電脳世界へと入り込んだセンスとソードは、互いを睨みつけ、威嚇する。
「お前が…青木に憑いているのか?」
「それは俺を斬って確かめてみる事だな!」ソードは剣を取り出し、センスに向かって走り出した。
センスは槍を取り出し迫るソードの剣を弾いた。そして自らの身体を回転させて槍先でソードの身体を切る。
しかし、擦り傷程度だった。ソードは体勢を立て直す時間を稼ぐべくノイズの集団を呼び出した。ノイズ達はセンスに向かって走り出す。そして、センスに接近して体当たりやパンチを繰り出す。
「邪魔だ!」センスは、それらの攻撃を受けつつ、エネルギーを纏った右脚で円を描くようにノイズを蹴り飛ばした。
その攻撃によって呼び出されたノイズの集団は消滅した。しかし、間髪入れずソードが再びセンスに向かって攻撃を仕掛けた。
ソードは剣を自分の身体の一部であるかのように奮い、全身を使ってセンスに向かって剣を振り下ろした。
センスの胸部装甲を切り裂いたその攻撃に続けて、身体を回転させて、横方向に回転切り、そして瞬間的に移動して左拳を叩き込んだ。
その攻撃にセンスは耐えきれず地面に倒れた。
「前より…強くなっている。」彼は身体を起こした。
「俺は何度でも強くなる。折角だ、お前を倒したら殺さずに、俺に憑かれてもらう。」ソードは剣先をセンスの喉元に突きつけた。
「…僕が?君のような民間人を襲う邪悪に屈する筈がない…。」センスは、ソードを邪悪と切り捨て、ここで絶対倒すと誓った。
「…面白い…俺が勝つか貴様が勝つか、勝負だ!」ソードがそう言ったその時、一閃の矢が彼の背中に激突した。
「何?…ぐっ!」その攻撃に気を取られ後ろを振り返ったその拍子にセンスは左拳を奴の溝落ちに打ち付けた。
ソードは勢いよく後方に吹き飛ばされ、壁に打ち付けられた。彼が痛みに耐えながら顔を上げると、センスの隣にはピジョンの姿があった。
「大分ヤバそうだったけど大丈夫?」ピジョンはセンスに問う。
「僕を誰だと思ってる?貴族である僕が誰かに圧倒される事など無いのだよ。」センスは背中のマントに付いた汚れを払いながら示した。
「いや、アンタ5話でボコボコに…まぁいいや。大丈夫ならそれでいいし!」ピジョンはそう言って弓を構えた。そしてソード目掛け反撃の矢を放った。
見切ったソードは左側に回避、しかしその先にはその動きを読んで待ち構えていたセンスの姿があった。槍を構え、こちらに転がってきたソードに一突き、そして左脚で蹴り飛ばした。
「いくぞ、メリア君!」「イッチ、了解!」ピジョンはバスターを、センスはイラストを発動した。
まずはセンスがソードに向かって鎖を描く。その鎖は実体化すると奴の身体に巻きつき動きを止める。
そこへピジョンの剛腕から繰り出される衝撃力のある一撃が叩き込まれる。ソードはその攻撃に吹き飛ばされ、地面に倒れた。
[[Blake finish!!]][Sense strike!][Pigeon strike!]
2人は必殺技を発動させる。センス、ピジョンそれぞれ右脚、左脚にエネルギーを纏わせる。そしてセンスは助走をつけて空へ跳ぶ。ピジョンは翼を広げ空へ飛ぶ。そして2人は脚を突き出しソードの胸部に向かって強烈な一撃を放った。
「ぐっ…ここまで、か!!」悔しさを滲ませた声を上げてソードは2人のキックに貫かれた。
2人が着地した後も、ソードは地面に立って2人を見つめていた。
まさか進化するのでは…そう2人は構えた。しかし、それにしては様子がおかしかった。身体中にエネルギーが溢れて今にも崩壊しそうだった。
「最期に…奴への嫌がらせも兼ねて…教えてやる。青木江という男は、確かに憑かれている。だが俺じゃない…オクトパスだ。今頃、パープルリバーを捕らえている頃さ…お前に彼女を救えるかな…!!」
ソードは最期に手を広げ空を仰いだ。
「新たな同士達の誕生を見れない事…残念だな…!」
その言葉を遺し、ソードは爆発した。
「なんだと…」センスは今ここでようやく気がついた。罠に嵌められていたことを…
「イッチ、早く行ってあげて。紫苑さんのところに…」ピジョンは彼を催促した。
「…わかった。」センスはそう言って変身を解き、現実世界へと消えた。
彼女は、悲しみを押し込めた瞳で見送った。
その頃、ホエールと対峙するサイヴァー、ペンシル。2人はホエールの放つ衝撃波を左に右に回避しながら距離を確実に詰めていた。
先にたどり着いたサイヴァーは剣をホエール向かって振り下ろした。ホエールはその攻撃を簡単に左手で剣先を受け止めた。そして身動きの取れない彼に水を纏った強烈なパンチを繰り出す。
「…ここで倒れてたまるか!」サイヴァーはその一撃を耐え、左手に持った銃でホエールを攻撃した。更に後方からペンシルが剣を叩き下ろす。前後からの攻撃にホエールは驚愕と共に今まで感じなかった痛みを強く感じた。
「これ程の強さを…」ホエールは2人と距離を取った。
「言っておくけど、私達は常に強くなり続けている。お前達に何度も負けはしない!」ペンシルはスマートライザーを剣のグリップに装着した。
「…俺達は、人間を守るヒーローだ。簡単に死なないんだよ!」サイヴァーもスマートライザーを銃に装着させた。
「…そんな物…知ったことではない!」ホエールは鋭い衝撃波を放つ。2人の戦士はそれを切り裂き前に進む。そして、ペンシルは刃を、サイヴァーは銃口をホエールの身体に突きつけた。
[Pencil cutting!][Cyver shooting!]
「はあっ!!!」「おらっ!!!」ペンシルの斬撃がホエールの身体を切り裂き、その傷口にサイヴァーの放った光線が衝突し、ホエールを消滅させる勢いで必殺技を放った。
ホエールは、その強力な一撃を喰らい、100m以上吹き飛ばされた。その表情は非常に満足げだった。
「これでいい、時間は十分稼げた…!」
「何!」2人がホエールの飛ばされた方を見ると、そこには巨大化し雲よりも大きい鯨となったホエールの姿があった。
「進化した…!」
「まずい…センスの力がないと奴の急所が…」彼女のいう通り、進化したバグビーストの急所を探すことができるのはセンスの持つサーチのみ…。
「…一か八か賭けてみます!」サイヴァーはそう言って背面に4個水晶玉を出現させ、そのうち無色の水晶玉を割った。
その水晶玉から現れた武器は光を放ちながら彼の左腕に装着された。光が収まると、紫色の盾と爪が合体したような武器が召喚された。
彼はそれに全てを賭けた…これで探せれば…
しばらく念じた後、頭の中にふと一つの場所が突然浮かび上がった。
「分かりました…背びれです…」
「…私が敵を引きつける…トドメは頼むよ。」ペンシルは彼と武器を信じて自ら囮となった。
「こっちだ!デカイの!」ペンシルがホエールを引きつける間に、サイヴァーはまだ残っている水晶玉の中から緑色の水晶玉を更に破壊した。
すると、今度は自分の身長と同じくらいある斧が召喚された。そしてその斧を彼が持つと、更に刃のところが炎に包まれ巨大な炎の鎌へと変化した。
「これで決める!」サイヴァーはホエールの背びれを仕留めるべく空へ飛ぶ。
[Blake finish!][Cyver critical!]
紅蓮の鎌は、全てを燃やす灼熱と赤く煌めく閃光を放ちながらホエールの背びれに叩き込まれた。
ホエールの背びれはその攻撃によって焼き切られ、空中で大爆発を起こした。
「やったね…新人、じゃないね。御定君。」ペンシルがそう言ってる間に、爆炎の中から憑き物がなくなった夢野をサイヴァーが抱えて降りてきた。
「…とりあえず、終わりましたけど…」サイヴァーが何か言おうとする前に、2人の元に通信が入った。相手はメリアだ。
「どうしたの?」ペンシルが聞く。
『皆川さんが、連れ去られる…私じゃ行けないから、2人のどちらかお願い…』いつもの適当な雰囲気のない彼女に萊智は驚いた…私じゃ行けないと言うのも気になる。
「分かった、御定君…行ってあげて。」ペンシルはすぐさま指示した。
「わ、分かりました。」
『場所は送ったからお願い…。』メリアとの通信はここで切れた。
「夢野さんは私に任せて…。」ペンシルは彼女を抱えてサイヴァーを見送った。
一犀が現実世界へ帰還した頃、紫苑はオクトパス載ってた触手によって手足を縛られていた。周りにいた筈の櫻井や富士井、その他スタッフは皆オクトパスによって気絶していた。
「離して!」彼女は叫ぶがオクトパスは特に聞く様子はない。
「大人しくしていなさい…」
「待て!!」そこへ、一犀が息を切らしながらやってきた。
「遅かったですね、頭の良さそうな貴方ならそれぐらいの事、気づきそうな気がしたんですけどね…」彼はわざとらしく一瞬青木の姿に戻った。
「…貴様!!」一犀は彼女を助けるべく走るが、オクトパスは紫苑を盾にし彼の動きを止めた。
「…甘いですね…」オクトパスは余った足で生身の一犀を地面に叩きつけた。
そして彼が起き上がるのを前に電脳世界へ逃亡した…
「…許さん…待て!!」
怒りに震える一犀は、奴を追いかけて電脳世界へと飛び出した…
次回、第15話 絶望の歌は止まらない C-PART