仮面電脳戦記   作:津上幻夢

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第29話 4人の最強戦士

 

 

 

ダークは、頭を抱え苦しみながら王座の間へ戻ってきた。

 

「まさか…どう言うことだ…」

 

「戻ってきたか…先程の卿の様子、一体何があった?」先に戻ってきた鎧が明らかに苦しんでいるダークに問いかけた。

 

「すまない…少々動揺しているだけだ」

 

「そうか…次は私に任せておけ…お前は休んでおけ」そう言うと鎧は部屋を後にした。

 

「まて…」

 

ダークは彼を止めようとしたが聞く耳を持たなかった。

 

「どうした…ヒューマンバグビースト」

 

そこへ玉座に座る赤い女が声をかけた。

 

「貴様…アイツが今のサイヴァーだなんて聞いてないぞ…」

 

そう言うことかと女は呟いた。

 

「誰が今のサイヴァーだろうが関係ないであろう…今のお主には…。お前はただの死人なのだから…」

 

ダークは、息を呑んだ。躊躇いをなくす為に…。

 

「それより、お前はそのスマホで奴らのデータを引き続き集め続けろ。それがお前の大切なものを取り戻す大いなる一歩となる」

 

「分かっている」そう言ってダークは部屋を出た。

 

 

 

 

 

一犀とメリアが別地点でノイズを対処して帰還してきた。その頃には既に紬葵と萊智は戻ってきて居た。

 

「萊智…大丈夫なのか!」一犀が真っ先に彼の怪我の深刻さに気づいた。上半身、特に右脇腹を重点的に包帯が巻かれて居た。

 

「ダークにやられた…今は気絶しているみたいだけど…目が覚めても復帰するのは難しいわね」怪我の手当てをした紬葵が答えた。

 

「それって結構(けっこー)まずいんじゃない?ビートルの力はツムツムより上だった訳だし」メリアの言う通り、ビートルの能力は全て並以上だった。

 

勝てる見込みがあるとすればゲーミングフォームの武器召喚で最高レアを排出する他ない…そう紬葵も思っていた。

 

「後は、数でごり押すか…」

 

「…今回ばかりはそうせざるを得ない状況だな」3人は頭を抱えた。

 

ビートルはまたいつ現れるか分からない…しかし近いうちであるのは確かだろう…

 

 

「どうやら、時間はないようだぞ」

 

そこへ現れたのは紅葉隊長だった。

 

「隊長…それはどう言う意味ですか?」

 

「これを見てくれ」彼女はスクリーンに今ネット配信されているものを映し出した。画面にはビートルの人間達が映し出されていた。

 

『デジタルライダーの諸君、今から1時間後この場所に我々は再び出陣する。ここを最終決戦の場としよう。我々は、この戦いが終わるまで一般市民には一切手出ししないと誓おう。次は骨のある戦いを期待している』

地図で示していたのは、先程の幹線道路をずっと西に走った所にある廃工場だった。

 

「…誘われた以上、行くしかないな」

 

一犀は、充電しているスマートライザーを手にした。

 

「そうだね、3人だけでもやるしかない」

 

メリアもスマートライザーを持った。

 

「…行こう」

 

紬葵は隊長に萊智のことを任せると3人揃って廃工場へ向かうべく扉を開けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

気がつくと、俺の目の前には黒い人が居た…ダークだ。

 

彼は俺をただ見つめているだけだ。

 

「…お前は…誰なんだ…なんでこんな事するんだ!」

 

俺は叫んだが、ダークは聞き入れる様子がない…それどころか俺から離れるように歩き始めた。

 

「待てよ…待て!」

 

 

 

 

 

「待て!」目を開けると、デジタルセイバーの天井が見えた。どうやら眠ってしまっていたようだ。

 

「気がついたみたいだな」そばには紅葉隊長の姿があった。他の3人は居ない…

 

「みんなは…」

 

「ビートルと戦うべく、既に向かったわ」

 

ビートルと…俺も行かなければ…!

 

「待つんだ…その身体で無茶をするな」紅葉隊長は起きあがろうとする俺を抑えた。

 

その衝撃で、右脇腹が痛くなってきた。

 

「傷は浅かったから軽傷で済んだが…まだ安静にしていなければ」

 

「無理はするものじゃない、これでもし君が戦いに出て、死んでしまったら元の子もない」紅葉隊長は柿崎さんの事を思い出しながらそう言ったのだろう。少し目が悲しんでいた。

 

「…死んだら、それで終わり…人間みんなそうです。俺はただ、恩返しをしたいんです。太刀筆さんが、自分のいた施設の子どもたちにプレゼントを贈るように、俺のことを助けてくれたサイヴァーに…デジタルセイバーに恩返ししたいんです」萊智は起き上がり、自分のスマートライザーを手に取った。

 

「俺が戦わないせいで誰かが傷つくのは嫌なんです」

 

 

紅葉隊長は、口元を一瞬緩めた後口を開いた。

 

「そういえば、君の戦う理由はそれだったね…それなら、存分に戦ってきなさい」彼女は彼を止めるどころか、むしろ後押しをした。

 

「はい!」萊智はそう言うとデジタルセイバーを後にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、廃工場ではビートルノイズとビートルバグビーストが陣取っていた。

 

「まだ時間にはなっていないか」動画を投稿してからまだ50分、時間にはなっていない為まだ来ないだろうと思っていた。

 

しかし、その予想は外れ目の前に紬葵達が現れた。

 

「3人か…後1人はどうした」ビートルは聞く。

 

「今頃、アンタのところのダークのお陰で寝てるわよ」紬葵はそう言った。

 

「そうか…まあいい、まだ時間はある。互いに作戦会議なり、準備なりをする時間にしようじゃないか」

 

「随分と余裕だな、こっちはいつだって構わないのだよ」一犀が答えた。

 

「戦場で焦りは禁物…だが、そちらにそう言われた以上、こちらも態勢を整えるとしようか」

 

ビートルはそう言うと、ハルバードを取り出した。

 

3人がスマートライザーを取り出したその時、後ろから走ってくる足音が聞こえた。

 

「待ってください!」

 

「ライ君…なんで」メリアは聞く。

 

「…戦えるから来た…何か問題でも?」萊智のその答えに3人はおかしくて笑ってしまった。

 

しかし、それが逆に緊張を解くいい機会となった。

 

「なら、しっかり着いてきてよ!」紬葵は言った。

 

4人はスマートライザーを構えた。

 

「「「「変身!!!!」」」」

 

         [Social Pigeon!]

 

         [Comic Pencil!]

[Synchro UP!]

         [Gaming Cyver!]

 

         [Movie Sense!]

 

 

 

幾千もの試練を乗り越えてきた4人のシンクロアップデート形態、今ここに集結…!

 

 

変身した直後、サイヴァーは再び右脇腹に痛みを感じた。

 

「これぐらい…!」サイヴァーはキュアを発動させると傷口を蛇で強制的に修復させ痛みを和らげた。

 

 

「者ども、かかれ!」ビートルはビートルノイズを突撃させた。

 

ビートルノイズはそれぞれのライダーに5、6体で攻めた。

 

センスは、槍を取り出し1人目のノイズを薙ぎ倒した。そして正面から迫るノイズを槍を振るうことで弾き飛ばす。

 

後方から3体のノイズが一斉に迫ってきた。

センスは左腕をサーチに変えていた事で既に気づいていた。自分の身体を分裂させると、武器をスピアに変え一体ずつ串刺しにし消滅させた。そして最後の一体を倒すべく1人に戻ると、右腕をペイントに変え虹の縄で縛りつけた。そして左腕のサーチから放つ波動で消滅させた。

 

 

 

ピジョンは、弓を取り出し先陣を切ってやって来た2体を射止めた。そして矢の雨を掻い潜ってやって来た2体に向かって右腕のバスターを振り翳した。その2体は壁にめり込むほどの勢いで打ちつけられ倒れた。

 

後方の2体は剣を持っていた。ピジョンは左腕をミュージックに変えナイフを手にした。

 

そして迫る2つの剣を華麗に回避した。そして左側の敵をナイフで切り裂き、右側の敵を蹴り上げた。

 

 

 

ペンシルは盾を前に突き出し迫るノイズを弾き飛ばした。そして起き上がって来たノイズ達は再びペンシルに向かって攻撃しようと試みたが、どこを見渡しても姿はない。しかし次の瞬間、4体一斉に地面に倒れた。

 

クロックを発動させたペンシルが時間操作している間に倒したのだ。

 

残り2体がペンシルに向かって剣を振り下ろす。彼女はそれを回避したが、ノイズは既に次の一手を放つべく剣を構えていた。しかし、それはペンシルも分かっていた。

 

盾を背中に構え2つの斬撃を抑えた。そして盾を背中に背負ったままトランスファを発動させ、振り返りざま2本の剣でノイズ達を切り裂いた。

 

 

 

 

サイヴァーは、青い剣を召喚するとすれ違い様にノイズを次々と切り裂いていく。倒れたノイズは起き上がると、彼が怪我をしている右脇腹に向かって剣を突きつけようとした。しかし、それをキュアの蛇が絡みつく事で防いだ。蛇が剣に絡みつくと剣が一瞬にしてボロボロになってしまった。

 

剣を手放したノイズを蹴り飛ばしたサイヴァーは右腕をカルキュレイトに変え、銃を持った。ノイズの弱点を一瞬にして調べ上げるとそこへ向かって次々と弾丸を放っていく。ノイズは急所を撃たれて爆散した。

 

 

 

 

「やるな…」ハルバードを構えたビートルはサイヴァーに向かって走り出した。サイヴァーは空中に無色を2つ、赤と青を1つずつ召喚した。そして無色を一つ手に取った。中から現れたのは赤色の銃だ。

 

炎を弾丸とし放つその攻撃にビートルは一瞬揺らめいた。その隙に風を纏った剣と水を纏った矢を放つ弓を手にしたペンシルとピジョンが猛攻を仕掛ける。

 

液体が鎧に入り込み動きが鈍くなった所へペンシルが風を纏った斬撃を連続して振り下ろしていく。

 

彼女の攻撃が終わったかと思うと、今度は雷を纏った棍棒を持ったセンスがビートルに向かってそれを叩きつけた。

その一撃でビートルは地面に倒れた。

 

「どうだ…これが俺達の力だ!」サイヴァーは言い放った。

 

「やるな…ならこちらも奥の手を出すまで!」すると、ビートルは残ったノイズを吸収し、進化を遂げた。一見巨大なカブトムシのように見えるが、ツノは砲台になっており、まるで戦車のようだった。

 

「みんな、決めよう!」

 

        [Pigeon twister!]

 

        [Pencil end!]

[Blake finish!]

        [Cyver critical!]

 

        [Sense moving!]

 

 

それぞれ、必殺技を発動させた。ピジョンは2本のナイフを、ペンシルは剣を、サイヴァーは右脚を、センスはスピアを構えた。

 

まずはセンスが先陣を切る、突破口を開くべくドリルのように回転しながらエネルギーを放出するスピアを突き刺し、ビートルの装甲と競う。

 

ビートルの装甲は徐々にひび割れ始めた。そこへペンシルの斬撃が襲い掛かる。剣で切り裂いたところから装甲が砕け始めた。

 

そこへピジョンが竜巻を起こしながら接近、回転しながらナイフで砕けた箇所を抉り取り、ノイズ達をビートルから切り離した。

 

ノイズはその衝撃で全員爆散、人型に戻ったビートルだけが爆炎の中から現れた。

 

最後にサイヴァーが、渾身のライダーキックを放つ。右足に補助パーツを纏い、雷鳴の如く蹴りを叩き込む。

 

その衝撃でビートルは爆発四散、廃工場の屋根を突き破るほどの火柱が立ち上った。

 

 

火柱が収まった廃工場には、4人の戦士が立ち尽くしていた。

 

 

 

 

 

 






次回、第30話 最高で最悪なクリスマス
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