大乱闘スマッシュブラザーズ Histoire Artificielle   作:蘭沙

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87話 塊オンザファンク

 

スイッチを一旦全て引っこ抜き、基板も抜いてドライバーやレンチを突っ込んで、ガンナはエレベーターを修理していた。

 

 

「道具をガンナが持っていて良かったよ~」

 

「完全に忘れてたわね、もう……」

 

 

エレベーターを修理できる人材が見つかったのは幸運だったが、その修理器具のことを考えていなかったことに気づいた。つくづくガンナに会えて良かった。

 

ファルコと一戦、割と本気で交えていたことには驚いたが、突拍子もなく乱暴者なのはそう珍しいことでもなかった訳だが。

 

 

「で? 直りそうなのかよ?」

 

 

鼻をほじりながらワリオが聞いた。それについてガンナはため息を吐きながら応える。さも面倒くさそうに。当然のことを言うなと言わんばかりに。

 

 

「あったりまえだろ、片手でもできるわ。いっそのことジェット機構でもつけて空飛んでみるか?」

 

「ケッ、そうでもしなきゃ空飛べねえのか?」

 

「コレの修理もできない奴がなんか言ってんなー」

 

「あ゛あ゛?」

 

「もう! 二人の喧嘩は収拾がつかないから禁止!」

 

「喧嘩じゃねえし~口喧嘩の模擬戦だし~」

 

「喧嘩じゃん!」

 

 

酷い言い訳を述べながらも、手を止めないガンナはとどめの締めにギュッとネジを締めた。

 

「ん、おけ。部品が最低限だから昇降機能しか直ってねえけど」

 

基板が丸見えで見た目こそそのままだが、彼女が言うならその通りなのだろう。

 

「十分だよ、ありがとう! あれ? ジェット機構って……」

 

「アームをバラせばできたけどな」

 

ようは冗談なのだろう。破天荒な少女には珍しい嘘の類いだ。流石にガンナとてこの状況で武器を解体する自殺行為はしない。

 

 

「で、どこ行くって?」

 

「とりあえず13階! シャワー浴びて、その次におニューのスイッチよ!」

 

「は? シャワー……? なんかほのかに匂うぞ」

 

 

ブツブツ言いながらも13のスイッチを押す。開いたままのドアは開いたまま上昇していく。

 

 

「あれ、扉は……」

 

「だから最低限だって。気に入らない鳥とかメット野郎とかいつでも突き落とせるぜ」

 

「やっぱ喧嘩売ってんな……!」

 

「メット野郎ってオレのこと!?」

 

 

 

 

 

 

──12F ビーチレストラン

 

 

「なんすかこれ、外っすか」

 

「ううん、そういうレストラン」

 

「ここ何個レストランあるんだよ。私がたどり着いた場所もレストランなんだけど」

 

 

何度目かもわからないため息を吐く。構造が変だとか言っている暇もなく、それは唐突に起きたのだった。

 

 

『…………』

 

「わー!? なんですかこの数!!」

 

 

出迎えたのはボディ達。ただし数十体はいそうな数だ。

 

 

「いいじゃねえか! へばんなよ銃女!」

 

「勝手に言ってろ! 突貫して即死すんなよトリ頭!」

 

 

真っ先に動いたのは、仲が悪い二人組だった。思考自体は似通っているために一番最初にスタートダッシュを決められたのだ。ガトリング弾を多くの敵にぶつけ、ファルコが跳び蹴りを当てる。テーブルや椅子にぶつかり、木っ端微塵に砕ける。

 

 

「よし! オレ達も! ローリングスマッシュ!」

 

「キノピオ隊長は下がっててね」

 

「は、はい~……」

 

「あんた、結局何しに来たのよ」

 

 

戦いになると基本的に下がってばかりのキノピオ隊長に、テニスラケットを構えながら愚痴るデイジー。乱戦になると一人戦えないだけでも相当なハンデになる。

 

 

「うらあ!! ぐっ、」

 

『…………!』

 

「やらせない!」

 

 

パンチを連打するリトル・マックに背後から羽交い締めにするボディ。緑の炎を宿した掌底を叩きつけ、ルイージは敵を振り払う。その技にリトル・マックも気づいた。

 

 

「今の、兄貴の技じゃ……」

 

「兄さんは憧れでもあるから!」

 

 

炎の色の違いはあれども、マリオと同じ技で間違いない。いつからそんなことをできるようになったのだろう。

 

 

「カバーだカバー! 基本ツーマンセルで行け! ヘマしたらもう一人がカバーしろ!」

 

 

頭は切れるガンナの指示通りに近くで戦うファイター達。

 

デイジーがヒールで蹴飛ばしたボディを、アンカーショットで距離を寄せて射程内に収めるレックス。突貫したファルコとガンナは少々離れた場所ではあるものの、飛び道具を持つ彼らはカバー範囲も広い。

 

 

「コウ」

 

「またなんでオレさまが……おまえ、二人分働け!」

 

「…………」

 

「なんか言えよ!わかったよ、やりゃいいんだろやりゃ!」

 

 

詰めてくる敵を肘打ちで凌ぎながら、無言のジト目にワリオ本人もタジタジだった。

 

物を言える口ではないが、口よりずっと物を言う目。もとい圧力。

 

 

「ここまで多いの久しぶりね! なんかここ、きな臭いわ!」

 

「そうかな、コロシアムの時は……多いけど役柄みたいなものだったよ」

 

 

ついにゴルフクラブとフライパンを両手持ちし、ヒナギクの魔法を使う押せ押せモードのデイジー。ガンガン攻めていく結果、必然的にヘイトを獲得し、結果レックスを動きやすくしている。

 

 

「確かに意味もなく敵がおお、うっ!!」

 

「あっ! くそ、どけ!」

 

 

横っ面を殴られて、押さえ込まれたルイージを救うため、リトル・マックが向かおうとするが、立ち塞がるボディ。遠くから見ていたキノピオ隊長は慌ててリュックの中を探り出す。

 

 

「わわわ……! どうしましょう……! そうだ、こういう時はアイテムで……」

 

「ワン!」

 

ギャー!! オバケ! じゃなかったオバ犬!!」

 

 

床から出てきたルイージの愛犬に、腰を抜かすほど驚く。思わずリュックの中身をほおり投げてしまった。

 

 

「ワフ~ン」

 

「えっ、ちょっとどこ行くのよ」

 

「なんだあれ、ファルコみたいなもんか?」

 

「どういう意味だゴラァ!」

 

 

透けるオバ犬はボディの妨害もすり抜けて無視し、なぜか機嫌が良さそうに奥へ進んでいく。ドクロの形をした岩肌へ向かう。その先には、室内とは思えないほどの大海原が広がっていることをルイージは知っていた。そして、オバ犬が誘導してくる先には必ずなにかがあることも。

 

 

「まずは……! ここをどうにかしないと……!」

 

 

頭を地面に押さえつけているのは、ガノンドロフのボディ。単純な力比べではどうにもならない。

 

 

「あっ! 投げちゃってた! ルイージさん! これ!」

 

 

キノピオ隊長は驚いた時にぶん投げてしまっていたアイテムを拾うと、ルイージに届くように投げた。

 

 

「それこそ何それ!? キノコ!?」

 

「固そうだな!」

 

 

そのアイテムは傘の部分が岩石のようになっているキノコだった。思いっきり手を伸ばして受け取ったルイージ。その瞬間、ルイージの服装は岩肌のようにごつく硬くなっていた。

 

 

「とりゃあ!!」

 

「うおっ! ルイージまで岩石に!?」

 

 

そしてルイージは丸い岩のようになり、ボディを振り切る。転がり回る岩石は彼の周りのボディだけでなく、辺りのボディも巻き込んで突き飛ばしていく。

 

 

「へえ……よし、歯ァ食いしばれルイージ!」

 

「ん? うおう!?」

 

 

ファルコの蹴っ飛ばしたリフレクターは反射の効力を遺憾無く発揮し、ルイージを別の角度に跳ね返す。当然威力も跳ね上がっている。

 

 

「巻き込まれる巻き込まれる!」

 

 

アンカーを射出し、空中に移動することで、レックスはルイージに巻き込まれることを回避しようとする。それを察したデイジーは適当にレックスに捕まる。

 

 

「私も連れていきなさ〜い!!」

 

「いいんだけど、くび、くびが」

 

 

よりにもよって首元の装備を掴んだために首が閉まる状態だ。前が開いている服なのに襟元を両手で持つ姿勢は1番ダメな状態である。

 

 

「わー!! たいへんだたいへんだ!」

 

「なんでこんなことに!!」

 

「にげろにげろ!」

 

「おっ!? くそ、アイツホントにトリ頭だな!!」

 

 

轢かれそうになり血管の浮き出たガンナは自分もリフレクターを使ってファルコめがけて跳ね返した。それに気づいたファルコもまたリフレクト返し。

 

 

「ホンットこの脳筋オンナァ!」

 

「ナチュラルに巻き込んでんじゃねえんだよ、トリより脳みそ足りてねえだろお前!」

 

「ボクで喧嘩しないでって〜!!」

 

 

超スピードで跳ね返るルイージ。さながらスマッシュオンリーのバトミントンだ。

 

 

「やっぱ、他ならぬここで決着つけてやるぜ、構えろトリぃ!!」

 

「上等だ、半ベソかくんじゃねえぞオンナァ!」

 

「コウッ!」

 

 

新ステージ、ラストリゾートでの大乱闘が始まろうとしていた中、2人の顔に水がかかる。ハイドロポンプどころかみずてっぽうにも満たない威力。文字通りに水を刺された。

 

 

「…………」

 

「…………」

 

 

沈黙が続く。

 

 

「おい、ルール今のうちに決めとくぞ!」

 

「シンプルにアイテムなしだわ、当然タイマン!」

 

 

未来の戦約をしつつ、オバ犬の向かっていった方向へ飛んでいく2人。怒りという感情は一過性である。

 

 

「もー、なんでいっつも喧嘩になるんすかー」

 

「先にワタシ達がやられるかと……」

 

 

少し固まっていた他のメンバーだが、ゲッコウガが進んだことで他も小走りで追い始めた。

 

 

「あうあうあうあう〜……めがぁ〜……」

 

「い、いきが……しぬ、しぬ……」

 

「ほら、真っ直ぐ歩く!」

 

 

完全に目が回って元の緑に戻ったルイージと、酸欠で顔が真っ赤のレックスの背を押しながら、デイジーが最後尾に回った。

 





◯タイトル
僕の私の塊魂 オープニング曲。イントロで溜めて溜めて、塊魂で解き放つ。南国の海という舞台にぴったりなファンキーな曲。最終ステージで流れた際には鳥肌立ちました。オープニング曲が最終ステージで流れるなんてわかってたのに!
みんな大好き塊魂アンコールには、先の作品ゆえ未収録……と思いきや、DLCで購入可能。せっかくなので塊オンザ系をまとめてみました。

塊オンザロック:初代のオープニング。アレンジが次作のチュートリアルで流れます。
塊オンザスウィング:みんな大好き塊魂のオープニング。松崎しげる。
塊オンザファング:僕の私の塊魂のオープニング。上記参照。
塊オンザウィングス:塊魂TRIBUTEのオープニング。スウィングのカバーアレンジ。スキマスイッチさん。DLCにも不在で作者血涙を流す。


◯ガンナの前科
拙作の前作では、人がいるのを承知で大砲を撃ったり、気絶したブロウさんを顔面踏んで叩き起こしたり、インクリングの名乗りに人知れずなのに名乗っていいのかと際どいツッコミをしたり、敵とはいえ女の子1人に男連中4人をけしかけたりしてます。
誤射を全く恐れないのは仕様です。改めて見るとやべえ奴。改めて見なくてもやべえ奴。ファルコとの口喧嘩は面白くてしょっちゅう買いちゃいます。
ジェットで空飛ぶエレベーターは実現しませんでしたが、部品があったらやってました。


◯ローリングスマッシュ
前方に小範囲のエーテル攻撃。さらにヘイトを下げる。
ヘイトダウン攻撃だが、威力が高いので結局ヘイトを取ってしまうこともしばしば。


◯ゴロ岩キノコ
スーパーマリオギャラクシー2から登場。
ゴロ岩マリオに変身すると、岩を見に纏い転がって攻撃する。
速いし強いが、操作しづらい。ちなみに雪が降っているステージだと雪玉みたいになる。
キノピオ隊長がレギュラーのマリギャラから何かアイテムが欲しくて、選ばれたのがゴロ岩キノコでした。


◯作者の気まぐれコメント
毎日少しずつ少しずつプレイして、ようやくXマッチ行けました!
あーもう疲れたー!! 6月なったらちょっとスプラは休憩して塊魂やるんだ……! 新シーズンは……スロッシャー系の続報は……ないのか……?
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