死銃は、高らかに宣言した後、《L115》を背負い直す。
そして、そのまま倒れているダインの方に向かって歩く。
カイもミトも、ダインまで殺すつもりなのかと思い焦るも、死銃はダインを無視し、そのまま姿を現した時に居た鉄柱の陰に隠れ、そのまま姿を消す。
そのまま暫く待つも、死銃が再び姿を現す事は無かった。
「そろそろ時間だ。3回目のスキャンが来るよ」
リヒターに言われ、カイはマップを確認する。
そして、現在のプレイヤーの位置を確認する。
カイとミト、リヒターの3人が固まってる場所から、少し離れた位置にシノンとキリトの反応があり、鉄橋の傍に死亡状態のダイン。
そして、その近くに死銃が居ると思われる。
「どういう事だ……橋の近くに何の反応もない」
「そんな、嘘でしょ……」
カイに言われ、ミトも確認するも同じらしく無言でマップを閉じる。
「カイ、ミト。とりあえず、シノンとキリトの2人と合流しないかい?」
リヒターがそう言ってきた。
そう言われ、カイとミトは一先ず、キリト達とも合流することを決めた。
リヒターがライトを取り出し、何回か点滅を繰り返す。
すると、キリト達が居る所からも数回ライトが点滅する。
「シノンと決めた合図なんだ」
リヒターはそう言い、先頭を歩き、その後をカイとミトも着いて行く。
数分歩くと、《へカートⅡ》を背負ったシノンと、キリトが現れ、カイとミトは安堵の息を吐く。
「2人とも、マップで生きてるのは分かってたけど無事でよかった」
「それはこっちもだ」
「お互いに無事でなによりね」
カイとミト、キリトの3人は互いに無事を喜び、笑い合う。
「リヒター、貴方見てた?」
「ああ。ペイルライダーが回線落ちした……あのボロマントの男が撃った直後に………それも、《ゼクシード》や《薄塩たらこ》の様に苦しみながらだ。まさか、アレが噂の死銃……」
「そんなの、唯の噂でしょ?」
「いや、噂じゃないんだ」
リヒターとシノンの会話に、キリトが割って入る。
「シノン、リヒター。話があるんだ」
「俺たちは、ただ自分の実力を試すためにGGOに来たんじゃないんだ」
「じゃあ……何しに?」
シノンがそう尋ねて来て、カイとキリトは頷き合う。
「俺達は、ある男に頼まれてGGOの調査に来たんだ」
「調査って、なんの?」
「《ゼクシード》と《薄塩たらこ》、この2人はもう亡くなってる」
そう告げると、シノンとリヒターは驚いた表情をする。
「死亡時刻は、死銃、あのボロマントの男に撃たれた時刻と一致してる。そこで、ゲーム慣れしてる俺とキリトに依頼が来て、GGOに来たんだ。死銃と接触し、本当にそんな力があるのかを確かめる為に」
「そんな………信じられない。ゲームで人を殺せるなんて。ううん、それ以前にその話が本当なら死銃は、自分の意志で殺してるってことでしょう?そんな人がGGOに……VRMMOにいるはずがない。私は認めたくない。PKじゃなくて、本当の殺しをするVRMMOプレイヤーがいるなんて」
「いるんだ。死銃は、かつてあるVRMMOで人を大勢殺した。相手が死ぬと分かっていながら剣を振り下ろした。ペイルライダーを撃った時と同じように。そして、俺たちも…………」
キリトがそこで言葉を終わらせると、シノンは何かを察したらしく何も言わなかった。
そして、リヒターも口に手を当てて、黙っていた。
「俺たちはこれからアイツを追う。もしアイツの力が本当なら危険だ。これ以上あの銃でプレイヤーを殺させたらいけないんだ。だから、シノンとリヒターはアイツと会っても戦うな。頼むぞ」
キリトはそう言い、カイとミトの2人と頷き合い、死銃が逃げたと思われる方向へ向かおうとした。
「待ちなさい!」
すると、シノンが《へカートⅡ》を背負って後を追ってくる。
「私も行くわ!」
「な!?」
シノンの言葉に、キリトが驚く。
「彼奴らがどこにいるのかも分からないんだから、どの道一緒に居ても同じよ!」
「待ってくれ、シノン!相手はもしかしたら本当に人を殺せる奴かもしれないんだ!」
「そうよ!それに、これは私たちの問題でもあるの!その問題に、貴女を巻き込む事なんて……」
「それでも貴方達は追うんでしょ!危険だと知っていながら、素知らぬフリなんて出来ない!」
カイとミトも、シノンを説得するも、シノンは頑なに協力すると言ってくる。
「………キリト、シノンの言ってることも一理ある。死銃の脅威がある以上、俺たちの近くに居た方が、何かあったも守れるんじゃないか?」
結局カイが折れ、キリトにそう提案する。
「………仕方ないか。シノン、協力してくれ。でも、絶対に俺達から離れるなよ?」
「分かったわ」
シノンが頷くと、黙っていたリヒターも口を開く。
「なら、俺も一緒に行くよ」
リヒターも、死銃追跡に協力すると言い出して来た。
「シノンが行くなら、俺も行くよ。相棒なんだから、当然だ」
「いいのか?お前だって狙われる可能性はあるんだぞ?」
カイが心配して言うと、リヒターは笑みを浮かべながら答える。
「大丈夫だよ。見た感じ、死銃の銃は射程距離が短い。俺の戦い方なら、射程距離に入れずに戦うことが出来る。それに、君たちも、シノンを守れる存在が居れば後ろを気にせず、戦えるだろう?」
「それはそうだが……」
リヒターの申し入れに、カイ達はしばらく悩むも、諦めた様に溜息を吐いた。
「分かった、俺たちと一緒に来てくれ。ただ、無理だけはしないでくれ。死銃と戦うのは俺達がする」
「シノンは、隙を狙って死銃の狙撃をお願い。行けると思ったら、私たち事撃ち抜いていいから」
「リヒターは、シノンを守ってやってくれ」
3人の言葉に、シノンとリヒターは同時に首肯した。
「よし、先頭は俺が行く。カイとミトは後ろを頼む」
「「了解!」」
こうして5人は、一時的なチームを組み、死銃の追跡を開始した。