プロローグ
『なぁ、それってモンスタートレジャーだよな?』
外で一人寂しくゲームをしてる少女に、一人の少年が声を掛ける。
『……そうだけど』
『やっぱりそうか!なぁ、俺もそれやってるんだよ!一緒にやらないか?』
少年は手にしたゲーム機を見せながらそう言う。
少年の言葉に少女は「いいよ」と答えたかった。
だが、少女は先程、友達に言われた言葉が忘れられず、胸に突き刺さるように残ってた。
『私なんかとやっても、つまんないよ』
『え?なんでだよ?』
『私、上手過ぎるから一緒にやりたくないんだって。私と一緒だと………楽しくないって』
悲しそうに俯いて少女は言う。
『それがどうしたんだよ?』
しかし、少年はそう言った。
『それはそいつらが楽しくないだけだろ?俺は強い奴大歓迎だ!』
そう言って少年は、少女の腰かけているベンチに座る。
『集会場作るから入って来いよ。PASSは[※※※※※※※]な』
そう言われ、少女は恐る恐る集会場へと入る。
『入って来たな。じゃあ、フレンド申請っと』
送られてきた申請メッセージに、少女は困惑しながらもOKのボタンを選択する。。
今まで真っ白だったフレンド一覧に名前が現れる。
『えっと………kai?カイって読むの?』
『ああ、そっちの名前は………mito……ミトか!よろしくな、ミト!』
そして、出会ってからと言うものの、カイとミトの二人は毎日一緒に遊んだ。
カイのゲームの腕はミトですら感心する腕前で、ミトは一瞬でカイのことを気に入った。
そこから、ミトとカイの仲が深まるのは早かった。
学校が終われば、公園で待ち合わせし夕方までゲームし、休日でもお互いに予定がない限りは一緒にゲームをしていた。
カイとゲームをしている時間は、ミトにとって大切な時間だった。
失いたくない程に。
だが、現実は残酷だった。
二人が出会ってから一年が経とうとした春。
ミトはいつも通り公園でカイのことを待っていた。
だが、30分待ってもカイは現れなかった。
『カイ………遅いなぁ……』
そして、その日、カイは現れなかった。
それから毎日、ミトは公園でカイを待ち続けた。
だが、カイは一向に現れなかった。
一度、カイの家にまで行こうかと思ったが、ミトはカイの家が何処にあるのか知らなかった。
さらに言うと、カイの本名も知らなかった。
一年近く一緒にいながら、カイの本名や住んでる場所を聞かなかった事に、ミトは腹を立てる。
『もう……会えないのかな………』
そう呟くミトの手にあるゲーム機には、最初に二人でやったゲーム“モンスタートレジャー”のソフトが入っており、画面には《通信待機中》の文字があった。
しかし、カイのキャラが入って来ることはなかった。
もうカイとは会えない。
そのことをようやく理解したミトは、涙を流した。
目から落ちる涙が、ゲームの画面に落ちる。
こうして、カイとミトの二人は会うことがなくなった。
だが、この二人は後に再会することになる。
ゲームでの死が現実の物となる恐ろしきデスゲーム、VRMMORPG《ソードアート・オンライン》の中で………………