ソードアート・オンライン~焔の剣聖~   作:ほにゃー

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第9話 予選決勝戦

それから、カイとミト、キリトの3人は順調に2回戦、3回戦、4回戦と予選を勝ち抜いていき、とうとう決勝戦まで来た。

 

「ここまで来たから、本戦出場は確定ね」

 

「ああ、ミトの相手は、リヒターか」

 

「ええ。シノンの友人みたいだけど、ここまで来れるって事はかなりの実力者って事ね」

 

「油断するなよ」

 

「勿論。そっちは、キリトね」

 

「ああ」

 

カイとミトは会話をしつつ、決勝が始まるまでの時間を待っていた。

 

「ミト!カイ!」

 

そんな2人に、準決勝を終えたシノンがやって来る。

 

「シノン、そっちも勝ったんだな」

 

「本戦出場、おめでとう」

 

「ありがとう。でも、だからと言って手を抜くつもりはないわ。それに、アイツには借りがあるのよ」

 

そう言い、シノンは次の自分の相手の試合の中継を見る。

 

外套を羽織り、フードで顔を隠した《三八式歩兵銃》を持ったプレイヤー、リンクス。

 

モニターでは、丁度リンクスが準決勝の相手をヘッドショットで撃ち抜き、決勝進出を決めた所だった。

 

「あの男、ここまでずっと1ショット1キルだな」

 

「何て言うか……凄い精度よね」

 

「ええ、私も正直驚いてるわ」

 

カイの言葉に、ミトとシノンは同意するように呟く。

 

「借りがあるってことは、知り合いなのか?」

 

「知り合いじゃないわよ。私、アイツに一度見逃されてるのよ」

 

「見逃し?」

 

「自分が圧倒的有利なのに、面白いとか気に入ったとか、変な理由でトドメを刺さないで、《BoB》の本戦で殺すとか言って………!」

 

シノンの声色が、怒りに染まっていく。

 

「それで、本選で当たる前に予選の決勝で会う訳か」

 

「そういうこと。ここで勝って、その借りを返すわ。そして、本選でアイツを……殺す」

 

怒りの炎を目に宿したシノンに、カイとミトは血気盛んだなぁっと思い、苦笑する。

 

「そう言えば、キリトは?」

 

「今、準決勝中だ。もう終わると思うけど……」

 

カイがそう言い、モニターを見る。

 

そこでは、キリトの準決勝戦の様子が映ってた。

 

直撃する弾丸を、全てフォトンソードで防ぎ、アバターの末端部分に当たるのは無視。

 

それで、距離を詰め、一定まで詰めると、片方のフォトンソードを投げ、武装を破壊、或いは負傷させる。

 

そして、トドメを差す。

 

(相変わらず、人間離れした戦法だな……でも、なんか無理に勝ちに行ってる感じがある……どうしたんだ?)

 

カイは、キリトの戦い方に違和感を覚えていた。

 

「あ、リヒターも勝った」

 

すると、隣に居たシノンがそう言う。

 

モニターをキリトから、リヒターの方へと目を移す。

 

そこには、ショットガンで敵を倒し終えたリヒターが映ってた。

 

「ねぇ、シノン。リヒターって強いの?」

 

「ええ、強いわよ。メインのショットガン《サイガ12》を使って戦うんだけど、かなり接近戦が得意なタイプよ」

 

「へぇ~」

 

「サブで持ってるハンドガン《ベレッタM93R》も、高い制圧力を持つからかなり手強いわよ。頑張ってね、ミト」

 

「ええ、勿論」

 

シノンとミトは、お互いに笑顔を浮かべる。

 

それと同時に、3人の身体を転送エフェクトが包む。

 

「それじゃあ、2人とも、本選で戦いましょう」

 

「ああ」

 

「ええ」

 

そして、3人は転送された。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

決勝戦、ミトは廃墟ビルの中からスタートとなった。

 

「ステージ名が《崩壊した鉄工場》ってあったから、予想ついてたけど狭い室内での戦闘か」

 

ミトは自分のメイン武器のフォトンサイズを見て呟く。

 

「狭い所だと、鎌のリーチを活かし切れない……むしろ、近接に特化してるリヒターの有利ね」

 

仕方なく、ミトは腰背部ホルスターからベレッタを抜き、工場内を移動する。

 

後方を警戒しつつ、前に進むと、突然、前方から弾丸が飛んできた。

 

「くっ!行き成りね!」

 

ミトは弾丸が飛んで来た方向に向かって、銃を乱射する。

 

しかし、その弾は当たらない。

 

「くそっ!」

 

ミトは悪態を吐きながら、逃げ出す。

 

「逃すか!」

 

その後を、リヒターは追い掛ける。

 

追い掛けながら、残弾の減った《サイガ12》の弾倉を交換し、そのまま《ベレッタ M93R》を抜く。

 

そして、3点バーストモードでミトに向け、乱射する。

 

ミトが走り回っていることと、有効射程距離から離れていることもあって、弾丸は当たる事は無いが、それでも追い詰めるのには十分だった。

 

「くっ!」

 

ミトは時折、後ろに向かって発砲する。

 

だが、いくら撃ってもリヒターに当たる事は無かった。

 

5分以上逃げ続け、ミトは既にマガジン4本も弾丸を消費した。

 

そして、とうとう最後のマガジンとなり、ミトは出入り口のない場所へと追い込まれた。

 

「やっと追い詰めた。もう逃げれないよ」

 

そう言って、リヒターは銃口をミトに向ける。

 

「…………」

 

無言のまま、ミトはリヒターを見る。

 

「決勝まで来たら、もう勝ち負けは関係ないけど、折角だし勝利で終わらせたいからね」

 

「ええ……そうね。それは、私も同じかな」

 

そう言うと、ミトは銃を上へと向け、発砲した。

 

すると、《ベレッタ》から発砲された弾丸は、天井から剥き出しになっていた鉄筋に当たり、跳ね返って、さらにその先の壁へ当たり、また跳ね返り、リヒターの脚を撃ち抜いた。

 

「なっ!?」

 

リヒターが驚きの声を上げる。

 

それをお構いなしに、ミトは再度発砲する。

 

弾丸は、工場内の機械や、置かれている資材の入ったコンテナなどに当たり、跳ね返りながら、リヒターへと当たる。

 

それにより、リヒターは更にダメージを負う。

 

「ちょ、跳弾を利用して……!」

 

「これでも、割と頭は良い方なのよ。あんなに無暗に発砲したのは、どの角度で弾を当てたら、どんな風に跳ね返るか試すためよ」

 

そう言いながら、ミトは発砲する。

 

跳弾が再び襲い掛かり、リヒターは躱そうとするも、跳弾を利用した銃撃では、自身に弾道予測線(バレット・ライン)が来ないので、避けるのが難しい。

 

回避に専念していると、リヒターの持つショットガンに跳弾が当たり、手からショットガンが落とされる。

 

「しまっ!?」

 

リヒターは、急いで回収しようとするも、ミトが銃を撃ち、ショットガンを弾き飛ばす。

 

そこで、ミトの銃の弾が切れ、ミトはフォトンサイズを手に取る。

 

「これだけ広い場所なら、思いっきり戦える!」

 

紫色の光刃を輝かせ、ミトはリヒターに迫る。

 

「く、くそっ!?」

 

リヒターは、《ベレッタ M93R》を抜き、3点バーストで発砲するも、ミトは得意の方法で弾丸を防ぎ、リヒターの懐に飛び込む。

 

「終わりよ!」

 

そう言って、ミトは大きく振りかぶった《フォトンサイズ》を横一線に振るう。

 

リヒターの身体は、大きく切り裂かれ、そのまま砕け散った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

シノンの決勝戦は、森の中だった。

 

フィールド名は《死滅の森》。

 

森と言っても、森林浴に最適と言う感じではなく、まるで富士の樹海の様な、入り込んだ者をそのまま遭難させ、死なせるような恐ろしい雰囲気を醸し出していた。

 

しかし、シノンは臆することなく、森の中を進む。

 

「さて……と」

 

シノンが足を止めたのは、開けた場所だった。

 

円形の広場の中心には一本の木が生えており、狙撃手が狙う場所としては最適な場所だ。

 

シノンは近くの木に隠れ、双眼鏡で辺りを見渡す。

 

この森は、ただでさえ視界が悪い上に、木の上に登れば葉っぱが邪魔をして何も見えない。

 

つまり、このフィールドは完全に狙撃手有利と言えるのだ。

 

しかし、それは逆に言えば、狙撃手にとって有利な場所を探し易いとも言える

 

(まぁ、向こうもそれは解っているだろうけどね)

 

そう思いながら、シノンは双眼鏡でリンクスを探す。

 

注意深く辺りを探し、ようやく見つけた。

 

「いた……!」

 

その瞬間、シノンは双眼鏡から目を離す。

 

双眼鏡越しに、自身の対角線上にある木の上、そこにリンクスは居た。

 

顔の確認はフードで出来なかったが、見覚えのある《三八式歩兵銃》の銃身が見えたので、恐らく間違いない。

 

シノンは《へカートⅡ》を構え、リンクスを狙う。

 

だが、そこで違和感を感じた。

 

(山猫は、一流だ。一流なのに、あんな雑な隠れ方をする?)

 

シノンとリンクスが戦ったのは、ほんの数分程度。

 

それでも、シノンはリンクスの腕は一流だと理解している。

 

その為、今のリンクスの隠れ方を不自然に思った。

 

(狙撃手が《待ち》をする時は、バレないことが基本。あんな隠れ方だと、他の狙撃手からすぐに見つかるし、何より、あんなに銃口を出してたら、下からでも丸見えよ)

 

いくらなんでも無防備すぎる。

 

まるで、リンクスはわざと自分の居場所を教えているようにしか思えなかった。

 

「まさか……!」

 

シノンは何かに気づき、辺りをもう一度探す。

 

「あ……!」

 

そして、声を上げる。

 

何故なら、リンクスを見つけた木から、数十m離れた所の木の陰、そこから見覚えのある外套が僅かにはみ出ていたからだ。

 

(そう言う事ね!木の上のアレはただのカカシ!私がアレを撃ったら、居場所は丸わかり!私の位置を確認してから、狙撃するつもりなんだわ!!)

 

シノンは、リンクスの考えを見破り、そして、木の陰に隠れているリンクスに向かって、《へカートⅡ》を撃つ。

 

50BMG弾は、木に当たり、木を抉る様に削って貫通し、その後ろに隠れて入るリンクスを吹き飛ばす。

 

「よしっ!!」

 

シノンは自分の勝利を確信した。

 

だが、次の瞬間、信じられないことが起きた。

 

発砲音が聞こえ、シノンの心臓を弾丸が貫いた。

 

「……え?」

 

シノンは驚き、弾が飛んで来た方を見る。

 

狙撃手のシノンはいくつかスキルを取得してる。

 

その中に、視力を上げるスキルがある。

 

そして、そこで見たのは、先程の木の上に居たカカシと思ったソレ。

 

そのフードの下から見える、笑う口元。

 

銃口から立ち昇る煙。

 

その全てが、その答えを示していた。

 

「そっか……まんまと罠に嵌ったって訳ね……」

 

シノンはその事実を理解し、そのまま倒れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

第3回《BoB》

予選 Dブロック優勝者:《ミト》   準優勝者:《リヒター》

予選 Fブロック優勝者:《リンクス》 準優勝者:《シノン》

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