SAOがデスゲームとなって3週間が経った。
その日、迷宮区近くの町の宿屋でカイとキリトの2人は頭を抱えていた。
「キリト、どうする?」
「どうするって………言われてもなぁ」
2人は今、ある問題に直面している。
その問題とは……………
「「コル、どうするかぁ」」
金だった。
「調子に乗って強化しすぎたな」
「だが、お陰でこの層を攻略するには十分な性能にはなったぞ」
《アニールシミター》と《アニールブレード》を手に入れた2人は、クエストやモンスターを倒して手に入れたコルの殆どを、武器の強化に費やした。
カイの《アニールシミター》は+5になっており、キリトの《アニールブレード》は+6。
内訳はカイは鋭さ3、正確さ2、キリトのは鋭さ3、丈夫さ3となっている。
強化が成功した時は、2人して喜んだが、後になってコルが底を尽きかけているのに気づき、2人は一気にブルーな気持ちになった。
「地道にモンスターを狩って稼ぐか?」
「それも限界があるな。第1層じゃ、モンスター1匹当たりの稼ぎは微々たる物だし、俺とカイで乱獲すればなんとかなるとは思うけど、そんなリソースを独占するような真似はなぁ」
「だよなぁ………」
2人して頭を抱え悩んでいると、カイはふとあることを思いついた。
「なぁ、キリト。《アニールブレード》の買取価格っていくらだった?」
「え?確か……未強化で15000コルだったな…………お前、まさか……」
「そのまさかだ」
カイの考えとはこうだ。
まず、《ホルンカ》に行き、再び《森の秘薬》クエストを受け、《胚珠》と《アニールブレード》を交換する。
そして、その《アニールブレード》をNPCショップに売り、金にする。
「カイ………お前………」
「あ、やっぱり流石にダメか?」
「天才だな」
キリトはカイのアイディアに乗っかった。
こうして、二人は金策へと出掛けた。
鎌を持った女性プレイヤー、ミトは絶望していた。
彼女は、現実でも友人である結城明日奈ことアスナとパーティーを組み、デスゲームに挑んでいた。
元βテスターとしてアスナを守り、絶対にデスゲームを生き抜く。
そう誓っていた。
だが、ミトは今、アスナと離れ離れになってしまっていた。
二人で《リトルネペント》を狩りに出かけ、そこでレアモンスター《スプリー・シュルーマン》が現れ、ミトはそのモンスターからのドロップ品を狙い、その場をアスナ一人に任せて、自分は《スプリー・シュルーマン》を追った。
無事《スプリー・シュルーマン》を倒し、戻ると、アスナは殆どの《リトルネペント》を倒し、最後の一体を倒そうと細剣スキル《リニア―》を使おうとしていた。
だが、運悪くその《リトルネペント》の背後に、実付きの《リトルネペント》がいた。
ミトが慌てて制止するも、すでにソードスキルは発動してしまい、アスナの一撃はそのまま《リトルネペント》を倒し、背後にいた実付きの《リトルネペント》までも倒してしまった。
それにより、実が割れ、煙をまき散らし、大量の《リトルネペント》に囲まれて窮地に陥ってしまった。
更に畳み掛けるかのように、ミトは崖でトラップに引っかって転落、アスナと離れ離れになった挙句に転落による大ダメージを受けてしまう。
ミトはなんとかアスナと合流しようと走り出すも、そこで見たのは大量の《リトルネペント》によって埋め尽くされた山道だった。
それでも己を奮い立たせ《リトルネペント》を蹴散らしながら、アスナのとこへと向かった。
だが、大量の《リトルネペント》相手に一人で戦うのは限界があった。
既にHP回復ポーションは底を尽き、HPはレッドにまで落ちていた。
そして、視界の左上に映るアスナのHPもレッドに落ちていた。
迫る自身の死、大切な友人の死の瞬間を目撃することへの恐怖。
そして、アスナとの約束を守れない自分。
それらを目の当たりにしたくなくミトは眼を閉じた。
その瞬間だった。
「はあああああああ!!」
何者かの声が聞こえ、それと同時にガラスが砕け散るような音が数回響く。
「え?」
そこでミトは眼を開けた。
そこには、男性プレイヤーの背中があった。
目の前の《リトルネペント》から目を離さず、右手に装備した《アニールシミター》を構える。
「アンタ、大丈夫か?」
そう言って、カイは《リトルネペント》からミトを守る様に立っていた。
ようやく二人が再会しました。