仮面電脳戦記   作:津上幻夢

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第20話 過去の空を舞う隼

 

 

 

「…具体的な名前は不明ですが、『真紅の翼』を持つ鳥類の電脳人でした。」アウルからその知らせを聞いた時、驚きで身体中が震え上がった。

 

私が知る限り、真紅の翼を持つ電脳人は1人しかいない…そして、行方不明になっていた。だが、まさか生きていたとは…

 

「まさか…スカーレット?」

 

 

私は、アウルに部下を集めるよう指示した。

 

だが、本当の事を確かめなければならない…そう思った時には既に金色の翼を広げていた。

 

 

 

ピジョンとパロットはセンス達の手助けもあり、窮地を脱することができた。が、その後ろにはバグビーストに姿を変えたグリット…ファルコンの姿があった。

 

「あの2人が来てくれなかったら、今頃私達は…」

 

「生き絶えていた?かしら」

 

ピジョン達が振り返ると、ファルコンの姿があった。

 

「アナタ誰?」ピジョンは聞く…一方、パロットはその姿に怯えていた。自分を追いかけて来たのか…処刑するのか…そう頭をよぎった。

 

「…グリット様…」

 

「パロット…本来なら裏切りは許されない。だが、彼女を見つけ出したという大手柄に免じて帳消しにしよう」ファルコンは、ピジョン達の行方を塞ぐように立ちはだかった。

 

「…私に何か用?」ピジョンは聞く。もちろんパロットを庇いながら。

 

「…その様子から察するに記憶はないか」聞かれた本人は、そう聞こえないよう呟いた。

 

「えっ?何?」

 

「関係ない。それより、まずは名乗らないとね。私はグリット、又の名をファルコン。王に選ばれし重鎮の1人であり風の将だ」

 

「……」ピジョンは黙ったまま彼女を見つめた。

 

「……」

 

「……」

 

「…なんか反応しなさいよ」無言で見つめる彼女達にファルコンは静かに怒鳴った。

 

「いや…そう名乗られてもピンとこないというか…王って誰?風の将ってなんなのさ?」ピジョンは純粋に気になった事を聞き始めた。

 

「そのまんまだよ!!」ファルコンはあまりにも幼稚な質問に今度は声を荒げた。

 

「それより…」彼女は咳払いをした。

 

「…久々に手合わせをしないか?スカーレット、貴女はかつて私に並ぶ強さを持っていた。」

 

「へぇ…それってつまり「私は雑魚と同等です」って言ってるようなもんじゃない?」ピジョンは、ファルコンを挑発した。

 

「…同等だったのは昔の話だ。今は私の方が…」金色の光が彼女の腕に現れた。そして金翼を象った刃を四つ持つ槍杖ウィングパイルへと変わる。

 

「…上だ!」その槍杖をピジョン向かって突き出す。

突然の攻撃に彼女達は左右に避けた。

 

ファルコンは避けられるのを考慮していた。すぐさま矛先をピジョンに向けた。

 

「武器は出さないのかしら?変わった形の投擲武器」

 

「変わった形の?」ピジョンは試しに手を広げて念じた。すると、ブーメランに刃がついた武器ウィングカッターが現れた。

 

「さぁ、本気で行くぞ!」随分と親切な彼女は、準備の終えたピジョンに向かって槍杖を突き刺す。

 

しかし、それをブーメランで彼女は弾き飛ばした。

 

「やるな…」ファルコンは槍杖を大きく回転させピジョンを地上に向かって叩いた。

 

「何!?」それを彼女は避けきれず、そのまま地面に向かって墜落していく。

 

「簡単にやられてたまるか!」ピジョンは上を向きブーメランを投げた。そのまま墜落していくと過信していた彼女は避けきれず、左翼をブーメランの刃で傷つけてしまった。

 

「なんだと…」

 

「…身体が自然と動く…」

 

ファルコンは、翼を縮め地面に降り立った。自ら戦いを突然放棄した。

 

「やはり、記憶はなくとも身体は覚えているようだな。スカーレット。ならばこれは避けられるかな!」

 

ウィングパイルに徐々に光が集まっていく。それは光の杭となり、そしてピジョンを地面ごと貫くように打ち込んだ。

 

ピジョンは一瞬の攻撃を避けきれず地面に杭ごと叩きつけられた。

 

 

 

 

 

 

その頃、コンドルとアウル、クロウ、ピーコックはデジタルライダー達と交戦していた。

 

コンドルとアウルは同時にサイヴァーに攻撃を仕掛ける。爪とクナイを振り下ろすが、サイヴァーはそれを青い剣で振り払う。

 

「お前達、仲間を殺すのか!」彼は2人に聞く。

 

「当然だ、裏切り者なのだからな。」コンドルは爪を構えた。

 

「…どうしてすぐ裏切り者だって決め付ける!何か訳があるとか考えないのか!」

 

「我々電脳人にとって、デジタルライダーの味方になることは極刑に等しい。パロットも…そして貴様の所にいたあの女もな!」

 

 

「…メリアさんも…あのバグビーストもやらせない!」

 

サイヴァーは左腕をキュアに変えると触手を伸ばしコンドルとアウルを拘束した。

そして、左腕を勢いよく振り下ろし2体を地面に叩きつけた。

 

[Blake finish!][Cyver critical!]光り輝く剣先を身動きの取れないコンドルとアウルに振り下ろした。振り下ろされた勢いで2体は地面に転がり落ちた。

 

「ぐぁぁ!!!!」アウルは攻撃に耐えきれず爆散してしまった。

 

「ちっ…撤退だ」なんとか攻撃を耐えきれたコンドルは切られた脇腹を抑えながら辛うじて離脱した。

 

 

 

 

 

 

 

一方、ピーコックとクロウはセンスに対して攻撃を仕掛けていた。

 

「クジャクのバグビースト…また現れたか!」センスはピーコックに対してスピアを振るう。

 

「俺は初見だけどな!」どうやら同じ姿をした別人らしいピーコック、センスに対抗すべく虹色の羽根のような弾幕を放った。それを避けるべくセンスは後方に下がるが、そこには剣を振り下ろそうとするクロウの姿があった。

 

センスは槍で攻撃を受け止めた。

「ピーコック…コイツは俺がやる。俺の剣の師を倒した…!」

 

センスは剣の師という言葉で誰かなんとなく想像がついた。ソードフィッシュバグビースト…センスは彼が弟子をとっていたという意外さと本当に人間とバグビーストは分かり合えないのかという疑問が浮かんだ。

 

だが、迷っているうちにもクロウは信念を持った剣を振り下ろす。

 

戦うしかないようだ。とセンスは覚悟を決めた。

 

センスはクロウを蹴り飛ばして引き剥がした。そして右腕をイラストに変える。空中に炎を描く。その絵を潜り、炎のスピアに変える。

 

振り下ろす度に火の粉が舞うスピアをクロウは羽根を燃やさないようスレスレで回避する。

 

「避けてばかりじゃ勝てないぞ!」

 

「剣士に必要なのは敵の隙を突くこと…!」

 

センスはスピアで突き刺すが、刺さった先はクロウが先程までいた空間だった。

 

クロウはその一瞬で空へ飛び隙が生まれたセンスに対して剣を振りかざす。

 

センスはその攻撃を防ぐ事なく、大ダメージを喰らってしまった。そのまま地面に倒れ、ピクリと動かなくなった。

 

「…勝ったか…」クロウは剣を鞘に収めようとした。

 

「敵の隙を突く…名言だな!!」その時だった。

 

「クロウ!後ろ!!」遠くから戦いを見つめていたピーコックが叫ぶが遅かった。

 

クロウの右脇腹には生き絶えたはずの彼のスピアが突き刺さっていた。

 

「何…」

 

「油断は100%するものじゃないね…いや、1000%かな」

 

倒れる直前、センスは自身の分身をあらかじめ生み出しておき、それにわざと攻撃を喰らわせていた…

 

[Blake finish!][Sense moving!]

 

エネルギーを生み出したスピア、そのエネルギーは一瞬にしてクロウに流れ込む。

 

そしてスピアが引き抜かれるとエネルギーばかり放出されクロウの身体を爆炎で包み込んだ。

 

 

センスはすぐさま次の目標であるピーコックを倒そうとしたが、クロウがやられたのを見て怖気付いたからか姿を消していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

次に彼女が目を覚ました時、目の前には灰色の天井が目に写った。

 

「ここは…?」メリアが起き上がると側にパロットと金髪の少女…グリットの姿があった。

 

「ここは昔貴女が…いや、私たちが監禁されていた研究施設よ」グリットが彼女の問いに答えた。

 

「監禁…研究施設?」メリアには意味がサッパリ分からなかった。

 

「…電脳人…貴女流に言うならバグビーストの起源はここにある…そして私やヒネノ、そして貴女は電脳人の原点(オリジン・タイプ )なのよ」

 

 

 

「私が…?」彼女は、余りにも信じられない事実に頭が一杯になった…

 

 

 

 

 

 

 






次回、第21話 人間か、鳥の化物か
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