大乱闘スマッシュブラザーズ Histoire Artificielle   作:蘭沙

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63話 …かがみってふしぎ。

 

いかにして、傷だらけのルフレを見つけたのか。話は少し遡る。

 

6人と1匹、そしてレッドのポケモン達。

彼らが合流し、作戦会議を開く。とは言っても、草むらの影で周囲に気を遣いながらだが。

リヒター作のお手製地図を広げたところ、一同はギョッと驚く。

 

 

「えっ……この地図どこで拾ってきたんだ? タウンマップ?」

 

「んっ? 普通に自作だが?」

 

「あんたがマメに地図つくるとか、ギャップがギャプギャプしててよ……」

 

「どういう意味だよ!? あとギャプギャプしてるってなんだ!?」

 

 

ギャプギャプしてる 意味:激しいことの有り様

このような意味のわからない言葉を使いたがる辺り、破天荒なガンナとソードの付き合いが長いだけはあると心の中で毒吐く。

 

 

「あのな、俺、薄暗い悪魔城に飛び込んでってるんだぜ? 地形頭の中に入れとかなきゃ迷うって」

 

「あー、そうだね。こう見えてリヒターエリートだもんね」

 

「こう見えて、ね」

 

「こう見えてを繰り返すな!?」

 

「…………中身だけよ」

 

「一番ひでぇ!」

 

 

ため息を吐きながらも、羽ペンでここの辺り一帯を描いていく。

 

 

「今いるのがここの辺りだな」

 

 

川を挟んで少し北側を指差す。書き足したばかりを指で突いたからか、インクがついてしまった。

 

 

「立地的に俺達はこっちにある横向きのピジョンの足みたいな形の池あたりにいたんだな」

 

 

レッドが指を刺したのは鉤爪のある鳥の足のような湖だ。その側の地形辺りをうろうろしていたのだ。

リヒター達が会った場所はレッド達がいた場所から湖を挟んだ場所だ。右手方面に行けばレッド達が回り込んだ湖。左手方面に行けばもっと広い湖。そちらは、未だ描かれておらず、未踏だということは把握できる。

 

 

「地図には載ってないが、結構広い湖だったぜ」

 

「まあ、今更北の方に誰かいる可能性を考えるのはめんどくせえし、そっち探すでいいんじゃねえの。どうよ?」

 

「………………………………チッ」

 

なにゆえ舌打ち!? 嫌なら代案考えろよ!」

 

 

舌打ちはしながらも、強硬で止めてきたりはしなかった。おそらくブロウの何かが気に食わないだけだろう。全員が立ち上がり、思い思いの、そして逸れない程度のスピードで歩き出す。

 

 

「……ん? デイジー、いつの間にこんな怪我したんだ?

 

「え?」

 

 

歩いている途中、レッドがデイジーの怪我に気づいた。それはそこそこ深く、右腕に沿うようにつけられた傷は、葉で切ったと考えるには少し違和感があった。

 

 

「……本当じゃない。いつの間に」

 

「えー、気づかなかったのか?」

 

 

どこでどう切ったのか知らないが、紙で指を切ったとか、知らない間にアザをつくったとかそんなレベルの怪我ではないと思うのだが。

言われるまで気づかないとは。まあ、こんな状況だから、1つ2つの傷ぐらいいつの間にかできていてもおかしくないか。

 

 

「とりあえず消毒と包帯しとくな?」

 

「意外と用意いいのね。ホント意外」

 

「2回言わなくていいから…… まあ、普段から旅してるしこのぐらいな」

 

 

常に冒険というのは、憧れはするが手が届かないもの。とはいえ、楽しいだけではなく生傷が絶えない。

互いに歩きながら行う応急処置は、テキパキと進み、キツすぎず緩すぎないちょうどいい加減で巻かれた包帯は、レッドが数慣れしていることを意味している。

 

 

「これでよし、キツくない?」

 

「平気よ。あっという間ねホント」

 

「不測の事態なんか嫌でも起こるし、準備はしっかりしてるぞ。……不測と言えばなんかさっき突然仲間増えたし……」

 

 

先程、押し付けられたカビゴンのボールを手に取って見つめる。一体何がどうなってブロウが捕まえることになったのだろうか。

 

 

「増やさないつもりだったの?」

 

「まあ、将来的には6匹揃えるつもりではあったんだけどもっとじっくり考えたかったというか……「ルフレ……!?」……えっ?」

 

 

反射的に前を向く。こうして時間は元に戻る。

先頭のリヒターの声はひやみずをかけられたように体の芯に響いた。

ゴーストポケモンでも出てきそうな古びた塔に力なく寄りかかるルフレ。まずはリヒターが駆け出し、次に走り出したピカチュウとヨッシーに追い抜かれる。箒に乗っていたアシュリーが、ブロウが駆け足気味に近づく中、レッドはすぐには追いつけなかった。

 

 

「……! おい、ルフレ……!」

 

 

応急処置でも、今は治療が必要だ。ボールを手に持ったまま、遅れてレッドも走り出した。

 

 

「あの男……!」

 

 

冷静にはなりきれなかった。だからことが起きるまで、その声が()()()()()()()()ことに気づかなかったのだ。

 

 

ガンッ

 

 

「……えっ?」

 

 

大きな音がして、その直後視界に映るものが空だけになる。遅れて脇腹に痛みがきて、ようやく理解した。自分は何かで殴られて空中に飛んでいるのだ。そのまま落下し、キバ湖へ着水する。

 

 

ザバンッ!

 

 

「────ッ!!」

 

 

息を吸うこともできず、言葉にならない声を上げながら、鼻に水を吸ってさらに苦しくなる。

さらに大きくドボンという音がして、ブロウもまた落ちてきたことを後から知った。

 

 

「(あっ……! まっず……!)」

 

 

着水した衝撃で手放してしまったモンスターボールを追って、苦しみながら底へ向かう。

手探りでゼニガメを出そうとするも、酸素不足と鼻に入った水のせいで苦しくて手元がおぼつかない。なんとかリュックのポケットからボールを取り出したところで、自分以外の手が開閉スイッチに触れた。

その手はそのまま自分を水面へ押し上げていく。

 

 

「プハッ! ハァイ、レッド! デンジャラアスだったね!!」

 

「ゲホッゲホッ、ホーロ(ソード)!?」

 

 

金髪に水を滴らせながら、自分を救ったのが剣術を使うMii、ソードであることを知った。

 

 

んぼっ(うおっ)!?」

 

 

もう一度ソードが水中へ行く間に、レッドは何かにリュックを噛まれて持ち上げられる。

青い体躯の首長竜、背中の大きな殻。のりものポケモン、ラプラスに咥えられたまま、殻の方に乗せられた。

 

 

「ゴホッ……うげ……」

 

「咽せるのはいいけど、よそ向いててよね」

 

「んあ? そのキツイ物言い……」

 

 

そう、話しかけられてはじめて自分以外がラプラスに乗っていたことに気づいた。

 

 

「キツイ物言いで悪かったわね」

 

「お怪我はありませんか、レッド」

 

「ヒカリ、ホムラ!」

 

 

双子のような容姿。その実体は翠玉色のコアクリスタルを持つ2対の天の聖杯。ブレイドのホムラとヒカリだった。

 

 

「ぶへっ、お前かよ」

 

「オレたちウォーターに縁アリかな? ブロウ釣りしてるし、オレ、シップで島まで行ってるし」

 

「そうでもねえだろ……」

 

 

ソードの助けを得て、ブロウも水面に顔を出す。気安い会話を繰り広げながらもブロウをラプラスの上に乗せる。遅れて、ゼニガメも顔を出した。落としたモンスターボールを咥えている。

 

 

「ナイスだ、ゼニガメ!」

 

「ゼニガッ!」

 

「ラプラスもサンキューなー!」

 

「ラァ〜♪」

 

「お前、いつの間に仲良くなったん?」

 

 

顔をすり寄せるソードとラプラスの姿は、旧知の友人を彷彿とさせるものだ。しかし、ポケモンと仲良くなる機会などあったのか。

 

 

「ほらキーラの時にさ、スピリットのコイツと会っててさ。一緒にガンナが捕まってた島まで……って、ここにいる全員知らない!?」

 

 

ブロウ、レッドはその時まだキーラに囚われていて、ヒカリとホムラはそもそもファイターでもなかった。

 

 

「知らないって……今それどころじゃないわよ!!」

 

「「「あ、そうだった!」」」

 

 

ブロウ、レッド、なぜかソード。揃って間抜けな声をあげる。

 

 

「何かあったんですか?」

 

「ルフレが傷だらけで、近づいたらなんかにぶっ飛ばされて……」

 

 

吹き飛ばされる前にいた場所を見ると、

 

 

「あっ、リヒターが戦ってる!? 相手は……あのボディ、ピットの……?」

 

「……くたばりぞこない達」

 

「お前、俺にだけ当たり強くねえか!?」

 

 

リヒターが鞭で神器を使うボディと戦っている。

ルフレを守るようにして背にしているので守備に重きを置いているようだ。

メインの攻撃はピカチュウとヨッシーだが、なかなか状況が好転していなさそうだ。飛べるアシュリーが様子を見にきたと。

 

 

「あいつ、いつの間に……デイジーどこいった!?」

 

「変わった……」

 

「変わった?」

 

「……あのオレンジがあいつになった」

 

「はあ!? 成り代わって紛れてたってことか!?」

 

「畜生ッ……!」

 

 

デイジー自身に変身の能力があるわけもなく。

だったらあのピットのボディそっくりの奴は初めからデイジーに化けていたんだ。

怪我の治療だってして、それでも気づかなかったなんて。レッドは痛いほど奥歯を噛み締めた。

 

 

「リヒター、ピカチュウ、ヨッシー! 頑張れっ!」

 

 

ヴァンパイアキラーで神弓の刃を弾き、懐にピカチュウがロケット頭突きで飛び出す。上体を逸らしてかわした敵が指を回すと、敵の姿が消える。

 

 

「……ッ! どこにいったの!」

 

 

ヒカリは苛立ちながら言う。一番気が短いのは彼女だった。

 

 

「! 正面です!!」

 

 

ホムラが宙かつ正面に立つ誰かを認識した瞬間、ヒカリが天の聖杯としての力を解き放つ。攻撃のせいで敵の姿は見れない。

核爆発のような強大な力が、思ったより目の前で炸裂する。

 

 

「嘘っ!?」

 

 

驚愕した言葉は聞いた。

 

 

「うわあああああああ!?」

 

 

しかし、それ以上の猛烈な力に晒されて、再び体が宙に吹き飛ばされた。





○タイトル
星のカービィ スーパーデラックスでの、コピー能力ミラーの説明文。
以下、全文。
・・・ かがみって ふしぎ。
   ひかりを はねかえすし、
   じぶんが 2つにみえるし・・・。
  なにより ガードしていると、
 あいてのたまを はねかえすんだ。


○リヒターエリートだもんね
ベルモンド最強のヴァンパイアハンターは伊達じゃない。
確かにベテラン感はシモンに劣るも、最強の称号は彼のもの。
才能があるからこそ、道を踏み外しやすかったかもしれない。


○横向きのピジョンみたいな足
鳥みたいな足という表現はポケモン世界には存在しません。
インドぞうのことは忘れろください。


○ヒカリ、ホムラ
桜井さんが、ツンとデレとは仰っていましたが、レックスに対してはデレとデレデレ。ヒカリがツンなのはレックス以外の対応です。
プロローグでも言いましたが、ED後なので分裂しております。
その後のことは想像でしかないのだが、作中でレックスとやっていたダメージの共有はこの2人の間に起こるのではないでしょうか。後おそらくプネウマにはなれない。
分裂はしましたが、そもそも別の存在という認識が薄いので、よっぽどのことがない限りは2人一緒に行動します。


○ラプラス
前作で、ソードをはじめとした島に向かった時に着いてきた元スピリット。こういう経緯なので、ソードに一番なついている。おだやかな性格。一応キョダイマックス個体ではあるのだが、特に必要ない設定な気がする。


○変身
レッド視点のため、情報は真実ではない可能性もあります。


○暴発?
3つの巨神獣(アルス)を沈めた力を恐れたヒカリが、咄嗟の迎撃とはいえコントロールを失敗するようなことをするでしょうか?
何かがあったのでしょう。


○作者の気まぐれコメント
ビックランだよ! 全国のイカタコが社畜になる日々です!
あははは! ……なんでゲームの中でも働いてるんだろ
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