ソードアート・オンライン~焔の剣聖~   作:ほにゃー

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第6話 予選開始

リヒターの運転するバギーのお陰で、カイ達は僅か3分と言う短い時間で《総督府》へと着いた。

 

「ありがとう、リヒター!」

 

「礼はいいから早くエントリーしてきて!」

 

「ええ!3人とも、こっち!」

 

リヒターへの礼もそこそこにし、カイ達はシノンの後に続く。

 

「そこの端末からエントリーできるから!やり方は分かる!」

 

「「「やってみる!」」」

 

3人同時にそう返事をし、端末に触れる。

 

すぐさまエントリー画面へと移動し、自身のキャラネームを入れる。

 

その後に、住所などのリアル情報を入力する場所があったが、そこでカイは手を止める。

 

リアル情報の入力は、自由で空欄でも虚偽情報でもいいそうだが、そうなると上位入賞プライズを入手することは出来ない。

 

カイ含め、ミトとキリトも上位入賞プライズは惜しかったが、今回の目的は《死銃》との接触、遊びではない。

 

カイはミトとキリトを見る。

 

すると、2人も同じ気持ちなのか、3人とも無言で頷く。

 

リアルの情報漏洩を少しでも防ぐ為に、カイ達はリアルに関するデータは全て空欄でエントリーした。

 

「3人共、終わった?」

 

「ああ、今終わった」

 

「俺も大丈夫だ」

 

「わたしもOKよ」

 

確認を取ってくるシノンに揃って答える。

 

「シノンのお陰で助かったよ」

 

「俺達だけだったら、間に合わなかったと思うし」

 

「ありがとう、シノン」

 

「い、いいよ、そんな…このゲームをやる人が増えてくれたら、私も嬉しいし」

 

3人からのお礼の言葉に、シノンは少し照れた様子を見せながら応えた。

 

するとキリトがメインメニューを開いて操作しだした。

 

「シノン、これは案内してくれた礼だ。受け取ってくれ」

 

そう言うと、キリトは先程のギャンブルゲームで手に入れた30万クレジットの半額15万クレジットをシノンへと渡した。

 

「え!?ちょ、ちょっと!別にお礼なんて!」

 

「いいからいいから、受け取ってくれ。それに、さっきの彼へのお礼も込みだからさ」

 

「そう言う訳だし、受け取ってやってくれ」

 

「人からの好意は素直に受け取る物よ」

 

「……うん、分かった。ありがたく頂戴するね」

 

3人に説得される形で、シノンは謝礼を受け取る。

 

「それで、3人の予選ブロックはどこだったの? 私はFの33番だけど…」

 

「俺はEの29番だな」

 

「俺もEブロックだな。Eの7番」

 

「私はDブロックの17番ね」

 

「俺とカイは同じブロックだな。これだと、俺とカイのどちらかしか本戦に進めないのか?」

 

トーナメント表を見て、キリトがそう言う。

 

「ちょっと待って………それは大丈夫そうね。カイとキリトの2人が当たるのは、勝ち残れたらって前提だけど決勝戦。予選の決勝まで進めたら本戦には出れるから」

 

「なるほど。なら、うまく行けば全員本戦参加か」

 

そう言ってカイは、キリトを見る。

 

「キリト、決勝で待ってるぞ」

 

「こちらこそ」

 

互いに不敵に笑い合い、拳をぶつけ合う。

 

そんな2人を呆れた様にミトは見る。

 

そんな中、シノンは自身の居るFブロックにいるプレイヤーの中に、知った名前を見つける。

 

《lynx》

 

(リンクス……山猫もFブロック………当たるのは決勝戦………本戦前に、前回のリベンジと行かせてもらうわ………!)

 

シノンは拳を強く握りしめ、リンクスへのリベンジを誓う。

 

「それじゃあ、予選の会場に行きましょ。ここの地下よ」

 

シノンは一先ず、リンクスへの怒りを胸に仕舞い、カイ達と地下へと向かうエレベータに乗った。

 

地下に着くと、参加者であろうプレイヤー達が多くいる。

 

陽気な者はおらず、みな一様に押し黙ったり、低く囁きを交わす程度だ。

 

「控室はこっちよ。そこで、戦闘服に着替えましょう」

 

シノンの案内で、控え室に向かう。

 

「男子はそっちで、女子はこっちよ」

 

「分かったわ。じゃあ、また後でね」

 

「ああ、後でな」

 

「じゃあ」

 

ミトに別れを告げ、カイはキリトと共に控え室に向かう。

 

「ちょ、ちょっと!」

 

すると、シノンが声を上げた。

 

「聞いてなかったの!女子はこっちよ!」

 

シノンはキリトを見ながらそう言う。

 

そこで、カイ達はハッとした。

 

そして、カイとミトは笑いを堪え、キリトはげんなりとする。

 

「え?ど。どうしたの?」

 

「シノン、言い忘れてたけどキリトは男よ」

 

ミトが笑いをこらえながら、シノンに言う。

 

「……え?」

 

「本当だぞ。ほら、キリト、証拠」

 

「カイ……ミト……、後で覚えてろよ……」

 

キリトはそう呟き、シノンにネームカードを見せる。

 

そこには、プレイヤーネームの《キリト》と、性別が書かれている。

 

Male(男性)、と。

 

「え?Male……え?男!?その顔で!?」

 

シノンが驚きの声を上げる。

 

そして、カイとミトは大爆笑した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「悪かったって、そう怒るなよ」

 

「ほら、飲み物奢ってあげるから」

 

「飲み物一杯で許されると思ってるのかよ………」

 

不貞腐れるキリトを宥めながら、カイとミトは謝る。

 

「その……ごめんなさい。知らなかったとはいえ、女の子扱いして……一人称もてっきりそう言う子なんだと思ってて」

 

シノンは、素直にキリトに謝った。

 

「いや、俺の方こそちゃんと説明してなかったし、シノンは気にしないでくれ。だけど、カイとミト、お前らは許さない」

 

「だから悪かったって」

 

「ごめんごめん」

 

そんな3人のやり取りを見て、シノンは仲が良いんだなっと思う。

 

「取り敢えず、お詫びって訳じゃないけど予選について説明しとくわ」

 

シノンの説明によると、ドーム中央にあるホロパネル、そこに映っているカウントダウンが0になったら、エントリー者全員が予選1回戦の相手と2人だけで戦うフィールドに転送される。

 

フィールドは1km四方の正方形、地形と天候と時間はランダム、最低500m離れたところからスタート。

 

決着して勝者はこの待機エリア、敗者は1階ホールに転送、負けても武装のドロップはなく、勝った場合はその時点で次の対戦者が決まっていればすぐに2回戦、決まってなければ待機。

 

そして、予選決勝戦まで行くとその時点で本戦参加が決定。

 

「こんな所よ。他に聞きたい事はある?」

 

「大丈夫だ、ありがとう」

 

「俺もだ」

 

「私もよ」

 

カイ達の返答に満足そうにシノンは笑みを浮かべるとこう言った。

 

「折角だし、全員が本大会に残れる事を祈ってる。そして、その本選で貴方達にもう1つだけ、あることを教えるわ」

 

そう言い、シノンは3人を挑発的な目で見る。

 

「何を教えてくれるんだ?」

 

「敗北を告げる弾丸の味」

 

その言葉に、カイ達は驚くも、すぐに笑みを零す。

 

「ああ、楽しみにしてる」

 

「その時は、全力で挑むよ」

 

「挑発には乗る主義だし、望む所よ」

 

そう言う3人に、シノンも笑みを零す。

 

「遅かったじゃないか、シノン」

 

すると、1人の男性プレイヤーがシノンに声を掛けながら近づいて来る。

 

「てっきり来ないんじゃないかって心配して………えっと、この人たちは?」

 

「シュピーゲル。ちょっとした知り合いよ。皆、紹介するわ。彼はシュピーゲル。私のフレンドよ」

 

「あ、どうも。シュピーゲルです」

 

紹介されたシュピーゲルは、丁寧に頭を下げて挨拶する。

 

「どうも、俺はカイだ」

 

「私はミトよ」

 

「俺はキリト……言っておくと、男だからな」

 

キリトの自己紹介に、シュピーゲルは「え?」っと言葉を漏らし、カイとミト、そしてシノンは笑いを堪える。

 

「その容姿で男って事は、M9000番系のアバター?うわー、始めてみたなぁ」

 

シュピーゲルは、キリトのアバターを珍しそうに見る。

 

暫く見てると、思い出い出した様にシノンの方を向く。

 

「シノン、そう言えばリヒターは?一緒だと思ったんだけど?」

 

「そう言えば……何処に行ったのかしら?」

 

「そっか、リヒターにも激励したかったんだけどいないなら仕方ないか。シノン、僕の代わりにリヒターにも伝えてといて。「応援してる」って」

 

「ええ、分かったわ。でも、どうせここには来るんだろうし、待ってたら?」

 

「それがそうも行かなくてさ。これから、リアルの方で用事があるんだ。だから、激励だけしに来たんだ」

 

そう言い、シュピーゲルはカイ達も見る。

 

「それじゃあ、皆さんも頑張って下さい!それじゃあ!」

 

そう言い、シュピーゲルはログアウトした。

 

「彼は参加しないのか?」

 

カイは、シノンにそう尋ねる。

 

「ええ、そうなの。本人はステ振りを間違えたから、《BoB》は諦めるって言ってるの。AGI一極型でも、まだ戦えると思うのに」

 

シノンは残念そうに呟く。

 

「おーい、シノン」

 

またしてもシノンを呼ぶ声がした。

 

「リヒター!」

 

シノンは、リヒターが来たことに少し嬉しそうに声を弾ませる。

 

「ごめんごめん、レンタルバギーを返しに行ってて遅れちゃったよ。それで、皆はもうエントリーは終わったのかな?」

 

リヒターの質問に、カイ達は頷く。

 

「それじゃあ、改めて自己紹介と行こうか。俺はリヒター。シノンの相棒だよ」

 

「キリトだ、よろしく」

 

「俺はカイ。改めてになるけど、よろしく。それと、さっきはありがとうな」

 

「私はミト。こちらこそよろしく」

 

「うん、よろしく」

 

挨拶を終え、リヒターは笑う。

 

「それで、皆は何処のブロック?」

 

「私はFブロックよ」

 

「俺はEブロックだ」

 

「同じく」

 

「私はDブロックよ」

 

「あ、じゃあ俺と同じだね。俺もDブロックなんだ」

 

そう言い、リヒターはトーナメント表を見る。

 

「うん。どうやら、決勝で当たるみたいだ。その時はよろしく」

 

「ええ、こちらこそ。でも、手加減とかは要らないから」

 

「ああ、分かってる」

 

そう言って、互いに握手をする。

 

『大変お待たせしました。これより第三回バレット・オブ・バレッツ予選トーナメントを行います。エントリーされたプレイヤーの皆様は、カウントダウン終了後に、予選第一回戦のフィールドに転送されます。幸運をお祈りします』

 

丁度アナウンスが鳴り響き、予選がもう間もなく始まることを告げる。

 

「それじゃあ、シノン。頑張ってね。本戦で会おう」

 

「ええ。あ、そうだ。シュピーゲルが頑張ってって言ってたわよ」

 

「そっか。なら、尚更頑張らないとな」

 

そう言い残し、リヒターは転送された。

 

「私もそろそろね。じゃあ、皆、本選で」

 

そして、シノンも転送された。

 

「カイ、待ってるから。キリトもね、ちゃんと勝ち残りなさいよ」

 

「ああ、必ず行くさ。予選Fブロック優勝者としてな」

 

「俺に勝つ気か、カイ?悪いが、俺が勝つ」

 

3人は、またしても笑い合い、そして、転送された。

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