転送された場所は暗闇で、カイは宙に浮いてる六角形パネルの上に立っている。
目の前に薄赤いホロウィンドウがあり《Kai VS 狼牙》と表示があり、その下に[準備時間:58秒 フィールド:忘れ去られた廃墟]とあった。
(ろうがって読むのか?まぁ、なんでもいいか)
そう思いながら、カイは自身の装備を確認する。
メインのサーベル、サブのコルト・パイソン。
そして、赤いミリタリージャケットに防弾アーマー、黒いコンバットブーツ。
「刀とサーベルの違いはあるけど、なんとかなるだろう」
そして、残り時間が0になると再度カイの体を転送エフェクトが包む。
すると、憂鬱そうな空の下にある廃れた街の中央にいた。
カイは慌てて近くの建物の中に入り、外の様子を探る。
(さて……狼牙はどこにいる………)
そう考えてると、20ⅿ程の建物の陰に人影が見えた。
(見つけた!)
鞘からサーベルを抜き、どのようにして接近し、斬るか考えていると、行き成りカイが居る建物の近くで爆発と爆炎が舞った。
何事かと思い、顔を出してみると、狼牙が6連式グレネードランチャーを構えているのが見えた。
「マジかよ!?」
冷や汗を流し、カイは建物から飛び出し走り出す。
背後で爆音と爆発が起きながらも必死で走る。
走りながら打開策を考える。
「クソッ!これじゃあ近寄れねぇ!」
カイの頭の中で考えを巡らせていると、グレネード弾がカイ目掛け飛んでくる。
カイは思わず反射的にサーベルを構える。
その瞬間、サーベルに当たったグレネード弾が爆発し、爆風がカイを吹き飛ばす。
空中で体勢を整え着地すると同時に、カイはサーベルを見る。
「折れてない……流石は、最高クラスの金属だな」
カイは安堵のため息をつく。
そして、どうすれば倒せるかを再度考える。
「…………」
少しの間、黙考していたカイだが、すぐに答えが出たようで動き出した。
カイは家屋の陰に隠れ、狼牙の位置を確認してから飛び出す。
「そこだ!!」
カイは狼牙目掛け、コルト・パイソンを撃つ。
銃弾は全て狼牙から外れる。
「ハッ!何処狙ってやがる!」
狼牙は鼻で笑い、カイに止めを刺そうとグレネードランチャーを構える。
しかし、カイは既に次の行動に移っていた。
カイが銃を撃ったのは当てる為じゃない。
狼牙の動きを止めて、その場に留める為だ。
カイはアイテムポーチから、スモークグレネードを取り出し、投げつける。
狼牙の周りに白い煙が立ち込め、視界が悪くなる。
「くっ!厄介だな」
狼牙は顔をしかめながら、その場を移動する。
遮蔽ぶちにしていた建物中を移動し、近くの部屋に入り、壁を背にする。
(ここなら、入口はあそこの1ヵ所。ルートは絞られる。コルト・パイソンは強力だが、後ろの鉄筋コンクリートを撃ち抜けるほどじゃない。お飾りアイテムのサーベルなんぞ持ってる奴なんか、簡単に殺れる)
そう考えていた時だった。
「悪いな、俺の勝ちだ」
狼牙は驚きの声を上げようとしたが、声が出なかった。
腹部に何かが刺さってる違和感を感じ、自分の腹を見ると、サーベルが突き出ていた。
すると、そのままサーベルが動き狼牙の身体を両断する。
「がっ!?」
狼牙は自分の身に何が起きたのか理解できなかった。
「なん……で?」
狼牙の疑問の言葉を残して、狼牙の体はポリゴン状に消えていく。
「流石は最高金属のサーベル。頑丈さも折り紙付きだな」
カイはサーベルを壁から引き抜くと、サーベルには刃こぼれ一つ無かった。
カイがスモークグレネードを使ったのは、姿を隠す為ではなく狼牙をその場から移動させるため。
向こうからは煙でカイの居場所は分からないが、狼牙は居場所がバレている。
そうなれば、その場を移動するのは分かり切った事。
後は、建物内で反響する足音や呼吸音などから、狼牙の位置を見つけ、その背後からサーベルで斬る。
SAOでの2年間の戦闘経験と技術、そして、サーベルの頑丈さがあってこその攻略法である。
「取り敢えず、しばらく宜しくな相棒」
この世界の新たな相棒にそう言いつつ、上空の《CONGRATULATION》の表示を見る。
そして、体を転送エフェクトの青い光に包まれながら、カイは待機エリアに戻った。
転送された場所は暗闇で、ミトは宙に浮いてる六角形パネルの上に立っている。
目の前に薄赤いホロウィンドウがあり《Mito VS Briner 》と表示があり、その下に[準備時間:58秒 フィールド:追憶の戦場]とあった。
「えっと、取り合えずフォトンサイズは手で持って、銃はこの辺でいいか」
メインとなるフォトンサイズを持ち、サブとなるベレッタを腰背部のホルスターに入れる。
服装は、紫のミリタリージャケットに防弾アーマー、カーキ色のコンバットブーツを装備している
「よし。後はその場の流れ次第で動くとするか」
そして、残り時間が0になると再度ミトの体を転送エフェクトが包む。
すると、憂鬱そうな空の下にある戦場にミトは降り立った。
戦場跡地と言うだけあって、辺りには捨てられた武器や軍用車両の残骸などが転がっている。
「こんな開けた場所に居たら格好の的ね。早く移動しないと」
ミトはそう呟き、念の為に銃を抜いて移動を開始する。
周りの残骸を遮蔽物代わりに移動しながら、前方を覗いて、音を聞き分け、何もない事を確認してまた前進。
そして、また岩陰から様子を確認しようとした瞬間、
突然目の前に男が現れた。
「っ!」
その瞬間、ミトはノータイムで男、ブライナーに発砲する。
行き成りの事に、ブライナーは身体に2発弾丸を食らい、後ろによろめく。
そして、ミトはフォトンサイズの刃を展開しながら、ブライナーに向かって走り出す。
だが、それを待っていたかのようにブライナーは手にしたライトマシンガン《ブレン軽機関銃》を乱射する。
「ちょ!?」
放たれる銃弾の雨の中、ミトは後に下がり、遮蔽物に隠れる。
だが、機関銃の弾丸は容易に遮蔽物を貫通し、ミトを追いやる。
(流石にこのままじゃまずい!)
ミトは、急いで近くの新たな残骸に身を隠して、ブライナーの様子を確認する。
ブライナーはマガジンを取り外し、リロードをしていた。
「出て来いよ、お嬢ちゃん!その綺麗な顔、吹き飛ばしてやるからよ!」
ブライナーは楽しげに笑い、銃を構える。
ミトは歯噛みしながらも、冷静に考える。
(正直、銃に不慣れの私じゃこの距離で当てるのは無理。……かと言って、鎌を使おうにもこの状況だと厳しいわね)
そう思いながらも、ミトは覚悟を決める。
「だったら……行くしかない!」
ミトは勢いよく飛び出すと、ブライナーに向けて走り出した。
それを見たブライナーは口角を上げる
「良い度胸だなぁ!!でも、これで終わりだよ!!」
ブライナーは再び機関銃を構え直し、トリガーに指を掛ける。
しかし、ミトは避けるそぶりも見せず、ただ真っ直ぐに走る。
「ハハッ!馬鹿め!死ねぇぇえ!!!」
そして、引き金が引かれ、大量の弾丸がミトへと迫る。
弾丸は地面にも落ち、大量の土煙を巻き起こす。ブライナーは勝ち誇ったように笑う。
「クッハーー!死んだなぁ?まあ、俺に挑むなんて無謀もいいところだからなぁ」
「本当にそうかしら?」
「………は?」
土煙が晴れると、そこには無傷のミトが、フォトンサイズ片手に立っていた。
「な、なんで生きてんだよぉ!!!」
ブライナーが叫ぶと、ミトは不敵に笑う。
「さぁ?なんででしょうね?」
そう言い、フォトンサイズを手にブライナーへと接近する。
それに焦りを覚えたのか、ブライナーは再び機関銃を放つ。
しっかりと構え、ミトを狙い、撃つ。
ミトへと飛来する弾丸。
すると、ミトは手にしたフォトンサイズを掌で回転させ、弾丸を防いだ。
「なっ!?」
フォトンサイズを回転させることで、弾丸を防いだミトにブライナーは驚きを隠せずにいた。
再度発砲しようとするが、機関銃は弾切れだった。
ブライナーは急いでリロードしようとするが、ミトの方が速く、フォトンサイズの紫色の光刃をブライナーの首に当てる。
「さようなら」
そう言い、ミトはフォトンサイズを一閃。
ブライナーの首が飛ばされ、体はポリゴン状に消えていく。
「ふぅ……勝てて良かった」
ミトはそう呟き、大きく息を吐き、上空の《CONGRATULATION》の表示を見る。
そして、体を転送エフェクトの青い光に包まれながら、ミトは待機エリアに戻った。