大乱闘スマッシュブラザーズ Histoire Artificielle   作:蘭沙

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51話 ハイラル・ヒストリア

 

 

「今の爆発音、どこから聞こえてきた!?」

 

「村の中心あたり! 確か像みたいなものがあったあたり!」

 

 

誰もいない家を飛び出し、2人走り出す。

サムスとゼルダと合流した方が確実だろうが、もし今この瞬間に戦っているのならば、そんな時間も惜しい。もしかしたら、そちらはそちらで今の音を嗅ぎつけているかもしれない。それならば、先に行った方がいい。サムスがいるのだ。あたりの雑魚に遅れは取らない。

そうして中心に向かうにつれ、異変が起きているのに気がついた。

 

 

「村にいたボディが集まってる!」

 

「だったら真っ向から打ち砕くのみ!」

 

 

豪腕ダッシュアッパーを構えたピットは、こちらに気づいた敵2人をまとめてぶっ飛ばす。

致命傷になるようなダメージではなく、空中から紫色のブラスターとはどうだんが殴り飛ばして隙だらけのピット目掛けて飛んでくる。

 

 

「邪魔はさせない……!」

 

 

弓矢でその攻撃を相殺し、さらに本体の方へ矢を射る。空中であればかわすことはできない。落ち落とすことはできるが、生憎攻撃後ではそれもできない。

 

 

「まだまだ!」

 

「……おお」

 

 

さらに神器を持ち替え、最初の撃剣を構える。連続射撃で敵の1人を撃ち落とした。

もう一方をブーメランで落としながらリンクは感嘆する。

射撃もできる剣、撃剣。自分も大概だろうが、ピットも多彩である。

 

 

「つぎつぎー!」

 

「ちょ、はや!?」

 

 

また神器を変更したピット。先程よりも足が速くなっている。射爪ブラウンタイガーを装備したことによるスピードアップなのだが、装備を変えただけで速くなる理屈を知らないため、リンクが置いてかれている。

 

 

「ったくもー」

 

 

ペガサスの靴の力で自らの速度を上げて後を追う。道中を塞ごうとする敵は一太刀与えるだけで無視。孤立だけはしないように程々に相手をして後は無視。

目の前のピットは重そうな武器に持ち替え、数多く溜まっていたボディへ一撃加えるところであった。爆筒EZランチャー。ため射撃の一撃は広く強い。

 

 

「こ……ノッ!!」

 

「まだ残ってたな!」

 

 

爆煙で前の敵が見えない中、緑の細長い何かがピットに向かって飛んできた。髪を掠り、咄嗟にパルテナの神弓へ持ち替え、何かが飛んできた箇所に向けて連射する。

 

 

「ウッ!」

 

「……! ちょっと待って」

 

 

ヒットしたようなうめき声、それをリンクの鋭い耳は聞き逃さなかった。

奴らと戦った時、意味ある声なんてほとんどなかった。確かにピット達スマッシュブラザーズほど戦ってはない。だが、短い経験なりにわかっていることはあるのだ。

 

 

「えっ?」

 

「多分、あれ、敵じゃないと思う」

 

「うーん……あっ!」

 

 

少しは煙の晴れたそこをじっと目を凝らし……

そして気づいた。そこには見覚えのある人影かいたのだ。

 

 

「ミェンミェン!」

 

「いたた……あの偽物味方ごと巻き込んだネ……」

 

 

オレンジのニット帽に人像を隠すマスク。

なにより中華風の服とバネのように伸びる腕を持つ彼女の名はミェンミェン。

爆煙もかなり薄くなり、ミェンミェンの側からもこちらに気づいたようだ。

 

 

「ピットと……リンクの偽物ネ! さっき似た格好してるの見たヨ!」

 

「ええ!? ちょっと待って」

 

「問答無用ネ!」

 

 

ああ、そういえば。

あの事件があった後からここに来たミェンミェンは、キーラやダーズのことを知らなくてもおかしくない。個人的に人から聞いていない限りは知ることもないだろう。ゆえにボディ等のことを知らないのだ。ならばボディと自分達を混同していても不思議ではない。

 

 

「ボク達本物だってば!! 信じてよぉ!」

 

「さっき矢当ててきた癖して白々しいネ!」

 

「君のせいじゃん!」

 

「ひいぃぃー!! ごめんなさーい!!」

 

 

伸びる腕でどんどん攻撃を仕掛けてくる。反撃する訳にもいかず、逃げ回るしかない。たまにレーザーも飛ばしてくるし、避けるのに必死で弁明の言葉に中身がない。

結局和解には第三者の介入を要した。

 

 

「待った、ミェンミェン!」

 

「サムス……! の……どっちヨ?」

 

「本物の方だ。そっちもな」

 

 

2人と同様に戦闘音を聞きつけ、駆けつけていたゼロスーツサムスとゼルダ。

なおも疑うミェンミェンに、サムスはパワードスーツを装着してみせる。

 

 

「あ…… 確かにスーツ着てるネ…… え、じゃあこっちも本物?」

 

「ボ、ボクは生きているぞ……!」

 

「本物かと言われたら肯定しづらいけど少なくとも君の敵じゃない……」

 

 

ちょっと動揺しながらも、そのこっちを振り向いたミェンミェン。

偽物だの言われてはじめて気づく、言われた側の気持ち。パロディをかましたところでピットの罪状は覆らない。

 

 

「確かに私たちそっくりだが、奴ら……ボディ達は喋らない。あって喉から搾りでるようなうめき声ぐらいだ」

 

「ううっ、そうなのネ……」

 

「それとピット、気づいていなかったのか。ミェンミェンに限らず、あの事件の後からスマッシュブラザーズに加入したファイターのボディは存在しない」

 

「いや、これ事故だし!」

 

 

ミェンミェンの姿を認識した上で戦ってたわけではない。ゆえの事故。

パックンフラワーからソラまでのボディは確認したことがない。彼らは母体として捕らわれたわけではないので当然といえば当然なのだが。

 

 

「ま、間違って攻撃しちゃってごめんなさいネ……」

 

「え、いや、止められなかったのはこっちだし……」

 

「かすり傷しかないからだいじょぶだいじょぶ!」

 

 

座り込んでいる2人に近づいて、腰から90度。勘違いしていたのはこっちでもあるのだ。

 

 

「でも……」

 

「ん……? んべっ!?

 

「そっちが矢ぶつけてきたのは別ネ」

 

「ばたんきゅ〜……」

 

 

メガボルトが頭の真上から振り下ろされる。

巨大なたんこぶを頭に乗っけてダブルアイス。ピットの目はぐるぐるでテキンの中身も頭の上でぐるぐる。大の字になってぶっ倒れた。

 

 

「お怪我、ありませんでしたか?」

 

「ピットのたんこぶ以外は軽傷だから大丈夫だよ」

 

「そういえば、さっきの肯定しづらいってどういうことネ?」

 

「あー、えっと、僕たちの名前は確かにリンクでゼルダなんだけど、君のよく知るリンクとゼルダとは別人で……」

 

「????」

 

「簡単に言えばそっくり同名の別人なんです!」

 

「ややこしいけど……わかったヨ」

 

 

スマッシュブラザーズのリンクとゼルダとは違う存在。ゼルダが簡潔にして理解する。とりあえず違う人間なのだということを。

 

 

「ミェンミェン、ここらへん一帯でボディ以外の誰かを見なかったか?」

 

「ん〜? サムス達以外は見なかったヨ。ボディばっかりネ」

 

「そうか、なら当初の予定通り拠点に戻ろう。かなり長い探索になってしまったし、マルス達も心配して……ッ!」

 

「みなさん!」

 

 

帰路に着こうと安心した瞬間、さらにボディがやってくる。あらかた吹き飛ばしたが、まだいたらしい。

ゼルダのアイスロッドが敵を凍らせ、ミェンミェンのアームやサムスのミサイルで粉々にする。リンクは寄ってくる敵を斬っていた。

一撃二撃ではそうそう倒せない敵に歯軋りしながらも思いつく。さっきの爆筒で一掃してしまえばいいと。

 

 

「……! ピット! さっきの……」

 

「きゅ〜……」

 

「そうだった!」

 

「あっ、ウチのせいかネ!?」

 

 

思わず頭を抱えてしまう。

ミェンミェンの仕返しのせいで、ピットは気絶したままだ。神器はピット以外に使用できない。その他の方法でここを切り抜けなければならない。

だが、範囲攻撃の手段がもうない。ゼルダに渡したアイテムも範囲攻撃には程遠い。

ミェンミェンもサムスも戦法を見る限り、遠距離系の攻撃は得意そうでもおそらく広範囲には適していない。

 

 

「(出し惜しみ、する方がいけない!)」

 

 

あるメダルを持ちながら、剣をグルリと回す。

炎が剣の軌道を追うように螺旋を描く。

 

 

「リンク? これは……」

 

「ボンバー!!!」

 

 

そして剣を振り下ろすと、周囲に多数の爆発を発生させた。

 

 

「うおお!?」

 

 

味方さえも驚くほどの火力。

まさしく魔法と呼ぶに相応しい超常的な攻撃だった。

 

 

「さ、流石です、リンク!!」

 

「……ッ!」

 

「リンク?」

 

「……ん、ああ、ごめん、強力な代わりに結構魔力使うからさ、そんな気にすることでもないよ」

 

 

剣を杖代わりに、肩で息をするリンクを心配してゼルダがいち早く駆けつけた。

 

 

「休憩はピラミッドに戻ってからでもいいからさ、ピットのことも心配だし速く行こう」

 

「……お前は」

 

 

こっちこっちとゼルダの肩を借りながらも先導するリンクに一抹の不安を覚える。

 

この村について、単独行動を取ったことも、

ミェンミェンの誤解を解けなかったことも、

早々に大技を使ったことも。

 

一つ一つは兎も角、重なってくると、偶然と判断するのは難しい。そんな短絡的な行動だった。

 

 

「(何を焦っている?)」

 

 

なんとなく、見抜いていた。

一番、リンクが不安を抱えていると。

 





○タイトル
ハイラル・ヒストリア ゼルダの伝説大全。
ゼル伝シリーズの時系列や裏設定等を収録した、25周年記念の公式ガイドブック。
時系列はゼルダ史などと称されることも。

○最初の撃剣
新・光神話パルテナの鏡に登場する神器。
最初と冠する通り、ピットの初期武器である。撃剣としてオーソドックスの性能のバランス型。

○射爪ブラウンタイガー
新・光神話パルテナの鏡に登場する以下略。
やはり射爪としてはオーソドックスで手数で戦う武器。この武器に限った話ではないが、多くの射爪の例に漏れず、走行速度が上がる。

○ペガサスの靴
ゼルダの伝説シリーズに登場する赤い靴。
ダッシュして体当たりできるようになる。
最近はでてこない。悲しい。

○爆筒EZランチャー
新・光神話パルテナの鏡に以下略。
着弾すると爆発を起こす爆筒の代表。ところでEZとはどういう意味だろうか。

○ボクは生きているぞ
新・光神話パルテナの鏡 6章 黒いピットでのブラピのセリフ。ピットにお前コピーだろと言われた後で、今自分は生きていると返した。
どうだ、生きているぞ!!

○テキン
亜空の使者に登場する雑魚敵。
ニワトリのような機械の敵だが、倒すと中からひよこが出てくる。

○ボンバー
ゼルダの伝説 神々のトライフォースで登場する魔法。条件を満たすことでメダルのという形で入手。
画面内の敵を一掃する魔法だが、魔力を1/4も消費する。
神トラの魔法は強力過ぎるのでここで1回使っておきたかったのです。それでも後3回使えるのは強いから本作ではあれこれ理由をつけて縛ります。取ってつけたような発動後の反動もその一環。

○一ヶ月の間のあったかもしれない小話
「クラウドってさ、何歳なの?」
「なんだネス唐突に、24だが」
「セフィロスと比べて身長低いなっておもってさ」
「…………ネス、あっちが高いだけだ」←173
「そっか、僕もそのぐらい大きくなれるかな〜」
「…………」

「……こどもリンク、ロンロン牛乳を売る気はないか」
「手遅れでしょ」

○作者の気まぐれコメント
ニンダイとプレステ系情報を立て続けに出されるとパンクしますので助けて
えと、FE新作にピクミン4にCCFFにベヨネッタ3とブレワイ新作もといティアーオブキングダムに鉄拳8に……あかんて。
そしてシェズくんFEHに参戦でとどめ刺されました。無双関係者も出れるんかい!!
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