2024年 8月某日
この日、カイとキリトは56層にある《聖竜連合》のギルドホームに向かっていた。
「なぁ、キリト。どうして《聖竜連合》が俺らを呼ぶんだ?」
「さぁな。俺も詳しいことは聞いてない」
「ま、行けば分かるか」
暢気に街を歩き、《聖竜連合》のギルドホームのに着くと、そこにはカイ達以外に攻略ギルドやトッププレイヤーパーティー、《血盟騎士団》のメンバーも来ており、その中にはミトとアスナの姿もあった。
「ミト、アスナ。2人も来てたんだな」
カイは2人に近寄り、挨拶をする。
「カイ!?どうして………って、カイもトッププレイヤーだから呼ばれるのは当たり前か」
ミトはカイの姿を見て驚くも、呼ばれた理由を察する。
「どういうことだ?確かに、此処に呼ばれてるのは全員攻略組でもトップクラスのプレイヤーばかりだけど」
そう言いカイが辺りを見渡す。
その中にはクラインとその仲間、ギルド《風林火山》もいた。
《はじまりの街》で別れた後、クラインは仲間たちと合流し、キリトから教わったことを生かして仲間たちと共に鍛え、ゲーム攻略のスタートダッシュには遅れたが、現在では立派な攻略ギルドの一員だ。
「ちょっとこっちに来て!」
すると、ミトはカイの手を引っ張り人気のない場所まで移動する。
「カイ、今すぐ帰りなさい!」
「は?どういうことだよ?」
「いいから!何も聞かずに帰って!」
ミトの言葉にカイが混乱していると、誰かが手を叩き注目を集めた。
「全員揃ったな!これより、《
「《
《聖竜連合》の幹部プレイヤーが放ったその言葉に、カイは驚き、目を見開いた。
「遅かった………」
ミトはこの集まりが何のためなのか知っていたらしく、悔しそうに俯いた。
「まず、《
ボードを出し、長躯を膝上までのポンチョで身を包み、フードを目深にかぶっている男、PoHの写真が貼られる。
「次はザザ。またの名を《赤目のザザ》。
赤い髪に赤い目、そして、髑髏の仮面を付けたザザ、そして、頭陀袋を被り黒い服を着たジョニー・ブラックの写真が貼られる。
「恐らく、今回の作戦に当たって、脅威となるのはこの3人だろう。だが、他の
そう言い、部下である《聖竜連合》のプレイヤーが集まったプレイヤーたちに作戦用紙を配る。
「《
作戦会議はそれで終了のはずだった。
しかし、そこで「だが」と付け加えられ、暫く静寂が部屋を包んだ。
「物事が予定通りに進まないのは世の常だ。もし、奴らがHPをレッドに落としても戦闘を続行する意思を見せてきた時、そして、自分や仲間を殺そうとした時………躊躇うな。その時が来たら、迷わず行動しろ。いいな?」
幹部プレイヤーはそう言い、最後に作戦開始時刻を伝え、去って行く。
そこから、集まったプレイヤーたちは討伐作戦に備え、装備を整えたり消耗品の補充に向かっていた。
「なぁ、カイ。大丈夫なのか?」
キリトはカイに近寄り、そう聞く。
「……ああ、大丈夫だ」
「アスナが無理して参加する必要はないって」
「後で礼を言っておくよ。でも、本当に大丈夫だ」
カイは笑ってそう言うが、その笑みに僅かに陰が差しているのにキリトは気付いた。
キリトの本音としては、カイを今回の作戦に参加させたくはなかった。
殺人に対して強い憎悪を抱くカイが
およそ四ヶ月前に起きた《圏内事件》、その際に出会ったPoHたち《
今回はあの時より
目的は
その中で、もしカイが
もし、
その時、カイがどうなってしまうのか、キリトには想像がつかなかった。
「ねぇ、カイ。今からでも間に合う。今回の作戦は辞退して」
「他のメンバーは私たちの方で説得する。だから」
「それで、俺一人安全な場所で居ろって言うのか?」
カイを止めようとする3人に、カイはそう言った。
「悪いが、今回ばかりは絶対に聞けない。お前たちにもしものことがあったら、俺は絶対に後悔する。どこまで自分を抑えられるかは分からないし、俺自身どうなるか分からなくて怖いけど………それ以上に、お前たちを失うことが一番怖いんだ。だから………許してくれ」
カイは困ったように笑って言う。
その後、カイは武器のメンテナンスをしてくると言い《聖竜連合》のギルドホームを出て行った。
「………なぁ、ミト。頼みがある」
去って行くカイを見送り、キリトはミトを見る。
「今回の作戦、カイの傍に居てやってくれないか?」
「え?」
「いざって言う時、カイを止められるのはミトだけだと思う。《圏内事件》の時、冷静じゃなくなってたカイを止めれたのは、間違いなくミトのお陰だ。いや、ミトだからこそカイを止めれた。だから、頼む」
頭を下げて、キリトがミトに頼む。
「分かった、カイの事は私に任せて。だから、キリト。貴方は貴方で絶対に死なないで。カイの為にも」
「ああ、分かってる」
「アスナ、うちのギルドの指揮なんだけど」
「うん、分かった。そっちは私に任せて。ミトはカイ君の事を考えてあげて」
「ありがとう。アスナ、貴女も気を付けてね」
互いに絶対死なない事を約束し合い、ミトはカイの後を追う。
そして、それぞれが仮眠を取って数時間。
攻略組50名による《