ソードアート・オンライン~焔の剣聖~   作:ほにゃー

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このお話は、ソードアート・オンライン マテリアル・エディション:リミックに載ってる話となります。


番外編
攻略組プレイヤー人気投票


「攻略組プレイヤー人気投票?」

 

「なんだそれ?」

 

2024年9月23日

 

最前線72層主街区《オズモルト》の街外れにあるオープンカフェで、カイとキリトはクラインと共に3時のオヤツついでに情報交換をしていた。

 

その際に、クラインからその事を聞かされた。

 

「おうよ。今日から転移門広場門に投票箱が設置されるらしいぜ。そんで、今日のこの新聞に投票券が付いてるんだ」

 

そう言い、クラインは手にした新聞《アインクラッド週報》を机に置く。

 

アインクラッドにはこの様な新聞の体を取ってるメディアが三つある。

 

1つは、アルゴが発行してる攻略情報紙、毎週水曜日発売《ウィークリー・アルゴ》。

 

2つ目が、小説やコラムをメインに載せた娯楽誌、毎週金曜日発売《週刊ストーリーズ》。

 

そして、最後が最大のボリュームを誇る総合情報誌、毎週月曜日発売《アインクラッド週報》。

 

こう言う物は作るのに、NPCの印刷所に頼んで発行して貰うのだが、発行するだけでもかなりの金額になる。

 

更に、《ウィークリー》は200コル、《ストーリーズ》は300コル、《週報》は500コルもする。

 

攻略組なら大した出費ではないが、ミドルゾーンのプレイヤーや、《はじまりの街》にいる待機組にはかなりの出費。

 

その為、回し読みが行われる。

 

SAO内では、意図的に破壊しようとしない限り、武器防具以外は触った程度では汚れたり破れたりしない。

 

だからこそ、少しでも出費を抑えたい者は回し読みをする。

 

カイとキリトも、コンビを組んでるのに態々同じものを1つずつ買うのも勿体ないので、《ウィークリー》と《週報》を折半で、定期購読してる。

 

ただ、カイは《ストーリーズ》の方も読みたいので、こっちはカイ個人で定期購読してる。

 

「《週報》はページ数も多くて採算ラインも厳しいだろうに、なんでこんなコストのかかる催しするんだがな」

 

「全くだな。案外、何か裏の事情があったりしてな」

 

「何他人事みたいにしてんだよ。おめぇらもノミネートされてるんだぞ」

 

「「はぁ?」」

 

クラインに言われ、2人は慌てて《週報》を開く。

 

真ん中の見開きページに、何十人もの攻略組メンバーがずらりと、顔写真付きで掲載されていた。

 

そして、一覧表のカ行の所に、《カイ(焔の剣聖)》、《キリト(黒の剣士)》と名前があり、名前の上に顔写真がある。

 

ただ、キリトのはどっかの攻略会議の写真からトリミングしただけの後姿で、おまけに画像も荒いのでキリトはほっとする。

 

対してカイの写真も遠距離からの隠し撮りではあるが、こちらはしっかりと正面からとらえてあり、画像が荒くとも見る人が見ればカイと一目でわかる。

 

そんな一覧を眺めていると、カイとキリトはある人物もノミネートされているのに気づく。

 

それはミトとアスナだった。

 

《アスナ(血盟騎士団第一副団長・閃光)》、《ミト(血盟騎士団第二副団長・死線)》と長い肩書きが掛かれており、この2人もまた隠し撮りだ。

 

だが、ミトもアスナも、多少画像が荒くとも、その美貌はなんら失われていないのが、カイとキリトの感想だった。

 

「なぁ、これ結果は分かり切ってないか?」

 

「言えてるな。出来レースって訳じゃないだろうが、誰に投票が集まるか分かり切ってるな」

 

「そうか?それにしても、俺も何かカッコいい2つ名が欲しいなぁ。うーん、おめぇらは《黒の剣士》に《焔の剣聖》だろ?なら俺は《剣豪》か?なぁ、カイ、《剣豪》の名前、貰ってもいいか?」

 

《剣豪》がカイのかつての2つ名の為、クラインはカイに使用許可を求める。

 

「別に俺が名乗った訳じゃないし、好きに使えよ」

 

「ま、剣豪のクラインには悪いけど、どう考えても1位はこの人だろう」

 

「だろうな」

 

そう言い、キリトはアスナを、カイはミトを指差す。

 

「「え?キリト(カイ)そっちなのか?」」

 

意見が分かれ、2人の間に何とも言えない空気が流れる。

 

「おいおい、珍しく惚気てくれるじゃねぇの」

 

「い、いや、俺は客観的情報から客観的推測しただけで!」

 

「贔屓目なしに見ても、ミトは美人だろ」

 

「お、おう、キリの字はともかく、カイは平然としてるんだな………」

 

「事実を言ってるだけだ」

 

「へっ、そうかい」

 

そう言い、クラインが立ち上がる。

 

「そんじゃ、トップは無理でも、トップ10入りぐらいはしたいし、夜も頑張るとするかね。そんじゃあな!」

 

片手を軽く上げ、店を出て行くクラインを見送りカイも立ち上がる。

 

「俺も、この後ミトと会う約束してるし行くわ。キリト、また後でな」

 

「おう、気を付けてな」

 

カフェを出て、カイはミトとの待ち合わせ場所に向かう。

 

待ち合わせ場所の店には、既にミトが着いており、カイは足早に駆け寄る。

 

「ミト、待たせたか?」

 

「ううん、今来た所よ」

 

カイはミトの前の席に座り、飲み物を注文する。

 

運ばれてきた飲み物を飲みつつ、2人は他愛のない話をし、時間が過ぎてゆく。

 

1時間ぐらい話していると、カイはふと人気投票の事を思い出した。

 

「そう言えば、攻略組プレイヤーの人気投票あるよな」

 

「ああ、アレね」

 

「あんなの誰が1位になるか分かり切ってる様なもんだよな。まぁ、キリトはアスナが1位になると思ってるみたいだけど」

 

「なら、カイは違う人が1位になると思ってるの?」

 

「ああ。俺はミトが1位になると思ってるぞ」

 

「う~ん、カイにそう言われるのは素直に嬉しいけど、私もアスナも1位になりたくないのよね」

 

ミトは困ったように笑って言う。

 

「何かあったのか?」

 

「うん………ウチのギルドの経理担当のダイゼンと、物資担当のハボックの2人がね、私かアスナのどちらかが1位に、あるいは1位、2位を独占したら写真集出すって言い出して」

 

「しゃ、写真集!?」

 

カイは思わず大声を上げて驚く。

 

「ちょっと大きな声出さないでよ!結構恥ずかしいんだから……」

 

「わ、悪い………でも、どうしてそんな話に?」

 

「新人採用についてよ」

 

ミトの所属する《血盟騎士団》は、アインクラッド三大ギルドの1つと呼ばれ、攻略の主戦力でもある。

 

そんなギルドでも、メンバー不足は否めない。

 

これまでは、志願者を厳しく審査するだけだったが、最近では有能なプレイヤーをスカウトしたり、他のギルドから引き抜いたりとしてるらしい。

 

「ディアベルの所から来る志願者もいるけど、やっぱり即戦力が欲しいのよ。それで、ギルドの知名度と好感度アップを狙って、そんなこと言いだしたのよ。全く、私もアスナもギルドの広告塔じゃないのよ」

 

ミトはぶつぶつと文句を言って、紅茶を飲む。

 

「まぁ、ミトやアスナの意志を無視してるのはどうかと思うけど、考え方としては理に適ってるな」

 

そう言い、カイもコーヒーを飲む。

 

「………あのさ、カイ」

 

「ん?」

 

「もし、もしもだけど…………私の写真集が出たら、カイは買う?」

 

「…………は?」

 

ミトの口から出た驚きの言葉に、カイは一瞬固まる。

 

ミトも、何を聞いてるんだろうと恥ずかしくなり、思わず顔を両手で覆って机に突っ伏す。

 

一方でカイは、ミトの写真集を想像する。

 

普段の戦闘服に私服、なんならマニア受け狙いで制服やコスプレ、更には水着なんてのもある。

 

それに、ただ衣装を変えて写真を撮るだけでないはずだ。

 

きっと色んな角度やポーズで撮り、挙句にが過激なポーズなんかもあり得る。

 

そして、カイはそこまで想像してその妄想を振り払った。

 

「あー、そうだな…………素直に言うと、欲しい。けど」

 

「……え?」

 

「ミトのそう言う姿を、写真とは言え………他の誰かに見られたくないって気持ちはある……………」

 

そう言い、カイは顔を真っ赤にして覆った。

 

(俺は何言ってるんだ………!ミトは別に俺の物でもないのに、あんな独占欲みたいなのだして…………!)

 

「ふーん、そっか………」

 

カイが自己嫌悪していると、ミトは何処か嬉しそうにする。

 

「ま、まぁ、安心してよ。私もアスナも、そんなことになったら意地でも突っ張って拒否するから」

 

「あ、ああ、そうだな。それがいい」

 

「……………それにさ」

 

ミトはそう言い、席を立ち、カイに近寄る。

 

そして、カイの耳元に近付き、囁く様に言った。

 

「私も、そう言う格好はカイにだけ見て欲しいな」

 

完全に無防備な所への不意打ち。

 

その攻撃に、カイは過去一番に顔を赤くする。

 

見ると、ミトも今まで以上に顔を真っ赤にしていた。

 

「じゃ、じゃあ、私帰るから!またね!」

 

「お、おう。気を付けてな………」

 

慌てて帰って行くミトを見送り、カイは未だに耳に残っているミトの囁き声を思い出す。

 

「ったく…………ああいうのは卑怯だろ………」

 

そう呟き、カイはここに来る時に買った《アインクラッド週報》を取り出す。

 

ミトの前で、ミトを少しからかってやろうと思い買った物だが、今の話でその気持ちは変わった。

 

「焼け石に水かもだけど、ミトの写真集を誰にも見せたくないからな」

 

そう呟き、カイは投票券をタップし、用紙から切り離す。

 

羽ペンを取り出す。

 

「悪いな、キリト。大人しく犠牲になれ」

 

そう言い、投票券にキリトの名を記入した。

 

「どうかミトが1番に、それと、アスナとのワンツーフィニッシュになりませんように」

 

そう願いを込めて、カイは投票しに向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2024年9月30日

 

攻略組プレイヤー人気投票の結果発表の日。

 

その結果は、カイも、キリトも、クラインも、そして、イベント企画した者たちも、誰もが予想してなかったことが起きた。

 

第1層《はじまりの街》を拠点とし、かつて攻略ギルド《アインクラッド解放隊》、今は《アインクラッド解放軍》と言う名に変えた大規模ギルドは、《血盟騎士団》と似た考えを持っていた。

 

組織力に物を言わせ、投票券付きの新聞を大量購入。

 

そして、一応大規模ギルドの攻略責任者と言う事からノミネートされていたプレイヤーに大量投票しまくり、見事1位になった。

 

その男の名は

 

《攻略組プレイヤー人気投票 結果発表 第1位 《キバオウ(アインクラッド解放軍・攻略責任者)》

 

「「なんでや!!」」

 

その結果を見たカイとキリトは、同時にそう叫んだ。

 

ちなみに、第2位は僅差で《ディアベル(希望の騎士団・ギルドリーダー)》だった。




焔の剣聖、プログレッシブ編を投稿しました。

是非、見てやってください
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