大乱闘スマッシュブラザーズ Histoire Artificielle 作:蘭沙
「ここでいいの?」
「うん、エレベーターの前ならどこにつながるかわかりやすいから」
エレベーターホールならば、つながるのは地下1階のエレベーターの前だ。そこからどうやって進むか方針を立てやすい。
「えっとファルコ、天井にさ、円をブラスターで撃ったりできない?」
「ん……ああ」
少しだけ反応が遅れて、ファルコが答えた。ブラスターで床を弱くして穴を開けようと考えてたのだろう。
言われた通りに8発ほど撃ち放ち、床のかけらがこぼれ落ちていく。
そこをルイージが得意のジャンプで穴を開ける。数発跳ぶと、円の形にくり抜かれた。ルイージは跳んで先に行ってしまった。
「OK! 脚立使って登ってきて!」
「ルイージ1人だと脚立要らなかったんすね」
「ワタシはいります! あんな飛べません!」
「……」
兄が有名過ぎて隠れがちだが、要所要所で活躍しているルイージ。日陰者と呼ばれながらも長所と土地勘を活かして活躍している。
自分は足を引っ張ってばかりではあるのだけど。
「チッ……」
誰にも聞こえないように、小さく小さく舌打ちをした。
──2F アッパーロビー
「で、なんで2階まで上がってきてんだよ」
「地下1階も1階も大きくないから……なにかあるならこの階かなって思ったんだ」
レストランやメイク室もあり、多機能なのがこのフロアだ。広さもあり、誰かが潜んでいるのならばここであろうと考えた。
「広いなら別々で探索するぞ」
「えっ、別にそこまで広くないけど……」
「群れるのは性に合わないんだよ」
それだけを言うとファルコはスタスタと進んでいってしまう。
「スターフォックスは群れる内に入らないのかしらね?」
「いや、オレ達に言われても……」
「知らねえっす……」
勝気系少女にはわからない領域。比較的まともな意見をくれそうなリトル・マックとレックスに聞くも、彼ら2人もまた一匹狼タイプではなかった。
「ここ……レストランか」
白いテーブルクロスに包まれた丸いテーブル。
ずらっと並ぶそこには、ワインやステーキのような豪華な食事だけが虚しく置いてあった。
「(冷めてっし、暴れた形跡もねえ。誰もいねえのかここには……)」
静まり返ったそこに人の気配はなし。空振りかと思ったその時。
「なっ……!?」
ガシャンガシャンと割れる音がして、突然視界が白に染まる。
「クソッ!」
「……!」
何も見えぬままに腹部を蹴り飛ばされるファルコ。テーブルクロスで視界を塞がれたのだ。
取り払うファルコの頭部に重いもので打ち付けられた。反射的に蹴り返す。手応えはあった。
「誰だテメェ!」
隠れたテーブルあたりにブラスターを撃つ。返ってきたのは卓上の皿だった。そのまま撃ち落とし、破片が床に散らばる。直後に追撃を警戒し、自らもテーブルの陰に隠れた。
「……!」
テーブルを移動する音をファルコは聞き逃さない。咄嗟にテーブルのワインボトルを握り、山なりに投擲して一方的に攻撃を仕掛ける。
割れた破片の軌道からして、今のは当たったはず。
「そこか!」
それを確認するや否や、飛び出したファルコは敵のいる場所に跳び蹴りを放つ。その蹴りは硬い機械に阻まれ、視線と視線が交差する。
「……っ!」
「……ッ! テメェか!」
防いで弾いた敵はテーブルを横に倒し、壁とした。窓を遮る位置の壁、ただでさえ少ない月明かりがさらに減っていく。
かと思いきや、テーブルをつき飛ばし壁と挟まれた。その過程で花瓶や壁つきのランプが落ちて甲高い音を鳴らした。
「クッソがァ! マジで本気でやりやがって!!」
テーブルを蹴り返し、ブラスターを乱射する。
食器、花瓶、照明、テーブル……器用に使いこなす相手の手を減らせ。
「……!」
相手がリフレクターを展開し、ファルコもまたリフレクターを展開。ブラスターが反射し続け、それた軌道が壁を貫通した。
その行方を見守る暇もなく、殴りかかった敵とファルコの蹴りが交差する。一度距離を離し、ばら撒かれた小型のボムを尾で弾き、辺りで爆発した。
「おーい! 何があったんだー!!」
「……!」
その爆発音の直後、壁を隔てても聞こえるレックスの声。戦闘音だの割れる音だのをガンガンに鳴らしていたら、当然誰か来るだろう。
焦げの穴だらけ、こぼれた料理の染みだらけのテーブルクロスを纏い、姿を隠す。
「……あっ! アンカーショット!」
部屋に入るや否やその敵を見て察したレックス、射出したアンカーで敵の足を絡め取り、引き寄せる。引っ張られた敵は空中で回転しながらそれに抵抗し、腕のアームから出した炎でアンカーを焼き切った。月明かりの元、レックスにもその正体が明らかになる。
「ええ!? ボディじゃない! 確か……ガンナ!?」
「んだよ、私のこと知ってんの? 人気者はめんどくせえな」
相手の正体、それは、Miiの少女だった。
重いアーム機構部を自作するガンナは望んでいたエレベーターを修理できそうな人材。
しかし、唯一の懸念点としてファルコとの相性は最悪なのだ。
気にすることなく、レックスを巻き込む形でファルコにガトリングを撃ち放つ。破壊され、本来の機能に使えないテーブルを心許ない盾としながらファルコが叫ぶ。銃音に負けない大声だ。
「コイツ、ホムラとかのツレだぞ!! そんなことも知らねえとか、どの口がトリ頭とか言ってんだよ!」
「私の頭は無駄のない頭なんだよ! それにいっつも事実しか言ってねえぞ! テメェの頭は文字通りトリ頭だからな!」
「ンだとゴラァ!」
「ちょっと! 敵じゃないのになんで戦ってるんだ!?」
「「うるせえ!!!!」」
「はいっ!?」
短気で喧嘩を買いやすいファルコと、
交戦的で喧嘩を売りやすいガンナ。
ファルコが喧嘩を買う相手が常に彼女とは限らないし、ガンナが突っかかる相手が常に彼とも限らない。
それでも自他ともに、喧嘩相手として堂々上位なのだ。
「テメェ、相手確認しても気にせず戦いやがって!!!」
「おったがい様だろ、そんなんは!! そういうアンタはやめようとか思ってたのかよ!!」
『…………!!』
「「邪魔すんなッ!!」」
翼の振り払いが、回し蹴りが。
厨房から出てきたボディを叩き返す。
即興な上に合図もなし。似たもの同士の同時攻撃が1体のボディに突き刺さる。
「…………」
「…………」
「………………えっ、何この空気」
そうして黙り出す2人。先程までとのギャップにレックスは思わず口を挟んでいた。
「……で、どこに行けばいいって?」
「エレベーター直せ」
「へいへい」
それだけ語ると2人はレックスを置いて行ってしまう。
「えええ!? 何!? オレどうすりゃいいんだよー!!」
いつ邪魔が入るかわからないここで戦うのはやだから事態を解決するためにエレベーターを直しに行くという意思の交換が2人の間であったのだが、口にはしていないのでレックスは当然わからない。
「ハァ」
「おっ? やり足りない?」
「ちげえよ」
なんか、色々考えてたのが馬鹿らしくなった。
考え込むのは自分らしくなかったのかもしれない。
行動あるのみだ。突出すると危険だとか後がまずいとか考えていると自分らしさがなくなる。
それは欠点かもしれないが、確かに自分を構成するものの一つなのだ。
「(……ソラにも言ってやるか)」
ファルコから見れば、達観して、現実を直視しないようにしているように見える彼。
思っていること、感じていること。
感情的になっていいのだと、伝えたい。
嫌いな創造主。奴が造った世界に戻らなければならない理由が増えた。
◯タイトル
KHシリーズで登場する言葉。
古の時代を描くχシリーズでは、主に予知者達などで使われる合言葉的な扱い。現代では、被験者Xやシグバール等古の時代関係者だと暗喩する意図で使われている他、イェン・シッド様が見送る時に毎回言っていた模様。アクア曰く(要するにBbs時点で)「ずいぶん古い言葉」。
おとぎ話とされた時代の話なのでずいぶんどころの話じゃない気がする
◯ルイージの性能
滑りやすく、ジャンプが高い。
これ時代は有名だが、元はただの色変えだったのもあって性能差がない作品もある。
ちなみに初代ルイージマンションではジャンプができない。せっかくの主役作品なのに強みを殺されていく。
◯ファルコの突貫思考
フォックスより飛行技能が高い筈なのに、しくじった的なことを言って後ろの敵を任せてくる。
TASやRTAではそのまま見殺しにされる。タイムのためだ。仕方ないね。
◯作者の気まぐれコメント
あの……ゼルダ。ティアキン。
ヤバイヤバイとは思ってましたが、実際に売り上げを数字にされるととんでもなくヤバイですね。前作とか何年も前なのにまた売れてきてるし。前にテリーがテレビゲーム総選挙のランクインファイターに喧嘩売る的な短編を執筆しましたが、今やったらテリー君、骨も残らないんじゃないかな……?