ソードアート・オンライン~焔の剣聖~   作:ほにゃー

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第33話 風に消えた言葉

「くっ……そ………!」

 

カイの攻撃を食らったザザはダンジョンの壁に叩き付けられ、そのまま座り込むように倒れた。

 

そんなザザに、カイは麻痺毒を塗付したピックを刺した。

 

「ぐっ!」

 

ザザは苦しそうに短く悲鳴を上げる。

 

そんなザザを無視し、カイはアイテムストレージからロープを出し、ザザを拘束した。

 

「………カイ」

 

名前を呼ばれ、振り返るとミトが後ろに立っていた。

 

ザザに斬られた両目は回復し、その両目でカイを見ていた。

 

「………ミト」

 

カイはそう言うと、ミトを抱きしめた。

 

「ちょっカイ!?」

 

行き成り抱きしめられ、ミトは慌てるもカイの身体が震えているのに気づいた。

 

「赦してくれとは言わない。助かったとはいえ、俺はお前を殺した。どんな償いでもする。だから………今だけは」

 

「……うん、いいよ」

 

ミトはそう返し、カイを抱きしめ返した。

 

カイは何も言わずミトを抱きしめ、ミトも何も言わずカイを抱きしめた。

 

「すまない、ミト」

 

十数秒程、抱きしめ合ってると、カイはそう言いミトを離した。

 

「別にいいわ。もう大丈夫?」

 

「ああ、お陰様で」

 

「そう……よかった」

 

「カイ!ミト!」

 

「ミト!カイ君!」

 

二人が離れたタイミングで、キリトとアスナの二人が現れ、カイとミトはそっちを見る。

 

「ミト、良かった。無事だったんだね」

 

「無事とは少し言い難いかもだけど、結果だけ見れば無事よ」

 

「キリト、ジョニー・ブラックは?」

 

「ああ、問題ない。もう倒した。拘束して、今頃牢獄に収監されてるはずだ」

 

互いに無事を確認し合い、キリトは拘束されているザザを見る。

 

「ザザか」

 

「ああ。麻痺毒でまだ動けないだろうし、武器も奪ってある。脅威はもうないだろう」

 

「そうか」

 

「キリト、悪いがザザを頼めるか?俺、犯罪者(オレンジ)になっちまったから、カルマ回復クエストを受けて来る」

 

カーソルが一般人(グリーン)から犯罪者(オレンジ)になった時、カーソルの色を戻す方法はカルマ回復クエストと言う、罪を犯し、カーソルがオレンジになったプレイヤーがカーソルをグリーンに戻すために受けるクエストを受けないといけないが、その手順がかなり七面倒なクエストだ。

 

後は暫く放置することでカーソルがグリーンに戻るが、その場合だとカーソルがグリーンに戻るまで主街区や街に立ち寄ることが出来なくなる。

 

「本当は、俺の罰だからグリーンに戻るまで待とうと思ったけど、最前線を長く空ける訳にも行かないからな。手っ取り早くクエストを受けて来る」

 

カイがそう言うと、キリトとアスナは驚いた顔をした。

 

「なんだよ、その顔は?」

 

「いや、カイの事だからまた責任取って攻略組を抜けるとか言うと思ったから」

 

「うん、私もそう言うと思ってた」

 

「ぶっちゃけると、どうやってカイを引き留めるか考えてた」

 

そう言うキリトとアスナに、カイは乾いた笑いをする。

 

「まぁ、確かにそうするつもりはあったよ。でも、そんなことしても俺の自己満足に過ぎないからな。それに、アスナも言っただろ?男の子なら、自分の言葉に責任を持てって」

 

カイはアスナを見て、そして、キリトを見る。

 

「キリト、俺とお前がコンビを組んだ日に俺が言ったこと覚えてるか?」

 

「……ああ。このくそったれなゲーム終わらせて、茅場の奴をぶん殴る、だろ?」

 

「ああ。その発言にも責任取らないと行けないからな」

 

そう言い笑うカイに、キリトも笑った。

 

「早く戻って来いよ。お前が居ないと、戦い辛いんだからな」

 

「ああ、分かってるさ。相棒」

 

拳をぶつけ合い、カイは転移結晶でカルマ回復クエストが受けられる第1層の街へと向かった。

 

「アスナ、私もさ」

 

「いいよ、行ってきて」

 

ミトが何か言う前に、アスナはミトにそう言った。

 

「手伝いたいんでしょ?団長には私から報告しておくから、ミトはカイ君の傍に行って上げて」

 

「アスナ………うん、ありがとう!」

 

ミトはそう言い、カイの後を追う様に転移した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『神もきっと、貴方の罪をお赦しになるでしょう』

 

NPCの神父にそう言われ、カイとミトは頭を下げ教会を後にする。

 

「これで五つ目。この調子なら、明日には終わりそうね」

 

「ああ。それにしても、カルマ回復クエスト初めて受けたけど、こんなにも面倒なんだな」

 

カルマ回復クエストは第1層のフィールド内にある教会を巡り、そこで起きるクエストをクリアし、それを七つの教会で行い全てを終わらせると罪が許され、カーソルがグリーンに戻る。

 

「なぁ、ミト。本当に良かったのか?これは俺の罰だから、ミトが一緒にやる必要はないんだぞ?」

 

「気にしないでいいってば。私がやりたいからやってるだけよ。それに、もし軍の連中に見つかって、難癖付けられたら大変でしょ?」

 

「だけど………」

 

ミトに対し負い目があるカイは、申し訳なさそうな顔をする。

 

「………あのさ、どんな償いでもするって言ったよね?」

 

「あ、ああ」

 

「じゃあさ…………ずっと傍に居てよ

 

「………え?」

 

突如吹いた風に掻き消されるかのように言われた言葉に、カイは思わず聞き返した。

 

一方でミトは、自分の言った言葉に恥ずかしさを感じ、驚くほど顔を真っ赤にしていた。

 

「や、やっぱり今のなし!忘れて!」

 

そう言い、ミトは次の教会に向けて足早に歩き出す。

 

「あ、待ってくれよ!」

 

そんなミトをカイは慌てて追いかけた。

 

(何言ってるのよ私は!あの後じゃ、カイに拒否権なんてないじゃん!私の馬鹿!)

 

(忘れてくれ、か…………別に俺はミトが相手なら………いいんだけどな……)

 




ミトがカイに何を言ったのか。

気になる方は、「じゃあさ…………」の後の空白部分を、ドラッグしてください
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