大乱闘スマッシュブラザーズ Histoire Artificielle 作:蘭沙
「いい!? 絶 対 に 私 じゃ な い!!」
「わかったから何回も言うな!!」
レッド達が自ら出した戦闘音で敵を寄せている中、森が似合う静寂をぶち壊すほどの大声で言い争っている2人がいた。
脇目も振らず否認し続けるヒカリといい加減ウンザリしたブロウ。プリンのボディを蹴っ飛ばし、インクリングにそっくりな敵を斬り刻み、Mr.ゲーム&ウォッチの贋物を背負い投げ。
戦いながらも上記のやり取りを繰り返す2人はある意味器用であった。
「(あんな手前で力を暴発させたりはしない……! もう、あんなことしない……!)」
3体の
もう目覚めたりしないと決意したのに、因果はこの瞬間まで辿り着かせた。
だからこそ、もう暴走するように力を行使しない。なのに、あの時、敵に放った力はヒカリの管轄から離れた。離れた力がこちらを襲ったのだ。
「つーか、あんたじゃないならあの力なんなんだよ!? あの敵がなんかやったのはわかるけどそのなんかがわかんねえ!!」
「私が知る訳ないじゃない!!」
鉄球を頭蓋に叩きつけ、光の熱で焼き払った後、立っている者は2人だけになった。
戦闘というよりは、大声を出したことによって荒れた息遣いを戻していく。
「ハァ……ハァ……つーかホムラの方はいいのかよ? 俺、お前達が離れてるの見たことねえんだが……」
「ハァ……ハァ……私は別にあの子がいない時も多かったんだから気にしてないわよ……逆は知らないけどね……」
最後に深く息を吐いて、今後のことを考える。まずはリヒターがいた場所まで戻らなければ。
リヒター達もまた、離れ離れにされたことを知らないブロウは今も彼らが戦っているものだろうと考えている。
「大早急にさっきのとこまで戻んぞ」
「あの変身するのも私が叩き潰してあげるわ……! さっさとさっきの場所まで戻るわよ!」
「あ、ちょちょいと待て、ここら辺どこだよ」
慎重に辺りを見渡すと、林の中にいることはわかった。自分達が吹き飛ばされた時の不時着時についた、跡から先ほどまで自分がいた位置がわかる。
その位置からして、おそらくリヒター達が周っていない。未踏の領域であることは理解した。それならば、寄り道せずにまっすぐ戻った方がいいだろう。
「うし、湖見えるまでまっすぐ進んで、」
「その後に湖の周りに沿って進むんでしょう?」
「そそ、できればソードとレッドとホムラと、後あの魔女とも合流」
希望的観測も踏まえながらどうするか策を練る。しかし、仲間との合流を目指すレッド達と、場所を目指すブロウとはすれ違っていくのだった。
「イヤー、ご無事に合流できて何より、ワッツより、不思議より!」
「
「ソウ! ナニより!」
先に吹き飛ばされたソード、ホムラ、アシュリーの後を続くようにリヒターとヨッシーもここまで落っこちてきた。ここは先程もいた横断する川にかかる橋。
「トゥディはよく逸れる日だよねー」
「逸れるというか、散り散りにされるというか……あの力、ヒカリちゃんがコントロールを失敗した訳じゃないのに……」
ヒカリと同じく、ホムラもまた敵に何かしらの妨害を受けたことを感じ取っていた。だって自分達は同じ存在なのだから。
「さっきの場所まで戻ってみる? 他のみんなもいるかもしれないよ」
「でも、さっきの奴もいるかもしれないしな……」
あの敵。
奴は一体何者なのか。先程何が起きたのか。
それすらはっきりしないのだから、勝算があるかもまた不透明のままなのである。
「さっきの場所から中心に円を描くように周りを回ってみませんか? もしかしたら、他の方もいるかもしれません」
「うし、それで行くか」
メリット、デメリットも考慮して、ホムラの案に乗って、直接的な提案を先回しにすることに決めた。
「湖に落ちてないといいけどね〜」
「赤は別にいいわ」
「エッ、アシュリーちゃん、なんでブロウにシンラツ?」
リヒター達は周囲の探索から進んでいくことにする。特に満身創痍のルフレは無理はしないと考えた上での判断だ。
「しかし、ソード達がぶっ飛んだのはヒカリの攻撃が暴発……させられたからとしても、なら俺達が受けた攻撃はなんなんだ?」
「気になるんですか?」
「まあ、同じように見えたからな……反射ではないんだが」
その場にホムラがいれば気づけようが、リヒターには判断がつかなかった。霞でも握り潰そうとしているように、不明瞭な真実は形もわからぬ。
しばらく歩いていくが、仲間の姿を見たかと思えば、ボディだった、という騙しが頻発し、ソードがどんどん飽きてきた。
「アウー……ブロウがかくれんぼしてる……隠れんぼ……隠れん坊?」
「……カエルの友はカエル」
「別にそんなにソックリさんじゃないでしょー……」
草がつくのも気にせずに、地べたをゴロゴロしている。飽きっぽいというよりは集中力が続かないのだ。不本意でも、何かイベントが起きれば長続きもするだろうに。
サイコロを回して進むだけのすごろくは求めていない。求めるは何マス進む、もしくは戻る。一回休みかスタートに戻るでも可。
「アー……こういうところに落ちてたりしなりかなー……」
退屈心が抑えられなくなった石で囲まれた洞穴の中をひょこっと覗く。中は薄暗く、詳しくは見えない。
「オーイ、ブロウ? ジメジメしてるの? いくらオレ達の中でエアーが薄いからってダンマリはダメだよー。っていうかここにいてー」
答えは返ってこない。
中に宝でも入っていたら、と考えるのだが、この状況で探検したいなど通じるはずもない。
「……イヤイヤイヤ、別になんかお宝あるんじゃないかなんて思ってないよ? もしかしたらこんなところに落っこちてるかもしれないし? ソウ、これは捜索であって探検じゃないじゃない……」
「スッゲー自分に言い聞かせてるな」
「もう……ソード! ブロウやみなさんが心配じゃないんですか!?」
「あの格闘系ボーイはしぶといし……」
酷い言い訳である。
離れていても大丈夫、というのはある意味信頼の1つの形ではあるのだが、それが非常時にも発揮されるのはどうかと思うのだが。
「えっと……ううん、オレには聞こえた。ブロウの、たちゅけてたちゅけてチビってまうーというテレパシーが聞こえた。絶対聞こえた」
「ほんとぉ?」
「ホントホント」
「……絶対、嘘」
100%嘘だ。
ブロウの品位を下げながらの言い訳を信じる者はいない。
「というワケで……」
『行ってみたらどうだ?』
「エッ?」
ソードの体が1人でに倒れていく。
しゃがみながら、飽きたと語っていた口は日常ほど達者に働かなかったのだ。
誰かに押された。遠のいていく光の中に、正体を見破れないモヤの塊がいた。
「…………」
背中を強かに打ちつけてもなお、まともな言葉が出てこない。何か押されたような感覚はあったのに、それが誰の仕業かわからない。
そもそも、誰かが接近していたなら、自分じゃなくても誰かが気づくはずなのに。
まさか、すでにあの姿を変える敵が紛れていた?
「……イ〝ッタ〝イ〝……」
回り始めた頭に、遅れて痛みという異物が混じってくる。仰向けのまま、痛みで涙の滲む視界に、後を追うように何かが落ちてきた。
誰かが追ってきたのか。いや、あれは何か石のような、何かのかけら?
「ウワッ!?」
落ちてきたかけらは薄紫の色で光る。
それは、ダイマックスの光だった。
『……キュ〜……』
「……アッ、ドウモオイッスコンチハ。ミミッキュんこんなにビッグでした? 成長期?」
ダイマックス粒子が原生ポケモンに影響を与え、ダイマックス現象を起こさせたのだ。
ダイマックスを知らないソードは、自分も知っている愛らしいミミッキュが、怪獣映画に出演できるほどのスケールになったことにタジタジ。なぜか敬語で片言で気安く早口になってしまった。
「ソード!!」
「大丈夫!?」
ホムラとヨッシーが参戦する。
背筋がヒヤリとしながらも、自分好みのイベント発生に心のワクワクが止まらなかった。
「ほんっと、しつこい奴らだな……! 援護、頼むぜ!」
「……ハァ……」
示しを合わしたかのように周りを取り囲むボディ達。
ソードを突き落とした敵の仕業に違いない。
目視すらできなかったのは屈辱の極みだったが、今はそれこれを気にする場合ではない。後悔は後にするから後悔なのだ。
○タイトル
ゼノブレイド2 DLC追加シナリオ、黄金の国イーラの戦闘曲。
戦闘曲なのにジャズ風で、フィールド曲っぽさも薄々感じられる。
ちなみに追加シナリオ関係のBGMの中では、唯一ホムヒカのスマブラ参戦で、追加されたBGMである。
第13回 みんなで決めるゲーム音楽ベスト100にて2位。
ちなみにこの曲の長さは6分42秒。参考までに星のカービィ ディスカバリーのラスボス戦曲、『いつしか双星はロッシュ限界へ』は6分ちょい。ただの戦闘曲の長さじゃねえ。
○Mii三人衆の関係性
前作でも言及したことですが、彼らもオリキャラみたいなものなのでもう一度。
彼らはすれちがい伝説にて、王様を救い、すべてのやみのおうを倒した3人ではありますが、すれちがい合戦以外のすれちがいゲームの要素をそれぞれ取り入れている彼らは常に一緒にいる訳でもないのです。
ようは、アイツと一緒じゃないけどまあ大丈夫だろ、という雑な信頼です。
○洞穴に落とした何か
ねがいのかたまり。
ワイルドエリアの穴に使うと、マックスレイドバトルに挑戦できる。