大乱闘スマッシュブラザーズ Histoire Artificielle 作:蘭沙
48話 すばらしきこのせかい
地球は丸くて、青くて…
まあ、そうかもしれないね。
でもそうじゃないかもしれない。
そうに決まってるだろって?
君達宇宙飛行士にでもなりたいのかい?
別になんでも構やしないさ。そうかもしれない、だからね。そう、なんでもいいのさ。大多数の人にはね。
仮に君達は一室の部屋しか行動できないとしよう。更に君達は外に出たことがないし、知り合いもいない。外という存在を知っているだけ。
ほら、どうでもいいだろう? 行こうとも思わない場所がどうなっていたって変わらないのさ。
今この瞬間に地球の裏側では誰かが死んでいるかもしれないけれど、それを知ったところで君達は右行く道を左に曲がる?
知らないところで知らない人に何があったって毛ほどの影響もないよ。
星に篭る人にとっては地球が四角かったって平面だったってどうでもいいさ。
例え、君達の住む街がフィギュア用のプラスチックだったとしても満足に生きていられればそれ以上を望まないさ。
まあ、今までの例は、全てどうでもいい存在に対するアンサーなんだけど。
人の後ろ姿。長い金髪の誰かが目の前にいる。
驚くほどに他の風景や音は微塵も頭に入ってこない。
あなたは誰ですか。
自分が発したはずの声は音にもならなかった。
まるで音という概念が全てなくなってしまったかのように。
この焦燥感の正体はなんなのだ。
どうしてこうも焦りが生まれるのだろうか。
……! 振り向く……?
その誰かがこちらへ向く。
だが、間近に顔を確認することはできなかった。確認する前に、引力のようななにかの力によって引き離されたのだ。
駄目っ……!!
それによって何かをなくしたような気がして、手を伸ばす。
なにをなくしたのかもわからないくせに。
その空は自分の世界のそれとは似ても似つかわない、不安感を感じさせる朱色だった。
天を恨み、憎んだところでなにも変わらない。
それはわかっているのだ。だが、目にしただけでわかる大きな異変が、その正反対の空の色なのだ。
「プリッ」
「ん、どうしたの?」
「マルスー!」
「少しいいか?」
空を見上げていた青年マルスが何かに気付いた足元のプリンに習い、2人の友の声に視線を下げる。自分を呼んでいたのはピット、そしてパワードスーツを脱いでいるサムスだった。
「どうしたの?」
「南の方が少々手つかずだから捜索に乗り出そうと思ってな」
「それはありがたいんだけど…… 大丈夫? 君達2人働きっぱなしじゃないか」
その体調を心配する。なんせこの2人はこの世界であってからあちこちへ足を運んで、同じように迷い込んだ人々をここに集めている。
マルスには不安を抱える人々を導き寄り添ってほしいという思いからであったが、その所為でピットとサムスに負担がかかっている。
「だいじょーぶだいじょーぶ! 2人だからなんとかなるし!」
適材適所と言えば聞こえはいいが、それを任せられる人材が少ないのだ。
「わかった。でも無理はしないで、すぐに戻ってきてね」
「わかっている」
マルスには2人を送るしかない。
最初はスマッシュブラザーズでなんとか解決しようと思っていたが、そろそろ限界だった。
「プリィ……」
「ねえ、プリン。少しいいかい? クリスを呼んできてくれないかな。頼みたいことがあるんだ」
「プリ?」
その瞼はとても久しぶりに開いたような重さを感じて、やたらと体がだるかった。
「……んっ……ぅっ……」
単語にもならない声が喉から漏れ、なんとか体を起こした。
「あっ、起きたかい?」
「えっと…… あなたは……」
少しぼうっとした視界で、呼びかけた声の主を確認する。その剣を、その魂を、私は知っている。
「リン……ク……?」
「んー…… 間違ってはないけどさ。君の知ってるリンクとは別人なんだよね」
立てる? という声に従って差し伸ばされた手を掴む。体を動かしたことでようやく意識が完全に覚醒した。
「あなたはもしかして……」
「僕はリンク。でも君の知るリンクじゃないよ。君も、僕のよく知る姫さんじゃないけど」
素朴な笑顔が逆に神聖なものに感じる。緑の帽子と緑の服を着込んだ、リンクという名は。
トライフォースを使用し、闇の世界とそれに伴う犠牲を消した勇者。
「……そうですよねっ!! あなたは違う時間のハイラルの勇者!! 間違いありません! 色々と聞きたいことがあるんです!」
「ええっ!? えと…… 後でいいかな?」
グイッと顔を近づけてくる少女。
彼女はゼルダ姫。ハイラルの英傑を導き厄災ガノンを封印した少女。ボロボロのまま100年もの間戦い続けていた彼女も、今は動きやすさを重視した綺麗な服に身を包み、金糸は短く切り揃えられている。
研究者としての素を取り戻した少女は少々周りが見えなくなることがある。頬の紅潮がはっきりとわかるほど接近されて、リンクはタジタジした。両手を使って距離が近いとジェスチャーで促す。それに気づいたゼルダは、はっとしてすぐに離れた。
「ごめんなさい! 私ったらつい……」
「あー、大丈夫。ちょっと驚いただけだし。僕達、ここで一緒に倒れてたんだけど何か覚えてない?」
「倒れて……? どうして」
今が初対面の人と同じ場所にどうして倒れていたのだろう。ゼルダは記憶を遡っていく。
確か大乱闘の世界を通じて別の世界の文明や文化を調査しようと、リンクを置いて先に向かったのだ。そこから確か。
「金色の長髪の方を見て。そうしたら気を失った…… といったところでしょうか」
「……大体、僕と一緒だね」
「そうなのですか!?」
ここに共通点があった。
気を失う直前に見た謎の人物。それがなにかあるに違いない。
「その方が何か知っているのでしょうか? この辺りにいるのでしょうか……」
「いる……かもしれない……けど」
「けど?」
「そもそもここは……」
「……! これは一体……!」
ゼルダの目に入ったのは、朱色の明らかに異様な色の空。意識を飛ばしていた間になにが起きたというのだ。
赤い月の日とも違う。あれが恐怖ならこちらは異質。嫌いな食べ物を飲み込みたくないような受け入れがたい気持ち悪さと似ていた。
「……闇の世界」
「えっ?」
「なら……」
「知っているんですか?」
「えっ…… うん、ここは君が住む世界じゃないし、大乱闘を娯楽として楽しむような世界でもない。世界の裏側にある
天を睨む。
異質さも気持ち悪さも。リンクのそれらはゼルダのよりも大きかったのだ。
○章タイトル
ゼルダの伝説 神々のトライフォースの英語版のタイトル。しかし、Doppelの意味とは……?
○タイトル
2007年にスクエニから発売されたDSソフト。
Switchでリマスターされた他、続編となる『新すばらしきこのせかい』も発売されている。
DSソフトのリマスターをしてくれるのは、大変だろうにすごく嬉しい。
渋谷の雑踏の中、目覚めたネクは自分のことが名前以外なにも思い出せなくなっていた。
七日間を生き残るためにパートナーと共に死神のゲームに挑む。
開発スタッフがKHやFFの制作スタッフなため、ディズニーでもFFでもないのにKH3Dでゲスト出演している。
○リンク
こちらは神々のトライフォースのリンク。
拙作の前作ではスピリットなのにそこそこ活躍している。
基本的に神トラのアイテムと同じものを所持しているが、マスターソードは森に返しているので未所持。ぶっちゃけこれ以上増えられても困る。神トラゼルダは姫さん呼びだが、ブレワイゼルダはゼルダさん呼び。
○ゼルダ
こちらはブレスオブザワイルドのゼルダ。
続編の短髪をイメージしているが、時系列的には、ブレワイ後続編前。これで続編で髪切る描写が出たら涙が出てくる。
厄災の黙示録でもないので、シーカーストーンでの戦闘参加はできないが、活発的なので……
○作者の気まぐれコメント
近くの映画館でソニック続編放映しない。泣きたい。
癒しはスプラトゥーン3前夜祭。バケツか新ブキあたりでチョキ派なら作者の可能性が微レ存です。
あと活動記録にゼノブレイド3のネタバレ込み感想を投げたので、ネタバレかまわんって方は是非目を通してください。
ソニック・ザ・ムービー、見に行く?
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見に行く!
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見に行かない
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DVDまで待つ
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近くで放映してる映画館ない(;_;)