ソードアート・オンライン~焔の剣聖~   作:ほにゃー

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アニメ通りなら、シリカの話ですが、シリカの話は飛ばし、圏内事件の話になります。

シリカの話は、ちゃんとやるのでお楽しみに。


第15話 サボりで昼寝

2024年4月11日 第59層《ダナク》

 

現在、最前線となっているここでは日夜、多くの《攻略組》が迷宮区の攻略に勤しんでいる。

 

にも関わらず、カイとキリトのコンビは迷宮区には籠っていなかった。

 

かと言って、何かしらのクエストをやっているわけではない。

 

二人は、転移門広場に続く道の低い丘で、キリトは芝生に寝転がって昼寝をし、カイは近くの木陰でのんびりとSAO内で誰かが趣味で書いた小説を読んでいる。

 

「皆が頑張って攻略してる中、サボって何読んでるのよ、不良プレイヤー君」

 

頭上から声を掛けられ、上を見上げるとそこにはミトがいた。

 

「ミトか。アインクラッド内で売られてる小説だよ。誰が書いたか知らないけど結構面白くてな」

 

「ふーん、で、キリトは何してるの?」

 

今度は日向ぼっこしながら眠りこけているキリトを見る。

 

「キリト曰く、『今日の気象設定は一年の中で最高。こんな日に暗い迷宮区に潜ってたら勿体ない』だとさ」

 

「なるほどね」

 

空を見上げて、ミトはそう言う。

 

「カイは寝ないの?」

 

「睡眠PKとかの危険もある以上、俺まで寝たらダメだろ」

 

《アンチクリミナルコード有効圏内》、通称《圏内》において、プレイヤーは他のプレイヤーにダメージを与えることは基本的にできない。

 

どんなにプレイヤーにソードスキルを叩き込もうとしてもシステムによって阻まれて終わる。

 

だが、デュエル中はダメージが通る。

 

それを利用して寝ている相手の指を動かして、《完全決着モード》のデュエルを受けさせ、嬲り殺しにする。

 

それが睡眠PK。

 

カイはその危険性を考え、自身は眠らずキリトの護衛をしていた。

 

「でも、眠そうよ」

 

「……分かるか?」

 

「そりゃカイのことだからね」

 

恥ずかしいセリフを臆面もなく言うミトに、カイは少し照れる。

 

ミトはそのままカイの隣に座る。

 

「私が見ててあげるから、カイも寝たら?」

 

「何度も言うけど俺なんかと居るとお前の立場がな」

 

「《攻略組》で1、2を争うダメージディーラーを睡眠PKから護衛する。それならある程度、面目が立つんじゃない?」

 

「………はいはい、分かったよ」

 

とうとうカイは折れ、背後の木に凭れ掛かる。

 

「じゃ、お言葉に甘えさせてもらうな」

 

「はい、おやすみ」

 

「おやすみ」

 

そう言い、瞼を閉じるカイ。

 

そして、数秒後には静かに寝息を立て始めた。

 

「本当に疲れてるのね」

 

そう呟き、ミトはカイを見つめる。

 

「いつ、話してくれるんだろ………」

 

ミトは少し悲しそうな表情をする。

 

第1層攻略後、カイはいつかミトに、居なくなった理由を話すと言った。

 

だが、今日までその話が出てきたのはあの時だけだった。

 

「言い辛いことなんだろうけど………やっぱ、私には言えない事なのかな……」

 

理由が何であれ、それを話してくれないという事実がミトは悲しかった。

 

「む~……なんで私がもやもやしないといけないのよ」

 

自分の気も知らず、静かに寝入るカイに段々と腹が立ってきたミトは、カイの頬を突っつく。

 

突っつく程度では、《アンチクリミナルコード》には引っ掛からないらしく、ミトの指はカイの頬に触れる。

 

「柔らかいわね……ただ単にデータ的にそう感じるだけ?それとも、実際の肌の質感までも再現してるのかしら?」

 

試しにミトは自分の頬を触り、カイの頬と比較してみる。

 

「ん~……よく分からない」

 

イマイチ違いか分からず、ミトは頬を触るのを止める。

 

その時、カイが少し動いた。

 

(ヤバッ!起こしちゃったかな……!)

 

起こしてしまったのではと思い、ミトは慌てる。

 

その時、カイの身体が横に倒れ、偶然にもミトに寄り掛かる形になった。

 

「ちょっカイ!?」

 

ミトは驚き、カイに呼び掛けるもカイは寝息を立てたままだった。

 

(って寝てるのか。流石にこの体勢は言い逃れ出来なさそうだけど………ま、いっか)

 

ミトは、カイは疲れてるんだと納得し、何も言わず肩を貸した。

 

十分程、ミトは肩にカイの重みを感じながら、道行く《攻略組》を眺める。

 

そんなところに、一人のプレイヤーがやって来た。

 

「ミト、何してるの?」

 

声色から、不機嫌なのが取って分かる。

 

「やっほ、アスナ。見ての通り、サボり」

 

「サボりって、ギルドの副団長がサボってどうするのよ!?」

 

「アスナだって副団長じゃない。それに、偶にはいいでしょ。根詰めて攻略したっていいことないんだし。それと、大きな声出さないで。カイが起きるから」

 

「カイ君?」

 

アスナは更に近くにより、ミトの隣を見る。

 

ミトに寄り掛かって眠るカイを見て、アスナは思わず溜息を吐く。

 

「ミトに続いてカイ君もサボりとか………《攻略組》のトッププレイヤーの一員としての自覚がないの?」

 

「そう言わないの。それに、サボってるのは私たちだけじゃないから」

 

そう言い、ミトは寝転がってるキリトを指差す。

 

「あの人まで!」

 

キリトの姿に、アスナはあからさまに不機嫌になりキリトに近寄る。

 

アスナが近づいてきた事に気づき、キリトは目を覚ます。

 

「なんだ、アンタか。こんな所で何してるんだ?」

 

「アナタこそ、こんな所で何してるのよ?こんな所でサボって、少しは真面目に攻略に取り掛かったらどうなの!」

 

「今日のアインクラッドは、最高の季節に最高の気象設定。そんな日に、迷宮区に潜るなんて勿体ない」

 

「アナタね!こんなことしてる間にも、現実での私たちの時間はどんどん失われていくのよ!」

 

「それでも、今はここが俺たちにとっての現実だ。俺たちが生きてるのは、ここ《アインクラッド》だ」

 

キリトのそのセリフに、アスナは思わず黙る。

 

その時、風が吹き、アスナの頬を撫でる。

 

「ほら、良い風に、良い日差し。……最高だ」

 

「………天気なんて、いつも一緒でしょ」

 

「アンタも寝て見ればわかるよ」

 

その言葉を最後に、キリトは再び寝息を立てる。

 

(アスナの負けだねぇ……)

 

木陰の隙間から差す日差しを眺めるアスナを見て、ミトはそう心の中で呟く。

 

そして、アスナはその場に横になり目を閉じた。

 

すると、ものの数分でアスナも眠った。

 

「お守りが増えた」

 

暢気に眠る三人を見て、ミトは笑った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから数時間後。

 

正午近くの時刻になったぐらいに、キリトは目を覚ました。

 

そして、近くで寝ているアスナに驚き、距離を取った。

 

「お目覚めね、キリト」

 

そんなキリトにミトは声を掛けた。

 

「目が覚めたら、隣に美少女がいるのはどんな気分?」

 

「ミト……何してるんだ?」

 

「敢えて言うなら、カイの枕中かしら?」

 

カイに寄り掛かられたまま、ミトは笑う。

 

そんなミトを横目に、キリトはアスナを見る。

 

「疲れてるん……だろうな」

 

「まぁね。自分のレベル上げだけじゃなくて、他の団員のレベル上げの面倒も見てる。自分の寝る間も惜しんで深夜までレベリングよ。こっちもそれに付き合ってるから、軽く寝不足ね。そう言う訳だから、私も寝る。護衛はよろしくね」

 

そう言うと、ミトは欠伸を一つして、カイに寄り掛かって眠り出す。

 

「やれやれ………まぁ、起きるまで護衛してくれてたし、アスナにも寝たらどうだって言ったのは俺だしな」

 

キリトは長時間の護衛になると覚悟を決め、アイテムストレージから飲み物を取り出し、芝生に座り直す。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「くしゅん!」

 

夕日が差し始めた頃、アスナは小さなくしゃみをして起きた。

 

「…うにゅ……」

 

そして、謎の言語を呟き、覚醒しきってない頭で辺りを見渡す。

 

最初に見たのは夕日だった。

 

次に見たのは、ミトとカイが互いに寄り掛かって眠る姿。

 

そして、低い石垣に座り、こちらを見てるキリトだった。

 

「よぉ、よく眠れたか?」

 

キリトは寝起きのアスナにそう声を掛ける。

 

暫しの沈黙の後、アスナは今の現状に気づき、顔を羞恥で真っ赤に染め、そして苦慮に青ざめ、最終的に激怒で真っ赤になった。

 

その瞬間、腰の細剣に手を伸ばし、柄を掴む。

 

「なっ!?」

 

その光景にキリトは驚き、石垣に隠れる。

 

だが、攻撃は飛んで来ず、キリトは石垣から顔を出す。

 

そこには、アスナがぎりぎりと歯を食いしばっていた。

 

「………一回」

 

「……え?」

 

「ご飯、一回だけなんでも好きな物いくらでも奢る。それでチャラ。どう?」

 

アスナは、キリトが自分の、自分たちの傍を離れなかったのは睡眠PKによる殺害を防ぐ為の護衛をしていたと分かった。

 

更には日ごろの精神疲労を回復させるために、好きなだけ寝させていたことも。

 

だからこそ、寝起きの顔を見られたという羞恥と激怒を抑え込み、そう提案した。

 

「57層の主街区に、いいレストランがある。NPCの店にしてはそこそこイケるんだ」

 

「なら、そこに行きましょう」

 

夕食を摂る店が決まり、キリトは寝ているカイを起こす。

 

「ほら、カイ。起きろ」

 

「ん?もう夕方か?」

 

目が覚めたカイは、目を擦り、周りを見る。

 

そして、隣で眠るミトに気づいた。

 

「寄り掛かってたか。悪いことしたな」

 

そう思い、カイはミトを起こす。

 

「ミト、起きろ」

 

「ん~……まだ眠い………」

 

寝足りないらしく、ミトは駄駄を捏ねる。

 

「今なら、アスナが夕飯奢ってくれるってさ」

 

「本当!?」

 

キリトの言葉に、ミトは勢いよく起きる。

 

「奢るのは彼だけ!」

 

アスナは大声でキリトを指差しそう言う。

 

そして、四人は57層へと向かった。

 




最初は、カイに寄り掛かられて顔を赤くしテンパるミトを書いてましたが、なんかミトっぽくない気がして無しにしました。
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