ソードアート・オンライン~焔の剣聖~   作:ほにゃー

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久々の本編の番外編もといコラボ投稿です。

お相手は、青メッシュ先輩さんの作品《蒼の道化師は笑う。》です。

この作品をまだ知らないと言う方は、是非お読みください。

アインクラッド編では銀魂ネタ、フェアリィ・ダンス編ではボーボボネタで楽しめます。

本当は1話完結の予定でしたが、長くなりそうなので2部に分けで投稿します


コラボ回 《蒼の道化師は笑う。》
道化師との邂逅


「カイ、まだかな………」

 

いつもの公園のベンチ、ミトはカイが来るのを待っていた。

 

いつもカイが来る時間はまだ先なのだが、ミトはカイが来るのを心待ちにしていた。

 

手持無沙汰になり。手にした携帯ゲーム機でゲームをする。

 

「おい」

 

「………な、なに?」

 

突然のカイとは違う少年からの呼び掛けにミトは俯いていた顔を上げる。

 

目の前に立つのは青いメッシュ入りの黒髪を無造作に掻き乱す少年の姿。

 

若干の不信感は否めないが不思議と彼は信用できそうだと、ミトは感じた

 

「一人でゲームか?ガキはガキらしく、元気に遊べ」

 

「君も子どもじゃない」

 

「俺をそこいらのガキと同じにすんな。こー見えても、カラーギャングのリーダーやってんだ。その辺の奴らとは、鍛え方が違げぇんだよ」

 

「カラー……ギャング…?」

 

聞きなれない言葉にミトは首を傾げた。

 

よく見ると目の前の少年はクラスメイトの男子達とは異なり、妙な逞しさを感じる

 

生傷だらけの体に、冷めた瞳、着古したGジャン。

 

その出立ちに、ミトの瞳には、彼がまるで、別世界からきた異邦人の様に映った

 

「言ってみりゃ、悪さばっかしてる社会から炙れたガキの集まりだ。この前なんか、俺らのことを社会のクズとか言ったおっさんをボコボコにしてやった」

 

「悪いことは駄目だよ。いつか、きっと後悔する日が来るよ」

 

「……だとしても、俺たちはそういうやり方しか知らねぇんだよ」

 

「……でも良くないよ、やっぱり。それで君の気分が晴れるなら、私は何も言わないけど。違うよね?だって……今の君は寂しそうに見える」

 

「……寂しそうねぇ。だとしても、さっきも言ったが俺はそういうやり方しか知らねぇんだよ。気に食わないことに対して、怒りを打つけることしか出来ねぇんだよ。確かに間違ってるかもしれねぇがよ。でもな、俺はそうやって生きてきたんだ、だからこれからもその生き方を曲げるつもりはねぇ。まあ……少しだけなら、お前の意見を尊重してやってもいいけどよ、あくまでも少しだからな?」

 

少年の問いにミトは顔を上げ、頷いた。

 

「そういえば……君はこんなとこでなにしてるの?」

 

「実はよ、ダチと一緒に逃げてたんだけどよ。どーも…俺だけが逸れちまったみたいでな。入間市はどっちだ?」

 

「ここは、所沢市だよ?どれだけ迷子なの?バカなの?キミは」

 

「俺は迷子じゃない。其れにバカなんは、迷子になってるあのバカたちだ」

 

「やっぱり迷子だよね」

 

「違う。迷子じゃない」

 

「いや迷子だね」

 

「迷子って言うヤツが迷子だ」

 

「なるほど、迷子なんだね。えっと…迷子くんって呼べばいい?迷子くんはどうして迷子になったの?」

 

「やめろ、迷子を連発するな。それだと俺が迷子みたいだろ。あと、俺には蒼井天哉(あおいてんや)って、名前があんだよ。迷子くんとか呼ぶな」

 

迷子呼ばわりされたのが余程、不服だったのか少年もとい天哉は自らの名をミトに告げる

 

「それと、俺は名前を名乗ったんだ。お前も名乗るのが礼儀だろ」

 

「そうね、私は兎沢深澄だよ。気軽にミトって呼んでね」

 

「ミトか、なら俺のことはテンで良い、よろしくな…ミト」

 

「わかった。よろしくね、テン」

 

「よし…じゃあ、行くか。ミト」

 

「え…何処に?」

 

咄嗟に腕を掴まれ、深澄は困惑した表情を見せる。

 

「ダチ探し。そのダチの中に、ゲームが得意な奴が居るんだけどよ。アイツ、ゲームだと容赦なくて、俺たちだと相手にならねぇんだ。で、たまにはその鼻をへし折ってやりたい訳だ。協力してくれるか?」

 

ミトとしては、テンの友人探しに付き合ってもいいと思っていたが、まだカイが来ていない為、その場を離れることを渋った。

 

「待って、私、友達と待ち合わせしてて、その子が来るまで少し待ってくれない?」

 

「なんだよ、お前ダチいたのかよ。こんな公園で1人でゲームしてるから、ボッチかと思ったぜ」

 

そう言い、テンは友人の黒髪のゲームとパスタが大好きなボッチを思い浮かべる。

 

その時、腕を掴まれる感覚が、テンを襲う。

 

そこそこの痛みに、テンは「なんだ?」と、思いながら腕を見る。

 

見ると、ミトの手を掴んでいる腕を別の者の手が掴んでいた。

 

「おい、お前。ミトに何してる?」

 

天の腕を掴んでいるのは、カイだった。

 

「か、カイ、待って!この人は」

 

「おい、なんで俺の腕掴んでやがる?放せよ」

 

ミトの言葉を遮る様に、テンがそう言った。

 

「お前、その青メッシュの入った黒髪、噂で聞く悪さをしてる小学生の不良集団の1人だな」

 

意外にも、カイはテンの事を知っており、テンは一瞬驚くも、すぐに忌々しそうな顔をする。

 

「悪さじゃねぇ。俺らの事を馬鹿にする連中にし返してるんだ。それと、俺たちはカラーギャングだ」

 

「同じだろ。人様に迷惑を掛けてる時点で、ギャングも不良も同じだ」

 

カイの何処かテンを見下したような発言に、テンは苛立ちを覚える。

 

本来のカイなら、相手が不良だろうとカラーギャングだろうと、見下すような真似はしないし、このような物言いはしない。

 

だが、今はミトが絡んでいた為、カイは何処か冷静じゃなかった。

 

「……気に要らねぇな。その目、俺達を社会の屑呼ばわりする大人と同じだ」

 

そう言って、テンはミトの手を離し、カイの腕を振り払う。

 

「今日は珍しく喧嘩のない日かと思ったが、いつも通り喧嘩の日だ」

 

テンは、カイに向けて拳を握る。

 

「ミト、下がってろ」

 

「ちょ、だから話を!」

 

ミトが誤解を解こうとするも、カイにもテンにも言葉を届かず、2人は喧嘩をする態勢に入る。

 

その時、公園の傍を車が通った。

 

それに驚き、公園に居たハトが空を飛ぶ。

 

それを合図に、2人の喧嘩が始まった。

 

殴って、殴られ、ぶつかり合う。

 

ミトは、カイが喧嘩が出来ることを知らなかった為、驚く。

 

そして、そのカイに負けず劣らずの攻防をテンは繰り出す。

 

互いの頬には痣が出来、唇の端は切れて血を流し、鼻血も流す。

 

そんな2人の喧嘩は、テンの友人の桐ヶ谷和人ことカズ、灰沢純平、緋泉彩葉、緑川菊丸の4人によって止められた。

 

何時まで経っても、帰って来ないテンを心配し、迷子捜索に乗り出し、前に市を跨いてたことを思い出し、隣の所沢市まで探しに来た。

 

4人の介入により、テンは抑えられ、カイもミトがしっかりと誤解を解いた為、全部自身の早とちりだったと言うことを知る。

 

「その、すまなかった。てっきり、噂の不良集団がミトに絡んでると思ってあんな態度を取った。本当にすまなかった」

 

あっさりと自身の否を認め、謝るカイに、テンは思わず毒気を抜かれる。

 

「あー、いや、その、なんだ………最初に突っかかったのは俺の方だし……悪かった」

 

テンもカイに対して謝罪をする。

 

すると、そんなテンにカズたちが驚く。

 

「あのテンが謝っただと!?俺は夢でも見てるのか!?」

 

「何か悪い物でも拾い食いしたんじゃない?」

 

「きっとピーナッツバターでも拾い食いしたんでしょう。何せ、頭の大半がピーナッツバターで埋め尽くされてる変人ですから」

 

「バナナ食ったら治るんじゃねぇか?」

 

「お前ら!好き勝手言うんじゃねぇ!てか、例えピーナッツバターだったとしても拾い食いなんかするか!」

 

「「「え?マジ?」」」

 

「俺を何だと思ってんだ!」

 

「「「ピーナッツバター狂いの迷子常習犯」」」

 

「息ピッタリだな、おい!」

 

唐突にやって来た友人たちとコントを繰り広げるテンに、カイとミトは思わず笑った。

 

カイとミトの2人が、テンたちカラーギャングと打ち解け、メンバー入りするのに時間は掛からなかった。

 

カイはテンたちカラーギャングの中で最年長であり、自然と彼らの相談役の様な立場になった。

 

気に食わないことに対して、怒りを打つけることしか出来ないテンたちは、そのまま進んでいれば、何れはそこら辺に居る不良集団と変わらない存在になっていただろう。

 

だが、そんな彼らをカイとミトの2人は何時も隣で制し、時には言葉で、時には拳で語り合い、全員が間違った道へ進まない様にした。

 

その甲斐もあって、テンたちカラーギャングは、他のカラーギャングや不良集団から人を守る自警団の様な立場となり、徐々にではあるがその存在を認められるようになった。

 

そんなある日。

 

カイとミトが出会って、そして、テンたちと知り合って1年程経過するかと言う時、テンはある所へと走っていた。

 

いつもたまり場としている錆びれたゲームセンター。

 

カイから話があると聞かされ、テンはゲームセンターに向かうと、そこにカイの姿はなく、1通の置手紙をテンは見つけた。

 

そこには、カイの字でこう書かれていた。

 

『チームを抜ける。世話になった』

 

それを見た瞬間、テンは飛び出し、カイを探しに向かった。

 

カイが何処にいるかは分からなかった。

 

だが、テンは無意識のうちにカイが向かうなら、あそこかもしれないと思った。

 

テンが向かったのは、ミト、そしてカイと出会った公園だった。

 

そこに向かう道中、迷子にならなかったのは奇跡だった。

 

「テン……どうしてここに………」

 

「なんでだろうな……お前なら、ここに来るかもと思っちまった………」

 

「よく迷子にならなかったな。迷子癖治ったか?」

 

「ふざけるのも大概にしろ」

 

そう言って、テンはカイの置手紙を見せつける。

 

「どういうことだ、これは………冗談にしては質が悪ぃぞ………」

 

「……冗談じゃない。俺はチームを抜ける」

 

「理由はなんだ?」

 

「………県外に引っ越すんだ。中学も、引っ越し先で進学する」

 

「その程度で、チームを抜けるのかよ?俺らは仲間だろ」

 

「何とでも言えばいい。もう決めた事だ」

 

カイはそう言い、公園を出て行こうとする。

 

「ミトはどうするんだよ!?」

 

テンがそう叫んだ。

 

ミトの名に、カイはその足を止めた。

 

「ミトを置いて行くのかよ!何も言わず、消えるのがカッコいいとか思ってんのか!」

 

「ミトなら、俺が居なくなっても大丈夫だ。お前たちが居る。なぁ、テン、ミトの事」

 

「頼む」、そう言おうとした瞬間、テンの拳がカイの頬に当たる。

 

カイはそのまま吹き飛び、地面に倒れる。

 

「チッ……藪から棒に何だよ!」

 

「惚れた女を、他人に預けようとかどんな神経してるんだよ。それもカラーギャングのリーダーに……お前、そこまで馬鹿だったか?」

 

「惚れた女の為なら、足を洗うぐらいの事すると思ったんだがな………」

 

殴られた頬を抑え、カイは立ちあがる。

 

「それに、疲れたんだよ………誰かと一緒にいるって事にな。どうやら、俺は1人で居ることが性に合ってるみたいだ。その点、お前は平気だろ?和人や順平、彩葉に菊丸の様な濃いメンツと一緒に居られるぐらいだ。ミトを受け入れる懐はあるだろ、リーダー」

 

「どうやら、お互いにテメェが惚れた女1人幸せにする度胸も無い腑抜けだって自覚はあるみたいだな」

 

そう言い、テンはカイと出会った時と同様の態勢に入る。

 

「だが、お互いミトを支えられんのは目の前の腰抜けしかいねぇと思ってる。なら!」

 

テンは走り出し、拳を振るう。

 

「こいつが早ぇよな!」

 

カイは拳を受け止め、カウンターをテンに当てる。

 

テンは、カイの拳を食らいながらもカイを見続ける。

 

「チームを抜けることにとやかくは言わねぇ!だが、俺が勝ったらミトに告白してもらうぞ!遠距離恋愛でもしてろ、馬鹿カイ!」

 

カイの防御を突破し、カイに再び攻撃を当てる。

 

「告白の押し付け合いかよ!そんなこと、ミトに知られたら拳骨ですまねぇぞ!そんなことも分からなくなったか、可哀想テン!だが!」

 

カイは、テンの攻撃を食らいながら、足蹴りを放つ。

 

足蹴りによって、テンとの距離が離れる。

 

「お前が、ミトに告白する所は見てみたいな!」

 

「もう勝った気でいるのかよ!」

 

「決着なんて、出会った時に付いてるんだよ!」

 

「昔の話だろうが!」

 

テンは、カイに負ける気はなかった。

 

いや、負ける訳にはいかなかった。

 

テンは、ミトに惚れている。

 

普段は見向きもしない癖に、一度でも道を踏み外せば、社会のクズ呼ばわりされるそんな世界をテンは嫌っていた。

 

誰からも相手にされず、只管に怒りを打つける毎日。

 

繰り返される日々に、テンの世界は、白と黒の二色の景色を映していた。

 

そんな世界に、最初にミトが新しい色をくれた。

 

惚れないわけがなかった。

 

だが、それと同じぐらいテンはカイが好きだった。

 

今の自分たちがあるのは、カイとミトのお陰。

 

そんな2人には、幸せになってほしい。

 

そう思っていた。

 

(それに……ずっと近くで見続けていたからこそ分かっちまうんだよ……ミトが、誰に惚れてるかぐらい…………だから!)

 

「負ける訳にはいかねぇんだよ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

気付けば夕日が、公園全体を紅く染め、その中央にはカイが仰向けで倒れていた。

 

そんなカイを、テンは見ていた。

 

息を切らし、体をボロボロにしながらカイへと背を向ける。

 

「俺の勝ちだ………告白に、期限は付けないで置いてやるよ…………」

 

ボロボロの身体を引き摺り、公園の出口へと向かっていた。

 

「それと、アイツらにはチーム抜けた事、適当な理由で誤魔化しといてやる……………だから」

 

出口に差し掛かると、テンはカイの方を見る。

 

「いつでも帰って来い………ダチ公」

 

テンは、普段ではしない優しい笑みを浮かべ、カイにそう言う。

 

それだけ言い残し、テンは公園を去って行く。

 

そして、これがテンとカイの最後の会話だった。

 

そのままカイは音信不通となり、カズたちはテンにカイがチームを抜けた理由を尋ねた。

 

その際に、テンは、「カイの奴、マヨネーズ王国を探す旅に出るってよ」と言った。

 

幾らカズ達でも、その理由が嘘だと言うのは分かった。

 

だが、テンの目がそれ以上何も聞くなと語っており、表面上はそう言う事でカイの脱退を受け入れた。

 

ミトはと言うとカイが居なくなったことに、最初こそ泣いた物のテンたちの支えもあり、立ち直ることが出来た。

 

そして、数年後、彼らは再び再開することとなった。

 

ゲームでの死が現実の物となる恐ろしきデスゲーム、VRMMORPG《ソードアート・オンライン》の中で…………




第2部は、近いうちに作成して投稿します。

お楽しみに
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