本編のGGOを最後に投稿してから1年が経つ前になんとか更新できました
「と言うわけで、GGOをやってるリンクスに、GGOで情報を集めてもらったり、BoBに参加してもらって死銃へ対抗するための戦力になって貰った」
カイはたんたんとミトとキリトに、リンクスの事を説明した。
だが…………
「おい、カイ。この2人、思考が停止してるぞ」
リンクスの言う通り、ミトとカイは突如現れたカイの親友“リンクス”の存在に、情報を処理しきれず、思考停止に陥った。
「そんなに驚くのか?」
「驚くだろ?俺だってお前に彼女が出来たって聞いたときは驚いたんだからな」
「そうだったのか?」
暢気そうに話すカイとリンクス。
そして、唐突に登場したリンクスに困惑するミトとキリト。
そんな中、シノンが口を開く。
「ねぇ、こんな時になんだけど………貴方達に聞いてほしい話があるの。私の……過去の話」
シノンの言葉に、全員がシノンの方を向く。
ミトとキリトも、困惑から回復し、そちらを見る。
「シノン、その、いいのか?別に無理しなくても……」
なんとなくシノンの様子から、シノンがただならぬ過去を持っていると察していたカイは、シノンにそう言う。
「別に無理をしているつもりはないわ。ただ、貴方達を見ていると、自分の過去を隠していたくないって思ったの。それに、弱いまま過去に怯えて、逃げたくない………強くなって、胸を張って、堂々と生きたい。そのために今一度、自分の過去と向き合いたいの。だから………聞いて」
シノンの決意に、4人は頷く。
「わかった。なら、聞かせてくれ。シノンの、過去を」
「ありがとう」
シノンは、自分の過去を語った。
幼い頃、交通事故で父親を失った事。
その父親の死を間近で見ていたことで、精神を病んでしまった母親の事。
そんな母を守るために強くなろうと決めた事。
そして、5年前の郵便局強盗事件と、その結末を。
カイたちは口を挟まず、黙って聞き続けた。
「これが、私の過去……向き合わなければいけない過去よ」
やはり話すのが辛いらしく、郵便局強盗事件辺りを話し始めてからシノンは体を震わしていた。
「………シノン、俺も人を殺した」
そんな中、カイがそう言いだした。
「俺は、家族を殺されてる」
カイは淡々と過去を語った。
カイの過去を聞くのはミトとキリトは二度目であるが、やはり辛そうな表情でカイを見ていた。
「その話、久しぶりに聞いたな………」
リンクスは髪を撫で上げながらそう言う。
「そんな殺人を嫌悪する俺が、人を殺した。……《ソードアート・オンライン》で」
《ソードアート・オンライン》の名に、シノンは反応する。
「それって!?」
「ああ。HPが尽きれば現実でも死ぬ、最低最悪のデスゲーム。俺はそこから帰って来た、《SAO
カイの言葉に、シノンは信じられないと言った表情を見せる。
カイが人殺し。
その事に驚きを隠せなかった。
だが、シノンはカイが自分の悦のため殺人を殺すような人ではないと確信があった。
出会ってまだそんなに月日が経ってない。
にも関わらず、シノンはカイの事を信頼していた。
「何が、事情があったのよね」
シノンは確信を以って尋ねた。
「事情なんてもんはないよ。ただ、誤って人を殺して、自棄になって殺しをした。それだけなんだ」
カイは悲しそうに呟く。
「それでも……私は、貴方が自分のエゴで人を殺したとは思えない」
「シノン?」
「そんな辛そうに、そんな目をして………人を殺した過去を吐露する貴方が、自分のエゴで人を殺すとは思えない。……私の勝手な想像だけど」
「そっか……そう思ってくれるなら嬉しいよ。ありがとう」
シノンの言葉を受け、カイは微笑む。
「いい感じに空気が温まったな。そちらさんも、だいぶ思考は回復したみたいだし、本題に入らないか?」
リンクスがそう言いだし、5人は本題へと入る。
「謎は色々山積みだが、一番に考えないといけないのは、死銃への対抗だと思う」
キリトが顎に手をやって言う。
「まず、死銃はどうやってプレイヤーを殺すのかから考えよう。そこから対抗策を考えるんだ」
「と言っても、今の所、対抗策はあの銃に撃たれないぐらいしかないわね」
「でも、アミュスフィアはナーヴギアほどの出力は出せない様になってるはずよ」
「そういえば2人には言ってなかったな。《ゼクシード》と《薄塩たらこ》は脳の破壊じゃなく、心不全で殺されたんだ」
カイが言い忘れていたことを伝えるとリンクスは不思議な顔をした。
「心不全?VR関係だから脳かと思たんだが違うのか。なら、原因はVRゲームでも、アミュスフィアでもないのか」
「まさか、本当に超能力………とか?」
シノンは声を少し震わせて言う。
「仮想世界から銃を撃って、生身の人間を殺す方法なんて存在しないと思いたいが、こればっかは犯人を捕まえて直接聞くしかないな………いや、待てよ」
すると、カイは何かに気づく。
「あの銃で、現実の人間も殺せるなら、どうしてあの時、死銃はあの銃で俺を撃たなかった?」
「あの時?」
「シノンを助けた時だ。あの時、俺はシノンとシノンの銃を抱えて逃げてた。それほど速くないし、距離も100mもなかった。有効射程距離ってのがどのぐらいか分からないけど、ジープに乗ってるシノンを、馬の上からあの銃で撃てるだけの技術はあるんだ。なんでわざわざ弾を当てれば確実に葬れる銃じゃなくて、ライフルの方を使ったんだ?」
「そう言えば、ペイルライダーを殺した時、近くにダインもいたのに殺さなかったわ。アバターは残ってたし、HP関係なく殺せるならHPが無くても殺せるはず…………」
カイとシノンの言う通り、何故死銃はあの時カイをあの銃で撃たなかったのか?
どうしてダインを撃たなかったのか?
「シノン、リンクス、《ゼクシード》《薄塩たらこ》《ペイルライダー》そしてシノンの4人で共通してることってないか?」
「共通…………しいて言うなら全員《AGI特化型ビルドじゃない》ってぐらいだ」
「でもちょっと無理があるわ。STRに偏ってたり、VITに偏ってたりするし」
「なら、《ペイルライダー》は初出場だから除いて、《ゼクシード》《薄塩たらこ》の2人と話したことあるか?」
「俺はどちらともないな」
「《ゼクシード》と話したこと無いわ。《薄塩たらこ》とは少し話したことあるけど」
「どんな話だ?」
「別に、ただBoBの上位入賞プライズに何を貰うかって話よ」
「俺は前回のには参加してないが、確か、ゲーム内でのアイテムか現実でモデルガンを貰うかって選択式だったな」
「現実で貰う?まさか運営体から贈られるのか?」
「ええ、国際郵便でね」
そこでキリトは宙の一点を見つめ何かを考えた。
「でも、俺がアカウントを作った時、リアル情報なんてメールアドレスか性別年齢しか要求されなかったぜ。住所はどうやって?」
「キリト、忘れたのか?BoBにエントリーする時、住所を入力する欄があっただろ」
「ああ、そういえばそうだっ………シノン!前の大会では誰が賞品に何を貰ったか分かるか!?」
キリトが真剣な表情となり、シノンに聞く。
「えっと、ダインはゲーム内での装備。《ゼクシード》《薄塩たらこ》はモデルガンだと思うわ。《ゼクシード》は効率主義だし、《薄塩たらこ》は本人が言ってた。」
「シノンは!?」
「私もモデルガンよ。まぁ、引き出しにしまいっぱなしだけど」
シノンが、付け加えるように言うが、キリトはもう聞いていなかった。
それどころかブツブツと何か言い始めた。
「ああ!そうか、そうだったのか!!」
急に立ち上がり声を上げた。
「俺たちは、とんでもない勘違いをしていたんだ!」
「キリト、誤解って?」
「VRMMOは、プレイヤーの意識を切り離し、現実世界から仮想世界に行く。プレイヤーはそこで喋り、走り、戦う。だから、死銃はこの世界から殺してると思った」
「違うのか?」
「違う。プレイヤーの身体も、心も、移動なんてしちゃいない。現実世界と仮想世界の違いは脳が受け取る情報量の多寡の違いだけ。アミュスフィアで、電子パルスに変換された映像を見て、音楽を聴いてるだけだ」
「何を、言ってるの?」
「死銃、奴には現実世界での共犯者がいるんだ!死銃がGGO内でプレイヤーを撃つ。それと同時に、ターゲットの部屋に侵入した共犯者が、プレイヤーを殺す。これが、この事件の真相だ!」