ソードアート・オンライン~焔の剣聖~   作:ほにゃー

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第28話 《笑う棺桶》討伐作戦会議

2024年 8月某日

 

この日、カイとキリトは56層にある《聖竜連合》のギルドホームに向かっていた。

 

「なぁ、キリト。どうして《聖竜連合》が俺らを呼ぶんだ?」

 

「さぁな。俺も詳しいことは聞いてない」

 

「ま、行けば分かるか」

 

暢気に街を歩き、《聖竜連合》のギルドホームのに着くと、そこにはカイ達以外に攻略ギルドやトッププレイヤーパーティー、《血盟騎士団》のメンバーも来ており、その中にはミトとアスナの姿もあった。

 

「ミト、アスナ。2人も来てたんだな」

 

カイは2人に近寄り、挨拶をする。

 

「カイ!?どうして………って、カイもトッププレイヤーだから呼ばれるのは当たり前か」

 

ミトはカイの姿を見て驚くも、呼ばれた理由を察する。

 

「どういうことだ?確かに、此処に呼ばれてるのは全員攻略組でもトップクラスのプレイヤーばかりだけど」

 

そう言いカイが辺りを見渡す。

 

その中にはクラインとその仲間、ギルド《風林火山》もいた。

 

《はじまりの街》で別れた後、クラインは仲間たちと合流し、キリトから教わったことを生かして仲間たちと共に鍛え、ゲーム攻略のスタートダッシュには遅れたが、現在では立派な攻略ギルドの一員だ。

 

「ちょっとこっちに来て!」

 

すると、ミトはカイの手を引っ張り人気のない場所まで移動する。

 

「カイ、今すぐ帰りなさい!」

 

「は?どういうことだよ?」

 

「いいから!何も聞かずに帰って!」

 

ミトの言葉にカイが混乱していると、誰かが手を叩き注目を集めた。

 

「全員揃ったな!これより、《笑う棺桶(ラフィン・コフィン)》討伐作戦会議を始める!」

 

「《笑う棺桶(ラフィン・コフィン)》の……討伐作戦……!」

 

《聖竜連合》の幹部プレイヤーが放ったその言葉に、カイは驚き、目を見開いた。

 

「遅かった………」

 

ミトはこの集まりが何のためなのか知っていたらしく、悔しそうに俯いた。

 

「まず、《笑う棺桶(ラフィン・コフィン)》の主要メンバーについて説明する。《笑う棺桶(ラフィン・コフィン)》のリーダーのPoH。武器はモンスタードロップの《友切包丁(メイト・チョッパー)》。本人のステータス、武器の性能も相当なものだが、奴自身の戦闘技術も高い。戦闘になった際は最低でも三人一組で戦え」

 

ボードを出し、長躯を膝上までのポンチョで身を包み、フードを目深にかぶっている男、PoHの写真が貼られる。

 

「次はザザ。またの名を《赤目のザザ》。針剣(エストック)使いだ。そして、ジョニー・ブラック。ザザの相棒で毒ナイフの使い手だ。この二人は組んで行動することが多い。2人で10人を超えるプレイヤーを殺害している。PoH程の脅威はないが、間違いなく攻略組のトッププレイヤーに引けを取らないステータスを持ってる」

 

赤い髪に赤い目、そして、髑髏の仮面を付けたザザ、そして、頭陀袋を被り黒い服を着たジョニー・ブラックの写真が貼られる。

 

「恐らく、今回の作戦に当たって、脅威となるのはこの3人だろう。だが、他の殺人者(レッド)が危険でないと言うわけではない。油断はするな。続いて、作戦内容について話す。今から配布する紙に詳細を記載してあるから見てくれ」

 

そう言い、部下である《聖竜連合》のプレイヤーが集まったプレイヤーたちに作戦用紙を配る。

 

「《笑う棺桶(ラフィン・コフィン)》は下層にある洞窟ダンジョンの安全地帯を根城にしている。明朝、奴らが寝静まっている時を狙い、周囲を包囲し無血投降を呼びかける。だが、奴らがそれに大人しく従うとは思わん。十中八九戦闘になるのは間違いない。戦力を削ぎつつ、捕縛する。それが主な作戦内容だ」

 

作戦会議はそれで終了のはずだった。

 

しかし、そこで「だが」と付け加えられ、暫く静寂が部屋を包んだ。

 

「物事が予定通りに進まないのは世の常だ。もし、奴らがHPをレッドに落としても戦闘を続行する意思を見せてきた時、そして、自分や仲間を殺そうとした時………躊躇うな。その時が来たら、迷わず行動しろ。いいな?」

 

幹部プレイヤーはそう言い、最後に作戦開始時刻を伝え、去って行く。

 

そこから、集まったプレイヤーたちは討伐作戦に備え、装備を整えたり消耗品の補充に向かっていた。

 

「なぁ、カイ。大丈夫なのか?」

 

キリトはカイに近寄り、そう聞く。

 

「……ああ、大丈夫だ」

 

「アスナが無理して参加する必要はないって」

 

「後で礼を言っておくよ。でも、本当に大丈夫だ」

 

カイは笑ってそう言うが、その笑みに僅かに陰が差しているのにキリトは気付いた。

 

キリトの本音としては、カイを今回の作戦に参加させたくはなかった。

 

殺人に対して強い憎悪を抱くカイが殺人者(レッド)プレイヤーを前にすればどうなるのか。

 

およそ四ヶ月前に起きた《圏内事件》、その際に出会ったPoHたち《笑う棺桶(ラフィン・コフィン)》のトップ3に逢った時、カイは3人に斬り掛かろうとした衝動を抑え、シュミットたちを守る事を優先した。

 

今回はあの時より殺人者(レッド)プレイヤーの数は多い。

 

目的は殺人者(レッド)プレイヤー捕縛だが、戦闘になるのは確実だった。

 

その中で、もしカイが殺人者(レッド)プレイヤーを殺害したら。

 

もし、殺人者(レッド)プレイヤーに、相棒であるキリトや友達のアスナにクライン、そして、ミトが殺されたりでもしたら。

 

その時、カイがどうなってしまうのか、キリトには想像がつかなかった。

 

「ねぇ、カイ。今からでも間に合う。今回の作戦は辞退して」

 

「他のメンバーは私たちの方で説得する。だから」

 

「それで、俺一人安全な場所で居ろって言うのか?」

 

カイを止めようとする3人に、カイはそう言った。

 

「悪いが、今回ばかりは絶対に聞けない。お前たちにもしものことがあったら、俺は絶対に後悔する。どこまで自分を抑えられるかは分からないし、俺自身どうなるか分からなくて怖いけど………それ以上に、お前たちを失うことが一番怖いんだ。だから………許してくれ」

 

カイは困ったように笑って言う。

 

その後、カイは武器のメンテナンスをしてくると言い《聖竜連合》のギルドホームを出て行った。

 

「………なぁ、ミト。頼みがある」

 

去って行くカイを見送り、キリトはミトを見る。

 

「今回の作戦、カイの傍に居てやってくれないか?」

 

「え?」

 

「いざって言う時、カイを止められるのはミトだけだと思う。《圏内事件》の時、冷静じゃなくなってたカイを止めれたのは、間違いなくミトのお陰だ。いや、ミトだからこそカイを止めれた。だから、頼む」

 

頭を下げて、キリトがミトに頼む。

 

「分かった、カイの事は私に任せて。だから、キリト。貴方は貴方で絶対に死なないで。カイの為にも」

 

「ああ、分かってる」

 

「アスナ、うちのギルドの指揮なんだけど」

 

「うん、分かった。そっちは私に任せて。ミトはカイ君の事を考えてあげて」

 

「ありがとう。アスナ、貴女も気を付けてね」

 

互いに絶対死なない事を約束し合い、ミトはカイの後を追う。

 

そして、それぞれが仮眠を取って数時間。

 

攻略組50名による《笑う棺桶(ラフィン・コフィン)》討伐作戦が開始した。

 

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