クロスオーバータグ追加しました
ジークは《バルムンク》を手に、シグルドへと攻撃を仕掛ける。
『何がジークフリートだ!何が《バルムンク》だ!消し炭に変えてくれる!』
シグルドは、言葉の端端に苛立ちさを感じさせながら、ジークに火球を放つ。
「はっ!」
だが、ジークは《バルムンク》の一閃で火球を斬り割いた。
『なっ!?』
火球は攻撃魔法と同じで実体を持たず、ライトエフェクトの集合体でしかない。
そして、中心に当たり判定があり、そこに向けて攻撃魔法を当てることで、攻撃魔法を相殺することが出来る。
しかし、その様な曲芸染みた技を使える者はおらず、仮にできたとしても到底実践で使えることはない。
にも関わらず、ジークは《バルムンク》で火球を斬り割き、消滅させた。
《バルムンク》には、魔力もといMPを溜めて置ける性能があり、そのMPを解放することで一時的に刀身に攻撃魔法と同じ効果ダメージを与えることが出来るし、更に自身のMPをも回復することが出来る。
ジークはそれを利用し、火球を斬り割いたのだった。
『くっ………クソが!』
シグルドは怒り任せに、左腕を振り爪でジークに斬りかかる。
だが、その攻撃もジークによって防がれ、更に《バルムンク》の一撃がシグルドに当たる。
『ぐおっ!?』
予想以上のダメージに、シグルドは驚きの声を上げ、その巨体をよろめかす。
『なんだこの威力は!?』
「《バルムンク》は邪竜ファフニールを倒した剣。この剣には竜属性に対する特攻がある。安易に竜となったのが仇となったな」
『くっ……黙れ!』
シグルドは最後左腕でジークに襲い掛かる。
ジークは《バルムンク》で攻撃を受け止める。
『馬鹿め!』
すると、シグルドは尻尾を動かし、側面からジークを攻撃する。
尻尾の攻撃にジークは、吹き飛ばされ壁にたたきつけられる。
『終わりだ!』
シグルドは、ジークが飛ばされた壁に向け連続で火球を放つ。
いくつも放たれた火球は全てジークへと当たり、ジークを焔と黒煙が包む。
「ジーク!」
リーファはジークがやられたと思い、声を上げる。
『調子に乗るからこうなるんだ!思い知ったか、ジーク!』
「そうだな……少し侮っていた」
すると、黒煙を掻き分けてジークが現れた。
驚くことに、HPは少しも減っていなかった。
『なんだと!?』
流石のシグルドも驚き、声を上げた。
「すまないが、今の俺にその程度の攻撃は効かないぞ」
そう言って、ジークは現在発動中のスキルを見る。
《
このスキルは、発動中MPを消費し続けるが発動してる間は、例え
《バルムンク》と《
この2つは、2つとない武器とスキルだ。
これを手に入れたのは、ジークがALOを始めて1ヶ月が経った頃だった。
ジークは、その日、1人で中立地帯を彷徨っていた。
理由はいい絵を描くためのロケーション探しだった。
絵を描くのが好きなジークは、ALOの景色も絵に収めたいと思い、趣味スキルの《画家》スキルを取り、ALOでも絵を描いていた。
余談だが、描いた絵の一枚をサクヤが気に入り、
絵のロケーション探しをしていたジークは、とある洞窟を見つけ、興味からその洞窟へと入った。
そこで、ジークはとあるドラゴンと出会った。
そのドラゴンの名は《ファヴニール》。
ジークフリート、或いはジークフリートと同一視されるシグルドが討ったドラゴンだ。
ジークは突然遭遇したドラゴンに驚き、最初こそ逃げようとしたが一度遭遇したら倒すか、死ぬかしないと出られない仕様のダンジョンだった為、ジークは腹を括り、《ファヴニール》と戦うことを決めた。
戦闘は一時間近くにも及び、ジークの勝利で幕を閉じた。
その際に、《バルムンク》と《
そして、《バルムンク》の真名登録機能で名を《ジークフリート》で登録し、今日この時まで隠し続けていた。
(もしかしたら、この時の為に取っておいたのかもな…………)
ジークはそんなことを思いながら、《バルムンク》を握り直し、突貫した。
『くっ!?』
シグルドは残った左腕でと尻尾、火球でジークと戦うが、ジークはその攻撃を《バルムンク》と《
竜特攻を持つ剣に、ダメージを受けないスキル。
明らかにジークの方が有利だった。
ジークに、シグルドの攻撃は全て効果がなく、ジークは一方的にシグルドを攻撃し続ける。
『くそっ!ふざけるな……どうして俺がこんな奴に!?』
「ふんっ!」
『がっ!?』
ジークの渾身の一撃がシグルドの頭に入り、シグルドは地面に倒れる。
「終わりだ、シグルド。この一撃で、お前を倒す!」
《バルムンク》から眩い光が放たれ、まるで巨大な火柱の様になる。
「くらえ!」
そして、《バルムンク》が振り下ろされる。
だが、振り下ろされた瞬間、《バルムンク》から放たれた光は消え、唯の剣による一撃がシグルドに当たる。
「なん……だと………」
ジークは何が起きたのか一瞬分からなかったが、瞬時に理解した。
《
通常のジークのMPの数値では1分使えれば良い方。
《バルムンク》のMPリザーブ機能を使うことでMPを消費しつつ回復が出来るが、現段階ではおよそ5分間しか《
(俺としたことが!?マナの残量の確認を怠ってしまった!)
『ハハッ!どうやらマナが無くなったみたいだな!』
すると、シグルドが息を吹き返したように立ち上がり、ジークを攻撃する。
ジークは《バルムンク》で防ぐも、そのままシグルドに吹き飛ばされる。
「がっ!?」
MPがない以上、《
ジークのHPは目に見えて減った。
『これで、終わりだ!』
シグルドが、先程よりも巨大な火球をジークへと放つ。
ジークの残りのHPを吹き飛ばすには十分すぎる威力が、ジークへと当たる。
『ハッ!竜特攻には驚いたが、テメーさえ潰せば後はもう怖くねぇ。そこでおねんねしてな』
シグルドはそう言い、ジークから視線を外そうとした。
だが、一抹の不安がシグルドの脳裏を過ぎった。
今のシグルドはALOでも最強クラスのボスモンスターとなっている。
そんなシグルドの火球をモロに食らったジークは、残り僅かのHPが吹き飛んでいる。
そして、シグルドの火球を食らったその場には、ジークの
シグルドは、外そうとした視線を戻す。
すると、そこにまだジークは居た。
シグルドは驚き、目を見開いた。
絶対にジークは死んだ。
そう思っていたのに、ジークはまだそこに居た。
そして、その傍らにはリーファが居た。
「リーファ………」
「全く、1人で無茶しないでよ!」
リーファは、火球が当たる寸前でジークの傍まで移動し、防御魔法で火球を防いだ。
流石にリーファ1人では防ぎきれないので、サクヤやアリシャ、ユージーン、そして、SAO攻略組からの支援を受けて防いだらしい。
「って、無茶させたのはあたしたちだよね」
そう言って、リーファはジークに手を差し出す。
「ほら、立って。一緒に戦おう」
「……リーファ、助かった。だが、俺1人で大丈夫だ」
そう言うと、ジークはリーファの手を取らず立ち上がり、HPとMPの回復ポーションを飲む。
「ジーク……」
「それより、皆に伝えろ。俺とシグルドから離れるんだ。さっきは、後れを取ったが今度は大丈夫だ。もう二度と、無様な真似はしないさ」
ジークは、そう言いシグルドに再び向かおうとする。
「……何1人で、全部終わらせようとしてるのよ、馬鹿!」
そんなジークに、背中からリーファがそう叫んだ。
「り、リーファ!?」
「そりゃさ、なんかジークは凄いスキルに凄い武器持ってて強いわよ。でも、だからって1人で戦う必要が何処にあるの?あたしたち、友達で仲間だよ」
『くそが……!俺を無視して話してるんじゃねぇ!』
自分を無視して会話をするジークとリーファに、シグルドは怒りを向け突進してくる。
「リーファ!」
ジークはリーファを庇おうと前に出る。
「ぬ……おおおおおおおおおおッ!!」
すると、何処からか太い雄叫びが響き、その声の主がシグルドの一撃を防いだ。
それと同時に、三人プレイヤーも飛び出し、一緒に防いでいた。
全員が
「ローバッカ!ナイジャン!ウルフギャング!一気に押し返すぞ!」
「「「応!」」」
両手斧を持った
『ぐおっ!?』
その所為で、シグルドは体勢を崩し、後ろに仰け反る様にして倒れる。
「待たせたな、お前ら!」
すると
「良く踏ん張ってくれたな!だが、これ以上ダメージディーラーにいつまでも
「アニキ軍団だと!?まさか、お前……!」
アニキ軍団と言う名に、クラインが反応する。
「エギルか!?」
「よぉ、クライン。
「お前なんで……店の事があるから来られねぇって………」
「…………そのつもりだったさ」
そう言って、エギルはふっと笑う。
「2年間も1人で店を守ってくれたハイミーの為にも、来るつもりはなかった。………でも、俺の心の内をお見通しらしく、言われちまったよ。『心配なら、自分から助けに行け。店は心配するな。伊達に2年間、1人で守り抜いてない』って、ケツぶっ叩かれちまった。そこまで言われたら、やるっきゃないだろ?」
「………ハハ、良い嫁さんだな。全部終わったら会わせてくれよ」
「おう。だが、惚れんなよ?」
クラインとエギルは笑い合い、前を見る。
「すまない、ジークさん」
そんな中、ディアベルはジークへと駆け寄る。
「貴方一人に戦わせるような真似、騎士としてあるまじき行為だった。ここからは名誉挽回と行かせてもらうよ」
「ま、待ってくれ!」
ジークは、いつの間にか集まっている元SAO組を声で制止する。
「これは、俺達ALOプレイヤーの問題だ。貴方達まで巻き込むのは………」
「………だが、君たちは俺達SAO組の問題に付き合ってくれた」
ディアベルは静かにそう言う。
「なら、俺達も君達ALO組の問題に付き合うさ。それに、巻き込まれたつもりなんてない。これは、騎士として当然の行いさ。そうだろ、皆?」
ディアベルは周りにいる全員にそう声を掛ける。
「「「「「「「「「「おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」」」」」」」」」」
ディアベルの言葉に返答するかのように、全員が雄たけびを上げる。
「行くぞ!SAO攻略組、目標は前方のドラゴン!攻撃開始!」
ディアベルが突っ込み、周りもそれに続いて突っ込む。
その光景に、ジークは呆気に取られた。
「ねぇ、ジーク。頼りたくても頼れない。頼ってはいけない。これは自分の問題だから、迷惑はかけられないって言ったよね」
そんなジークにリーファがそう言う。
「その気持ち、今なら少しわかるよ。でもね…………やっぱりあたしは頼ってほしい」
「リーファ……」
「迷惑だなんて思わない。だから、1人で抱え込もうとしないで。…………頼ってよ」
優しい声音でそう言うリーファに、ジークは少しだけ目を閉じてから、目を開く。
「………わかった。なら、頼めるか、リーファ?」
「うん!」
ジークに言われ、リーファは力強く頷く。
『舐めるなよ、羽虫風情が!』
シグルドは、怒り心頭となり襲い掛かるSAO攻略組と戦う。
だが、シグルドにとってSAO攻略組は敵ではなかった。
ジークに苦戦したのは、彼の武器《バルムンク》とスキル《
だから、ただのプレイヤーでしかないSAO攻略組など敵ではなかったはずだった。
『くそっ!』
だが、シグルドはSAO攻略組相手に苦戦していた。
最初のシグルドは、全パラメーターを全種族より遥かに上回っており、また与えられた武具と防具がチート性能だった。
だが、ボスモンスターのドラゴンとなった今、シグルドはそのチート装備を全て破棄した形になった。
その為、今のシグルドはパラメーターが異常なまでに高いだけのボスモンスターでしかない。
更に、SAO攻略組はあの鋼鉄の浮遊城“アインクラッド”で2年間、様々なボスモンスターたちと戦った。
その経験があり、加えてシグルドが複雑な剣技や魔法を使わなくなり、ドラゴンらしい火球や爪や牙、尻尾での攻撃と言う攻撃動作が分かり易くなった。
シグルドがドラゴンになった瞬間、ディアベルはサクヤたちと話し、後方のガーディアンをALO組が、そして、ドラゴンとなったシグルドの相手をSAO攻略組がする事となった。
つまり、ドラゴンになったお陰でSAO攻略組にとっては戦い易くなった。
ディアベルの的確な指示に、クライン達の攻撃、エギル率いる
それにより、シグルドはどんどん追い込まれていった。
とうとう倒れ込んだシグルドに、SAO攻略組、準攻略組が手にした武器でシグルドを地面に縫い付けるように刺す。
『嘘だ……!この俺が……この俺が!』
「今度こそ、終わりだ。シグルド」
そんなシグルドに、上空からジークが《バルムンク》を構える。
ジークが手にしてる《バルムンク》は眩い光が放たれる。
だが、先程とは比較にならない程に光っており、まるで刀身が大きく伸びてる様に見える。
『な、なんだ!?その輝きは!?』
「俺だけの力じゃない。ここにいる、全プレイヤーの力が、ここにある!」
ジークの《バルムンク》には、この場にいるALO、SAO攻略組、SAO準攻略組のMPが全て付き込まれていた。
『ま、まさか、こいつら支援魔法も無しに戦っていたのか!?』
「何を驚いている?」
「SAOじゃ、魔法なんて存在しなかった」
「魔法なしで戦うなんて」
「俺達には朝飯前さ」
SAO組の言葉に、シグルドは絶句した。
「シグルド、終わりの時だ!」
ジークは《バルムンク》を握る手に一層力を籠める。
『や、止めろ!今ならまだ間に合う!俺に付け!そうすれば、この世界で頂点に立つことも………!』
「そう言うのは、自分の力で手にしてこそだ」
シグルドの言葉を一瞬し、ジークは言う。
「邪竜、滅ぶべし…………
振り下ろされた一撃は、シグルドへと当たる。
斬撃は光となり、シグルドの身体を一刀両断する。
斬られた瞬間、シグルドが何を感じたかは誰も知らない。
喚く間も、怨嗟の声を上げる間もなく、シグルドの身体は葬られ、その肉体は白い炎に包まれ焼失した。
ジークは《バルムンク》を鞘に収め、シグルドの身体があった場所を見る。
「
ジークがそう言い終えると、周りから溢れんばかりの歓声が響き渡る。
堕ちた英雄と竜殺しの英雄の戦いは、堕ちた英雄の敗北で幕を閉じた。
ジークのバルムンク設定
ジークのバルムンクの、真名登録機能とは今のプレイヤーネームを隠しの名とし、真名を登録、その真名を解放することでバルムンクの本来の力を解放する。
バルムンクの主な力は、貯めた魔力を刀身に帯させ、魔法属性(無属性)を付与できたり、魔力を強力な斬撃に変換して放ったりできます。
PS:シグルドの敗因 ドラゴン化