大乱闘スマッシュブラザーズ Histoire Artificielle   作:蘭沙

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97話 鏡の大迷宮

 

 

むらびとがどこかにいるはずの友の身を不安視している中、その当の本人達(一部)は他と同じように仲間を探していた。

 

 

「う~……ジメジメする~」

 

「ぼくも中で水が溜まって……」

 

「……え、なにそれ……」

 

「霧が中に入って……それから水に戻って……」

 

 

運良くネスとロックマンの2人は合流することができ、さらにはぐれた仲間を探すために森を歩いていた。深すぎる霧は視覚以上の不快感を与える。

 

 

「あ、湖。戻ってこれた!」

 

「誰かいるかな?」

 

 

歩き回っていた2人は意識したわけではないが、湖に戻っていた。

 

 

─彼らが他の集団と違っていた箇所。

 

─まず、今後のことや相手の意図を予測するような頭脳担当、ブレインがいないこと。

 

─そして、プレシアの存在以外の異変を知らなかったこと。

 

─そのせいで湖の側にいることの意味を彼らは知らなかったのだ。

 

 

「おーおーおーおー、おめでとうだな、お前たちが1番のりだぞ」

 

 

拍手と共に湖から顔を出したのはプレシアだった。不自然にそりたつ山のような奔流の頂点に悠々と彼は立っていた。

 

 

「お前は……!」

 

「ネッシー!」

 

「うぐっ……散々思ってたんだが、その名前、ダサくないか? なにからとったのやら……かっこよくプレシア様って呼んでくれよ」

 

 

まるで何かの一撃を受けたかのように、顔を歪め、オーバーなリアクションを取る。言葉の端々に滲み出る上から目線は今も健在である。

 

 

「かぁー、萎えた萎えた、プレシア様萎えちゃったよ、どう責任とってくれんの?もういいや、あと適当に戦っといて」

 

 

非常に適当に言葉をかわすと水を操り、即席の玉座を作り出す。頬杖をついていかにもだるそうに指を鳴らすと湖から3体のボディが上陸する。

 

 

「うわっ!? 出てきた!?」

 

「とりあえずこっちからぶっ飛ばす!」

 

 

ロックマンはアーム部分をロックバスターに変化させ、ネスはバットを構える。どうあっても対処できるように。かたやスマッシュブラザーズ最古参の1人、かたや幾度となくドクターワイリーの野望を打ち砕いた者。

どちらも歴戦の猛者である。少々数が多い程度では臆することもないし、ボディが出てきたことに驚きはしても戦闘自体に響かせない。

 

 

『……!!』

 

 

最速で突出した1体のボディが正面から突撃してくる。突進か──。バカ正直に付き合うこともなく、2人はわかれて進行レーンから外れる。そして、残っていた2体へ距離を詰めていく。

 

 

「はあっ!!」

 

 

指先からぶつけた念の力は軽い小ネズミの姿に避けられる。しかし、カウンターの電撃もサイマグネットでガードし、ヨーヨーをぶつける。少しのけぞったが、次の動きを止めるまでにはいかず。

 

こうそくいどうでヨーヨーの紐を通り、背後に回ってロケットずつき。腰に当たったが、振り向きざまにPKフラッシュをぶつけて目くらまし。前後不覚となった敵を蹴っ飛ばして湖にたたき落とした。

 

 

「こんな奴らに負けられない……!」

 

 

ロックバスターによる牽制から始まるロックマンの戦いは強みに頼る形だった。

 

偶然か否か、自分自身のボディと戦うことになったロックマン。敵もまた距離をつくって戦うことになり、展開したリーフシールドは敵の弾を落とす。それを見てか、相手側もリーフシールドを展開した。

互いに牽制の弾を撃ち合い、膠着する戦線。それを打ち破ったのは、先制攻撃を仕掛けていた1体。

 

 

「わっ……!」

 

『……!』

 

 

驚きつつもリーフシールドを撃ち出して足止めをはかり、フレイムソードを体に押し込む。

 

 

『ッ!』

 

「……!? ネス!」

 

「OK!」

 

 

その隙にと撃ってきたチャージショット。ロックマンがその名を呼ぶと、間に入ったネスがチャージショットを撃ち返す。もう1体も飛んでいった。

 

 

「流石にやるねえ、3体ぽっちじゃどうにもならなかったか」

 

 

その戦いを上から見ていたプレシアが再び指を鳴らす。今度は正面の湖から上陸したのが4体。

 

 

『…………』

 

「……気をつけて……後ろにもいる……」

 

 

さらに通ってきた森の道から2体、合計6体と倍の数となった。背中合わせになって、唾を飲み込む。4体を見るネスと2体を見るロックマン。離脱するなら背後一択だが、それを許せないプライドは少し心の中にある。

 

 

「どうする?」

 

「隙を見て本人を叩くしかないよ、明らかにまだ余裕ありますよーって顔してるし……」

 

 

呼び寄せたボディ、プレシアの命令を聞き戦う傀儡。どうして奴の命令を聞いているのか不明だが、ここにいるボディが全てだとは言い切れない。闇雲にボディと戦っていれば消耗戦で敗北する可能性が高い。

 

 

「わかった、2人で戦っていけるときに攻撃してみよう」

 

「うん、隙を見て、だね」

 

 

小声で完了した作戦会議、アームをキャノンから素手にもどし、得物を小廻りのきくヨーヨーに持ち直す。背中合わせを変えないまま迎撃の態勢を取る。2体がその場で重火器を構え、残り4体全員が一斉に襲いかかる。

 

 

「やっちまえ~」

 

『……ッ!』

 

「きたっ!」

 

 

同時に真反対に駆けだして一網打尽を阻止する。振り向きざまに放ったヨーヨーは、メタルブレードを打ち返しブーメランのように二度ボディを傷つける。ネスが相手の様子を見ないままに遠距離に布陣していた敵1体に向かう。

 

 

『ッ!?』

 

「やあっ!!」

 

 

弾丸を浮き上がってかわし、振るってきた腕を踏み台にして脳天にバットをたたき込む。さらに追ってきたボディをバットを振り回して距離を作り、押さえ込もうとする腕を避けて鳩尾にPKファイアーをたたき込む。水蒸気とともに大きな爆発を引き起こした。

 

 

「っ! まだだ!」

 

 

スパークショックをたたき込んだボディを盾にして銃撃を防ぐ。さらに痺れている敵にフレイムソードをたたき込み、吹き飛ばした敵をビリヤード方式に狙撃用のボディにぶつけ、もつれ合わせたところにチャージショットをぶつけて湖に沈める。

 

 

「ほ~う? ガキだと思ってたら流石にやるじゃねえか。この程度の数じゃ怯えもしないってことか」

 

 

上から眺めて、プレシアはそんなことを呟く。彼が思い返すのは知識として知っているキーラやダーズとの戦い。

 

 

「そういや、あいつらボディに宿ってた奴が同じ世界の出身ならわかるんだっけな。影蟲平面野郎や鉄くず卿がいなくてよかった……いーや、そんな問題でもねえな」

 

 

そう、彼らがいたのなら自分のこともわかっただろう。自分がこの大乱闘の世界の出身であること、そしてボディを操る者達にスマッシュブラザーズの情報をよこしたのが自分であることも。

 

自分はボディに頼らずとも、元の体が存在している。他よりも本気度が足りずに、遊び感覚なのは当然だろう。彼自身、暇つぶしの面も強かった。なぜならファイターの力でなくては、この体をフィギュア化させ、精神を追い出すことは不可能。

 

 

「ふむふむ、6人と一匹、あと2人か。で、今目の前の2人に……あれ、1人いねえ」

 

 

すっと集中をはじめると、霧の中の存在がどこにいるかを感じ取る。自分が生みだした霧だ。そんなことまで可能なことを彼以外誰も知らない。

 

 

だからこそわかった。1人、自分の把握していない場所にいる。しかし、霧の外、いわゆる森の外に出たのだろうとあまり気にしないことにした。

 

 

「さーて、どうすっかな」

 

 

奴等も近付いてきている。数で勝てる時間も長くはない。圧勝もつまらないが、負けるのはもっと嫌だ。その均衡を突然破ったのは真下から聞こえる水音だった。

 

 

「「ぎゃああああ!? 魚おばけええええ!?」」




◯タイトル
星のカービィシリーズ8作目。ゲームボーイアドバンスの機能を活かした最大4人プレイで4つにわかれたカービィをそれぞれ操作可能。能力的には弱体化してないのにただ敵を増やすダメナイト。なんで10分割しなかったんですかね。


◯プレシアの出身
なんとロボットやMr.ゲーム&ウォッチと同じ大乱闘の世界。
2人が大乱闘の世界出身というのは拙作のオリジナル設定です。


◯スピリットのシステム
前作では、ボディに宿ったスピリットと同郷のファイターは、そのスピリットが誰か感覚でわかるというオリ設定がありました。
因縁の対決をスムーズにはじめるための設定です。


◯魚おばけ
みんなもよく知るあの子です。
多少姿は違いますが。


◯作者の気まぐれコメント
スプラトゥーン初代!? 生きてたのかぁ!?
せっかくだしやるか……

ちなみに作者は今でこそスロッシャー愛好家を名乗っていますが、初代では52ガロン主軸、2ではダイナモをかじってました。当時からバケスロ系統は使ってましたが、今ほど頑なではなかったです。
みなさんはブキ編歴はどうですか?
せっかく蘇ったので色合い大好きバケスロソーダ使ってきます。あとクイボヒッセンとかも。123巡って参ります。
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