ソードアート・オンライン~焔の剣聖~   作:ほにゃー

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第6話 攻略会議

デスゲーム開始から一ヶ月。

 

その間に、約2000人のプレイヤーが命を落とした。

 

そんな中、とあるプレイヤーがゲームクリアを目指すプレイヤーたちを集めていると情報があった。

 

集めている理由は、第1層フロアボス攻略会議開催の為だった。

 

「一ヶ月で未だに第1層突破が出来てない………この状況ってやっぱり最悪か?」

 

「そうだな。最悪とまでは言わないが、あまりいい状況じゃない」

 

迷宮区から程近くにある町、《トールバーナ》の中を歩きながらカイとキリトは話をする。

 

「このままだと、全体の士気にも影響が出る。何か突破口がないと辛いな」

 

「今日行う会議で、何か進展があるといいんだがな」

 

そう言い、二人は《トールバーナ》の劇場へと向かった。

 

そこにはすでに多くのプレイヤーが集まり、会議の開始を待っていた。

 

「結構、いるもんだな」

 

「いや、これでも少ない方だ」

 

カイの感想に、キリトが口を挟む。

 

「1パーティーにつき組める人数は6人、フロアボス攻略なら6人パーティーを8つ用意したレイドパーティーを組まないといけない。そして、フロアボスを死人0でクリアするなら、そのレイドパーティーが2つは必要だ」

 

キリトはそう言い、辺りを見渡す。

 

「ざっと40人ぐらいだな。これじゃ、レイドパーティー1つの条件も満たせてない」

 

「その通りね」

 

聞き覚えのある声に二人が振り向く。

 

「久しぶりね、お二人さん」

 

「久しぶり、キリト君、カイ君」

 

そこに居たのはミトとアスナの二人だった。

 

「なっ!?どうしてここに!?」

 

「まさか、二人もボス攻略会議に参加するつもりなのか?」

 

ミトとアスナの登場に、二人は驚く。

 

「ええ、勿論よ。その為にここにいるんだから」

 

「私はミトが放っておけないのと心配で………」

 

そう言って二人は腰掛ける。

 

それに倣い、カイとキリトも腰を掛ける。

 

「それにしても、レイドパーティー1つ分を満たしてないとは言え、よくこれだけの人数が来たよな」

 

「確かに………初めてのボスモンスター戦で、全滅するかもしれないのに」

 

「それは……どうかな」

 

「全員が全員、自己犠牲の精神で来てるわけじゃないわ」

 

カイとアスナの疑問に、キリトとミトが答える。

 

「そういう連中がいないとは言わないけど、大多数は遅れるのが怖くて来てると思う」

 

「遅れるって、何にだ?」

 

「最前線によ」

 

「全滅するのは怖いけど、自分の知らないところでボスが倒される。それも怖いんだよ」

 

キリトとミトの言葉は、一応ゲーマーであるカイには理解できたが、ネットゲームビギナーであるアスナには到底理解できないものと思われた。

 

「それって、偏差値70以上キープしたいとか、学年10位以下には落ちたくないとかと同じモチベーション?」

 

だが、アスナは今の言葉を自分なりに解釈し、尋ねる。

 

「なるほど……」

 

「えっと………まぁ、似たようなもんかな?」

 

「なんて言うか、偏差値とか学年順位に例えるあたり、アスナらしいわ」

 

キリトは苦笑いし、ミトは呆れた様に笑う。

 

「はーい!それじゃあ、そろそろ始めさせてもらいます!」

 

人数があらかた集まると、青い髪にブロンズ系の防具、大振りの片手直剣にカイトシールドを装備した青年が登場した。

 

「皆!今日は俺の呼びかけに応じてくれてありがとう!俺の名はディアベル!職業は、気持ち的に騎士(ナイト)やってます!」

 

SAOでは生産系スキルを所有している人のことを≪料理人≫≪鍛冶屋≫などと呼ばれるが、≪勇者≫や≪騎士≫などというジョブシステムは無い。

 

ディアベルなりに、会場の空気を和ませようとした発言で、狙い通り、周りから笑い声やヤジを飛ばす声が聞こえるがピリピリした空気が少しばかり和んだ。

 

会場の雰囲気がよくなるのを感じると、ディアベルは手を上げ、制した。

 

「今日、俺たちのパーティーが迷宮区の最上階で、ボスの部屋を発見した」

 

その言葉に、会場のプレイヤーたちが息を吞んだ。

 

「俺たちはボスを倒し、第2層に進む。そして、≪はじまりの町≫で待ってる皆にこのゲームがクリアできるってことを伝えるべきなんだ。それが、ここにいる俺たちの義務だ。そうは思わないか?」

 

ディアベルの言葉に皆賛同するかのように拍手が起こった。

 

そんな時だった。

 

「ちょお待ってんか、ナイトはん」

 

サボテンの様なヘアースタイルをしたプレイヤーが立ち上がり、ディアベルの元まで行く。

 

「仲間ごっこする前に、こいつだけは言わしてもらわんと気が済まんのや」

 

「こいつと言うのは何かな?まぁ、なんにせよ積極的な意見は大歓迎だ。でも、発言するなら、まずは名乗ってもらおうか?」

 

「ふん………ワイはキバオウや。会議を始める前に、こん中に何人が詫び入れんとアカン奴がおるはずや」

 

その言葉に、周りがざわつく。

 

「キバオウさん、詫びと言うのは誰にだい?」

 

「決まっとるやろ!死んでった2000人にや!それもこれも、全部β上がり共の所為や!」

 

キバオウの発言に、広場に居る何人かのプレイヤーが反応した。

 

その何人かには、キリトとミトも含まれていた。

 

「β上がり共は、自分らだけうまい狩り場やボロいクエストでかっぼり儲けとる。そんでもって、9000人のビギナーは知らんぷりや。あいつらがはなから情報やアイテム、金を分けとったら2000人は死なんかったし、今頃、2層、3層、突破できとったはずや!せやから、ため込んだ金とアイテム、全部出して謝罪と賠償せい!」

 

キバオウの発言に、広場に居たプレイヤーから何人か賛同する声が上がる。

 

そんな中、カイは思わず立ち上がった。

 

「ちょっと待ってくれ!」

 

隣にいたキリトはカイを止めようと手を伸ばすが、キリトがカイを掴むよりもカイはささっとキバオウの近くへと向かう。

 

「なんや、お前?」

 

「俺はカイ。あんたにどうしても一言言いたくてな。俺は元βテスターへの賠償請求に反対だ」

 

「なんやと?」

 

「持ってるアイテムやコルを全部出して賠償しろ…………つまり、間接的に元βテスターは弱くなれって言ってるんだぞ。そんなことして、元βテスターが死んだりしたら、アンタは責任が取れるのか?」

 

カイがそう言うと、キバオウは言葉を詰まらせる。

 

「自分は責任が取れないのに、元βテスターには責任を取らせる。はっきり言って、どうかしてる。ましてや、元βテスターがビギナーを見殺しにしたってのも間違いだ」

 

「その兄ちゃんの言う通りだ」

 

すると、近くに座っていた男性プレイヤーが立ち上がる。

 

身長が190㎝ほどある、スキンヘッドが特徴的な黒人だった。

 

「俺の名はエギルだ。キバオウさん、金やアイテムはともかく、情報ならあった」

 

そう言い、エギルは手の平サイズのハンドブックを出す。

 

「コイツだ。このガイドブックは道具屋で無料配布されていたやつだ。新しい村や町に行くと必ず置いてあった。情報が早すぎるとは思わないか?」

 

「だ、だからなんや!!」

 

「俺は、コイツに載ってるモンスターやマップのデータを提供したのは、元βテスター以外にあり得ないと思ってる」

 

「だ、だけど、死んだ2000人の中には他のMMOじゃトップ張っとるベテランも居ったんやぞ!それは、どう説明するんや!」

 

「ベテランだったからこそ死んだんだろう。SAOを他のMMOと同じように計り、引き際を誤った。だが、今はそのことを追及する暇は無いと俺は思うんだが?」

 

エギルの強い目力に、キバオウは気圧される。

 

そんな中、ディアベルは手を叩いて、仕切りなおす。

 

「キバオウさん、君の気持ちはよくわかるよ。でも、今は前を見るのが先だ。それに、元βテスターがボス攻略に力を貸してくれるなら、これほど頼もしいことはないと思う。君もそう思ったからこそ、元βテスターの賠償に反対だったんだろ?」

 

ディアベルはそう言って、カイを見る。

 

「ああ、元βテスターは俺たちとは比べ物にならないぐらいの経験がある。その経験は、今回だけじゃなくこの先でも役に立つはずだ。だからこそ、力を削ぐより、協力する方がいいと思う。それに………」

 

カイはそこで一拍置き、話す。

 

「俺は強い奴大歓迎だ!強い奴と一緒に居れば、自分も強くなっていけるしな!」

 

「なるほど、一理ある。力有る者が力無き者を助け、強くする。育成も、今後の攻略においては課題になりそうだ」

 

カイの言葉に、ディアベルは納得し頷く。

 

「ともかく、今は第1層のボス攻略会議が先だ。カイさん、君の意見は今後も会議で話し合うとするよ。それじゃあ、皆、席に戻ってくれ」

 

「………ええわ。今だけはナイトはんに従うといたる。せやけど、ボス戦が終わったらキッチリ白黒つけさせてもらうわ」

 

キバオウはそう言い、引き下がる。

 

カイとエギルももともとの席に戻り、会議の進行を見守ることにした。

 

「カイ、この馬鹿野郎!あんな庇う様なことして、変な因縁つけられたらどうするんだよ!」

 

「そうよ!カイ君が元βテスターって疑われたりしても仕方なかったんだよ!」

 

戻って来るなり、キリトとアスナはカイの身を案じて説教をする。

 

「悪い……でも、我慢が出来なくて……」

 

バツが悪そうにカイは頭を掻きながら謝る。

 

「もぉう、ミトからも何か言ってあげて!」

 

アスナは隣のミトにそう言う。

 

「え……あ、ああ、そうね………あまり無茶するのはよくないわよ、カイ」

 

どこか上の空気味に言うミト。

 

そんなミトにアスナは不思議そうにする。

 

「それじゃあ、改めて攻略会議を始める!」

 

ディアベルが会議を再開し始めたので、アスナは一先ずミトのことは置いておいて、会議に集中する。

 

「まず、6人のパーティーを組んでくれ」

 

ディアベルがそう言い、周りのプレイヤーたちはパーティーを作り始める。

 

殆どが知り合いで固まっていたらしくパーティーは次第に作られていき、そんな中、カイ、キリト、ミト、アスナの四人は余っていた。

 

「とりあえず、余り者同士、組まないか?」

 

キリトが恐る恐る三人に聞く。

 

「何言ってるんだよ。てか、そんなこと言われなくても当たり前だっての」

 

「私も構わないわ。ミトもいいよね?」

 

「あ、え、ええ」

 

アスナとミトからも了承があり、無事4人はパーティーを組む。

 

出来たパーティーは6人パーティーが7つと4人パーティーが1つ。

 

重装甲の壁部隊が2つ、高機動高火力の攻撃部隊が3つ。

 

そして、長モノ装備の支援部隊2つ。

 

その後の会議では、第1層ボスの情報についての説明があった。

 

ボスの名は≪イルファング・ザ・コボルドロード≫で武器は骨斧と革盾で、HPバーが4つあり最後の1つになると腰の曲刀カテゴリーの武器《湾刀(タルワール)》に変え、使ってくるスキルも変わる。

 

取り巻きには、≪ルインコボルド・センチネル≫が3匹現れ、HPバーが1つ減るたびにポップされる。

 

作戦は、壁部隊2つがボスを交互に受け持ち、攻撃部隊の2つがボスに、1つが取り巻きに、支援部隊はディレイスキルをメインに使いボスと取り巻きの攻撃を阻害する。

 

そして、カイ達4人パーティーは取り巻きを相手にする攻撃部隊のサポートをすることになった。

 

「これで攻略会議を終了する!明日は朝8時にここに集合。全員揃ってボス部屋へと移動する。それじゃあ、解散!」

 

ディアベルが最後に〆、会議はお開きになった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「とりあえず、改めて自己紹介しとこうぜ」

 

会議がお開きになった後、カイが三人にそう言う。

 

「この前言ったけど、俺はカイ。武器は曲刀だ」

 

「俺はキリト。武器は片手剣を使う」

 

「改めてになるけど、この間は助けてくれてありがとう。私はアスナ。武器は細剣(レイピア)を使うわ」

 

「ミトよ。武器は見ての通り鎌。私からも、この間は本当にありがとう」

 

改めて、軽く自己紹介を終えるとキリトの提案で連携をとる練習をすることになり、四人は近くのフィールドへと向かうことになった。

 

ミトは、先頭を歩くカイの背中を見ていた。

 

『俺は強い奴大歓迎だ!』

 

あの時、カイの言ったセリフがずっと頭にあった。

 

(カイのあのセリフ………昔会ったカイが言ってたのと同じだった………まさか本人………いや、ただ同じセリフを言ったのとプレイヤーネームが同じってだけで決めつけるのはよくないか………でも、なんでだろう………彼を見てると、すごく懐かしくて………胸が苦しい…………)

 

「ねぇ、ミト聞いてる?」

 

急に、ミトの視界にアスナの顔が現れ、ミトはぎょっとする。

 

「あ、ごめん……ちょっと、考え事してた………」

 

「なんか、今日のミト変だよ?何か悩んでる?」

 

「別にそんなこと……………そうだね。あとで話すから、相談に乗ってよ、アスナ」

 

「うん、いいよ」

 

アスナにそう言い、ミトは前を見る。

 

(もし………もし、カイがあのカイだったとしたら、知りたい………あの日来なかった理由と居なくなった理由…………)

 




この作品のアスナは、ミトと別れた経緯がないので原作でのアスナと違い、割と優しくなってます
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