大乱闘スマッシュブラザーズ Histoire Artificielle   作:蘭沙

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46話 灯りさす火を求むれど射干玉の

 

密かに情報を回収することは完全に諦めた、押せ押せなファイター達。

情報が入っているだろうカプセルを巻き込まないことだけを注意する以外は普通の戦いと変わらない。

 

 

「もう、仕方ありませんね。ほらほら、キビキビ働く働く〜」

 

「わかったわかった」

 

 

適当にかわすシャドウの背中を押して、オート照準の奇跡で光弾を浴びせる。

ああ、そういえば、弾丸によるダメージは薄いかもしれないが魔法にも近い奇跡や神器の攻撃が効くかどうかは不明なのだ。

ブラックピットはそれを早めに効かないと考えたが、本当はそんなこともないかもしれない。

ただ効かないからといって慣れない肉弾戦をするよりは、今まで通りの戦いもしくは支援に徹するべきであろう。

 

 

「グギュオオオオ!」

 

「っ!」

 

 

ぐるりと360度回転するように、尾で薙ぎ払う。素早く動けなかったブラックピットとガノンドロフがぶっ飛ばされる。

 

 

「おねがい、カズーイ!」

 

「わかってるわ!」

 

 

タマゴミサイルを一発撃ち、カズーイを抱えてタマゴばきゅーんで移動しながら撃ち続ける。

しかし、タマゴを守っているリオレイアにタマゴで攻撃するとは一種の嫌味か何かか?

 

 

「………………ぷっ」

 

「…………」

 

「す、すみません……フフッ……くだらないことを考えました……くくっ」

 

 

変なことを考えてしまい、思わず吹き出してしまったパルテナを、シャドーカービィが呆れた目で見つめている。だが、すぐに仕切り直し、エネルギーの弾を生み出す。

 

 

「ウオオオオオオッ!!」

 

「オート弱点照準!」

 

「…………!!」

 

 

翼の付け根を殴るドンキーコング。飛ぼうとしたリオレイアを妨害し、奇跡の力を宿したシャドーカービィのエネルギー弾が通る。

彼自身が何をするでもなく、弱点の頭部に攻撃がぶつかった。攻撃を振り払うようにかぶりを振った。

 

 

「女神! 奇跡を寄越せ!」

 

「まったく、神使いの荒い人ですね…… テレポート!」

 

「……のッ!!」

 

 

ブラックピットが巨塔でのため射撃を遅れて撃つ中、足の遅いガノンドロフをサポートするため、パルテナが瞬間移動をさせる。突然場所の変わった敵には、かの雌火竜も対処できない。

 

 

ドゴォッ!!!

 

 

大振りに振るわれた大剣が真上から頭部に叩きつけられた。非常に鈍い音が響き、アギトの角のようにも見える突起がポッキリ折れ、頭部の鱗が所々弾き飛んだ。

 

 

「ふんっ」

 

「まって! ここから、危険!!」

 

 

目に見える大きなダメージに不敵な笑みを浮かべるガノンドロフに注意の声がかかる。

ドンキーコングは知っていた。理性なき猛獣は追い込まれた時こそ1番の底力を発揮すると。

 

 

「グオオオオオオオオオォォォォォォッ!!」

 

「ぬうぅぅッ!」

 

「くっ……!」

 

 

一際響く咆哮が。

揺れ続ける空気の振動が。

奮い立つ生命の衝動が。

巨大な弾を打ち消し、空にいた魔王を吹き飛ばし、無意識に片足を引かせた。

 

唾液を垂れ流した口から更なる火炎球。何かに燃え移ることも考慮せず、自分以外の全てを倒すためにマシンガンのごとく撃ち続ける弾幕。

 

 

「反射ばっ……!」

 

「ぎゃあ!」

 

「くっそ! 跳ね返してもまともなダメージにならねえ!」

 

 

パルテナは奇跡が間に合わずに直撃し、

踏み潰されたダメージの大きいクロムはせめてもの防御もあまり役立たず、地に背中をつく。

唯一避けられたシャドウは苦虫を潰し、

バンジョー、カズーイ共に避けきれずにぶつかる。

ドンキーコングの腕を掠め、

宙に投げ出されたガノンドロフは狙い撃たれ、

シャドーカービィのエスパー能力は吐き出される。

ブラックピットは跳ね返しても耐性故にまともなダメージにならない状況に腹が立っていた。

 

 

「けほっ……これじゃヤキトリ……一撃当てられてもお返しに一撃当てられるんだったら勝つ前に負けるわよ……!」

 

「どうしよ〜……」

 

 

バンジョーの返答は間延びしたいつもの調子だったが、確かに焦りの感情が込められていた。

連携でなんとか一撃を加えて、それでもお釣りで反撃されてしまったら、タフネスで劣るこちらが先に負ける。とはいえ、戦況を大きく変えるような何かは──

 

 

「…………」

 

「……使う気ですか?」

 

「見られないことを祈る」

 

 

シャドウがしようとしていることを、パルテナは認知していた。

カオスコントロール。周囲の時の流れを遅くする技。大乱闘でアシストフィギュアとしても行使される技だ。その威力は身を持って味わっている。

しかし、強力な力であるからこそ、規模も大きく現地の人間に認知されやすい。

 

 

「仕方ありませんね。できる限り短くいきましょう。クロム、一撃だけ持たせてください」

 

「……ふぅ……ああ、やってみせる……!」

 

 

回復の奇跡で気力を回復させ、再び立ち上がらせる。属性の関係により、彼の攻撃が1番効く。

 

 

「だが、情報はどうするんだ? 未だ潰されていないのは奇跡だろう」

 

 

ただどれだけ戦略を練っても、最終的な目標はタマゴに紛れた情報カプセルの奪取。

倒したはいいが、潰されてしました。

倒したはいいが、巻き込んでしまいました。

それでは何の意味もない。

 

 

「立て続けにいきましょう。持ち出すまではいかなくても巻き込まれにくい場所に移動させるんです」

 

「あの竜の足止めをすれば……」

 

「大丈夫ですよ、ちょっとあなたが頑張るだけです」

 

「そ、そうか……」

 

「かくかくしかじかまるまるうまうまペケペケ」

 

「なにもわからん……」

 

 

パルテナの作戦。

いつもほのかに笑っているイメージのパルテナだが、この瞬間はほのかなしたり顔に見えた。

 

 

「というわけなので、ブラピとドンキーコングとガノンドロフは適当に攻撃を加えておいてください」

 

「なにがというわけだ!!」

 

「内容が微塵も解せん」

 

「まかせて!」

 

 

三者三様の反応を示す。

かくかくしかじかで全部わかったら苦労しない。適当に攻撃ってなんだ。

 

 

「どういうことだ」

 

「女神がおちゃらけたままってことは、さほど真面目じゃなくてもどうにかできるってことなんだろ」

 

 

しぶしぶという形ではありながらも、ブラックピットは従う。適当に攻撃ということは撹乱ではないだろうか。そう考えた彼はダメージ度外視で神弓シルバーリップに持ち替える。

連射性能とスピードのバランスの取れる方がいい。ムーンサルトを避け、股下をくぐりながら腹部に連射を撃ち込む。空中にいる奴にジャイアントパンチを撃とうとしたドンキーコングが翼で弾き飛ばされた。

 

 

「しかし、この面子で撹乱って…… なに考えてんだか……」

 

 

ブラックピット以外はパワーファイターだ。攻撃速度はそこまででもない。他のメンバーが必要不可欠ということなのか。

 

 

「ふんっ」

 

「グウゥゥ」

 

 

片足をガノンドロフが斬りつけたことで、リオレイアが地に足をつける。双眼が魔王へと動いた。

──この瞬間だけを待っていたのだ。

 

 

「爆炎!!」

 

「グゴオオオオッ!?」

 

 

巨大な爆発がリオレイアの頭部を直撃する。

炎熱の耐性を度外視した威力だけを気にした攻撃。パルテナから完全に意識が逸れるタイミングを待っていた。

 

 

「今です、シャドウ!」

 

「カオスコントロール!」

 

「お、おい!」

 

 

瞬間、爆発にうめいていたリオレイアの挙動が鈍足になる。時空が歪み、リオレイアだけを含めた周囲の時の流れが遅くなる。

周りから見れば、明らかな異常となるそれを使っていいのかという困惑に答えている暇はない。

 

 

「うおおおおおお!!」

 

 

カオスコントロールの影響下から外されているクロムが飛び出す。頭部を通り過ぎ、狙うは尾。

 

 

「これで、どうだッ!!」

 

 

気合だめの奇跡を付与され、火力を可能な限り上げた一閃が、毒のある尻尾を根本から斬り落としていた。

 

 

「グ、ゴ、オオ、オオ、ォォ!?」

 

 

神竜ナーガの牙は、異郷の竜をも殺す威力を持っていた。時の流れが遅いからこそ、より低く聞こえる咆哮。

 

 

「それじゃ、叩き込むわよ!」

 

「…………!」

 

 

カズーイがバンジョーと共におケツタマゴのばくだんエッグを、ボム能力を得ていたシャドーカービィがばくだんを雨の如く放り投げる。

まるで、巣の中にばくだんが産み落とされたように。

 

 

「──解除」

 

「ウガアアアアアッ──!!」

 

 

時の流れが正常に戻り、数多の爆発の衝撃がほぼ一度にリオレイアを襲った。

その最期に断末魔を上げ、己の運命を嘆くように天に咆哮し、そして、沈黙し倒れ伏した。

 

 

「お、おい! これだとあのカプセルは!」

 

「あ、それについては問題ないです」

 

「ちゃんと回収しておいたぞ」

 

 

ばくだん祭りに巻き込まれたであろうカプセルの所在を危惧するが、それは尻尾を斬り落としたクロムがしっかりと回収していた。

筋力のあるクロムでも少し重そうだ。

 

 

「ウホッ! クロム、すごい!」

 

「ありがとう、だが……」

 

 

少し俯いた目を巣の方角に向ける。

母竜も、生まれなかった子供達も、自分達が手にかけてしまった。黒く焦げた巣に撒き散らされた、タマゴの殻が鋭く尖って見える。

 

 

「ふん、なにを今更。例え子が残っていても、親が死ねば長くない命だ。それを是としないならば早く気づくべきだったな」

 

 

尖った言い方だが、正論だった。

そのガノンドロフからカプセルを奪い取られる時もあまり抵抗できなかった。

 

 

「ふんっ」

 

 

大剣の柄で、タマゴの頂きにヒビを入れると、強引に殻を剥いでいく。

 

 

「さて、いったいなにが……」

 

 

頭から剥がされたタマゴ型のカプセル。その中にあったものとは。

 

 

「……これは」

 





○タイトル
MH4Gに登場するストーリー限定クエスト。
リオレイアの捕獲が目標なのだが、看板モンスターやメインモンスターが突然乱入してくる、俗に言うトラウマクエスト。
セルレギオスが乱入してくるのだが、この近辺に見られないとのことなので退却が命じられ、強制的にクエスト失敗になってしまう。
歴戦のハンター達はこうした乱入してくる奴らを倒そうとするみたいな血気盛んさを見せるのだが、このクエストは戦わせてくれすらしない。

射干玉(ぬばたま)はヒオウギの実のことで、夜や闇などにかかる枕詞。そういえば五七五になっている。


○オート弱点照準の奇跡
スマブラでもおなじみオート照準は、狙いをつけずとも自動的に狙いをつけてくれる奇跡。
だが、オート弱点照準は敵の弱点に狙いをつけてくれる奇跡。こちらの方が強い分、よりコストがかかる。


○カオスコントロール
スマブラでもアシストフィギュアで使ってくれるシャドウの技。解説は本編通り。
『カオスコントロールはカオスエメラルドを持っていないと使えない』と公式で明言されているはずだが、シリーズ内では何回かカオスコントロールを使用している。
スマブラでは、SPからカオスエメラルドを使用しているが、逆に言えばそれまで使用しているようには見えない。
ということなので、伝家の宝刀『明言しない』を使用しています。もしかしたら手に持っていないだけで持ち運んでいるのかもしれません。


○ボム
カービィのコピー能力。スーパーデラックスで初登場。元はソードのリンクモチーフの帽子を水色にしたかのようなデザインだったが、Wiiから三角のパーティハットのようなデザインへ。
その名の通りバクダンを投げて攻撃する能力で、仕掛けたりボウリングしたり割と多彩。
ディスカバリーでは、バクダンに浮き輪をつけることで水上でも使用可能という一芸を見せる。


○作者からのコメント
なんか今週は色々ありすぎて落ち着きません。
・ポケモンSV新情報
・スプラトゥーン3新情報
・グルメフェス発売日決定
・アニメカービィBlu-ray化決定
あとなんかキングオブファイターも新作出るとか出ないとかだし、もう追いつかない。やべー年だぜ、2022……
一つ一つ説明していくと、ウパーのリージョンフォームという2世代を攻められているところから若干の不安を覚え(ランターン未だ未内定)、インテリア要素やコーディネートの登録等遊びやすくなってる3作目に興奮し、Blu-ray化に撃沈しました。ゼノブレイド3も実は佳境で今週は興奮しっぱなしです。
誰か助けて。

ぶっちゃけなにが1番楽しみ?

  • ポケモンSV
  • スプラトゥーン3
  • カービィのグルメフェス
  • アニメ星のカービィBlu-ray
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