大乱闘スマッシュブラザーズ Histoire Artificielle 作:蘭沙
91話 全ての人の魂の詩
常に先人のお蔭で安全というものは保たれる。
暗い遺跡も一人の踏破者によって暴かれ、いずれは数多の観光客に踏み荒らされるのさ。
知ってる? 毒キノコって最初から毒だってわかること、ほとんどないんだよ?
誰かが知らずに食べて、犠牲になって、そうしてようやく毒だって気づく。
先人ってほんと不遇だよね、先人と書いて犠牲と呼ぶ。
未知を暴いて名声を得るために……
未知を暴くために未知にもまれ未知に殺され、未知と共に未知となる……
似たようなこと考えて永遠に何も知れなくなっちゃう人なんていっぱいいるんだよ?
彼らは、彼はどうなるかな?
その真実という名の深淵にどう立ち向かうか。僕が選んだあの彼は、一体どう抗うのか。
未知の芯は、どうなっているんだろうね。
「で、なんでこんなに増えてるんだ……?」
「まあ、気持ちはわかるぜ……」
子供達が主体のネッシー捜索隊。いわく付きの湖に捜索しに行くというのなら大人も連れて行こうという理由で一員に加えられたことにされた雨宮蓮ことジョーカー。
ほんのちょっとだけ、大人扱いに不満があるのは置いといて。
結局、捜索隊は事前に聞いていただけの人数では収まらなかったのだ。
「よっし! ではこれよりネッシー捜索隊はほんかくてきな捜索にうつるよ!ぼくは隊長のネス!」
バットを肩に構えながら全力で胸を張る。そのリュックには一体何が入っているのだろうか。
スマッシュブラザーズ内で、古参ということもあり、子供内でのリーダーのような立ち位置だと聞いたことのあるネス。ただ、最近入ったジョーカーでは、自分より後以外の順番など実感もなかった。
「ネスー! 質問質問! バナナはおやつに入りますか!」
「バナナは別腹なので入りません!」
「(定番だな……)」
「おやつも別腹です!」
「(いくつ腹があるんだ!?)」
ノリに乗ったトゥーンが定番のノリに乗ってくる。うっきうきの遠足気分だ。まあ、子供達からしてみれば休日に遊びに行くようなノリなのだろう。
「では! 質問も終わったことなので! 点呼を取ります! 番号!」
「1!」
「2」
「3!」
「あっ、4」
「5だ!」
上から、トゥーンリンク、むらびと、ロックマン、リュカ、クッパJr.が数字を呼ぶ。
この辺りはよく遊んでいる面子だ。ネスも加えて子供達同士で鬼ごっことかかくれんぼとか。
「はいはい、6」
ここから異端に入る。トゥーンリンクに無理やり誘われたこどもリンクが6番目。
見た目だけなら混ざっていても違和感はないが、内面は大人を通り越してまるで達観した老人のように感じることがある。
そのチグハグさが少し苦手だった。
「ガハハ! 7だ!」
陽気なおじさんのような笑い声を上げるクッパ。保護者代表といったところか。
だが、授業参観でもあるまいし、1人だけ親同伴なのはどうなのだろう。周りが気にしてなければいいのだろうか。
「eight!」
「9です」
そして、ザ・父親とザ・母親のような2人。
テリーとロゼッタだった。ジョーカーが誘われた時には名前の上がっていなかった2名。子供好きな2人はこうして大掛かりな子供の大冒険に付き合うのも苦ではないのだろう。
「…………」
「ねえ、ジョーカー」
「だからこの姿でジョーカーと呼ばないでほしいと……10」
「ワガハイは11だな」
そして巻き込まれたジョーカーと、背負った手提げバックの中のモルガナ。
子供のノリは気恥ずかしい年頃だ。
大人ではないが子供でもない。微妙立ち位置に居座っていることを自覚せざるを得ないのだ。
大人になるのは嫌ではないのだ。ただ獅童や鴨志田のように改心が必要な大人と同じ括りに入れられるのが嫌だった。
「あれ? モルガナ……さんもいるんですか?」
「まあな、コイツなんか最近ぼんやりしてるからな。うっかり湖に落ちないようにワガハイがついててやってんだ」
「ぼんやり……」
モルガナの言うぼんやりの理由。それは間違いなくこの頃見る夢のことだ。
青い牢獄……ベルベットルームの夢。それを見るのははじめてではない。いつも見ている訳ではないが、今更珍しいことのように考え込む道理はないのだ。
しかし、そのベルベットルームに自分以外誰もいないという事態ははじめてだった。そもそも自分は客人、招かれる側であり、普通なら招く側がいるはず。ラヴェンツァやイゴールの名前を呼んでも返事はなかった。
何かあるのか、何が起こるのかも不明瞭でひたすらモヤモヤしていた。
モルガナに相談してみようかと考えたものの、不明なことばかりでどう相談していいのかもわからない。そうやってモヤモヤしたまま今日まで来てしまったのだ。
「まあまあ! 保護者っていうには若すぎるけどよ、童心に帰った気分で楽しめばいいんじゃねえかジョーカー!」
「だから俺は……」
「あんたも大変だね……」
肩を組むテリーに、同情してくるこどもリンク。ぼんやりしているという情報だけ聞いて気分転換を勧めてくる。
こどもリンクは自分が大人だの子供だのを気にしてないように接してくるが、テリーは完全に子供扱いだ。ネス達よりは大人というだけで、完全におちょくってくる。
その分ロゼッタは子供扱いでもおちょくったりはしない。
なんだか大人扱いが嫌なのかいいのかわからなくなってきた。……クッパはちょっとわからない。どっちでも想像つくから割と本気でわからない。
「ちょっとー! そこー! おしゃべり禁止ー!」
「おっとっと、悪いな隊長、続けてくれ」
そしてそんなテリーは本当の子供の扱いも抜群だ。おちょくりも何もなく完璧な手綱の持ち方。
「まずターゲットが目撃されていた湖だけど、F氏からの証言によると昔、おっそろしいドラゴンが住んでたらしいんだ」
「ネッシーよりそっち探そうぜ! ドラゴンとかぶっ飛ばしてやるんだ!」
「おお! 勇ましいぞ! 流石はワガハイの息子だな!!」
「はいはーい、大人はちょっとしー、してような~」
テリーが出しゃばる大人のでかい口を塞ぐ。今は子供が主役なのだ。
「バトルも楽しそうだけど、それはまた今度にしようよ。今回はネッシーだよ。もういないかもって言ってたけど、もしもの護衛のためにジョーカーやクッパに来てもらったよ」
「あっ、力仕事なんだな……」
なんで子供側から自分達を呼んだのか疑問だったが、そういう考えがあったのか。
「でも、おまえ達も相当やるんだろ? わざわざコイツらを呼ぶ必要あったのか?」
「フォックスにあれこれ言われちゃって……」
「へえ、まだ保護者がいたんだな」
F氏とはフォックスのことか。大人がいなければ教えてくれなかったのかもしれない。
「それでネッシー、見つけたらシャッターチャンス! 写真……じゃなくて写し絵でネッシーをきっちり撮るんだ! トゥーンにこどもリンク! 頼んだよ!」
「うん!」
「はいはい」
「そしてそれを複製して金儲け~♪」
「おいおい……子供のうちから金目当てかよ……」
むらびとの通常運転に若干引き気味のモルガナ。どうかほどほどの本能で成長することを願うばかりだ。
「ぼくはどうすればいいかな?」
「慌てない慌てない。それで、できたら捕まえてみんなで記念撮影! クッパJr.とリュカとロックマンで捕まえるんだ! あっ、それは大人組は手出さなくていいからね!」
「わかりました」
ミステリアスながらも薄く微笑むロゼッタ。その顔は間違いなく母親のような顔だ。女性ながら子供に頼られたのもわかる。
「よーし! じゃあ、役割も理解したということで、さっそくしゅっぱーつ!!」
「「「おー!!」」」
「おー」
「こどもリンクロゼッタ声が小さいー! ジョーカーモルガナ声出てないー!」
ひょんなことから巻き込まれたジョーカーこと雨宮蓮。
そんなひょんなことから謎の夢と真相にたどり着くとは思ってもいなかったのだ。
◯章タイトル
彼らが言う湖は、亜空の使者にてレックウザがいた湖と同一のものです。つまり、舞台は大乱闘の世界。メイン登場キャラも今話で出てきた10人と1匹です。
Woderは不思議という意味。前、ワイルドエリアを舞台とした章の開始とポケモンSVの発売が大体被りましたが、今度は新作マリオのタイトルと今章のタイトルが被りました。マジでなんで?(章タイトルはプロット時で既に作成済み)
◯タイトル
ペルソナシリーズの常連BGM。ベルベットルームで流れる美しい曲。
初出は女神異聞録ペルソナ。しかし、サントラではベルベットルームというタイトルで、全ての人の魂の詩はアレンジされた別の曲。こっちが本家とも言えるかもしれない。
そこからシリーズを重ねていくごとにアレンジされていった。そしてみなさんご存知のスマブラでも。
◯テリー
拙作の短編で主役を張ったので、はじめてな気がしない方。
あっちのような情けなさはないので安心してください。
『テリー・ボガードはテレビゲーム総選挙の結果に物申したいようです』も是非。(宣伝乙)
◯F氏
スターフォックスコマンドのエンド次第で父親になる男。保護者の面影はこの時点であったのだ。
◯作者の気まぐれコメント
ピクミン主役かと思ったら、マリオ界隈が大発狂してたダイレクト。
いや、マリオRPG配信ですらないの!? リメイクなの!?
マリオ界隈じゃなくても発狂してました。
そしてそれですらトリではなく、2Dマリオの新作。映画の熱を冷ましてたまるかと5年分ぐらい前倒しで頑張った感がすごい。
マリオの印象強すぎましたが、地味にピクミンでもなんかオリマーが怪しいことに……もうなんか他のも色々抜けてる気がする。マリオ強いマジ強い。ジーノ参戦希望勢もようやく成仏できたかなって……
あ、FF16も出てたやんけー!!