それは暗殺者の罠だった。
命の危機が迫る加持、そんな彼の前にミサトが現れた。
バトル要素あります。
「ミサトさんを好きになってしまったシンジ君のお話」と世界間を共有しております。
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ネルフ執務室。
加持はマギ端末にハッキングをしていた。
探す情報は「第一始祖民族」のものだった。
そのはずだったが、今日ばかりはプロテクトが強すぎたようだった。
「ダメだな、今日はよそう。」
加持はハッキングを中止した。
どうやら、上も俺の活動に気が付いたようだ。
最近はハッキングも感づかれてきている。
加持は舌打ちをした。
ふと時計をみた。
その日は、別の情報源からゼーレの隠した情報の交渉をしに行くそういう算段になっていた。
「加持センパイ。」
アスカの声だ。
加持の背中にアスカはとびついてきた。
「なんだ?」
「今暇かなーっとおもって。」
冗談の一つをいいたいところだが、そうはいかない。
「すまんな、今から少しでかけなきゃいけない。」
アスカはたじろいた。
いつもだったら冗談を言うはず。
「加持さん…。」
「すまない、また今度。」
加持はそういうと、手を振り足早に去っていった。
本当はあいつの愛に答えてやりたい。
決して魅力的ではないわけでも、かわいくないわけでもない。
逆だ。
だが、あいつが俺に絡みすぎてもしも愛着が湧いたら…ヤツを失うかもしれなくなる。
それだけは耐えられない。
「すまんな、アスカ…。」
車を走らせた彼は箱根を抜け、山梨の山岳地帯に向かっていった。
味気ない車の中、加持はカーラジオをつけた。
平成のごく初期に流行ったポップスが流れた。
加持はふと、過去を思い出した。
記憶の中にいる母、この曲が好きだった。
加持は曲をかけて母を少し思い出した。
14年前、セカンドインパクトが起きた時…。
父と母は災害に巻き込まれ命を落とした。
その次は弟だった。
やがて、彼は育ての親となった男と出会い彼に育てられた。
父母や弟のためにも、あの災害で暗躍した連中を許すことはできない。
永遠に。
ふと、加持はサイドミラーを確認した。
追っ手はいないようだ。
もう、夜になっていた。
約束の場所にたどり着くと、加持は相手を探した。
ふと時計をみた。
約束の時刻は過ぎている。
「遅いな…。」
加持がボヤいた先だった。
一台の車がたどり着いた。
交渉相手か。
こんな奴を紹介した大馬鹿野郎に文句をいってやる。
流石に交渉事で遅刻は問題がある。
「言っていた時間と大きく違うじゃあないか。」
加持はいらだった様子で相手にくってかかろうとした。
相手は妙齢の、加持より年上の女だった。
黒いコートを羽織っていた。
頭には防止を…。
約束の相手は男だったはず。
それに何だこの格好…。
「おたく、誰だ。」
「フフフ、そんなことを知りたいのかな?ボーヤ。」
ボウヤ?
30越えてる俺をボウヤ扱いってなんだこいつ。
何歳なんだ。
「約束の相手は男のはず‥。」
加持がそう言いかけた瞬間だった。
女はかけはじめると、加持の顔面めがけて蹴りをいれはじめた。
「うぐっ!」
加持は素早くよけようとしたが、できなかった。
顔面に激痛が走った。
その痛みのあまり、地面に倒れ込んだ。
「う、うおおおおおおおおお!!」
「フフフ、残念だったね。…アンタは交渉する相手を間違えたんだよォ!!!!」
女は倒れた加持の背中に再び蹴りを入れた。
「ぐぼぉ!!」
180㎝以上ある加持の体はサッカーボールのように浮かぶと大木に激突し倒れた。
「ごがっ!」
痛い…。
こいつ、強い。
「女だと手を抜くのかな、そんなのはプレイボーイなんていわないんだけどなァ…うふふふ!」
女は笑っていた。
そして、微笑みとともに何度も何度も加持の腹部を蹴っていった。
「うがっ!」
加持は銃を抜こうとした、その矢先だった。
女は加持の腕を踏みつけた。
「うああ!」
加持は銃を離してしまった。
女はそれをみると、銃を蹴り飛ばした。
「あー、ダメダメよぉんボーヤ…お姉さんを楽しませたいなら道具なんか使っちゃダメナリよぉん!」
ふざけている。
完全に弄んでいる。
「何だ、お前は‥。」
「自己紹介してほしいのね、私は花房レイコ。アンタをぶち殺してほしいと…ある方から依頼を受けたの。だからね、アンタを殺してあげるのよ。でも、君かわいい顔してるからボコボコにして痛めつけてから苦しめて殺す事にしちゃいましたーッ!!!キャハハハ!」
花房という殺し屋の女はテンションが上がって小躍りをしていた。
加持はその隙を狙い、立ち上がり背後から反撃をしようとした。
「みえてるぞ?」
女はそういうと、肘を使い加持の腹部に一撃を与えた。
「うごっ!」
膝をついた。
強い。
この女、強いぞ。
花房は再び足を使い、膝をつき倒れている加持の首に凄まじい一撃を繰り出した。
「そんじゃ、リョウちゃん…どういう死に方がいい?苦しんで死ぬかそれとも楽に死ぬか…。」
答えられない。
「じゃあ、お姉さんが殺してあげるねー!」
妙齢の女は加持の首を太腿で巻き付け締め上げるとそのまま地面に倒れた。
「がっ・・・・!!!!!」
女の太腿、普段なら喜んで味わいたいがこうまで行くと違う。
「キャハハハハハハ!!!」
女は高笑いを起こしていた。
完全に楽しんでいる。
こういう性分なんだろう。
加持は意識が遠のいていった。
このまま無駄死になのか…。
彼の頭に絶望が立ち込めていた、そんな時だった。
「っ!」
花房は加持を締め上げていた太腿を離した。
加持は荒く息を吐いた。
「げほっ!」
花房の表情は警戒に変わっていた。
「坊や、お友達がいるって聞いてないわよ。」
「ナニ?」
そんな時だった。
月をバックにある女がいた。
「加持くん、こんな夜中に何をしているのかと思ったらまさかスパイのバイトとは。」
加持はこの女の声に聞き覚えがあった。
葛城ミサト。
「葛城、なんでこんな時に!」
「ネルフを出る前にアスカとあったでしょ、あの子に抱きつかれた…。」
アスカ…。
ああ、そうだった。
「あの子に頼んで、盗聴器とGPSをつけちゃった。あなた最近隠し事多いでしょ。私もアスカも心配なのよ。」
ミサトはいたずらそうにウィンクをした。
加持はため息をついた。
「まったく、お前ってやつは…。」
横で聞いていた花房は高笑いをした。
「ハハハハ!!こんなところで痴話喧嘩かい?およしな、小娘!!それにね、アタシは一人だけじゃあないんだよ!!」
花房は口を鳴らした。
その時だった。
大きな地鳴りが響くのがわかった。
「何だこれは…。」
加持がそう言っている最中だった。
「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!!!!!!!!!」
そして、獣の雄たけびのような声がとどろいた。
森の中から長髪で毛むくじゃらの巨漢が飛び出してきた。
身長は200㎝ほどある。
白いタンクトップには『野猿』という文字が書いてあった。
「猿渡!やっちまいなっ!!」
花房の声を聴いた野獣のような巨漢は雄たけびをあげた。
「うがああああああああああああっ!!!!」
猿渡と呼ばれた大男はミサトの頭をつかむと、森の中へと放り投げた。
そして、森の中へと消えたミサトを追いかけていった。
「葛城ィ!!!!」
「フフフ、あの猿渡は私が子供のころから育てたモンスターさ!あんな小娘如きでは負けない!まあ、あの小娘の死体を拝ませてからアンタを殺すとしようか!キャハハハハ!!キャハハハハ!!キャハハハハ!!キャハハハハ!!」
花房は高笑いをした。
森の中では吹き飛ばされたミサトが何とか上体を起こしていた。
背中に激痛が走ったが、傷はない。
「うごああああああああああああああああああ!!!」
猿渡は息を吐き、ゴリラのように両腕を地面につけながらミサトの方へとかけよってきた。
「バケモノね。」
猿渡は強肩を使い、ショルダータックルをぶちあててきた。
体格以上に素早い。
だが、ミサトによけきれないものではなかった。
ミサトは大きく飛び上がると、猿渡と呼ばれた男の背中にとびのった。
「うがああああああああああ!!!」
猿渡は手を伸ばし、ミサトをつかもうとした。
「落ち着きなさい!このゴリラ!」
「俺はゴリラじゃない!!」
「しゃべれるの!!」
「当たり前だ!アバズレ!」
猿渡はミサトをつかんだ。
そして、無理矢理引き離すと再びどこかへと放り投げた。
ミサトは何とか受け身をとった。
そして、気が付いた。
そこは高速道路だった。
「あいつ、バカにみえるけどその分力は強いそして早い。接近戦では負ける。」
ミサトはその時後ろにトラック数台がかけよるのがみえた。
「どこだぁ~!!アバズレェ!!!花房の腐れババアはどれぐらい報酬をくれるだろうなあ!!!報酬をもらったらあの婆を殺してやるとしよう!!!フハハハハハ!!!」
猿渡の声が聞こえる。
「フハハハハハハ!!!もうおしまいか!アバズレェ!!!」
猿渡は雄たけびを上げた。
「お前を引き裂いて遊んでやる!楽しんでやる!そしてさっきの男の目の前でお前の下半身を凌辱してやる!!!」
「やれるもんならやってみなさい。」
猿渡は雄たけびを上げると、ミサトに飛び掛かってきた。
「うがあああああああああああああああ!!!!」
ミサトはふと背後を観た。
トラックが近づいてきている。
彼女は不適な笑みを浮かべた。
「アンタの相手は私じゃない。8トントラックを相手にしな。」
ミサトはそういい、また大きく飛び上がった。
猿渡の背中を飛び越えた。
そして、空中で一回転するとそのまま彼の背中を蹴り上げた。
「あ!?」
猿渡は驚愕の声をあげた、だが手遅れだった。
きぃいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!!!!!
ブレーキ音が響いた。
そして次に鈍い音が聞こえた。
複数名の人間の悲鳴があたりにとどろいた。
ミサトは少し振り返った。
そこには血まみれの巨漢がトラックに轢かれてる姿があった。
それを確認すると、加持の元へ森の中へと戻っていった。
そんな時だった。
銃声が響いた。
ミサトは急いで木の中に姿を隠した。
「どうやら、猿渡を殺したようだね!」
「あいつあんたのこと腐れババアって言ってたわよ!」
「ほざきやがれ!小娘が!!!」
花房は何度も何度も銃を乱射した。
ミサトは木の上にのぼった。
「畜生!!!小娘どこだっ!!!!邪魔しやがって!!!」
200㎝下に花房がいる。
加持は花房に捕まって、両腕を縛られている状態だ。
交渉場所を森の中を選んだのは間違いだ。
隠れる場所はいくらでもある。
ミサトは木の上から飛び降りた。
そして、大きく足を振り上げた。
「悪く思わないでね!」
ミサトの声に花房は気が付いた。
そして、銃で狙おうとしたが…遅かった。
大きなかかと落としが花房の頭上に決まると、そのまま彼女は地面に倒れ気を失った。
加持を解放すると、ミサトは元カレを起き上がらせた。
「女相手に遅れをとるなんて、あなたもまだ甘ちゃんね。」
加持は呻き声をあげ起き上がると笑顔でいった。
「君に助けてもらいたかったからね。」
「バーカ。」
その時だった。
何かが起き上がる音が聞こえた。
「このクソガキどもが~~~っ!!!」
花房の声だ。
「なめやがって、死ねェ!!!」
手には銃がある。
加持は微笑んだ。
「なあ、アンタさっきいったよな。『道具なんか使うな』って‥。」
花房の腕が止まった。
「道具なんか使うほどあんたは二流なのかな。」
花房の手が震えていた。
そして、銃を放り捨てた。
「なめたことほざきやがってェ、クソガキが!!!だったら素手で引き裂いてやるよ!!」
ミサトは加持を制しようとしたが、加持は背中に手を置いて囁いた。
「今度は俺がカッコいいところをみせてやる。」
「ちょっと、加持くん。」
加持はミサトを無視すると、花房の方へと近づいた。
「死ねェ!!!クソガキども!!!」
花房は怒りで我を失っている。
雄たけびを上げ加持にとびかかった。
その時だった。
加持は全力の力を拳に入れ、花房の腹部めがけてストレートを放った。
「おげっ・・・。」
花房はそのまま、激痛で地面に倒れた。
「ガキィ…貴様…。」
わかっていたのか。
コイツ、女が追いかけてくるとわかって手を抜いていたのか。
もしかして、すべてわかって自分たちを利用していた。
「誰に雇われたのか教えてくれるかな、おばさん。」
「それは…。」
加持は花房の腹部を足を踏みつけ力を入れた。
「ぎゃああああっ!」
「ごめんな、俺命がかかってる時に男女差別はしないタイプなんだ。」
言えば…殺される。
花房は焦った。
「ひぃいいいいいいっ!!!」
そんな時だった。
パトカーのサイレンが聞こえた。
ここは第三新東京市じゃない。
警察に捕まったらあとが怖い。
「帰るわよ加持くん。」
「フン、まあいい…。」
ミサトの声に反応した加持はそのまま彼女とともに姿を消した。
それぞれの車に乗ると、別々のルートを使い他人を装いその場をやり過ごした。
数日後。
ミサトの執務室。
そこに加持が尋ねにきた。
例の事件以来、会うのは久々だ。
「おい、葛城…この前頼んでた資料とってきてやったぞ。」
加持は手をひらひらとさせるとファイルに詰まった書類を手渡してきた。
「ン、ありがと…。」
ミサトは事務仕事をしながらぶっきらぼうに礼を言った。
「前のヤツはゼーレが流したデコイ情報だったみたいだ。今後は気を付けるよ。」
「ホント、気を付けてね。」
「お前とやりあった巨漢は今病院にいるってさ‥お前何やったんだ。」
「また今度教える。」
加持の報告にミサトは淡々と返事した。
つれないミサトの態度に加持はため息をついた。
「なあ、今度…酒でも飲んで話しないか。」
「いや、いいわ…。」
「そういうことじゃあないって。前のことのお礼をしたくてさ。」
「最近忙しいのよ。でもありがとう。」
加持はため息をつくと、その場を去ろうとした。
その矢先だった。
ミサトは言った。
「あんたが死んだら寝覚め悪いんだから、危ない橋を渡るにも気を付けてね。」
加持は背中でその言葉を受け取ると…黙って立ち去った。
はずだった。
加持は戻ってきた。
「あの時、俺を追いかけたのは俺が信用できなかったからか。」
ミサトは加持の目を見つめ首を振った。
そこに偽りはなかった。
「あなたが心配だったのよ…。」
それは真実なのだろう。
なぜなら、加持もミサトに盗聴器を仕込んでいた。
そこから得た情報によると、今回のことをミサトに依頼したのはアスカだったとわかった。
全ては彼女が心配したから。
ミサトも心は同じだったのだ。
「なあ、葛城。ありがとうな…本当。」
それだけいうと、今度こそ去っていった。
そんな元カレを見送りながらミサトは微笑んだ。
同じ頃、山の中。
警察のサイレンに怯えたのは加持たちだけではなかった。
花房も同じく森の中をさまよいながら、逃げ回っていた。
「花房ちゃん…。」
声がした。
野太い地獄からとどろくような声。
「アンタぁ失敗したんだ…。」
花房は怯えた。
木々の中に隠れ小さくなると震えていた。
声の主は姿を出した。
マーカス・コンラッド、本当の黒幕。
加持にデコイの情報を渡したのも彼。
自分の周辺を探ってほしくないので殺害の依頼を出したのも彼だった。
「俺ぁ言ったよなァ…加持リョウジを殺せって。俺様はな失敗が嫌いなんだよ。」
「お、お許しを…。」
「許す?誰に向かって言ってるんだ。ああ、そうか空気に向かって話しかけてるのか?」
「必ず埋め合わせを。」
「ああ、してもらおう。お前の死でな。」
2m以上の巨躯をした大男は手を伸ばし花房の首をつかんだ。
その次に鈍い音がした。
花房だったそれの死骸をコンラッドは乱暴に放り捨てた。
「この世界にはもっと上質な悪が必要だ。」
野太い高笑いとともに、コンラッドは森の中へと姿を消した。