大乱闘スマッシュブラザーズ Histoire Artificielle   作:蘭沙

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62話 ブレイクタイム

 

「フハハハハ! この運命の二択、当てることなど不可能だ!」

 

「いや、どんなテンションだよ!? 引きづらいわ!?」

 

 

心の怪盗団、スカルこと坂本竜司は運命の二択を迫られていた。といっても実態はただのババ抜きビリ決定戦なのだが。

 

 

「負けた方がアイス奢りね〜♪」

 

「くっそ、祐介にはわりぃがこの勝負負けられねえ!」

 

 

アイスの奢りをかけて仁義なき野郎の戦いが決戦を繰り広げられている。

雨宮蓮は地元、モナは蓮に着いていき、長谷川善吉も京都だ。残った男連中は女に尻を蹴られる他ないのだ。

 

 

「でもこれから寒くなってくるのになんでアイスなの? 肉まんとかの方がいいんじゃない?」

 

「ふっふっふ、知らないのか真? 部屋をあったか〜くして食べるアイスは格別なんだぞ?」

 

「格……別……!?」

 

「お〜い、流れ変わってきてるぞ〜……」

 

「特にポカポカのコタツに潜りながら、甘々なアイスを……」

 

「うおおおおおおおおお!! 俺は負けん!!!」

 

「ほらやっぱり!! てか、そのセリフ大丈夫か!? 」

 

 

運命を変えるほどの気迫では、もはや表情での判断はできない。覚悟を決めて右のカードを引く……が、全人類の予測通りババであった。

 

 

「くそっ、ババは引かせない」

 

「そっちか!」

 

「マジで容赦なし!?」

 

 

引いたジョーカーをシャッフルするも、表情を見極めることもなく、一瞬で見破られてしまった。

 

 

「フハハハハ! これでアイスは俺のものだ!」

 

「いや、お前だけに奢るわけじゃねえから!」

 

「ということで、竜司みんなの分、お願いね!」

 

「チキショー!!」

 

 

残ったジョーカーを放り捨てる。ヒラヒラと舞って竜司の腹の上に落ちた。

 

 

「どうしてお前が最後に残っちまうんだよ、大富豪じゃいくら願ってもこないくせによー」

 

 

同じ名前のリーダーに八つ当たりをしても、虚しい気持ちになるだけだ。ジョーカーカードと同じように器用だからこそ、切り札(ジョーカー)なのだ。

 

最後に残る、切り札は。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「わぁっふぅ!」

 

 

ヒールポケモンに跳び蹴りをかまし、湖へと沈ませる。まばらに歩き回っているボディ達はまるで何かを探している様子だった。

 

 

「やっぱり探されてるのか?」

 

「ボクたちを?」

 

「ボディがここの地方の誰かを探す理由がない……と思う」

 

 

倒したら、そそくさと草むらに隠れる。何もないのに見つかって無駄な戦いをしたくない。

暇を潰すように出た質問に自分なりの考えを出すも、情報が少なすぎて推測でしかない。

キーラもダーズも倒した以上、新しくボディが生まれることはない。そして、討伐済みである以上、今の指導者はそれらではない。

 

ボディの指導者が、自分達をここに呼び寄せた犯人であったりするのだろうか?

 

 

「ピカー」

 

「おっ、どうだったピカチュウ」

 

「ピー……」

 

「収穫なさそうかー……」

 

 

遠くからトボトボとピカチュウが戻ってくる。

ポケモンであるピカチュウであれば、じっくり見られでもしなければ、現地のポケモンに紛れられる。

2匹を落としたらしい場所、横断している川を繋ぐ橋の付近までこっそり3人で移動。

そこからピカチュウのみ、ポケモン達にゼニガメとフシギソウを見なかったか聞いてみたのだが、ボディの登場という一大事に身を隠すか動揺して暴れているかしているようだ。

前者は他者を見る余裕はなく、後者は話を聞けにいけない。聞き込み調査は頓挫してしまった。

 

 

「じゃあボクたちで探すしかないね」

 

「そうだな、幸いにもこの辺に同種はいなさそうだし、見ればすぐにわかるはず」

 

「ピッカ!」

 

 

それなら仕方ない。置いてくなんて選択肢はなく、手探りで探すことにする。落とした時の状況を思い返しながら、そういえばと呟いた。

 

 

「川とかに落ちてたら流石に気づくと思うけど……あっ、そういえば落とした時モンスターボールにしまってたから変なとこ転がってるかもしれない」

 

「変なとこ……例えばこんなところ?」

 

 

ヨッシーが橋を渡って向こう側にある竪穴を除く。中は暗くて見えない。石で囲まれた場所は違う世界につながっているかの錯覚を引き起こす。ここに入って戻れればよかったのに。

 

 

「そうそう、そういうとこに……「ソウソウ!」おっ!?

 

 

飛び出した何かの影に、咄嗟に臨戦耐性を取る。が、その影は見覚えのある人物だった。

 

 

「ソウソウって……フシギソウ! ゼニガメ! それにブロウ!?」

 

「それにってなんだおまけみたいに……いやお前にしては事実そうだろうけどよ」

 

「ゼニャー!」

「フシー!」

 

 

大喜びの中、2匹の愛ある突進を受けたレッドは勢いを殺しきれずに倒れ込む。思いっきり背中を打ったが、気にならない程度にはこの痛みが嬉しかった。

 

 

「よかったっ! ほんと無事でよかった!」

 

「レッド、レッド」

 

「ん?」

 

「これ」

 

「えっ、モンスターボール? いつからブロウトレーナーになったんだ?」

 

「不本意だ!」

 

 

ちょうどよかったと言わんばかりにカビゴンの入ったボールを押し付ける。これならマスターハンドに小言を吐かれまい。

 

 

「色々あって捕まえるしかなかったんだよ、どっ畜生! 誰かを助手だの手下だのとごとく連れ回すのは俺が……」

 

「え?」

 

「……ともかく! 俺は知らんからな!」

 

「ちょ、」

 

 

早口で愚痴を言ったかと思いきや、急に黙り込んだ。少し不穏というか、何かの地雷を知らずに踏んだような雰囲気に他の者たちも言葉が出てこない。

そういう雰囲気をぶち壊すのはどちらの意味でも空気の読めない人間だ。

 

 

「おいおーい! こういう状況なんだから余計にケンカしてる暇ないぜ?」

 

「リヒター!?」

 

 

走りながら手を振って大声を出すリヒターをようやく認知した。レッドやブロウはともかく、ピカチュウやヨッシーも気づかなかったのだ。

 

 

「ちょっと〜! アタシもいるんだけど!」

 

「あっ、デイジーもいたんだね」

 

「ピッカァ!」

 

 

追うのが大変だとスカートを持ち上げながら小走りで後ろから追ってくるデイジー。

 

 

「何よ、アタシおまけみたいじゃない」

 

「リヒターといっしょにいたの?」

 

「ちょっと前に1人で迷ってたところで会ったのよ。それはいいんだけどぱぱっと先行っちゃうから遅れてきたの」

 

「ああ〜……確かに……確かに?」

 

「何よ」

 

 

ヒールだとこんな大自然の中を歩く。

そこだけ切り取ると大変な苦労をしてきたように感じるが、いつもその靴で大乱闘を繰り広げているのだ。いらんこと言うブロウはその疑問符を後にくっつけてしまった。

 

 

「で、2人でここはどこか探してたんだね! ところでルイージは?」

 

「アイツなら1()()()()()()退()()よ。ホンットに乙女心のわからない……ってなんでアイツが出てくるのよ! 第一2人っきりじゃなかったわよ」

 

 

いらんこと言うブロウに続いていらんこと言うヨッシーがいらんことを付け加えながら質問した。どうやらデートの誘いは断られたらしい。

 

 

「ん? あれ?」

 

『ああ、コレ、デイジーには秘密にしておいてほしいんだけどね……』

 

 

何かがヨッシーの中で突っかかった気がして、でも何もわからなかった。

お腹空いているから忘れちゃうのかなと楽観的なヨッシーは考えるのをやめ、そして少し時間が経てば、何が突っかかったかも忘れていた。

 

 

「2人っきりじゃないって?」

 

「ああ、アイツ確かアシストフィギュアの……アシュリーだっけか?」

 

「………………………………チッ」

 

「なにゆえ舌打ち!?」

 

 

黒髪ツインテールの少女からの突然の舌打ちに、ブロウは動揺を隠せない。

曖昧に覚えられていたのが腹が立ったのだろう。

 

 

「なんか、意外とトントン拍子に見つかるよな。実は近くにいたのか?」

 

「確かにな、近くを探せばまだ誰かいるかもしれないぜ」

 

 

大して労せず知り合いを見つけられていることに順調とは感じながらも、幸運では済ませない。

 

「リヒターたちは橋の向こう側からきてたよね? 他のみんなはどう?」

 

 

ヨッシーがそれを聞く。

現在皆は川を挟んですぐの巣穴の近くにいる。

リヒター達3人は川を挟んで、レッド達がいた方から来た。

 

 

「ああ、俺も平凡にそっち側。この穴から変な光溢れてるの見て飛び込んだ」

 

「俺もそっち側だな、フシギソウもゼニガメも川に落とさなくてよかった」

 

「要するに全員そっち側なのね。じゃあ他に誰かいたならこっちにはいないかも」

 

「原因もそっちにあるかもしれないな」

 

 

まばらにいるボディ達も、数で勝れば怖くはない。大胆な動きが可能になったのは大きい。

 

 

「じゃー、そうだな、まずでっかい湖があったからそこ行ってみようぜ」

 

「ピッカチュ?」

 

「湖なら一つ見たよ?」

 

「それよりもおっきいとこだ!」

 

 

順調だったとは思う。幸運だとは思わなかった。でも、甘く見てたとは思わなかった。

ピクニックと冒険気分でしばらく歩いたところで、そこにいたのは血の赤黒さと混ざりボロボロになった黒のコート。力なく、古びた塔に寄りかかっていた。

 

 

「あはは……みんな、無事でよかった……」

 

「ルフレ……!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あの男……!」

 

 

小さく、でも強い感情を込めた声。

誰もが聞こえた声のはずなのに、誰もそれどころではなかったのだ。

 





○タイトル
KHシリーズのコマンドの1つ。直訳の休憩の名のごとく、キャラごとに思い思いの息抜きを楽しめる。
ブレイクダンスしたり、倒立腕立てしたり、バトントワリングしたり、なんかポーズ決めたり。
Bbsでは実戦では使えませんが、トロフィーがございます。
3Dでは実戦で使えますが、ソラ限定のコマンドです。
マスター承認試験中になにやってんだぁ!?


○俺は負けん!
決して魔剣ではない。
要は中の人ネタ。パルテナ勢ほどではないが、ペルソナ5勢もなかなかネタを入れやすい。


○押しつけ
一応カビゴンのおやはブロウのまま。交換はしてない特別仕様。
やったね、たえちゃん! 仲間が増えたよ!


○デイジー
特に深い意味はないが、最初の数話を見直してみましょう。


○アシュリー
メイドインワリオシリーズの魔女っ子。
本気になったり、怒ると髪が白くなる。スマブラでもアシストフィギュアで登場する。
意外と食いしん坊で、原作では食べ物関係のミニゲームをテーマとしていることが多い。
そんなメイドインワリオ屈指の人気キャラだが、結局ファイターにはなれず。マリオカートぐらいでてもいいと思うのだが、性格的に拒否しているのかも? アシュリーのテーマ、好き。

○作者の気まぐれコメント
ラインマーカー強化!
内容! 速度と飛距離アップ!
そこじゃねえわ!!
当たり判定! 持続時間! 直撃しなくてもダメージ! 火力! 狙い易さ! マーキング時間!
パッと思いつくだけでもここまで強化案出てくるのにどうして割と事足りてる箇所を強化しちゃったんだ……

ネガティブなことばかりもアレですし、もっと前向きなことでも……
映画のマリオの日本声優、宮野真守さんなんですね。つまり、

マリオ「今日は対戦相手よろしくね!」
蓮・ソラ「「(やりずらい……)」

みたいな出来事が起きていたかもしれません。今回中の人ネタ多くない!?

そしてルイージの日本声優が畠中祐さん。遊○王ZEXALではじめてお会いし、最近はKHのヨゾラと……男性声優で一番好きな方です。めっちゃ楽しみ。
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