大乱闘スマッシュブラザーズ Histoire Artificielle 作:蘭沙
最後の一弾。
フックショットで怯ませたところをゼロスーツサムスのショットが炸裂する。
2人ならば多かった相手も4人ではちょうどいい人数だったのだ。最初にピットがスペシャルアタックで、全体にかなりのダメージを与えていたおかげで手早く片付けることができた。
「名乗りはともかく、助かったよ。ありがとう」
「ともかくって…… そんなー……」
「気にするな。無事でよかった」
ぞんざいな扱いに涙を流すピット。名乗りのなにが悪いというのだろうか。かっこよく決めることのなにが悪いのだろうか。
しかも無視されているし。ロマンが足りない。
即興で組んだ相方と救出対象者には男のロマンというのがわかっていないのだ。
「私はサムス・アラン。こっちはピット。君たちは…… リンクとゼルダか? 初対面だろうが、雰囲気が彼らに似ている」
「あー、はい。現在スマッシュブラザーズに所属している姫さんとは同郷だよ」
「はい、私ゼルダです。現在の…… 英傑として活躍したリンクは私達の生きた世界を救ってくれました」
「ほんっとややこしいなー、αとか一号とかつけたら?」
「ややこしくてごめんね。簡単に言えば知り合いの知り合い」
簡単に自己紹介をかわす。
だが互いにほとんど初対面とはいえ、ゼロスーツサムスとピットは同じ魂と血筋に会っており、リンクとゼルダは直接の面識はないものの、応援する側として同郷の者と戦う彼らを見たことがある。とけこむのは案外早かった。
ある程度交流を深めたところで、サムスが本題に入っていった。
「2人
「はい。……
「私達だけではない。他にも同じようにここに迷い込んでいる者がいる。私達スマッシュブラザーズ、君たち関係者もそうだが、大乱闘の世界に生きる一般人まで……」
「ボク達そういう人やここの手がかりを探してあちこち行ってるんだ」
ようやく理解した。
リンク達が襲われているのを見て、加勢しにきたのは偶然ではなかったのだ。自分達が何の力も持たない存在だったら。きっとそのままやられていた。
人を救い、事件の解決を目指し自ら足を動かしている。ならば、伝えなければならないことがある。
「あのさ、それなら知っておいてほしいことがあるんだ」
「?」
リンクは話した。
この世界は、かつて自分が冒険した闇の世界そっくりであること。
2人には、意識が断絶する前に謎の人物を見たという共通点があるということ。
「謎の人物か…… 確かに言われてみれば私も見たような気がする。しかし、ボディと新しく作ったにしては凝った世界。キーラとダーズの一件とはかなり共通点があるが……」
「そうだね、僕はこのあたりしか見てないけど本当にそっくりだよ。地図でいうとこのあたり」
「地図! 地図あったんだ!」
もう使うこともないだろうと思っていた地図を広げる。鞄の中でアイテムにやられたのかシワがついていた。取っておいてよかった。
「闇の世界は簡単に3×3の9分割されててね、ここは中央下、南の方」
「合流した者たちは中央のこの建物に避難している」
「ピラミッドォ? なんでそんなところを……」
顔を上げて地図ではなく実物の建物を見上げる。四角錐の建物。闇の世界での始点であり終点でもある遺跡が安全地帯として扱われているのは非常に複雑な気分である。
「身を守るには適しているんじゃないですか? あそこにいる全員が戦えるとは限りませんし」
「まあ確かに。本当の闇の世界のあれこれは僕だけの問題だしね……」
わかってはいるが、言葉にしにくい複雑な感情を呑み込むのは至難の業なのだ。
「これからどうする? 2人を連れて一度戻る?」
「待て、これはもしかして集落か?」
地図と睨めっこしていたサムスが指を指す。
中央より左、西の方角に家のような建物が集まっている箇所があるのに気づいたのだ。
「うん、はぐれ者の村。人がいそうなところということで行こうかなって思ってたんだ。恐らくだけど現地民はいないし住宅を見かけたら誰かそっちに行くかなって思って」
「それなら拠点に戻る前に寄っておこう。幸いそれほど遠くないからな」
「うげ、まだ歩くの?」
「足が疲れたなら羽根を動かせばいい」
「わかってて言ってるだろ!?」
焦りもあったのかもしれない。
ここがリンクがいうような危険な世界ならば、他に取り残された者たちはどうなっているのだろうか。取りこぼさないように。
「すまないが、拠点にはまだ戻れない。土地勘があるなら君たちだけ先に行ってもらうという手もあるが」
「いいえ、私達も行きます。どこかで誰かが危ない目に遭っているのなら放っておけません!」
「勝手に言われちゃった。まあもとよりあそこに行くつもりだったから全然構わないけどさ」
リンクが先頭になって歩き出す。
色々と考え事をしすぎて無意識に足早になっていくのだ。
どうして、どんな方法でこの闇の世界が生まれたのだろうか。
ムーンパールを持たない自分以外の人物の姿は変わっていない。そもそも闇の世界とその犠牲を無かったことにすることをトライフォースに望んだのだ。本物であるはずがない。
では、ここはなんなのだろうか。
何のためにこの世界があるのか、何のためにここに来たのか。何かが自分から遠く離れたところで起きている。手を伸ばしても、背伸びをしても、距離の縮まらない遥か先にあるような感覚を覚えた。
「…………っ」
飄々とした普段の自分が、今は少しだけ羨ましく思えた。
「ん、おまたせ。ここがはぐれ者の村」
「人の気配がまるでないな」
「崩壊している家もありますし、住んでいる様子はありませんね」
「……ごめん、ちょっと離れる」
「え、待ってください単独行動は危険です」
「…………」
西を通って村に着いた。
しかし、そこはリンクの語る通り、一応外見は村という体裁を整えただけのものらしかった。
家具はあるのに人だけは見つからない。少数ながらもボディが見回っており、ここも安全とは言い切れない。
それをわかっていながらも、落ち着かない様子でリンクは1人で行動し始める。偽物とはいえ鏡写しなんて表現も生ぬるいほどそっくりなそれに動揺を隠せないらしい。
「それじゃボクが一緒に行くよ。2人はどこかに隠れてて」
「でも」
「ゼルダ、こういうのは関係性の薄い者だったり男同士の方が話が進んだりするんだ」
微妙な間隔を開けた後、立ち止まらずに進んでいってしまう。追いかけるのに立候補したのはピットだった。
「そーいうことですね! というわけでサラダバー!」
「まあ、奴が相談役に向いているかどうかは別の話だが」
ピットはずっこけた。
上げてから下ろすスタイル。
リンクの行く道はなんだったのかというと、唯一この村で人と呼べる人がいる一軒家だった。
「いない……」
ミニゲームを開催していた者の姿もない。ゲーム用の宝箱の姿もなく、ただ空白だけが残っていた。
「おいっす!」
「ピット、着いてきてたの?」
「2人、心配してたよ」
「ん、別に気にしないでよかったのに」
「そういうこと言われると逆に気にする!」
「そういうの、いいから」
一つため息。ピットといると少しだけ疲れてくる。調子が違うのだ。リンクはそこそこマイペースな部類だが、テンションは高くない。
自分の勢いを人に押しつけるのは苦手だ。
押しつけられるのも苦手だ。
「なんかチョーシ悪くね!? もっとド派手にドンパチやっていこうぜベイベー!!」
「これが普通だから……ていうかなにその目立ちがり屋みたいな……」
「真面目な時は真面目に! それ以外は不真面目に! パルテナ軍の合言葉その1!」
「それ趣向だろう? はあ……」
「…………ごめん、巻き込んだかもしれない」
「え?」
取りこぼしそうな小声に一文字だけで聞き返そうとしたその時だった。
ドッカーン!!
「うぇ!?」
「なにごと!」
外で大きな爆発音が発生し、戦士たる心構えが2人をすぐに動かした。
結局、リンクに聞き返せなかったと気づいたのはだいぶ後であった。
○タイトル
ゼルダの伝説 神々のトライフォースのBGM。
闇の世界での通常フィールド曲。つまり今話で流せということですかわかります。
○キーラとダーズ、黒幕容疑
実際、やってることはほとんど同じ。しかし、すでに墓の中にいるのでとばっちりもいいとこ。
○ムーンパール
ゼルダの伝説 神々のトライフォースにおいては、闇の世界で姿が変わるのを防いでくれるアイテム。これを手にする前に闇の世界に行くと、リンクがウサギになります。どうやらリンク=ウサギのイメージが昔はあったようだ。
○パルテナ軍の合言葉
元ネタはパルテナの鏡……ではなく、ゼノブレイド2。
あちらはサルベージャーの合言葉。その1から6まで判明しているが、5のみヒカリに止められたので不明。そもそも順番に判明しているあたり実際にそんな合言葉があるかどうか怪しい。
○作者の気まぐれコメント
スプラトゥーンたのしぃぃぃ
ヒーローモードはめっちゃ面白くなってるし、なんならロッカーいじってるだけで楽しい。2までは対戦と鮭がメインで気軽に遊べるモードがそうそうなかったのですが、3になってから痒いところに手が届くようになりました。