ソードアート・オンライン~焔の剣聖~   作:ほにゃー

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第1話 剣の世界へ

2022年11月6日

 

都内にある一軒家で一人の少年がいた。

 

少年の名は、神里伊緒。

 

今年高校一年生になったばかりだ。

 

「伊緒、入ってもいいか?」

 

「伯父さん?いいよ」

 

扉が開き、伊緒の伯父である神里耕哉が現れる。

 

「伊緒、今日が何の日か覚えてるか?」

 

「え?今日…………なんだっけ?」

 

「やれやれ、また忘れたのか」

 

そう言って、耕哉は紙の包を取り出す。

 

「伊緒、16歳の誕生日、おめでとう」

 

「え?……あ、そっか。今日、誕生日か」

 

カレンダーの日付を確認し、今日が自分の誕生日であることを思い出す。

 

「まったく、去年もそんな調子だっただろう」

 

「あはは……ありがとう、伯父さん」

 

困ったように笑い、プレゼントを受け取る。

 

「ところで伯父さん、これって?」

 

「聞いて驚けよ……《ソードアート・オンライン》だ」

 

「え!?」

 

耕哉の言葉に驚き、慌てながら包を開ける。

 

そこにあったのは、今話題のVRMMORPG《ソードアート・オンライン》だった。

 

「凄い!これ、一万人限定の初回ロットなのに!」

 

「ふふん、俺は運がいい男だからな」

 

耕哉はそう言って笑う。

 

「俺は今から出掛けるけど、あまり遊び過ぎるなよ。今日は誕生日だから大目に見るが、何事も程々だぞ」

 

「わかってるよ!ありがとう、伯父さん!」

 

出かける伯父を見送り、伊緒はすぐにベッドの傍に置いてあるナーヴギアを被り、ソフトをスロットに入れる。

 

時刻は12:59

 

もうすぐでSAOサービス開始が始まる。

 

「よし…………リンクスタート!」

 

伊緒がそう唱えると、暗闇の世界に飛んだ。

 

『《ソードアート・オンライン》の世界へようこそ。まずはプレイヤーネームを入れてください』

 

「じゃあ、kaiで」

 

伊緒にとって親しみのある名前を入力し、その後にアバターの設定画面に映る。

 

伊緒は特にこだわりがなかったため、デフォルト設定に髪型や目の形を少し弄るだけですませた。

 

『それではゲームをお楽しみください』

 

アナウンスが終わると共に、虹色のリングをくぐり、伊緒は地面に立っている感覚に襲われる。

 

ゆっくり目を開けると、そこはPVで見た、SAOの世界だった。

 

「おお、ここがSAOか……βテストの抽選も落ちて、ソフトの発売も平日だから諦めてたけど…………伯父さんには感謝だな」

 

そう言い、神里伊緒改めカイは伯父に感謝の念を飛ばす。

 

「さて、まずは何をするかだな…………」

 

辺りを見渡しながらそう言ってると、自分の横を走り抜ける一人のプレイヤーを見かける。

 

「今のって…………まさか」

 

案内NPCの話も聞かず、迷いなく走り出す姿にカイはもしやと思い後を追う。

 

後を追い、路地裏に入ったところで、カイは声を掛けた。

 

「なぁ、そこの人!」「お~い、そこの兄ちゃん!」

 

すると、カイと同時に好青年といった感じのプレイヤーが声を掛けた。

 

「え?」

 

行き成り二人から同時に呼び止められ、黒髪のプレイヤーが困惑する。

 

「あ、すまない」

 

「いやいや、俺の方こそすまない」

 

カイと青年が互いに謝る。

 

「てか、もしかしてだけとアンタもレクチャーを頼もうとした口か?」

 

「てことは、オメーもか」

 

「えっと、俺に何か用か?」

 

二人して納得していると、黒髪のプレイヤーが声を掛ける。

 

「ああ、悪い!ところで、兄ちゃんさ!あんた、もしかしてβテスターじゃないか?」

 

「え……何故それを」

 

「案内役のNPCを無視して走ってただろ?それに、迷いなくこんな路地裏に入った。なら、この世界のことを知ってる奴だって思うのが普通だろ?」

 

「なるほどな……それで、用は?」

 

「それなんだが、俺に戦い方をレクチャーしてくんねぇーかな?頼む!この通りだ!」

 

「俺からも頼む。どうせなら、経験者から教わりたい」

 

手を合わせて頼んでくる青年とカイに、黒髪のプレイヤーは笑った。

 

「ああ、いいぜ」

 

「本当か!?助かるぜ!俺はクライン!よろしくな!」

 

「俺はカイだ。よろしく」

 

「俺はキリトだ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うおおおおおおおっ!!?」

 

キリトおススメの武器屋で武器を購入すると、三人は町を出てすぐのフィールドに向かった。 

 

クラインはフレンジ―・ボアと言う、雑魚モンスターに突進され、仰向けに倒れる。

 

「ま……股座が………!」 

 

股間を抑え、蹲るクラインにキリトは呆れたように笑う。

 

「痛みはないはすだぞ」

 

「………あ、そっか」

 

立ち上がったクラインは、キリトにどう戦えば良いのかと尋ねる。

 

「大事なのはモーション。モーションを起こしてソードスキルを発動、後はシステムが命中させてくれるって」

 

そう言うとキリトは、早くも手に入れた《投擲》スキルを使い、足元の小石をフレンジ―・ボアにぶつける。

 

すると、フレンジ―・ボアはキリトに狙いを定め、突進してくる。

 

その攻撃をキリトは片手剣で受け止めつつ、躱す。

 

「モーションか………」

 

「そうだな……グッと力を込めて、そのあとスパンッて打ち込む感じだ!」 

 

そう言い、フレンジ―・ボアを蹴って、クラインの方に向かわせる。

 

クラインは言われたことをつぶやきながら、曲刀を抜き、構えを取ると、システムがスキルを認証し、ソードスキルが発動する。

 

《曲刀》スキルの《リーバー》がフレンジー・ボアの身体を切り裂き、HPを大幅に削る。

 

「おっ!やった!」

 

「気を抜くなよ!奴はまだ健在だ!」

 

隙だらけになったクラインの背中に、フレンジー・ボアが突進をしようとする。

 

すると、その間に割ってカイが立つ。

 

「貰ったぜ!」

 

クラインと同じ曲刀を手に、《リーパー》を使い、フレンジー・ボアに一閃。

 

フレンジー・ボアは残りのHPが消し飛び、ガラスの割れる様な音と共にポリゴンの欠片となって消える。

 

そして、三人に経験値とコル(SAO内での通貨)、そして、今の戦闘で手に入れたアイテムが目の前に現れたウィンドウに表示される。

 

「悪いな、クライン。美味しい所はもらったぜ」

 

クラインに向け、カイはにやっと笑う。

 

「ちぇ、ズリィぞ、カイ」

 

「隙だらけなお前が悪い」

 

「凄いな、カイは。もうソードスキルを物にしてるのか」

 

「慣れると簡単なものだったよ」

 

そう言い、カイはもう一度ソードスキルを発動し、空を斬る。

 

「それにしても………フレンジー・ボア程度に苦戦してたらこの先やっていけないぞ、クライン。アレ、RPGで言うと、スライムクラスのモンスターだからな」

 

「スライムクラス!?俺はてっきり中ボスぐらいかと……」

 

「どこの世界に、中ボスを序盤の街を出た所に配置するヤツがいるんだよ」

 

三人で笑いながら、クラインの「誰が一番多くモンスターを狩れるか勝負と行こうぜ!」の発言に乗り、三人は狩りを始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、夕方になるまで三人はモンスターを狩りまくり、気が付けば、時刻は17時13分になっていた。

 

「しっかし、信じらんねぇよな。ここがゲームの世界だなんてよ」

 

クラインが夕焼けの空を見て言う。

 

「マジこの時代に生まれて良かったよ」

 

「大げさな奴だな」

 

「だって初のフルダイブ体験だぜ!」

 

「てことは、ナーヴギア用のゲームもSAOが初めてなのか?」

 

「どっちかって言うと、SAOの為にナーヴギアも揃えたって感じかな。一万人限定の初回ロットを手に入れれたのは、我ながらにラッキーだった。ま、そんな中でも、βテストに当選したキリトはその十倍ラッキーだけどな」

 

「俺は伯父さんの運の良さで手に入ったからなぁ。伯父さんに感謝しかないよ」

 

「そうだ、キリト。βテストの時はどこまで行けたんだ?」

 

クラインの質問に、キリトは上空、もといアインクラッド城を見上げて言う。

 

「二ヶ月で10層。でも、今度は一ヶ月も掛けない。一週間で第1層をクリアしてやるさ」

 

キリトはそう言って、笑う。

 

「テメー……相当ハマってんな」

 

「正直、βテスト期間は、寝ても覚めてもSAOのことばかり考えてた。この世界は仮想だけど、現実よりもずっと生きてるって感じがある。この剣一本でどこまで行けるような気がしてな………さて、狩りを続けるか?」

 

「俺は構わないぞ。今日は誕生日で、伯父さんから大目に見てもらえるからな」

 

「おうよ!……って言いたいところだけど、腹が減ってな………一度落ちるわ。実は、17時30分にピザの配達予約してんだ。じゃ、また後でな」

 

クラインはそう言って立ち上がる。

 

「そうだ!この後、別のゲームで知り合った奴等と会う約束してんだけど、よかったら会わないか?」

 

「本当か?邪魔にならないなら喜んで」

 

クラインがそう言うのでカイは喜んで承諾する。

 

しかし、キリトは少し暗い表情をした。

 

「あ……いや、別に無理にとは言わねぇよ。その内、紹介する機会もあるだろうしさ」

 

そんなキリトの心情を察したのか、クラインはフォローする。

 

「ああ……すまない」

 

「謝ることはねぇって!レクチャーしてくれてありがとよ!このお礼は、いつか精神的にな」

 

キリトの肩を叩き、クラインは手を差し出す。

 

「これからもよろしくな」

 

「……ああ」

 

「そんじゃ、カイ!また後でメッセージ飛ばすからよ、そん時にな!」

 

「ああ、よろしくな!」

 

拳を軽くぶつけ合い、クラインは右腕を振り、ログアウトをしようとする。 

 

「あれ?」

 

「ん?どうした?」

 

「いや……ログアウトボタンがねぇーんだよ」

 

「は?何言ってんだ?ちゃんと底の方に………」

 

キリトもウィンドウを操作し、確認するが、その手を止める。

 

カイもまさかと思い、調べるが、確かにメニューの中に《ログアウト》のボタンがなかった。

 

「バグか?いや、ログアウトが出来ないなんて、今後の運営に関わるぞ……クライン、GMコールしてみてくれ」

 

「もうしてるって!だけど、全然反応がねぇんだよ。他にログアウトできる方法ってあったっけ?」

 

「…………いや、ない。プレイヤーがログアウトするには、メニューを操作する以外には」

 

「そうだ!ナーヴギアを頭から外しちまえば!」

 

「無理だ。俺達は現実の体は動かせない。ナーヴギアが、身体を動かす信号を全て、遮断してる。外に居る誰かが、外さない限りは………」

 

「そんな!俺一人暮らしだぜ!誰もいねぇよ!カイ、キリト、お前たちは!?」

 

「俺は伯父さんと暮らしてるから大丈夫だと思う」

 

「俺は、母さんと妹がいるから、晩飯の時には気付いてもらえるだろうけど………おかしいと思わないか?」

 

「変って、そりゃバグなんだし、変に決まってるだろ?」

 

「いや、バグにしたって、これは異常だ。こんなの、今後の運営に支障を来たすぞ」

 

「…言われてみりゃ確かに」

 

「普通ならサーバーを一時停止して、プレイヤーを全員ログアウトさせるはずなのに………運営からのアナウンス一つ無いなんて」

 

キリトがそう言った瞬間、突然鐘のような音が鳴り響いた。

 

突然のことに驚いていると、3人の体が鮮やかなブルーの光に包まれた。

 

光が収まると、三人は《始まりの町》にいた。 

 

他にも、たくさんのプレイヤーたちが集まっており、全てのプレイヤーが集まっているのではと思う数だ。 

 

数秒経ち、周りがざわつき始めた。

 

徐々にそれが苛立ち変わり始めた頃、空に【System Announcement】の文字が浮かびあがった。

 

ようやく、運営側からのアナウンスが始まる。

 

全員がほっとし、肩の力を抜いた。

 

しかし、夕焼けに染まった空の一部がどろりと垂れ下がり、空中でとどまった。

 

そして、そのどろりとした塊が形を変え20メートルはある人間の形になった。

 

形はSAOに出てくるGMの恰好をしている。

 

だか、そのGMのローブの中に顏は無く、袖の中には腕も無い。

 

肉体自体がない。

 

とりあえずGMのアバターの恰好だけを用意しただけみたいな姿だった。 

 

GMの両手がゆっくりと揚がり言葉が放たれた。

 

『プレイヤーの諸君。私の世界へようこそ』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『私の名前は茅場晶彦。今やこの世界をコントロールできる唯一の人間だ』

 

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