイミングを見誤り、真後ろへ吹き飛ばされる。土煙とともに、一回転して体勢を直そうとするが、さらに追い討ちを仕掛けようとする姿が見えて、回避は諦め防御に回ろうとした。

 

 

「バカ、防ぐな、かわせ!!」

 

「うぐぅ!!」

 

 

ブラックピットの忠告もあまりにも遅すぎた。

受けたこともない衝撃に、ファルシオンごと吹き飛ばされてしまった。あまり意識してはなかったが、彼自身も闘う前から手負いなのだ。

 

 

「やあっ!」

 

「ウウウウゥ……」

 

「あれ? 効いてない?」

 

「なにやってんのよおバカ!」

 

 

バンジョーのジャブ程度の牽制。

こちらにも攻撃してこいという程度の攻撃だったが、思った以上に効いてない。殴る蹴るといった物理的な攻撃は余程の大技でない限り、有効ではないようだ。

 

 

「だったら、こっち!」

 

「グウアッ!」

 

 

しかし、投げつけたおしりタマゴはそこそこ効果があるらしい。爆弾は熱も生じるからだろうか。

ともかく役立たずにはならない。標的もこちらに移ったようで、クロムを助けだすことには成功したようだ。

 

 

「(暴れ馬を制御しようとするもんだ。下手に攻撃すれば余計に我を失うだろう。遠距離主体で闘うしかねえ!)」

 

 

相手の射程で攻撃すれば、回避困難な反撃がくる。全員ガッチガチの鎧など着ていないため、当たったら致命傷になり得る。

それならば、遠くから少しずつ攻めよう。クロムが近距離、バンジョー達が中距離ならば、ブラックピットは遠距離だ。

 

 

「なら狙杖の方が適任だ!」

 

 

神弓をしまい、自分の名前を冠した他の神器を取り出す。

大乱闘では、ここぞというときにしか使用できないブラピの狙杖だが、普段は三種の神器や光の戦車に遅れを取る普通の神器である。

 

うんと離れた場所から、戦場を見渡す。

カズーイがバンジョーを背負って逃げ回っているからこそ、クロムは反撃を受けていない。

 

 

「(ならそのまま追わせるのが最良だな)」

 

 

クロムの追う背後とは違う側面の腕に、ため射撃を撃つ。まっすぐ貫かれた弾は右はともかく、左腕すら貫通した。

 

 

「グオオオオオッ!?」

 

「うわああああ!?」

「ギャーーーー!?」

 

 

前足が動かなくなったアオアシラは走っていた姿のまま、前方に倒れる。2匹が飛ぶことで回避できたのはギリギリだった。

 

 

 

「よし! そろそろ決める!」

 

「よしじゃないわよ! あたい達も巻き込まれるところだったじゃない!」

 

「ブラックピットに言ってくれ!!」

 

 

近くのクロムに八つ当たりをしながらも、たまごミサイルをぶつけ続ける。完全にずっこけたままのアオアシラに、クロムとブラックピットも思い思いの攻撃を放ち続ける。

敵の反応的にあまり効果が見えなくとも、確実にダメージは入っている。塵は十分にあるのだ。あとは集めて山にする。

 

 

「グオオオオオ!!」

 

「うわっ!」

「ぐっ!」

「うげっ!?」

 

 

アオアシラが両手を振り回し、周囲を荒らす。

距離的にクロムとバンジョーカズーイは吹き飛ばされ、木や岩肌に衝突する。

 

 

「チッ」

 

 

一時的な離脱。つまり狙いがブラックピットのみになるのだ。突進してくるアオアシラに対して、軌道から逸れつつため射撃を撃った。

その程度ではなんともならず、四つ足を使ったブレーキで方向転換を図る。再び銃口を敵に向ける。

 

 

「グウウウ……!」

 

「しぶてえ奴だ!」

 

『あなたは話を聞かない奴、ですね』

 

「は?」

 

 

頭の中にお気楽な声が聞こえて、瞬時に把握する。あの女神が戻ってきたのだと。

遠くの橋からのんびり歩いてきた女神パルテナはとことんマイペースだった。

 

 

「パルテナか……!? おまえもここに来ていたのか!」

 

「随分とお久しぶりのような気がしますね、クロム。まあ、話は少し待ちましょう。この生き物をやっつけてからです」

 

 

コツコツとヒールの音をたてて、アオアシラに接近する。まるで無害なものに対する対応だった。その異様さにアオアシラ自身も動けない。

ゆっくりと杖の先を向けて、その口は奇跡を紡いだ。

 

 

「爆炎の奇跡」

 

「グキュオオオオ……!?」

 

 

大規模な爆発が起こると、アオアシラは倒れ伏した。ピクリとも動かない。

 

 

「倒したの……?」

 

「はい、あの生き物は炎が大の苦手なので爆炎を撃ちました♪ ちなみに次に苦手なのは電気ですよブラピ」

 

「だからなんだそのブラピは!!」

 

 

暗に言われている。豪腕デンショッカーが有用だったのだと。

ブラピをイジる方が楽しいパルテナは言わない。竜属性に耐性を持っている以上クロムの参戦はほとんど戦力増加にはならなかったのだと。

 

 

 

 

 

円状に囲み、やっと情報共有だと腰を下ろす。

気になることがいっぱいなのだ。パルテナの情報収集、クロムのこと。まずはパルテナのことだろうかとカズーイは口を開いた。

 

 

「……で、女神サマ、めぼしい情報とやらは手に入ったのかしら?」

 

「ええ、いいお湯でした」

 

「ちょっとカラス」

 

「オレはカラスじゃねえ! オイ、女神! このノリに誰でも着いてこられると思ったら大間違いだからな! 見ろ、クロムなんて口開けた間抜け顔でポカンとしてやがる!」

 

 

信じて送り出したというのに、ひとっ風呂浴びてきたでは怒るのも当然だろう。

だが、真面目な時は真面目というブラックピットの評価も間違ってはいない。

 

 

「そのお湯で少々気になることを聞いてしまいましてね」

 

「気になることだと?」

 

「前提として、どうやらこの世界は先ほど倒した怪物のような魔物が数多く生息している世界でして」

 

「あんなのがいっぱいって、この世界の人間はよく生きてられるわね」

 

「どうやら依頼形式で討伐してもらったりして生息数の調整を図っているようですね。人間以外の生物としてはほとんどが人の身長を超える魔物だそうです」

 

 

どうしてもこの世界の在り方については市井に紛れなければわからない。

 

 

「それで、その討伐? いきもの? がどうしたの?」

 

「密猟者を見かけたと」

 

「……おい、それのどこが役立つ情報なんだ。どの世界だって法やら決まりやらを犯す人間はいるってことだろ」

 

「それはブラピの言う通りではありますが。この世界についての情報を持たない人間が自衛のためにモンスターを返り討ちにしたら密猟と捉えられません? あなた達のように」

 

 

うぐっ、と言ったのは誰だったか。

実際知らず知らずのうちに倒しているから何も言えない。

 

 

「つまり、俺たちに起きた異変とは関係なくともおかしくないが、可能性があるから当たらずを得ないということか」

 

「はい、そしてもう一つですが」

 

「まだあるの?」

 

「謎の二つの影と。人と比べればだいぶ小さい生物だそうですけど、らしい、ですよね」

 

「さっきの情報と比べたらな」

 

 

人よりかなり小さな二つの影。

おそらくこの世界の生命ではなさそうだ。

自分と同じように巻き込まれたスマッシュブラザーズか。

あるいは───この事態を引き起こした黒幕か。

 

 

「追おう。明らかに異質な存在だ。なにかある」

 

「もちろんどちらの情報も当たりますが…… クロム、あなたは私達とは違う方法でこの場所に来たのでは?」

 

「違う? 違うとはどういう……まて、なぜパルテナがその話を知っている?」

 

「ブラピの月桂樹を介して見てましたよ。ブラピのあんなことやこんなことも…… ムフフ」

 

「え、ブラピどんなことしてたの!?」

 

「やましいことはなにもしてねえ! 誤解を招くセリフはやめろ!!」

 

「はいはい、それでクロムはどういった経緯でここに来たのかしら? 私達は大乱闘の世界に戻ろうとしたら何故かここに辿り着いていたという経緯だけど」

 

「……!」

 

 

カズーイの仕切り直しに、厳密には軽い説明にクロムは目を見開いた。先程まで少し抜いていた気を引き締め、真剣な面持ちで語り出した。

 

 

「俺は聖王としてイーリス城で政務を行なっていた。そこで休息を取るために私室に戻ろうと城内の廊下を歩いていたんだが……」

 

 

自分以外の全員がこちらを見て、続きを促している。見渡してクロムは続けた。

 

自分達とクロム。この世界へ辿り着くための動向の違いに一体何が隠れているのか……

 

 

「襲われたんだ。俺より背の高い、男に。気絶させられて、気づいたらこの世界だった」

 





○タイトル
星のカービィ ディスカバリーのテーマソング。カービィシリーズでは初の主題歌。一応歌詞やボーカルのあるカービィBGMとしては、銀河に名立たるハルトマンがあり、それと同じように同ゲーム内にアレンジBGMが収録。
序盤でくるまほおばりでドライブするムービーに流れるのが初見になる。体験版ではこの音楽はついてなかったので、体験版プレイヤーの多くは不意打ちを食らった。


○アオアシラの耐性
火がもっとも効き、次に雷氷、効きが悪いのが水属性でほとんど効かないのが竜属性。竜属性ってなんですか。ファルシオン? あれ竜特攻やしな……


○パルテナの原作能力
不明というか、正常な時に戦ったことがないのでわからん。
とはいえ、神様なので大きな能力は持っているだろう。被害が大きいという理由で本作では本気だしません。
技としては、原作で使った奇跡を使用。アニメを見る限りでは、捕獲の奇跡、嵐の奇跡という奇跡や神器を扱うことも可能らしい。


○月桂樹
テレパシーや位置把握、おそらく奇跡の支援もこれを介している。
心は読めない。


○一ヶ月の間にあったかもしれない小話
「なあロックマン、なんか将来やろうとしてるゲームがどんどんSwitchで発売されるんだが…… ペルソナ5とかニーアとか…… せっかくのPS5がKH専用機になりかけている…… FFとかも買う予定だが」
「ぼくたちの古い作品もあるから全面支援。それよりこれ」
「服を引っ張るなって…… え、これ読めって? 『モンハンサンブレイク! 風花無双もいいけどこっちもみんな遊んでね』って…… 番宣に使うな!?」
「あ、そうそう、風花無双の感想は長くなったから、活動報告ね、ジョーカー!」
「だから雨宮蓮!」
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