大乱闘スマッシュブラザーズ Histoire Artificielle   作:蘭沙

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47話 英雄の証

 

 

「……これは」

 

 

カプセルをこじ開け、目に映る中身。それは。

 

 

ちょっと遅れるよ! (^人^)必ず教えに行くからほんの少しだけ待っててね! ルネより

 

 

こんな置き手紙だった。

 

 

「「ふっざけんなぁあー!!!」」

 

 

鳴り響く怒号。翼を持つ者達のためた怒りが遂に爆発した。

 

 

「これだけやっておいて!? なんなんだコレは! 普通何かはあるもんだろ!!」

 

「俺たちはおちょくられてたのか……!? くっ、よく調べれば中身はほとんど重りじゃないか!」

 

「…………流石の僕も怒りを抑えきれない。それとも容易に信じた僕達が愚かだったか」

 

 

もはやどんな気持ちでこれからどうすればいいのかわからない。少なからず怒りで視野が狭くなっている中、のほほんとバンジョーだけは紙を両手で持って言った。

 

 

「このルネって人がシャドウとシャドーに会いにきた人かな?」

 

「うん、そーだよ。名前のややこしい影影コンビに会った会った」

 

「あー、そうね。じゃあなんでこんな回りくどいことする必要があったのよ」

 

「だって、パパッと教えてもらうだけじゃ盟友が退屈で死んじゃうよ。面白くもないし試練的な何かがあった方がいいでしょ」

 

「否定はしませんが、当事者からすると酷いの一言ですね。──それで、あなたがルネですか?」

 

「あったりー」

 

『……えっ?』

 

 

あまりにも自然に入り込むから、しばらく流していた。聞いたことがあるようでない声に気づいたのはパルテナが話しかけてからだった。

 

 

「なっ……! 貴様、何者だ!!」

 

「だからルネだって。おじいちゃん、さっき言ったでしょ? 痴呆の気?」

 

「年寄り扱いするな……!」

 

「その姿は…… まさか!」

 

 

大魔王をもおちょくる人物の姿は。剣の一振りをかわし大きく距離を取るその姿は。

瞳の色こそ赤色に変わっているものの、クラウドそのものだったのだ。

 

 

「あ、うん。クロムとははじめましてじゃないね」

 

「イーリスで襲ってきたのはお前だったのか!」

 

 

シャドウとシャドーカービィの前に現れた人物。クロムを襲った人物。

それらは全てこのルネという人間の仕業だったのだ。

 

 

「どうどう。僕は戦いにきたんじゃないよ。色々教えにきたんだってば。本当はさ、ここにはあの目立ちたがり屋…… 同志というか仲間というかそういう奴の1人がここの担当だったんだけどさ。アイツサボったし」

 

「……他に誰が」

 

「でもさ、僕も()()()()()用意しなきゃいけなかったし、ちょっとプププランド水没させなきゃいけなかったし」

 

「……!!」

 

「その他諸々もあったしで、プライベートと自分の仕事両立しながらサボり魔のカバーとか無理無理。だからまああんな回りくどい方法になったのは許してちょー」

 

 

プププランドを水没?

こいつが? こんな底知れない男が?

でも本当ならば。

シャドーカービィは誰よりもはやく警戒を強める。自分の本体は、彼の住まう世界は無事だろうか?

 

 

「お前達の目的はなんだ。どうしてクラウドの姿なんだ。そして、なにをしようとしている」

 

「自由に質問していいよ、ってわけじゃないんだけど」

 

 

ま、いいかとあっけらかんと笑う。

クラウドと同じ顔だというのに、別人なのは表情で簡単にわかる。

 

 

「僕達はあれ、キラダズが残したボディに取り付きました。以上」

 

「以上って……!」

 

「しゃーないでしょ! 君達にとっては初めて聞いたことでも僕や盟友にとっては4度目なの!!」

 

「なんなんだその具体的な数字は……」

 

 

ぷくーと頬を膨れさせるその仕草は親しみやすさが含まれるも、何かが心を許すことを拒否している。

絶句し、呆れ、それでもどうしてここまでの忌避感を感じるのか上手く言葉にできない。

 

 

「それで目的だけどさ、彼らは安定が欲しいのさ。彼らは自分だけの姿体が欲しかった。キラダズが残したボディはいい条件だったよ」

 

「ですが、ファイターである私達を元にしてつくられたものである以上、当時のスピリットと同じようにフィギュア化するまでの肉体でしょう」

 

「ま、そうなんだけどさ、別に君達が生まれついてそうって訳じゃないでしょ? マスターハンドが定めた世界の理だ。その理を掌握してしまえば、停止させてしまうのは容易い」

 

 

片腕を伸ばし、完全に捕らえたと語るように何もない場所に握りしめる。それでも、確実に奴らが捕まえているのだ。

 

 

「なぜそれが僕達がここにいること、そして彼を襲ったことにつながる?」

 

「人の話最後まで聞きなよせっかちさん。そんな訳でフィギュア化のルール等、大乱闘の世界の理は完全に掌握したから、例えあの世界に戻ってもフィギュア化による死亡回避はできやしない」

 

「私達が離れている時にそんなことが起きていたのですか……」

 

「ただ掌握はできても肝心のマスターハンドには逃げられた。彼を滅ぼさない限り、体を失う可能性は消すことはできない。」

 

「……なんとなく見えてきましたね」

 

「どこかのファイターの元に逃げるって言ってたから、とりあえずスマッシュブラザーズを調べるか襲ってフィギュア化するなりファイターの力を使えばソイツの元にマスターハンドがいるってこと。つまり、彼らの目的はマスターハンドの抹殺

 

「要するにあの創造主を消すために探しているのだろう、そして戦いやすくするために我らを散り散りにした」

 

「ピンポーン! 他のみんなもこんな風にどっかの世界で襲われてると思うよ、まあ大乱闘の世界にとどまってる人たちは、そこにそのままいるだろうけど」

 

「ウホッ、じゃあマスターハンド、オレの中にもいるかも?」

 

「あ、君は違うよ。ある程度は()()()裏技を使って調べてたから。ただそれでも見つからないからある程度の範囲外にいるんだろうね…………まあマスターハンドにあの子を薦めたのは僕だけど」

 

「は?」

 

「えっとだから、逃げるならあの子がおすすめだって、僕がマスターハンドに薦めたんだって」

 

「お前の所為かよ!」

 

 

さらりと重要なことを語るルネ。

怪訝に思ったゆえに踏み込むのはカズーイだった。

 

 

「で? あんたの目的はなによ」

 

「さっき言ったじゃん」

 

「ふん、それはあくまでお前の所属している組織の目的であってお前の目的ではない」

 

「ま、意外に聡いしわかるか」

 

「えっ、どういうこと?」

 

 

ドンキーコングが驚いている。頭が切れる面々は既に気づいているのだ。

 

 

「俺たち全員ではなく、クロムのみを襲った理由が不透明だ。それは組織の目的には繋がらない」

 

「僕達の前に現れたのも、わざとらしくこんな問答の時間をつくっているのも、さっき言ったマスターハンドと関わっていたのも、全体の目的にはつながらない。個人を襲ったり、かと思えば手詰まりになりかねない僕達に手を貸すように動いたり。結局君はどっちの味方なんだ」

 

 

どっちつかずに双方に手を差し伸べるような真似をして、彼はなにをしたいのか。

 

 

「僕個人の裁量で動く行動は全て盟友のためだよ。それ以上でも以下でもない」

 

「盟友?」

 

「そう、盟友。限りなく側にいて、とても遠くにいる」

 

「……何言ってんだコイツ?」

 

 

ルネの語る、盟友なる人物。

全ては盟友のためという圧倒的な個人的欲望。

確かに敵の組織は一枚岩ではなかったが、それでもまだルネの目的は不透明だ。なんせ盟友がどのような人物かすらわからないのだから。

 

 

「盟友さんのお名前! 気になりますね、教えてもらえませんか? 絶対誰にも言いませんから〜♪」

 

「君は核心つき過ぎてちょっと不満だから却下」

 

「え〜…… その核心も気になりますね」

 

「ふふっ、まあ君ならいずれわかるかも? でも、今はここまでにしようか。タイムオーバーだ」

 

「……!!」

 

 

シャドーカービィが1番に気づく。こちらに迫る数人の足音。軽めのそれは人間のもの。

やはり大きな力を行使するのを、誰かに気づかれてしまったのか、それともただの偶然か。

 

 

「という訳で、さいなら」

 

「……待てッ!」

 

 

別れを告げながら後ろに下がるルネに、捕らえんとかなりの速度でシャドウのキックが迫る。

 

 

「ふああ…… いくら速くてもどのタイミングどんな速度でどこにくるかわかってれば防ぐのは簡単でしょ」

 

「何!?」

 

 

しかし、簡単に大剣で受け止めてしまった。欠伸までしながら。逆に弾き飛ばす。

 

 

「そーれじゃっ、 ここから離れるのをお勧めするよー」

 

 

それだけを言い残すと、彼は一瞬の間に消えてしまった。そして、

 

 

「確かこの辺りで何か変なものが……」

 

「しまった! ここの人間か!」

 

「……もうここに残る理由はありません。撤退します!」

 

 

こちらへまっすぐくる原住民に対し、パルテナは大乱闘の世界へ戻ることを告げる。

 

 

「「ええ!?」」

 

「おい待て、そんないきなり」

 

 

ブラックピット、

バンジョー、カズーイ、

クロム、

ガノンドロフ、ドンキーコング、

シャドウ、シャドーカービィ、

 

全員いる。

 

 

「行きます!」

 

 

そこには雌火竜の骸と光を知らずに死んでいったタマゴ達が残される。

 

その世界の行く末を、ファイター達の誰も知らない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

女神サマ、

君は、君達は気づいているのかな?

この、視線に。

 





○タイトル
初代モンスターハンターのメインテーマ兼エンディング曲。今となってはモンスターハンターシリーズを代表するテーマ曲。言ってしまえばカービィのグリーングリーンズやドラクエの序曲みたいな扱い。
多くのアレンジ曲やフレーズの入った曲もあり、モンスターハンターを遊んでいなくても知っているという方も多いだろう。


○現在の情報まとめ
・この事件の黒幕はキーラ、ダーズの生み出したボディを自分の肉体として再利用した集団である。
・既にファイターとしてのバランス調整やフィギュア化のシステムは停止済み。黒幕側がフィギュア化による分離を防ぐために、現在はマスターハンドを探し、抹殺を目論んでいる。
・そのために各々の世界から大乱闘の世界に帰る時点で、なんらかの方法で別々の世界へたどり着かせている。
・一部ファイターはルネ曰く裏技を使用して調査済み。
・ルネには、集団とは別の個人的な目的がある模様。

抜けがあったらこっそり追加しておきます……


○今章の裏話
最初の想定では、アオアシラとリオレイアの間にもう一戦モンスターとの戦闘を入れるつもりでした。そもそも今章が戦闘特化の章にするつもりだったんです。
ただ、モンスターハンターほぼ未プレイの状態でしっかり書くのは無理がありました。
文字の資料はあるんですが、視覚的な資料が中々ないんですよね。孤島がどんな場所なのか、通常種のリオレイアがどんな動きをするのかわからず、途中から諦めて捏造も入っています。なので歴戦のハンター様達から石投げられないかなと不安になってます。
どっかで書いた気がするんですが、私移動しながらカメラ移動したい派なんですよね。キーコンフィグ弄ればどうにかなるんですかね?

その他、プププランドの章でコピー能力が使えなかった反動が今章にきてるとか、当初は別にルネが実際に登場することはなかったとか非常に細かい裏話はあります。
一番の裏話は舞台をモンスターハンターにした理由です。リオレウスと戦ったんだからリオレイアとも戦うべきやろという浅い理由ですが。
あと今章に限ったことじゃありませんが、悪役の立ち回りが難しい……


○一ヶ月の間にあったかもしれない小話
「うー… 日本のホラーはジメジメしてるんだよな… ガキ達の口車に乗せられるじゃなかったぜ…」

ゴロゴロ…

「ん? なんだこの青いボール? どっかで見たことあるような…」
「やあ!」
「アバっ!? ババババ… ロック、マン、首、首、」
「外れるんだ、これ」
「ギャアアアァァァ!!!?」

「はっ!? 夢か」
「ケン、うるさい」


○作者の気まぐれコメント
ゼノブレイド 3クリアしました。そこそこ寄り道して大体85時間。
なんというか、こういうエンドになるんだねといった感想です。
しかし、クラスをタイプ分けしたことでパーティ編成はやりやすくなったし、戦闘システムはとても遊びやすくなってるしでシステム面に文句のつけどころなしです。
そのうち活動報告にネタバレありの感想を投げるかもしれません。
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