大乱闘スマッシュブラザーズ Histoire Artificielle   作:蘭沙

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44話 秘密の卵運搬

 

「こちら、シャドウとシャドーカービィです。あなた達もここに来ていたんですね」

 

「ややこしい名前ね……」

 

「僕達のことを知っているのか?」

 

「情報通ですから♪」

 

 

私の功績ですと言わんばかりに、胸を張る女神。普段から目を引く箇所がさらに強調される。一般的な感性を持つ者ならば、そこに視線がいくはずだが、あいにくここには、そういうことに興味のない者と、そういうことがわからない者、そして本性を知っている者の3種類の人物しかなかった。

 

 

「この際組み合わせはどうでもいい。どのようにこの世界にやってきたんだ?」

 

「あの大乱闘の世界に向かっていたらなぜかここに辿り着いていた」

 

あたい達(クロム以外)のパターンね」

 

 

何者かに襲撃されたクロムとは別の経緯。つまりはただ迷い込んできたと。シャドーカービィは喋っていないが、めぼしい反応がないあたり同じパターンらしい。

 

 

「ここにやってきて彼と出会った。面識はなかったが、この世界の生物とはかけ離れた姿をしていたから、別の世界の存在なのはすぐわかった」

 

「ウホッ、それで一緒にいたんだ!」

 

「ああ、彼も何もわからない様子だった…… わかっていても伝わった自信もないが」

 

「なるほどなるほど、自分より無口な存在に会ったのは初めてだったと」

 

「どうして誘うような登場をした? あの噂も意図して流したものだろう」

 

「あなた、私の扱いに慣れてきました?」

 

 

完全にパルテナをスルーしたあたり、ガノンドロフも相手をするのに疲れていたらしい。シャドウからも似た扱いで、そのまま問答を続けた。

 

 

「ここで謎の男を見た」

 

「……!」

 

「まるで遊ぶように僕達に近づいたり、かと思えば離れて様子を見てきたり。怪しかったから追いかけたんだ」

 

 

謎の男。先程からよく聞くワードだった。特定の一個人を指すとは限らない言葉だが、妙に聞く故に何かのつながりを感じざるを得ない。

 

 

「特徴とかはないのか? どんな武器を使っているかとか」

 

「ローブをつけていたからわからない。身長的におそらく男だが確証はない。武器は…… そもそも攻撃してこなかったからな」

 

 

同一人物だと結び付けられるような証拠はなかった。だが、その徹底っぷりが逆に怪しく感じる。クロムをここに導いた者なら、この世界に来れて当然だろう。

 

 

「話を戻そう。奴は僕が本気で追おうとしても先読みをしているかのように、隠れられたりかわされたりされる」

 

「先読みか……」

 

「それでもどうにか捕らえようと考えていた時、向こうからやってきた。『君たちが求めているのは情報だろう? ある場所に置いてあるから勝手に持ってって。ああ、あと帰る方法はじきに見つかるから安心してね』と」

 

「まあ、確かに怪しいが……」

 

「怪しすぎて一周回って白くすら見えます」

 

「その通りだ……」

 

 

非常に上手くできすぎているし、好きなように動かされている感があって気持ち悪い。

自分達ファイターと彼らが出会うことまで知っていたら、それはもう先読みなんてレベルじゃない。都合よく情報を置いてそれを都合よく教えて。これならば、わざと捕まって情報を吐く方がまだ信頼できる気がする。

 

 

「そいつは何がしたいんだ? 俺たちを騙して疲れされたいのか?」

 

「ただ単純に愉快犯かもしれないわ」

 

「そーかな? それにしては回りくどいような気もするよ」

 

 

話し合っていても何もわからない。

とりあえずその情報にあたってみる以外なさそう、というのは共通の思考だった。

これで本気で愉快犯だったなら、身のある情報はないということで大乱闘の世界に戻ろう。

逆に身のある情報ならば、その真偽はともかく何かアクションを起こせる。

 

 

「そのある場所とはどこだ」

 

「そこが問題なんだ」

 

「…………」

 

 

シャドーカービィが突起だけの手をよその方角に向ける。そこは高い岩棚だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そういうことでしたか……」

 

 

そういえば、どうして人を誘導するような誘い方をしていたのかは聞いていなかった。その答えがこれだ。

 

謎の男が情報を置いていたある場所とは、モンスターの巣だったのだ。窪んだ岩棚にフンや骨が散らばっている中、中央に大型のモンスターが居座っている。

少しマダラ模様がついた抱える必要があるほどのタマゴが数個鎮座するところに、あからさまに別物の何かが混ざっている。

卵型のカプセルだ。色や外見は全く違う。緑色の殻に蔦を意識した模様のついたそれはまるで、

 

 

「おドールでポンのタマゴですねこれ。ブラピゲームコイン勝手に使いましたね?」

 

「ストーリー進めたから増えたんだろ」

 

 

なかなかコンプできないアレだ。

直接割るのとぶっ飛ばして割るのの違いがわからないアレだ。

だがしかし、ヨッシーのタマゴの模様を描かれるよりは精神的にはよかったのではないだろうか?

 

 

「それもそうですね。あからさまにあそこに情報がありますよと言ってます」

 

「? アレでしょ? 普通に取ればいいじゃん」

 

「ところがそうもいかなくて」

 

 

そう言って一体の大型モンスターを指差す。

そこにいたのはリオレイアという竜だった。陸の女王とも呼ばれるリオ種の雌個体。卵の番人には適任なのだろう。リオレイアに守ってもらうことを計算に入れた上であそこに情報を置いていたのだろう。

これは確かにあの2人で取るのは難しい。シャドウは自慢のスピードが活かせず、シャドーカービィには大きすぎる標的だ。ハンターと引き合わせて討伐してもらおうとしていたらしい。

 

 

「あのモンスターが邪魔ということか、なんとかして倒せないのか? そもそもおまえ達のことが噂になるぐらいには滞在していたんだろう? その間、ここを離れなかったのか?」

 

「僕達もずっと見張っていたわけじゃないが、見てる間に離れたことはないな」

 

「母は強しと言いまして、特にリオレイアは遠く離れた巣からタマゴが奪われたことを察知してきます。特に暫定黒幕さんが来ていたはずですし、余計に神経質になっているかもしれません」

 

「余計なことばかりしやがって……」

 

 

巣に侵入されたことに気づいて、より警戒を強めているのだ。こっそり情報のみを回収するのも至難の業だろう。

 

 

「ウホッ、それで戦うのは……」

 

「無理とは言いませんけど、あの中身が潰されていいものかわかりませんからね」

 

「どうにかしてあそこから動かせれば……」

 

 

この場で戦ったら、モンスターの巣だけではない。情報だってどうなるかわからない。どうにかあそこから移動させてそのうちに回収できればいいのだが。

 

 

「ぼくたちでこっそり取ってこようか? リュックに入れられそうな大きさだし」

 

 

そこでバンジョーが立候補する。荒れた岩肌を歩くのも慣れているし、何よりカズーイとのコンビがあるので、カバーもしやすいのではという判断だった。

 

 

「誰がいくにせよ囮は必要だろ? 近づけばどう動いても見つかる」

 

「うーん、危険は違いないですが、シャド()、お願いできますか?」

 

「…………コクリ」「ああ」

 

「あ、待ってくださいあなたは」

 

 

バンジョー達のために囮をお願いしようと、パルテナがあげたのは1番すばしっこいシャドウだった。それを受けて屈んでいた状態から飛び出す。

そう、シャド()とシャド()カービィが。

 

 

「グウウウゥゥ……」

 

「あ、あいつ……!」

 

 

そうこの2人、音はほとんど同じなのだ。

何を考えているかわからないシャドーの方が自分だと勘違いしてしまった。パルテナ以外は少し遅れて気がついた。時すでに遅しで完全に2人をロックオンしているが。

 

 

「どうすんのよこれ……」

 

「……大丈夫です。いざとなれば伸ばさない方が乗せて逃げ帰れますよ、バンジョー、カズーイ、無理はしないように」

 

「うん」

 

 

一定の距離を保ちながら、巣を中心に回り込む2つの影。卵を体の下に隠したリオレイアの首はそれを追う。隠れていた場所から完全に顔が背けた時、バンジョーが動き始めた。

 

 

「頼むぞ、バンジョー、カズーイ」

 

「ヘマするなよ……」

 

 

ボソボソと小声で会話しながら、見守る。

シャドウとシャドーカービィの距離も空けながら、さらに注意を散漫にさせる。リオレイアは完全にそちらを敵として認知しており、少し近づいて巣から離した。

足元に転がっている骨に気をつけながら、バンジョーは距離を詰めていく。カズーイがこっそりと警告しているので踏まなくて済むようだ。

 

 

「よし、これなら」

 

「頼む、クロムそういうこというな」

 

 

順調に進んでいく姿にクロムがガッツポーズをする。ついに手が届く距離となって、事件が起こる。

 

 

「おい、バンジョー尻尾が」

 

 

影の2人が慌てて、待機組も異変に気づいた。尻尾を左に振りかぶっている。威嚇のつもりで大きく動かしているがそのまま薙ぎ払ってしまえば、バンジョーは打ち飛ばされてしまう。

とはいえ、待機組が大声を上げるわけにはいかなかった。冷や汗とともに見守るしかない。

あの緑のタマゴモドキに手を伸ばしているバンジョーは気づいている様子はない。

 

 

「(バンジョー……!!)」

 

 

振り回されて、左から右へ薙ぎ払われた尻尾はしゃがんだバンジョーの頭上を掠めていった。リュックからカズーイが顔を出しているので、ギリギリになってカズーイが気づいたらしい。

全員が安堵の息を吐く。

 

 

「ウホッ、あっぶなかった……」

 

 

同じアニマルのドンキーコングが思わずそう口に出した。

 

バンジョーがこちらに顔を向けてサムズアップをする。自分は大丈夫だと伝えるために。

右足だけを後ろに引き…… そして綺麗に骨を踏み抜いた。

 

 

『あっ』

 

 

全員が同じ2文字を放った。

 

 

「グオオオオオオオォォ!」

 

「うわっ!」

 

 

今度は敵意を込めて振り回された尾に、バンジョーは強かに打ちつけられ、高台から落下する。

 

 

「くっそ、結局こうなるか!」

 

「わかりやすくはあるが、手間でもあるか」

 

「バンジョーたちも助けないと!」

 

「ああ、あの緑色のタマゴを守りながら討伐する!!」

 

 

待機組もパルテナ以外飛び出した。

しゃがんでいた彼女はゆっくりと立ち上がる。

 

 

「今から考えてみれば、このメンバーは脳筋ばかりですし、こうなるのも当然だったかもしれません」

 

 

仕方あるまい。

採取クエストが討伐クエストになってしまったが。

 





○タイトル
MH4での採取クエスト群。Gがついたら更にもう一つ追加された。
クエストによって、違う種族のタマゴを要求される。
名前だけみるとなんてことはないが、依頼人は卵シンジケートなる組織に所属していて、不用意に正体をバラすと刺客を送り込まれたりロケットで飛ばされたりするそうな。
また高難易度になると、大型モンスターが配置されるようになったりとカプコンの性格が見え隠れしている。


○おドールでポン
新・光神話パルテナの鏡のコレクション要素。スマブラのフィギュアシステムみたいに3Dモデルをじっくり鑑賞できるようになる。
ストーリーを進めたり、ゲームコインを使うことでタマゴが入手でき、器に入れて打ち上げるとおドールを手に入れることができる。
ちなみに落としたりすると、割れてタマゴがなくなるので注意。


○リオレイア
陸の女王の異名を持つ雌火竜。スマブラにも登場するリオレウスは同じリオ種であり性別違い。つまりは同種の雌個体である。
子育てが間近になると、巣や卵に関して過敏になり、作品によってはハンターが卵を抱えたことを遠距離から察知して飛んでくる。
登場させた経緯としましては、リオレウスと戦ったんだからレイアとも戦わなくちゃといった軽い理由です。


○シャドウとシャドー
音にすると分別つかない。シャドーくんお茶目ですね。


○一ヶ月の間にあったかもしれない小話
「ついに来たよ、ゼノブレイド3!」
「随分とはやくきましたね!」
「もっとかかるイメージだったわね!」
「だんだんノッてきたよおおおおおおお!」
「ちょっとおおお! シュルク戦闘時なみにうるさいし! ゼノブレイドは2022年発売ゲームでもまだまだシタッパ?なんだからね! カービィにしか偉い顔できないんだから!」
「インクリング、あんた発売順でヒエラルキーつくってんの?」
「( ゚∀゚)アハハハ八八八ノ ヽノ ヽノ ヽ/ \/ \/ \」
「うっさあああい!!!」
「あの、インクリングちゃんも……」


○作者からのコメント
ゼノブレイド 3を始めたけど風花無双を遊びきれてなくて、中途半端になっている作者です。
最近ふとカービィやりたくなりまして、初カービィだったドロッチェ団を出して遊びました。カービィシリーズで1番簡単とも呼ばれているドロッチェ団ですが、ゲーム初心者だった当時はこれでも死ぬほど大変だったんですよね。アクションゲームという括りなら初でしたし。
それが今ではほんの数時間で100%…… 時の流れを感じます。
まあ、こんな背景があるのですが、読者の皆さまにも色々聞いてみたいなと思いまして、不定期でアンケートを取り始めようかなと考えてます。
こういう人が多いんだみたいなことに興味があるだけで、それ以上何がある訳でもないので、よければ気楽に答えてください。

はじめて遊んだカービィシリーズは?

  • GB、FC(初代・夢の泉・2)
  • SFC、64(SDX・3・64)
  • GBA、DS(鏡の大迷宮・ドロッチェ団)
  • Wii、3DS(Wii・TDX・ロボボ)
  • Switch(スタアラ・ディスカバリー)
  • 実は外伝作品とかリメイクから
  • 遊んだことない
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