仮面電脳戦記   作:津上幻夢

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第23話 繋がる翼

 

 

 

「もうすぐだ…!」

 

センスとサイヴァーは、バイクでメリアが居るであろう場所に向かっていた。

 

「メリアさん…待っててください…!」サイヴァーはハンドルを握りしめた。

 

 

2人は交差点を左折する。すると1kmほど先にある道の終点に一棟のビルがあるのが見えた。

 

「あそこだ…」センスがサイヴァーに無線で伝えた。

 

ようやく見えてきた…そう安堵したその時だった。突然上空から3体の飛翔体が2人の目の前に立ちはだかるように降り立った。

 

 

2人はバイクのブレーキハンドルを握りしめた。

 

「…コンドル、ピーコック…そして新手か」

 

「鷹のバグビースト、ですかね」

 

2人の目の前にいたのはホーク、ピーコック、コンドルの3体だった。

 

「グリット様の命により、貴方達を抹殺します」ホークは2人にそう告知した。

 

「ほう…そのグリットというやつがメリア君を捕らえているということか」2人はバイクから降り、スマートライザーを操作し始めた。

 

「…メリアさんは、俺達が救い出す」

 

[Synchro UP!][Gaming Cyver!][Movie Sense!]

 

 

ゲーミングフォーム、ムービーフォームにそれぞれ変身したライダー達。

 

3体のバグビーストは彼らに向かって走り出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、グリットはメリアとパロットの元にいた。

 

「そろそろ結果を聞かせて貰おうかしら?」

 

グリットはメリアの瞳を見つめた。答えはどうであれ覚悟が決まっている事を薄々感じていた。

 

「…私が選ぶべき答え…それは最初から決まっていたわ」メリアは強い口調で言う。

 

「…それはどんな選択かしら?」

 

 

 

「……どちらも選ぶ……電脳人も、人間も、どちらも守る」

 

 

 

彼女の答えにグリットは困惑した、強情だと思った…

 

「人間に絆されたか…スカーレット、貴女は人間に肩入れするべきではない…電脳人を守ればそれでいいのよ」

 

「…人間は醜いものも確かにいる…でもそれは電脳人も同じよ。でもそれは心があるから…私は心を持つ者を守りたい…優しい心を持つ者の味方でありたい」

 

 

 

メリアの希望を持ったその瞳に、パロットも一安心した。

 

 

「…そう…貴女がその道を選ぶのなら、私は止めはしないわ…」メリアは、自分の事をアッサリと手放したグリットに驚いた…

 

「…ただし…私を倒してからにしなさい」

 

「えっ…」

 

「私からしたら、その考えは『悪』である。私はその悪を私の『正義』で倒さなければならない…」そう言うとグリットはファルコンバグビーストに姿を変え右手にウイングパイルを手にした。

 

「…パロ君…下がってて」メリアはパロットに下がるよう指示した後、スマートライザーを構えた。その画面は、桃色に輝いていた。

 

「私は、心を持つ、自由を求める者を守る戦士、デジタルライダーピジョンよ!変身!」

 

[Synchro UP!][Social Pigeon!]

 

真紅の戦士ピジョンの姿に変わったメリア。その身体を白い鳥が彼女を包み込むように翼で覆った。その翼は徐々にピジョンに溶け、そして彼女の赤色と混ざり桃色になった。胸部にあったメールのマークは、まるで某SNSアプリのように沢山の人のコメントが浮かび上がる。背中には白銀の翼が装備され、足には鳥の足のような造形が施された。

 

ピジョン、ソシアルフォームの完成だ。

 

彼女はバグビーストの姿で使った武器ウイングカッターを召喚した。しかし、その武器は眩い光と共に二つに分離、そして刺突性のある鋭いナイフへと変化した。

 

「言葉は心を突き刺すナイフ…因果なものね」彼女はそれを両手で逆手に持った。

 

「風の将ファルコン、その勝負、受けて立つ!」

 

「こい…デジタルライダーピジョン!」

 

 

 

 

 

 

 

その頃、王の間にはスコーピオンが居座っていた。

 

「こんな時に王はどこへ…」その時、廊下を歩く足音が聞こえてきた。王だ。

 

王は赤い服装に身を包んでいた。そしてスコーピオンの隣を歩いて玉座に座った。

 

「スコーピオン、君とビートルに朗報だ。君達は今日付けで将軍に昇格だ。」

 

「は…ありがたき幸せ」スコーピオンは王に跪いた。

 

「そんな君に早速命令だ。後ろにいる彼と共に不届き者(ファルコンとパロット)を始末しろ」

 

「承知しました」スコーピオンは立ち上がり後ろにいる彼を確認しようとした。

 

 

「な…人間が…なぜここに?」顔はフードで隠していたが体つき、特徴的な肌色、紛れもなく人間だった。

 

「彼の名はヒューマンバグビースト、人間の姿をしていて当然だ」

 

「よろしく頼む」彼は答えた。

 

「…ああ、よろしく」スコーピオンは困惑しながらも答えた。

 

 

 

 

 

 

 

その頃、鳥系バグビーストとサイヴァー達は熾烈な争いを繰り広げていた。

ピーコックの羽の攻撃が、センスに向かって放たれた。それに連なってコンドルが爪の連撃を振り下ろす。

 

センスはそれらの攻撃をスピアで受け止め、そして振り払う事で弾き飛ばした。

 

「一度戦った相手に、僕は負けない!」センスの宣言に対してピーコックは再び羽を空を覆うほど展開してセンスに向けて次々と放った。

 

センスは左腕をサーチに変え、全ての羽の位置、起動、発射のタイミングを見極めた。

 

センスはスピアを捨て代わりにセンスデバイスを取り出し両手で持った。そして槍を回転させ次々と迫る羽を弾き飛ばした。

 

「何!」ピーコックは攻撃が弾かれたことに驚いていたが、その頃には彼は既に次の攻撃に出ていた。

 

持っていた槍を構えるとピーコック目掛けて投げつけた。ピーコックは左腕ごと貫かれ建物の外壁に打ち付けられた。

 

ピーコックとは悲鳴を上げ痛みで身動きが取れなくなった。

 

「貴様…!」コンドルが後方から爪を振り下ろしてきた。センスはそれに立ち向かうべく落としたスピアを右足で蹴り上げた。そして自身の右手で持ち振り向いた。

 

タイミングよくスピアにコンドルの爪が振り下ろされた。

 

「お前も攻略は簡単!貴族をそんな横暴な攻撃で倒せると思うな!」

 

「貴様!」センスに蹴り飛ばされたコンドルは感情を剥き出しにした。その姿は意識を保っているとはいえ暴走しているのと同じだった。

 

 

 

 

 

その頃サイヴァーはホークと対決していた。サイヴァーは青い剣をホークの左腕目掛けて振り下ろすが、ホークはそれを特に難なく避けてみせた。ホークは右腕には剣を、左腕には銃を手にした。

 

サイヴァーもそれに対抗すべく左腕にサイヴァーデバイスを装備した。

 

そしてホークに向かって引き金を引いた。ホークはそれらの攻撃を翼で跳ね飛ばしサイヴァーに一瞬にして接近した。そしてサイヴァーの右腕を剣で切り、腹部に銃を突きつけ、放った。

 

 

「ぐっぁ!!」サイヴァーはその衝撃で地面に倒れた。しかし、手際よくキュアを発動させ怪我した右腕と腹部を修復した。

 

「なるほど、治癒能力か。」

 

ホークはサイヴァー向けて銃口を向けた。そしてその引き金を引こうとした。

 

 

しかし、その目の前にコンドルがボロボロになって現れた。

 

「ちっ…邪魔が入ったな」ホークは左を向き身動きの取れないピーコックの姿も見つけため息をついた。

 

「大丈夫か!」サイヴァーの隣にはセンスが現れた。

 

「なんとか…」サイヴァーは痛みを堪え立ち上がる。

 

「コイツらは簡単かもしれないが、私はそう簡単に倒せないさ」ホークはそう言って剣を構えた。

 

「よほど自信があるようだな」センスはスピアを構えた。

 

 

ホークは2人に対して攻めかかろうとしたその時だった。

 

「なっ!!」突然身体に激痛が迸った。それも彼だけではなくコンドルとピーコックまでも…

 

「ぐぁぁぁ!!!!」「うぐっ…!!」

 

「どうした?」センス達も突然の出来事に困惑していた。

 

気がつけば3人の体は宙に浮き、そして赤く光り輝いていた。

 

そしてその光は一つになり、大きくなった。

 

 

あまりの眩しさに2人は一瞬目を逸らした。そして再びバグビースト達に目を向けると、そこには3人の体はなく、代わりに家一軒分は最低でもあるくらい胴体が大きな鳥の姿があった。鷹と孔雀と禿鷲(コンドル)が融合したような見た目の巨鳥は空へと飛び立った。

 

「何がどうなっている…!」

 

 

もちろんその場にいた2人もそうだが、同時に建物内から戦いながら様子を見ていたファルコンも同じだった。

 

「あんな姿、見たことない…まさか、王の力であの3人が…そんな」

 

ファルコンの動揺する姿にピジョンは攻撃の手を一瞬緩めた。

 

「…本当なの?本当に何も知らない?」彼女は聞いた。

 

「ああ…だが、考えても仕方がない。今はこちらの戦いが重要だ」

 

ファルコンはそう言ってウイングパイルを構えた。

 

ピジョンもそれに合わせて二本のナイフを構えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




ファルコン対ピジョン、遂に決着、そしてその先には何が待っているのか…

次回、第24話 共存の象徴の鳩
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