その理由が明かされます
12月7日 日曜日
ミトはいつもの公園に来ていた。
ベンチに座り、元気に遊んでいる子供たちを眺め、時折微笑む。
すると、走っていた女の子が、目の前で転んだ。
ミトはベンチから立ち上がり、その女の子に近付く。
「大丈夫?」
「う~……膝痛い……」
涙目になりながら女の子は言った。
女の子の膝を見ると擦り傷ができていた。
ミトはポケットからハンカチを取り出し、ペットボトルの水で濡らして女の子の膝に当てる。
「いたっ!」
「ごめんね、ちょっと我慢してくれるかな?」
「………うん」
「強い子ね。強い子は、お姉さん好きだよ」
そう言い、ミトは最後に絆創膏を貼る。
「よし。これで、もう痛くない筈よ」
「本当だ!ありがとう、お姉ちゃん!」
「どういたしまして」
笑顔を見せる女の子を見て、ミトも微笑む。
その後、女の子の母親と思われる人が来て、事情を聴き、ミトにお礼を言った。
ミトは「大したことじゃないので」と言って、帰って行く母娘を見送った。
「優しいな、深澄は」
そんなミトの後ろから、カイが声を掛けた。
「伊緒、遅かったね」
「一応時間通りなんだけどな」
「私より来るのが遅かったんだから、遅いの」
そう言って、ミトはカイと手を繋いだ。
「じゃ、行こ」
「ああ」
そして2人は、公園を後にした。
そのまま街を歩きながら、カイはミトに話しかける。
「そう言えば、ずっと公園で遊ぶ子供見てたけど、何かあったのか?」
「え?あ……いや、その………」
カイの言葉を聞いて、ミトは少し顔を赤くし、下を向いてしまった。
「どうかしたか?」
「ううん。何でも無い。ただ……」
ミトは顔を上げ、カイの方を見る。
「……私と伊緒の子供なら、どんな子かなって考えてて………」
恥ずかしそうな表情を浮かべるミトを見て、カイは嬉しそうに笑う。
「そっか……なら、その時が来るまで深澄に愛想尽かされない様に頑張らないとな」
「来ないよ、そんな日なんて」
「そっか。それは嬉しいな」
互いに笑い合い、2人の手は、しっかりと握られていた。
その後、2人はゲーセンに向かい、存分に遊ぶと、夕方になっていた。
夕暮れの中、2人は帰り道を歩いていた。
「う~ん……楽しかった!」
「そうだな。次は和人と明日奈も誘って、Wデートでもするか」
「それも楽しそうね」
2人共満足げに笑っていた。
すると、カイは突然立ち止まった。
「どうしたの?」
ミトはカイの視線の先を見る。
そこにあったのは、花屋だった。
「花屋がどうかした?」
「ああ、ちょっと思い出してさ。SAOでミトが好きな花の事」
カイにそう言われ、ミトは思い出す。
あの時、ミトが好きだと言った花は《サネカズラ》と《アングレカム》の2つ。
正確には《サネカズラ》は好きだった花で、《アングレカム》が現在好きな花だ。
「あの時は、なんかはぐらかされたけど、結局なんで好きだったんだ?」
「そうね………まぁ、もう話してもいいか。花言葉は分かる?」
「どの花に、どんな花言葉があるかまでは分からないけど、まぁ知ってる」
「《サネカズラ》はね、《再会》《また逢いましょう》って花言葉なの」
ミトは少しだけ悲しそうに笑う。
「伊緒と会えなくなって、悲しくて泣いてた時にお母さんが教えてくれたの。《サネカズラ》は再会の花言葉がある花。この花を大事に育てて、その子とまた逢える日を願いなさいって」
「………そうだったんだな」
「その言葉をずっと信じ続けて、毎年植えてた。そしたら、本当に伊緒と再会出来た。私にとっては、願いをかなえてくれた大切な花なんだ」
ミトは嬉しそうに微笑み、カイの手を握る。
「で、今はそれ以上に好きなのが《アングレカム》。これの花言葉はね……《いつまでも貴方と一緒に》っていうの」
「へぇ……」
カイもミトの手を握り返し、微笑む。
「俺も同じ気持ちだよ。深澄と、これからも一緒に居たいと思ってる」
「ふふっ……ありがと」
カイの言葉を聞き、ミトは嬉しそうな笑顔を見せた。
そのまま2人は他愛のない話をしながら、歩き出す。
カイは、ミトを家まで送りながらあることを考えていた。
(GGOに行く件、なんて切り出すか……)
「何が言いたいの?」
「え?」
ミトの隣を歩きながら、考えているとミトがそう言ってきた。
カイは、「ミトにはお見通しか」っと苦笑し、正直に話すことにした。
「実は、近いうちにALOの《カイ》を別のゲームにコンバートさせるんだ」
「……え?……………え、えぇぇぇぇぇっ!?」
ミトが驚きのあまりに叫んだ。
「ど、どうして…? まさかALO…辞めるの…?」
「いや、違うって!菊岡の頼みで他のVRMMOのリサーチをするだけだ!すぐにまた再コンバートする!」
「そ、そっか………でも、リサーチならもう何回も新規アカウントしてるじゃない。なのにどうしてコンバートするの?」
「念には念をって所かな。まぁ、キリトも一緒だし大丈夫だからさ」
「キリトも?………怪しい」
ミトは、《カイ》のデータをコンバートさせることと、キリトも同行すると言うことに不信を感じ、ジトーッとした目つきでカイを見た。
「な、なんだよ、その目は……」
「怪し過ぎる。いくらなんでも、念を入れ過ぎよ。カイだけじゃなく、キリトまでも一緒だなんて、そのゲーム、危険なの?」
「いや、そう言うわけじゃないんだけど……」
「危険なんでしょ?だから、カイをコンバートさせて、キリトも一緒にコンバートして付いて行く。そうでしょ?」
「うーん……」
「正直に言いなさい」
「……わかったよ」
ミトの圧力に押されたカイは、GGOのことをミトに打ち明けた。
GGOのプレイヤー2人が不審死を遂げた事。
《死銃》と言う存在が2人を撃った事。
その直後に、2人は苦しんで落ちた事。
落ちた時間と、死亡推定時刻が一致してる事。
原因を探るために、キリトと共に《死銃》に接触する事。
包み隠さず、ミトに話した。
話を聞いたミトは、しばらく考え込んだ後、口を開いた。
「……私も、一緒に行くわ」
「え!?行くって本気か!?」
「当たり前でしょう!! そんな危ない所に、行かせるわけないでしょう!?」
「いや、でも、もしかしたら危険な事かもしれないんだ、それに深澄を巻き込むわけには……」
「それを決めるのは私よ。それに、もう離れたくないの………」
ミトは、カイの手を握った。
「だからお願い、連れていって……」
弱々しくいうミトに、カイは断れなかった。
「分かったよ……菊岡に連絡して、深澄も同行していいか聞いてみる。まぁ、深澄の腕なら、菊岡も喜んでくれるだろうさ」
「ありがとう、伊緒……大好きだよ……」
ミトはカイを抱き締めると、カイもミトを抱きしめ返した。
GGOにミトも同行します!