大乱闘スマッシュブラザーズ Histoire Artificielle 作:蘭沙
「もう!! なんなのよこれ!」
「わかりませ〜ん!!」
部屋にあった大小様々な物が嵐の如く襲いかかる中、慌てて廊下まで飛び出す。しかし、ポルターガイストは止まらない。廊下の観葉植物や自動販売機なども加わり攻撃は更に激しさを増していく。あのオバケは驚いて壁をすり抜けて逃げて行った。
「だから勝手に頑張れとオレさまは言ったんだ! 巻き込みおって!」
「何でもかんでも自分の思うがままに動くと思うなよって!!」
ワリオのタックルが前方から飛んでくる椅子を粉砕し、リトル・マックのストレートパンチが植木鉢をかち割った。
「どうするっすか!? エレベーター行く!?」
「新しいスイッチないから同じ場所か地下だけど! やり過ごすのが先かなぁぁあああ!?」
悲鳴まじりの今後の予定。恐怖で怯えながらも頭を回すなどという離れ技ができるのは2番手でも天性の2番手だということか。
ショーウィンドウの前まで戻ってくるが、背後からだけでなく前方からもポルターガイストが襲ってくる。
「きゃ!?」
「デイジー! あっ!!」
何かが当たって破れたガラスの破片がまたポルターガイストで襲ってくる。
ヒールのせいで転んだデイジーの右腕がぱっくり裂けてしまう。物が増えていくにつれ、どんどん攻撃が手厚くなっていく。破壊してもその破片が攻撃に加わるのだからキリがない。ルイージの鼻先にレジのレバーが掠めた。
「物自体に仕掛けがあるとは思えない! 何かがこっちを把握して操ってるんだ!」
「じゃあバラバラに逃げるぞ! こっちにだけは来るなよ!」
そこで5人はそれぞれが動く。ルイージは1階部分に飛び降り、ワリオは警備員室付近へ戻っていく。キノピオ隊長がそのままエスカレーターを逆走して1階部分へ。リトル・マックは2階部分を進み、デイジーは店の中でガラス台に隠れてみる。
「(これでどうだ……?)」
「(これでどこかに集中したら……)」
「(何が起こってるかわかるかも……!)」
「(こっちにくんな……!)」
「(どうなる……!)」
心霊現象は、どうなる?
「これは……」
今まで動いていた物体が空中で静止している。
そして辺りを動き回るかのように、右往左往し始めた。その動きは。
「……迷ってる?」
個々で動き始めた彼らにどう対応していいのか迷っているような動きだった。しかし、やがて狙いを定めたのかある一点に向かって飛んでいく。
「あっ!」
「ええっ!? なんでよりにもよってワタシなんですかぁ!」
キノピオ隊長だった。
大きなリュックのせいか、背中の防御力は高いのだが、機動力がない。1番近いルイージが助けようと動こうとした。が。
「(いや……もう少し待とう。あの動き……絶対誰かがやってる。それをどうにか見極めて……!)」
美容室から顔半分だけを出して、キノピオ隊長の周りを観察する。
迷うということは誰かの手によるもので、隠れてもいないのに個人に攻撃が集中するのは相手が対応しきれないから。視野を広げて見回す。
荷物を盾にするキノピオ隊長。右手に浮く椅子、左手に襲いかかるカーテン。足元にぶつかりにいくレジスター……もっと、もっと視野を広げて……
「そこ!!」
エスカレーターの手すりの影、空間の揺らぎがある場所にオバキュームのキューバンを撃ち放った。うっかりすると見落とすほどの密かに隠れた存在がそこにいた。
「きゃっ……」
「そしてこれ!」
キューバンが空中で止まる。否、姿を消した誰かに貼り付いているのだ。異変を察知し、駆け寄ってくる皆の声を背景に、ダークライトを浴びせる。
「いやあああ……何……!? えっ、なんで私の姿が……」
「えっ?」
呆気に取られた。
だってその姿は。
華美な装飾が外され、ふんわりしたスカートが普通のスカートに。そして、夜に溶けるような黒い姿をしているが、それはピーチの姿だった。仲間と同じ顔をした誰かが今にも泣きそうな顔をしていた。目から涙が溢れてきそうで、ルイージの頭が真っ白になる。
「うええぇぇぇ……なんかそっくりなだけじゃなくて喋るのも増えたし……もうやだなんなのもう……」
「ええ……えっとあの……大丈夫?」
ざめざめと絶望しきったような顔をしている少女に全ての状況をすっぽかして慰めの言葉をかけた。
「いやだ……もう私、静かに暮らしたいだけなのに……」
「いやだから……」
しかし、まるでこちらを認知していないかのように両手で顔を覆って泣き続けている。
「もういや出てってよぉお!!」
「えええええええ!?」
「キレてるぅ!?」
認知していないのではない。まったく話を聞いていなかっただけだった。完全に錯乱した少女はさらにポルターガイスト現象を発生させてしまった。
「ばっ!?」
「壁まで……!! パワーアップしてる!」
感情の昂りに比例して、発生させるポルターガイスト現象もパワーアップしているようで、家具や物体はおろか、壁や床、柱などをひっぺがしてまで襲ってきているのだ。
「どうにかして抜け出して……」
ヒールを脱いでまで駆け抜けようとしたデイジーの目の前に金色の円柱が飛び込んでくる。咄嗟に掴むとそれは6と書かれたエレベータースイッチだった。
「スイッチ! 紛れてたのね!」
ならばここに居続ける理由はない。
とっとと違う場所に逃げ込んでしまえばいい。
「エレベーターまで! なんとかして、戻るわよ!」
「でもこれじゃあ行けませんって!!」
咄嗟に屈んだり無理な体勢を取ったりして、どうにか飛来する物を避けている状態だ。錯乱しているゆえに軌道だって読みづらい。正面から、あるいは死角からどんどん物が飛んでくるのだ。
「じゃあ、誰かが囮でもやればいいんじゃねえかよ! さっきは1人に集中してたんだから効くだろ!」
「あんた、そんなこと言って自分じゃやんないでしょ!」
「……なら僕が!」
「いや、オレがやるっす! これ以上ルイージにばっか負担かけれるか! みんなは先に行っといてくれ!」
ワリオ発案の囮作戦だが、重要なヘイト役はリトル・マックが引き受けた。動体視力の高い自分が一番適任だと自覚している。
「わかった! みんな、こっち!」
飛んでくる小物をオバキュームで吸い取りながら、エレベーターへ進んでいく。感情的な攻撃ならば離れていけば攻撃は薄くなる。離れていく分には問題ないだろう。
「(だから問題はこっちの方……!)」
離れていくルイージ達には目もくれないが、目の前から誰も居なくなれば流石に追ってくるだろう。
「うわあああああああ……!!」
幼児のように泣き叫ぶ少女をどうにかやり過ごす方法を考えなければ。
前方から飛んでくる看板の残骸を避け、後方からの机上照明を思わず肘打ちした。ガラスの破片が腕を切る。
「くっそもう……方法が見つからねえ……!」
直撃や深い傷にはならないように避けてはいるが、死角からも飛んでくる攻撃に細かな傷は増えていく。ルイージ達もこちらほど酷くはないだろうが、似たようなものだろう。
「どうすれば……!」
「マック!」
「っ!」
2階部からオバキュームの先を構えるルイージ。飛び上がったリトル・マックは強靭な吸引力に吸われていく。
「だけど、追ってくるんじゃ……」
「大丈夫だから、僕を運んで……」
「えっ?」
ルイージはそこまで言うと言葉を途切れさせた。ガックリと頭を垂れさせる。するとオバキュームから緑色の液体を飛び出させた。
「運んでってえっ? こっちを?」
「……」
ルイージ型になった液体、グーイージはリトル・マックの言葉に頷くと、エスカレーターを下っていった。数瞬迷ったものの、ルイージを抱えて走り出す。
「うわあああああああああ!」
半分になった自販機がグーイージを潰したのはしばらく経った後だった。
「あ、あれ……オバケだったの……? なにこれ……あ、消えた……怖……」
レジスターのレバーでツンツンと液体を突っついたら床に染みていくように溶けていく。
その頃になると少女も少し落ち着いていた。
○タイトル
1999年にコナミから発売されたホラーゲーム。
ゴーストタウンの表世界とグロテスクな裏世界を行き来しながら、町からの脱出を目指すゲーム。同然作者は名前だけしか知らない。ホラーゲーム怖いもん(´・ω・`)
○グーイージ
ルイージマンション3からの新システム。
ルイージ型のスライムが色々行動できる。水に弱く体力が低い代わりに、棘の類に強くすぐに回復する。同然オバキュームも使用でき、1人では吸引力が足りなくてもグーイージを使うことで突破できることも。
グーイージ操作中は、ルイージが意識を失うように項垂れるのだが、イベントでは共に動いてたりする。
○少女
名前不明。ボディは8Pカラーの黒ピーチ。ティアラやピアス、ブローチといった華美な装飾は外され、ドレスのスカートも普通のスカートになっているところから、あまり目立たないことを好む模様。
現状、ポルターガイスト現象を発生させることができることがわかっている。なお感情の昂りに応じて威力や範囲が増す。
○作者の気まぐれコメント
ゼノブレイド 3DLC! マリオ映画!
なんか毎週なにかしら話してるような気もしなくもない!
ちょっと忙しかったのでまだ手をつけられてないのですが、すぐやります見ます!