仮面電脳戦記   作:津上幻夢

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最終回 光と闇

 

 

 

「私こそ…最強だ…皆、王に平伏すがいい!愚かな人間は消えてしまうがいい!」

 

 

 

 

 

 

 

最後のバグビースト…ライオン・バグビーストが街に現れた。奴は最後の抵抗として力を暴走させ人間世界の破壊を目論んだ。

 

 

 

 

 

 

「行けるよな?将平」その様子をデジタルセイバーで見ていた萊智が聞く。俺の答えはもちろん一つだ…

 

「勿論だ…萊智」

 

俺達は扉をくぐり抜け戦場に赴いた。

 

 

 

 

 

 

ペンシル達は最大の危機に陥っていた。常にライオンに対して殴られ、蹴られの繰り返し。食い止めるべく何度も攻めかかるが返り討ちに合う。

 

強化形態となっている3人を簡単に蹴散らす程の力を持つライオンは、既に飽き始めていた。

 

「…このままだと、コイツの標的が街へ向く…」

 

「…そんな事…絶対にさせない!」ペンシルの奮起で3人は再び立ち上がった。

 

今までも必死に守って来たこの世界…こんな所で終わらせないと、3人は固く決意した。

 

 

その時、スマートライザーが光り輝いた。

 

「みんな、ごめん!」後ろには同じようにスマートライザーを光らせている萊智と俺がいた。

 

「全く…遅刻なんてしないでよね」ピジョンは半分怒っている様だったが、同時に一安心した様だ。

 

「行こう…俺達の最強の力で!」

 

「俺も、全力でサポートする」俺はあの輪の中には入れない…今更出来上がった所に入れる隙間もない…なら俺がするべき事は、それを支える事

 

「「変身!!」」

 

[System…All Clear][Cyve-Net-X(サイヴァネティック)

 

[Server connection…miss][Rider Dark!]

 

光の戦士サイヴァネティック、闇の戦士ダーク…2人が今ここに参上した。

 

「これが最期だ…ライオン」

 

「ヒューマン…助けてやった恩を仇で返すのか…」ライオンはそう言って俺を指差した。

 

「そうだ…それが俺の道だ!」俺はそう言うと青い剣を構えた。俺が憑いている柿崎という男の進化の結晶…今の俺にはとても重く感じる…その重さを俺はライオンにぶつける。

 

 

 

『今日の彼はやけに気合が入っているな…!』一犀がメインだからか、武器はスピアになっており、顔もセンスのものに変わっている。

 

俺がライオンを切りつけ、奴の隙を作った。そこへ彼らの突きが入り込む。

 

 

「貴様のその力…ヒネノを倒したものと同じか…」

 

ライオンの言葉に彼は反応した。そのスピアはムービーフォーム、即ちシャークを倒した時のものだ。

 

『そうだ…僕はその時に実感したさ…大切なものが、どれだけ自分の心の支えになっていた事を!』

 

一犀はあの戦いで感じた…紫苑こそが、自分にとって1番必要な存在であることが…彼女を愛していたと…

 

[Super Blake finish!][Cyve-Net-X・Rider Spinning!]紫色の閃光を放つスピアを、彼らは地面に突き刺した。そして紫色の竜巻を起こしライオンを吹き飛ばした。

 

 

『…次は私が行く。前から1発殴りたかったのよね…』

 

そう言うと今度は主導権がメリアに変わった。今日の彼女は少し荒れている様だ。両手のナイフからも力が滲み出ていた。

 

「そうか…スカーレットか…お前は。よくもグリットをたぶらかしたな」

 

『違うわ…グリットは自分の意志で私の仲間になろうとした…それを間接的にとはいえ殺したお前を、私は許さない…』

 

メリアの脳裏には、志半ばで死んでいったグリットとパロットの顔が浮かんでいた…そして、自分の覚悟を強く噛み締めた。

 

[Super Blake finish!][Cyve-Net-X・Rider Blast!]

 

閃光を纏った両手のナイフを、片方ずつライオンに対して振り下ろしていく。

 

『グリットと…パロットの分…喰らえ!』最後の一撃でライオンは遠くへ倒れていった。

 

攻撃を終えたメリアは俺の方を向いた。

 

『私、アンタのこと…許すつもりないから』

 

「…分かっている…許される筋合いなんてないからな…」

 

『でも…肩を並べて戦っている時だけは…見逃してあげる』メリアはそう言うと、主導権を紬葵に移した。

 

『ようやく私の番ね…行くわよ』

 

「…分かった」この時は、何故か身体が勝手に動いた。気づいた頃には既にライオンに向かって剣を振り下ろしていた。隣では彼女が俺に合わせて剣を振り下ろす。

 

 

『さっきは散々やってくれたわね…今度はこっちのターンね!』

 

[Super Blake finish!][Cyve-Net-X・Rider Voltage!]

 

彼女達は、電撃を纏った剣をライオンに振り下ろした。

 

奴はその攻撃で地面に倒れた。そして変身が解け俺達によく見せていた女の姿に変わった。

 

『雄のライオンみたいな見た目なのに…女だったの?』紬葵は驚いてつい言葉に出してしまった。

 

「…雄…だと…!」女の格好をしていた奴は、徐々にそれが剥がれていき、黒服の男にいつのまにか変わっていた。その姿を見た彼女は一瞬驚いた。

 

「黙れ…俺はアイツと同じ性別である事が嫌いだ!」

 

『奴…それは在電博の事…』

 

「そうだ…コイツの父親であり…バグビーストを生み出した張本人…!」ライオンは弱った足をなんとか震え上がらせ、立ち上がった。

 

「…つまり、俺とお前達は兄弟…という訳か…」俺は、ふとそう呟いた。だがライオンにとってはそうでない様だ。

 

「兄弟…ふざけるな。アイツの血を受け継いでる者なんて…家族だと…同族なんて思いたくもない…!お前の大切なものを蘇られせるなんて嘘に騙されて…馬鹿だな…!今頃、アンタに置いて行かれたあの女は墓の中で泣いてるよ!」そう言うとライオンは再び怪人の姿に変わった。今度はそこから更に巨大なライオンへと進化した。

 

置いて行かれた…か。なんとなく、あの夢の示す事が今ここで分かった。ならば、俺がするべき事は…!

 

「紬葵さん…俺に行かせてくれ」

 

萊智はそう言って主導権を握った。右手には銃を握っていた。

 

『お前は…一撃で仕留める!』

 

しかし、完全に暴走したライオンは手が付けられないほどに暴れ回っていた。それを止めれるとしたら…!

 

「萊智、俺が動きを止める…その間に奴を撃て!」俺は全ての生物の力を解放してライオンの後脚を抑えた。前脚はスパイダーの糸で縛り付け、どれだけ暴れても動かない様ビートルの脚でしっかりと地面に喰らい付いた。

 

「撃て!」

 

『でも、そんなことしたら…』

 

「構わない…俺はこうしたい…!」

 

 

 

 

萊智はしばらく俯いていた…考えていたのだろう。俺は残酷だ…親友にそんな判断をさせるなんて…最低だ。

 

でもいいんだ…それで俺が死に、麗香の元に行ければ…萊智は、3人の仲間がいる…寂しくなんかないだろ?

 

 

 

 

『…俺は、お前を信じる!』

 

[Super Blake finish!][Cyve-Net-X・Rider Splash!]

 

 

 

青く染まった大きなレーザービームが銃口から放たれた…ライオンはそのビームに巻き込まれて、焼けていく…そしてそれに巻き込まれた俺も。

 

 

 

 

 

 

 

徐々に意識が薄れていく…俺はようやく死ぬのか…最期に心残りがあるとすれば…コイツを…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

爆心地には、1人の倒れた男の姿があった。

 

変身を解いた4人は直様駆け寄った。

 

「将平…!」萊智は彼を起こした。しかし、顔は彼ではなく、柿崎に代わっていた。あの時、スパイダーに殺された時の傷もそのまま…

 

つまり、将平は…

 

 

「智…」

 

 

「…紬葵…」その時その屍は口を開いた。少しであったが目も開いていた。

 

「…なんで…」紬葵は自分の名前が、もう一度彼から呼ばれたことに涙していた。

 

「将平君が、少しだけとはいえ、俺に命をくれた…俺と、紬葵を…引き合わせる為に…」

 

智はそう言って話を続けた。

 

「紬葵…君は1人じゃない…メリアと一犀がいる…そして俺より、サイヴァーに相応しいやつも…いる」

 

「それを…大切にしろよ…」そう紬葵に告げると、今度は萊智の方を向いた。

 

「お前…いい友を持っているな…アイツの分まで、生きろよ…そして、サイヴァーと…紬葵を、頼んだ…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数ヶ月後…

 

 

 

一犀は紫苑と部屋の整理をしていた。

 

「いよいよ、アメリカ進出だね」

 

「ああ、僕も君を全力でサポートするよ…伴侶として」

 

2人は、結婚して幸せな家庭と、紫苑の…いや、2人の新たな夢を叶えるべくアメリカへと旅立とうとしていた。

 

 

2人はこれから先、様々な困難が立ちはだかるだろう…しかし、それでも得意の笑顔で全て弾き飛ばしていくだろう…

 

 

 

 

 

電脳世界には、前と比べて明らかに栄えていた。廃れていたはずの建物はしっかりと綺麗にされており、店が開かれていた。

 

「メリアさんのお陰で、私たちはここまで繁栄できました」小鳥の様なバグビーストがちょっと豪華な衣装を着たメリアに声をかけた。

 

「私はただ、みんなに幸せであってほしいからこうしてるだけだから、当たり前だよ」

 

 

メリアはその後、電脳世界に帰り残ったバグビースト達と新たな街を創り出していた。まだ人間との共存には程遠いかもしれないが、いつかは叶うと彼女は信じていた。それを、2つの墓標はずっと眺めていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 












終わり?







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