ソードアート・オンライン~焔の剣聖~   作:ほにゃー

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第29話 壊れ行く心

「全員揃ったな。これより《笑う棺桶(ラフィン・コフィン)》討伐作戦を開始する!」

 

作戦結構時間になり、《聖竜連合》の幹部プレイヤーが声を上げる。

 

「《笑う棺桶(ラフィン・コフィン)》のアジトがあるダンジョンまで回廊結晶を使う!」

 

そして、ポーチの中から濃紺色の結晶を取りだす。

 

回廊結晶とは転移結晶と違い『任意の地点』を登録することでその地点を出口に設定できるアイテムで、また、NPCショップでは売られてなくボス級モンスターからのドロップかトレジャーボックスでしか手に入れることの出来ないレアアイテムでもある。

 

更に転移結晶は1人しか使えないが回廊結晶はゲートが開いてる間は何人でも転移できる。

 

「コリドー・オープン!」

 

回廊結晶を掲げて叫ぶと結晶は砕けてゲートを開く。

 

「よし、全員、いくぞ」

 

最初に《聖竜連合》が入り、次にアスナを筆頭に《血盟騎士団》が続く。

 

次にキリトが入り、《風林火山》や高レベルプレイヤーによるパーティーが続く。

 

カイはミトと共に、殿として最後に入る。

 

「ミト、どうしてお前も俺と同じ配置なんだ?最初の予定だと、アスナと一緒にギルドメンバーの指揮を執るはずじゃ………」

 

「1ヵ所にハイレベルのプレイヤーを固めると戦力に傾きが出るでしょ。それに、万が一奇襲でもされたら危険だし、なるべくハイプレイヤーはバラけさせる必要があるの。特に殿は一番危険だから、私とカイで守ることなったのよ」

 

もっともらしい理由を述べると、カイは「なるほどな」と言う。

 

笑う棺桶(ラフィン・コフィン)》が根城にしている低層のダンジョンに着くと、全員が緊張した面持ちをしている

 

計画通りに、迅速に周囲を取り囲み、《笑う棺桶(ラフィン・コフィン)》へ投降を要求。

 

それに応じなければ武力による討伐を行い、再度、投降を要求。

 

(大丈夫だ……落ち着け、冷静になるんだ…………!)

 

殺人者(レッド)の存在が何度も脳裏を過ぎり、カイは右手が震えていた。

 

その震えを無理矢理抑えようと、左手で掴む。

 

それでもまだ震えは治まらなかった。

 

その時、右手が何者かに握られた。

 

握ったのはミトだった。

 

「大丈夫だよ、カイ」

 

ミトの方を向くと、ミトはカイの目を真っすぐと見つめていた。

 

不思議と、カイはその瞳を見ていると落ち着ついて行き、そして、右手の震えは止まった。

 

「……そうだな、ありがとう」

 

無意識にミトの手を握り返し、カイは笑う。

 

その時だった。

 

突如、周囲の雰囲気が変わり、カイとミトは自身の武器を構え、背中合わせになる。

 

「ミト、気づいてるか?」

 

「ええ、この感じ……………来るわ!」

 

ミトがそう叫ぶと、突如周囲の物陰から大人数のプレイヤーカーソルがオレンジ色の殺人者(レッド)プレイヤーが現れた。

 

「ラフコフだ!ラフコフが現れたぞ!」

 

「なんでラフコフが!?」

 

「まさか、作戦が漏れていたのか!」

 

突然の奇襲に、討伐部隊は混乱し何とか武器を構えるも圧されていた。

 

「陣形を崩すな!自身の命を最優先で戦え!」

 

「正面の殺人者(レッド)は《血盟騎士団》で対応します!」

 

「側面は《聖竜連合》で受け持つ!他の者は後方の殺人者(レッド)を!」

 

そんな中、キリト、アスナ、討伐作戦指揮官の声が響き渡る。

 

「ミト!俺とお前で後方の連中を相手するぞ!」

 

「了解!」

 

後方から数人の殺人者(レッド)が迫り、カイはその内の一人と刃を交えた。

 

最初の一撃を弾いて距離を取り、相手の体勢が崩れたところでカイは殺人者(レッド)の両腕を斬り飛ばした。

 

倒れた殺人者(レッド)に、この日のために用意された最前線で手に入る麻痺毒を塗付したピックを刺して行動を封じる。

 

その直後、背後から奇襲するように殺人者(レッド)の剣が振り下ろされる。

 

右足を軸にその場で回転し、ソードスキルを発動する。

 

ソードスキルのスピードも合わさり、回転と同時に殺人者(レッド)の攻撃を防ぎ、武器も破壊する。

 

武器を破壊され殺人者(レッド)は呆然とする。

 

「武器は破壊した!大人しく投稿しろ!」

 

「…………キヒッ!」

 

カイの言葉に、男は薄気味悪い笑みを浮かべる。

 

「キヒャヒャヒャヒャヒャヒャ!」

 

けたたましい笑い声と共に、男は隠し持っていた剣を取り出し、襲い掛かる。

 

カイは咄嗟にカウンターで反撃した。

 

そして、カイの刀は、その殺人者(レッド)の首に当たり、そのまま斬り飛ばした。

 

「しまっ!?」

 

カイは自分の仕出かした行動に驚き、殺人者(レッド)へと手を伸ばした。

 

殺人者(レッド)のHPは見る見る減って行き、0になった。

 

殺人者(レッド)は死ぬ寸前まで、狂った笑みを浮かべカイを見つめていた。

 

殺人者(レッド)の身体が砕け散る様を見て、カイは震えた。

 

(違う………そんなつもりはなかった…………俺はただ反撃しただけで………!)

 

プレイヤーを、人を殺めてしまったことにカイは震えた。

 

手にした刀が落ち、その場に転がる。

 

ただの案山子状態であるカイは、殺人者(レッド)にとっては獲物だった。

 

殺人者(レッド)の凶刃が、カイに向かって襲い掛かる。

 

(俺は………殺人をした…………人を殺したんだ…………俺も同じだ………父さんと母さん、文音を殺した奴と同じだ………同じなら…………モウ、ドウデモイイヤ)

 

その瞬間、カイは体術スキルを放った。

 

体術スキル零距離技《エンブレイサー》が殺人者(レッド)の喉元に刺さる。

 

そして、足で落とした刀を跳ね上げ手に取り、そのまま頭上から殺人者(レッド)の身体を一刀両断する。

 

「……ハハ」

 

HPを0にし、体が砕け散った殺人者(レッド)を見て、カイは乾いた笑い声を出す。

 

「ヒトヲコロスノッテ…………カンタンダナ」

 




カイの心は壊れ始めました
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