大乱闘スマッシュブラザーズ Histoire Artificielle 作:蘭沙
「闇の…… 世界……」
リンクが語ったその言葉を、ゼルダは無意識に呟いていた。
「ゼルダさん、離れないで。危険だからといって君1人をここに置いていくほど人でなしじゃないけど、かといってこんなところに飛ばされておいていい子で待っていられるほど大人しい子じゃないんだよ」
服さえ変えてしまえば、どこにでもいそうな青年。彼から感じる入り混じった感情に戸惑うしかない。
怒り、焦り、戸惑い。柔らかな印象を保っていられるほどの余裕もないのだ。
「駄目と言われてもついていきます。どこに行くべきかもわかりませんが、動かなければ時間が過ぎていくだけですから」
だからこそ、放っておけなかった。
追い詰められかけている現状に少しでも手を貸してやりたい。2人ともこの世界から抜け出すために。
「ここは貴方が知っている世界と類似しているのでしょう? ちょっとしたことでもいいんです。なにか心当たりはありませんか?」
「まー、あるかないかでいったらあるけど……」
そう返しながらリンクはなにかを取り出す。それは一見なんの変哲もない鏡であった。
「……ダメか、なにも起きない」
「それはなんですか?」
「僕の知ってる闇の世界なら、コレを使って行き来できるんだけどね……」
光の世界と闇の世界を行き来するためのマジカルミラーは通用しない。ため息を吐きながらそれをしまう。
「とりあえず、人を探してみませんか? 私たちと同じ境遇の方がいるかもしれません」
「そうだね、ここはどのあたりかな」
どうやら2人は建物の入り口あたりにいたようで、外に出ると見た通り禍々しい色の空が出迎える。中を捜索する気は起きなかった。
風景は謎の建物から大きく変わる。大きな水溜まりようなものに背の高めな草。誰もいないそこは一種の未開拓地帯のようにさえ思えた。
「湿地のようにも見えますが……」
「この場所、水の祠あたりか」
その場所をリンクは知っていた。ここはリンクの記憶と寸分違わぬ世界だったのだ。
「人の集まりそうな場所はありませんか?」
「うーん…… 一応村みたいな場所はあるけど、そもそも人が住んでるような世界じゃないからな。とりあえず行ってみようか」
リンクを先頭に2人は歩き出す。動かなければなにも始まらない。
「足元気をつけて…… でもスカートじゃないから大丈夫かな」
「はい、ハイラルを歩き回った経験もあるのでこの程度問題ありません」
「……ぶっちゃけちょっとやりにくい」
「……否定はしませんけど」
「ちょっと不愉快させちゃうかもしれないけど、君の知るリンクの元に送り届けるまでは我慢して……ッ!」
周りにひっそり隠れた気配に、リンクは抜刀する。ゼルダを背後に回し、剣を構えた。
「……でてきたら?」
「えっ」
その言葉を合図に飛び出してきた何者かを一突きにする。草陰や水辺に潜んでいた敵。襲いかかってくるまで全くわからなかった。
「これは……!」
「ゼルダさん、後ろにいて。どれだけ潜んでいるかわからない……!」
リンクの右を狙って飛び込む敵を弾き飛ばし、敵を蹴り飛ばす。空中で体勢を立て直して戦闘体勢を崩さないその姿はピチューのそれだった。
「これは……! キーラの!」
「キーラか…… それともダーズか? 確かにこの凝った本物そっくりの世界にファイターから生まれたボディ。状況は似てはいるけど」
そこまで言って口を閉じる。
確かにキーラとダーズ、そしてスマッシュブラザーズの戦いの時と状況は似ている。
しかし違う点もある。ボディに宿る精神はないし、ファイターではない2人も無事。要するにスピリットの存在がないのだ。
それが気になってしまう。自分達をここに連れてきた存在は、キーラかダーズか。はたまた別の誰かか。それとも2人の意識が途切れる寸前に見た謎の人物なのか。
「考えるのは後にしよう。まずはここを切り抜ける。もっと下がってて」
「でも……!」
かぶりを振って、リンクはさらに集中する。
どんなに考えを巡らせても、ここで果てればなにも浮かばなかったのと同じ。草から水辺から。続々と増える敵はゼルダにある決意をさせるのだった。
「私も戦います! なにか貸してください!」
「うえええ!? ちょっとどこまさぐってんの!?」
リンクの鞄に手を突っ込み、ガサゴソと何かないかと探っている。鞄が揺れるわ、肘が脇腹に当たるわでくすぐったくなってきたところでゼルダはある一つのものを取り出す。
「あ、これは……」
「ひいい…… それファイアロッド……」
それは赤色の杖だった。先に宝玉のようなものをつけたそれは、魔力を使うことで炎の弾を飛ばす力を持つもの。
「こうですかね…… わああ!?」
「ちょっと!? あんまやたらめったら使わないで!」
1人の敵に向かって振り翳してみると、杖の先から炎の魔法が飛び出す。予想以上のスピードと大きさにゼルダはびっくりして尻餅をついた。
「お、思った以上に強かった……です……」
「はあ…… 使うなとは言わないからさ、無駄撃ちしないでね。草に燃え移っちゃうから」
「は、はい……」
「でもそうか…… バラバラだった僕達が一緒にいた以上、今度は離れ離れにならないとも限らないか……」
少し考えを巡らせながら、ブーメランを投げつけることで敵を怯ませた隙にアイテムを取り出し、ゼルダに渡す。
「これ、貸してあげる。後で返してね」
リンクが渡したアイテムは、先のファイアロッドに近い感覚で使えるアイテムだった。
ファイアロッドの色違いのように見え、敵を凍らせる力を持つアイスロッド。
ブロックを生み出したり、レール上に足場を作り出すソマリアの杖。
自分を守る光を発生させるバイラの杖。
「はい…… どう使うのですか?」
「実戦で覚えて!」
「ええっ!?」
敵の前で長々とアイテムの説明をしている暇はない。わかってはいるのだが、理論派のゼルダはどういう力を持っているのかぐらいは知りたかったのだ。
どこからか飛んでくる水を盾で防ぎ、細剣と鍔迫り合いをはかる。ただ付き合う義理はないと蹴り飛ばした。腰をついたそいつをマジックハンマーで叩き潰す。
「実戦って言われても…… きゃあ!」
「うおっ!?」
出鱈目に撃ったアイスロッドが敵数体を地形ごと凍てつかせる。危うく射線上のリンクまで凍りつくところであった。
「もー!」
「ご、ごめんなさい!」
「まあいいけど、さっ!!」
足を折りたたみ、しゃがむように避ける。挟むように殴りかかった敵の膝付近を回転斬りで斬りかかった。
さらに振り下ろしてくる大剣に、バク宙でゼルダの近くに戻りながら回避する。見回してみるが、ざっと20近くの敵がいる。
燃えている敵も、さっき足を斬った敵もまだ動ける。冷や汗が流れ、剣を握りなおした。
「実際2人でも手焼いてるのに1人で戦ってたらどれだけ時間かかるかわかんないし……」
「私たち2人を相手するには多すぎます。おそらく警邏や見回りのための敵が集まってきたんじゃないでしょうか」
「だとするとこの一角だけでこの規模か…… 相手は相当多いよね。出し惜しみしてる余裕ないかな……」
「どうかしました?」
「んー? なんでもないよ。ただこんなことになるんだったらマスターソード持って来ればよかったなって」
ほんの観光と応援のつもりだったのだ。
魔獣ガノンとアグニムを倒してから不必要になった聖剣はあるべきところに戻している。
その聖剣があればと感じるが、ないものねだりをしても仕方ないのだ。
「そうですよね、私がいるより彼女がいた方が……」
「か、彼女? 姫さんのこと?」
「いえ、あの…… 足手まといなのかなって」
「なに見て言ってんの? 十分戦力になってるって」
「(……ですが)」
不安なのだ。あの時、100年前に瀕死のリンクが文字通り生命を削って守ってくれた時。
何の力もなかった当時のゼルダをガーディアン達から守ってくれた時。
その時と変わっていない気がする。
だって、今目の前にいるリンクもゼルダを気にしながら戦っている。
守られずとも自分で守れるように。そんな風になりたくて。その覚悟を決めながら、前に踏み出そうとする。もっと前に、敵の狙いが分散するように。
「ええ? ちょっと」
「…………」
使い方は大体わかった。次は恐る恐るや偶然ではなく、完璧に狙いをつける。ロッドを握る力が強くなった時だった。
「はあああ!!」
「えっ!」
突然矢が雨のように降り注ぐ。それがリンクの持つような矢ではなく、実体を持たない光弾のようなものであると2人は見逃さなかった。スペシャルなアタックだった。
射抜かれたボディ達はその多くが倒れ、溶けるように形を無くした。それを射った者の気配を感じ、リンクは神殿の天辺を見上げる。ゼルダも声を出した時に遅れてそちらを向いた。
「混沌招く傀儡たちよ! 音にも聞け、その身に刻め! 光の女神パルテナが使いピット!ここに見参!!」
「…………」
「…………」
「真面目にやれ!」
「あでっ!?」
ゼロスーツサムスに思いっきり後頭部を叩かれ、神殿の外壁を滑り落ちる。
「あばばばば」
「きゃ!」
頭から落下した先は2人の前だった。
「さあ、真打の登場だ!」
泥パックの顔を上げてボディ達に言い切った。
○タイトル
東方紅魔郷 霊夢ルートの六面中ボス十六夜咲夜のセリフ。
対する霊夢はお使いにでも行ってこいと面倒なことはしたくなさそうである。
メタ発言なのは言うまでもないが、咲夜を撃破するとボムを落とすのがさらに笑える。
○マジカルミラー
ゼルダの伝説 神々のトライフォースで登場するアイテム。
これを使って光の世界と闇の世界を行き来する。謎を解いたり、別の世界を経由しないと取れないアイテムがあったりする。
○ファイアロッド
ゼルダの伝説 神々のトライフォースで以下略。
火の玉を飛ばす。
○アイスロッド
ゼルダの伝説 神々の以下略。
敵を凍らせて、そのあとにハンマーで砕いたりする。
出てくるまで少しタイムラグがあって使いづらい。
○ソマリアの杖
ゼルダの伝説以下略。
ブロックを生み出したり、レール上に足場を使ったり、トワプリのコピーロッド的な謎解き専門アイテム感がある。
○バイラの杖
ゼルダの以下略。
魔法の光で敵やトラップから身を守る。強いけど燃費が悪い。
○ブレワイゼルダの戦い方
というわけでブレワイゼルダは神トラリンクのアイテムを拝借して戦います。ちなみに上記4種のアイテムは魔力を消費させて使うのですが、ブレワイゼルダは魔力が無尽蔵なイメージですのでそのあたりは特に考えません。
○スペシャルアタック
新・光神話パルテナの鏡のシステム。
空中戦パートのみ使用可能の、いわゆるシューティングゲームのボム。
これらが使える代わりに空中戦では奇跡が使えない。
矢を雨のように降らすのは神弓のスペシャルアタックで、神器の種類によって細かく変化する。
え? 空中にいなかった? 神殿の上に登ってるから地上ではないよ。
○音にも聞け!
ピットの名乗りセリフ。
音にも聞け!と光の女神〜ここに見参!とまでが共通で、他は細かく変化する。ただ基本的に相手には塩対応されており、パンドーラには呆れられエレカには名乗りの途中で攻撃された。
最終決戦でも言ってる他、ブラピと共闘した時なんかは2人で決めている。
○作者の気まぐれコメント
スプラトゥーン3前夜祭面白かったです!
チョキは負けちゃいましたが、10倍2回、100倍1回勝てたので上々です。そういえば初100倍マッチだった。
私バケツ使いなのですが、かなり扱いやすくなってるイメージです。
スプボムとトルネードが、ソーダや無印のいいとこ取りしている印象。てかなぎ払いあんな曲がるんか……
新ブキはかなり難しい印象。特にワイパー。パブロの方が強い印象だけど開拓されれば変わるのでしょうか。
新ステージはゴンズイ地区が一番好き。上下の戦略が面白いです。時間上ナメロウ金属のみ遊ばなかったのですが、どうでしたか?
そしてマヒマヒ帰ってキター!!
ただ申し訳ないのですが、トリカラバトルはナオキでした……
グーかパーだったらまた感じ方も違うのでしょうが、いつも挟み撃ち警戒しながら防衛と塗りをやるのはキャパオーバーですって……なんなら防衛しきっても負けましたしなんなら全敗ですし。フェスまで時間ありそうてすしそれまでにもうすこし防衛陣営に有利な点を増やして欲しいと思いましたね。
スプラトゥーン3の新ステージでなにが一番お気に入り?
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ゴンズイ地区
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ユノハナ大渓谷
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ナメロウ金属
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マテガイ放水路